睡眠時無呼吸症候群(SAS)総合ガイド|症状・検査・CPAP治療・費用まとめ

⚠️ 日中の強い眠気で「運転中の居眠り」や「転倒・事故」の心配はありませんか?

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は国内に約940万人の潜在患者がいる”国民病”です。適切な治療を受けているのはわずか8%。放置すると高血圧(約2.9倍)・脳卒中(約2.9倍)・心臓突然死(約2.6倍)のリスクが上昇します。自宅で行える簡易検査からCPAP治療まで保険診療で一貫対応しています。

「最近、居眠り運転しそうになった」「仕事中に眠気でミスが増えた」という方は、早めの受診をご検討ください。早期発見・治療で事故や合併症のリスクを減らせます。

このページの要点

SASは寝ている間に呼吸が止まることで日中の眠気や高血圧を引き起こす疾患。国内に約940万人の潜在患者、治療率は8%。いびき・日中の強い眠気・朝の頭痛が3主徴で、CPAP治療で改善します。2026年6月の診療報酬改定で簡易検査の保険適用基準が緩和され、より受けやすくなりました。放置すると高血圧・心不全・脳卒中・事故リスクが高まるため、早期受診が重要です。

  • 代表症状:いびき/無呼吸/日中の強い眠気/起床時頭痛/熟睡感の低下/夜間頻尿
  • 評価:自宅での簡易PGまたは在宅PSGでAHIを判定。2026年6月改定で簡易PGでのCPAP適応がAHI 40以上→AHI 30以上に緩和
  • 治療:CPAPで気道閉塞を予防し、眠気・血圧・QOL改善を期待
  • 費用目安:保険適用で月約4,500〜5,500円(3割負担)
  • 通院:原則月1回、安定時は2か月毎も可
  • 軽症例やCPAP困難例:マウスピース(OAT)治療も選択肢
  • 合併症リスク:高血圧(約2.9倍)・心臓突然死(約2.6倍)・脳卒中(約2.9倍)・糖尿病・夜間頻尿に注意

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SASとは?——940万人の国民病

睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に呼吸が10秒以上停止する「無呼吸」や、呼吸が浅くなる「低呼吸」が繰り返し発生する疾患です。閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)が最も多く、肥満や顎の形態、扁桃肥大などが原因で上気道が閉塞します。

国内潜在患者は約940万人、適切な治療(CPAPなど)を受けているのは約73万人(わずか8%)です。糖尿病(約1,000万人)と同規模の”国民病”でありながら、圧倒的大多数が未治療のまま放置されています。30〜60代の働き盛りでは約7人に1人が中等症以上のSASと推計されています。

SASは肥満傾向のある中高年男性に多いとされてきましたが、痩せていても「あごが小さい」方(日本人に多い骨格的特徴)での発症や、閉経後の女性もホルモン変化によりリスクが急上昇します。

SASの症状——気づかれない「無呼吸」の怖さ

3大症状(3主徴)

  1. 大きないびき:「ゴーッ」という連続したいびきの後、突然止まり、「プハッ」という大きないびきで再開するパターン
  2. 日中の強い眠気:会議中、運転中、食事中などに耐え難い眠気。交通事故リスク約2.4倍(未治療では2〜7倍)
  3. 朝の頭痛・熟睡感の欠如:起床時に頭痛があり、「寝たのに疲れが取れない」

なぜ自分では気づけないのか

SASの最大の特徴は、無呼吸による脳の覚醒が記憶に残らないことです。本人は「朝までぐっすり寝た」と思い込んでいます。受診のきっかけは①家族からの指摘②日中の耐え難い眠気③スマートウォッチなどのウェアラブル端末での気づきが増えています。

SASを放置した場合のリスク

SASを治療せずに放置すると、以下のリスクが上昇します。治療によりこれらのリスクを低減できることが国内外の研究で示されています。

  • 高血圧:リスク約2.9倍。SAS患者の約50〜70%に高血圧を合併
  • 心臓突然死:リスク約2.6倍。間歇的低酸素が心臓に負荷
  • 脳卒中:リスク約2.9倍(男性)。独立した心血管リスク因子
  • 糖尿病:2型糖尿病患者の約30〜40%がSASを合併
  • 不整脈(心房細動):低酸素が心房細動のトリガーに
  • 事故リスク:日中の眠気で交通事故リスク2〜7倍
  • 経済損失:睡眠障害による日本の経済損失は年間約3.4兆円

SASの検査——自宅で完結・入院不要

当院では、患者様の症状や合併症に応じて最適な検査方法をご提案します。どちらも入院不要で自宅で受けられます。

1. 簡易PG検査

指先のパルスオキシメーターと鼻センサーを装着し、自宅で1泊の睡眠データを記録。費用は約2,700円(3割負担)。2026年6月の改定でAHI 30以上でCPAP保険適用となり、簡易検査だけで治療を開始できるケースが増えています

2. 在宅PSG検査

脳波を含む精密検査を自宅で実施。費用は約6,540円(3割負担)。簡易検査で診断がつかない場合や合併症がある場合に選択します。

詳しくはSASの検査方法のページをご覧ください。

2026年6月診療報酬改定——SAS治療のハードルが下がりました

令和8年(2026年)6月の診療報酬改定により、CPAP治療の保険適用基準が緩和されました。

  • 簡易検査(在宅):AHI 40以上 → AHI 30以上
  • 精密検査(PSG):AHI 20以上 → AHI 15以上

この改定の最大のポイントは簡易検査の基準が40→30に引き下げられたことです。「以前は基準を満たさなかった」「以前は入院検査が必要と言われた」という方も、現在の基準では簡易検査のみで治療を始められる可能性があります。

CPAP療法——標準治療の効果と実際

CPAP(持続陽圧呼吸療法)は、一般に「シーパップ」と呼ばれることもあるSASの標準治療です。睡眠中に鼻マスクから一定の圧力で空気を送り込み、気道を物理的に開いた状態に保ちます。高い効果が認められており、多くの方が数日〜2週間で朝のすっきり感や日中の眠気の改善を期待できます。

主な効果:

  • いびき・無呼吸の消失
  • 日中の眠気改善
  • 血圧低下(収縮期血圧で平均3〜5mmHg)
  • 心血管リスクの低減
  • 夜間頻尿の改善

CPAP治療は保険適用で月々4,500〜5,500円程度(3割負担)。最新のCPAP機器は小型・静音化が進み、カバンに入れて持ち運べるサイズです。加温加湿機能やAutoCPAP(自動圧調整)搭載機種も保険適用範囲内で利用できます。詳しくはCPAP治療のページ、費用の詳細は費用ページをご覧ください。

その他の治療法

1. マウスピース(口腔内装置:OAT)

マウスピースは、軽症〜中等症のSASやCPAPが合わない場合の選択肢です。歯科と連携して作成します。

2. 生活習慣改善・減量

体重の5〜10%減少でAHIが約15〜35%改善するとの報告があります。減量はSASの根本的改善に最も効果的な方法の一つです。横向き寝(体位療法)や就寝前の飲酒を控えることも有効です。詳しくは肥満と睡眠時無呼吸の関係をご覧ください。

当院の特徴

  • 複数の専門医資格による総合診療:院長は総合内科専門医・糖尿病専門医・循環器専門医・甲状腺専門医。SASと高血圧・糖尿病の一貫管理が可能
  • 在宅検査完結:入院不要。来院は問診時と結果説明時の計2回
  • CPAPフォロー体制:月1回のフォローで使用データを確認、圧調整やマスク交換をサポート
  • 対面診療にこだわる理由:当院ではオンライン診療によるSAS外来は行っておりません。マスク適合・圧調整を対面で確実に行い、治療の継続率と安全性を高めています

よくあるご質問

Q. SASとはどんな病気ですか?

SASとは、睡眠中に呼吸が10秒以上停止する無呼吸が繰り返し発生する病気です。国内に約940万人の潜在患者がいる”国民病”で、治療率はわずか8%。高血圧・心疾患・脳卒中などの全身リスクと関連する重要な疾患です。

Q. SASの主な症状は何ですか?

3大症状は①大きないびき、②日中の強い眠気、③朝の頭痛・熟睡感の欠如です。無呼吸による脳の覚醒は記憶に残らないため、本人は気づきにくく、家族からの指摘が受診のきっかけになることが多いです。

Q. いびきと睡眠時無呼吸はどう違いますか?

いびきは気道が狭くなって生じる呼吸音ですが、SASでは呼吸が完全に停止する「無呼吸」が繰り返し発生します。大きないびきに加えて日中の眠気や朝の頭痛がある場合は、検査をご検討ください。

Q. SASの検査方法はどのようなものがありますか?

当院では自宅で行える簡易PG検査(約2,700円)と在宅PSG(約6,540円)の2種類をご用意しています。どちらも入院不要で保険適用です。2026年6月の改定で簡易検査のみでCPAP治療を始められるケースが増えています。

Q. CPAP療法の効果はどのくらいありますか?

高い効果が認められており、使用開始後、多くの方が数日〜2週間でいびき消失や日中の眠気改善を期待できます。長期的には血圧低下や心血管リスク低減も期待できます。

Q. CPAPに副作用はありますか?

鼻マスクによる皮膚の圧迫痕や鼻乾燥・口渇などがありますが、加温加湿機能やマスクタイプの変更で改善可能です。当院では個別にマスク調整や設定変更を行い、快適に継続できるようサポートします。

Q. CPAP治療の費用はいくらですか?

保険適用で月々4,500〜5,500円程度(3割負担)です。初回費用は検査の種類によって異なり、簡易検査の場合は約5,000〜10,000円、在宅PSGの場合は約10,000〜18,000円です。詳しくは費用ページをご覧ください。

Q. SASを治療しないとどうなりますか?

高血圧(約2.9倍)・脳卒中(約2.9倍)・心臓突然死(約2.6倍)のリスクが上昇し、日中の眠気による交通事故リスクも高まります。SASは適切に治療すれば改善可能な疾患です。早期発見・早期治療が重要です。

Q. オンライン診療には対応していますか?

当院ではオンライン診療によるSAS外来は行っておりません。マスクの適合確認や圧調整を対面で確実に行うことが治療の継続と安全性に直結すると考えるからです。初診から継続管理まで、すべて対面で対応します。

Q. マウスピース治療とCPAPはどちらが良いですか?

CPAPが標準治療で重症度を問わず高い効果が期待できます。マウスピースは軽症〜中等症やCPAPが使えない場合の代替として適しています。CPAPの方が効果は確実ですが、マウスピースは装着感の負担が少なく携帯性に優れています。

Q. 肥満とSASの関係を教えてください

肥満はSASの最大の危険因子です。体重が10%減少するとAHIが約30%改善するというデータがあり、減量は極めて有効な治療手段です。ただし痩せていても「あごが小さい」方でも発症するため、体型に関わらず症状があれば検査をご検討ください。

Q. CPAP(シーパップ)は保険適用になりますか?

はい、保険診療の対象です。3割負担の方で月4,500〜5,500円程度が目安で、診察料・指導管理料・機器レンタル料を含みます。導入した月は、検査費用や初診料と月額分が重なるため、窓口の負担が大きくなります(CPAPに「導入初期加算」という加算はありません)。

Q. CPAP(シーパップ)はやめられますか?

CPAPは気道を開いた状態に保つ治療で、使用中に無呼吸を防ぎます。中止すると元の状態に戻るため、原則は継続して使用していただきます。減量などで睡眠時無呼吸が軽減した場合は、再検査のうえで治療の見直しを検討できることがあります。

Q. シーパップとCPAPは違うものですか?

同じものを指します。CPAPは持続陽圧呼吸療法の略称で、機器そのものを「シーパップ」と呼ぶこともあります。当院では、検査から圧設定・フォローアップまで院内で対応しています。

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このページの監修・出典

監修・執筆:しもやま内科 院長(日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医/日本老年医学会 老年科専門医・指導医)

主な参考資料:

  • 日本睡眠学会「睡眠障害の診断・治療ガイドライン」(睡眠時無呼吸の判定基準)
  • 厚生労働省 診療報酬点数表・診療報酬改定通知(在宅持続陽圧呼吸療法関係)
  • 厚生労働省 睡眠時無呼吸症候群に関する情報
  • 日本呼吸器学会・日本循環器学会・日本糖尿病学会・日本甲状腺学会の診療ガイドライン

作成・更新:2026年9月13日|このページは一般的な医学情報の提供を目的としたもので、診断・治療方針は診察に基づいて判断します。

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最終更新日:2026-09-13

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

06/07/2016