SAS(睡眠時無呼吸症候群)の検査方法|簡易検査と在宅PSGの違い・費用・流れ

日本に約940万人の潜在患者がいるとされる睡眠時無呼吸症候群(SAS)。診断の第一歩は、自宅でできる簡易検査または在宅PSGです。どちらも入院不要で、保険適用(3割負担で約2,700〜6,540円)。2026年6月の診療報酬改定で簡易検査の保険適用基準が緩和され、より簡易な検査で治療を始められるケースが増えています。このページでは、2つの検査方法の違いや選び方、流れを詳しく解説します。

SAS(睡眠時無呼吸症候群)の検査について

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に何度も呼吸が止まる病気で、国内の潜在患者は約940万人、治療を受けているのはわずか8%と糖尿病と同規模の"国民病"です。放置すると高血圧(リスク約2.9倍)・脳卒中(約2.9倍)・心臓突然死(約2.6倍)などのリスクが上昇します。

SASの診断には専門的な検査が必要です。検査といっても難しいものではなく、自宅で寝るだけで完了します。しもやま内科では、総合内科専門医が検査から診断・治療まで院内で一貫して対応します。

SASの検査方法:2つのタイプを比較

当院では、どちらの検査も業者から検査機器が自宅に届けられる在宅検査が可能です。入院は不要で、普段の寝室で自然な状態で検査を受けられます。来院は問診時と結果説明時の計2回で完了します。

簡易在宅検査と在宅PSGの比較
比較項目 簡易在宅検査 在宅PSG
測定項目 呼吸・酸素飽和度・心拍・いびき 脳波・眼球運動・筋電図・呼吸・心電図・酸素飽和度・四肢の動き
脳波測定 なし あり(睡眠ステージ判定可能)
所要時間 1泊 1泊
費用目安(3割負担) 約2,700円 約6,540円
センサー数 少ない(指・胸・鼻) 多い(頭部・顔・胸・腹・指・脚)
入院の有無 不要(自宅) 不要(自宅)

① 簡易在宅検査(ポータブルモニタリング)

指先のパルスオキシメーター、胸のベルト、鼻のセンサーを装着して行う自宅検査です。1泊の睡眠データを記録し、呼吸の状態や酸素飽和度の変化を評価します。

メリット:

  • 自宅のベッドで自然な睡眠環境で検査可能
  • 費用が安価(3割負担で約2,700円)
  • センサーが少なく装着が簡単
  • 検査の待ち時間が短い

デメリット:

  • 脳波(睡眠の深さ)の測定ができない
  • 軽度のSASや他の睡眠障害の見逃しリスクがある

この検査が適している方:大きないびきがあり、睡眠中の呼吸停止が疑われる方。まずは簡易的な評価でSASの有無を確認したい場合に選択されます。

2026年6月の改定で重要なのはこの簡易検査です。従来はAHI 40以上でなければCPAP治療の保険適用になりませんでしたが、AHI 30以上に緩和されました。つまり、簡易検査だけでCPAP治療を始められるケースが増えています。「以前は基準を満たさなかった」という方も、現在の基準では治療を始められる可能性があります。

② 在宅睡眠ポリグラフ検査(在宅PSG)

当院では在宅で実施できる睡眠ポリグラフ検査(在宅PSG)に対応しています。脳波・呼吸・心拍・酸素飽和度・四肢の動きなどを自宅で詳細に測定します。検査機器は専門の業者から自宅に届けられ、装着方法の説明を受けた後、普段通りに眠っていただきます。

測定項目:

  • 脳波(睡眠ステージの判定)
  • 眼球運動(REM睡眠の判定)
  • 筋電図(あご・四肢の動き)
  • 心電図
  • 呼吸(胸・腹の動き、鼻の呼吸)
  • 酸素飽和度

メリット:

  • 入院不要。自宅のベッドで自然な睡眠環境で検査可能
  • 脳波を含む詳細な測定ができる
  • SAS以外の睡眠障害(周期性四肢運動障害など)の有無も確認しやすい

デメリットと補足:

  • 簡易検査よりセンサーが多く、装着にやや手間がかかる
  • 初めての装着で緊張する可能性がある
  • 万一「うまくできなかった」と感じた場合は、業者に連絡すれば何度でもやり直しが可能です(保険診療のため自己負担は定額です)

この検査が適している方:簡易検査でSASが疑われたが確定診断が必要な方、合併症(高血圧・糖尿病など)がある方、他の睡眠障害の可能性も考慮したい方。

自分に合った検査の選び方

症状や背景によって適切な検査方法は異なります。初診時の問診や身体所見を踏まえて医師が提案します。一般的な目安は以下の通りです。

  • まずは簡易検査から:いびきや眠気の症状はあるが合併症がない方。簡易検査の基準緩和により、多くの方がここからスタートできます
  • 初回から在宅PSG:SASの可能性が高い、または高血圧・糖尿病などの合併症がある方。一度で精密な評価を得たい場合に選択します

自分では気づけない——無呼吸の本人は「朝までぐっすり」と思い込んでいる

SASの最大の特徴は、無呼吸による脳の覚醒が記憶に残らないことです。本人は熟睡しているつもりでも、脳は頻繁に低酸素状態にさらされています。受診のきっかけで最も多いのは家族からの指摘(「いびきがすごい」「呼吸が止まっている」)。一人暮らしの方は、朝の頭痛や慢性的な疲労感を「年のせい」と感じているなら、検査をご検討ください。

SAS検査の流れ:初診から診断まで

Step 1:初診(問診と身体検査)

  • 症状の確認(いびき、昼間の眠気、朝のだるさ、中途覚醒など)
  • 生活習慣の確認(飲酒、喫煙、睡眠環境)
  • 咽頭の観察(口蓋垂の大きさ、扁桃の大きさ、舌の大きさ)
  • 肥満度(BMI)の測定
  • 血圧測定(SASは高血圧の原因の一つとされています)

Step 2:検査方法の選択と予約

初診時の評価に基づき、簡易在宅検査または在宅PSGのいずれかを提案します。患者さんの症状や生活スタイルに合わせて選択します。

Step 3:検査実施

どちらの検査も、専門の業者から検査機器が自宅に届けられます。自宅で就寝中にセンサーを装着するだけです。

Step 4:結果説明と診断

検査結果を基に、以下の指標で診断します:

  • AHI(Apnea-Hypopnea Index:呼吸障害指数)
    • 5未満:正常範囲
    • 5〜15:軽度SAS
    • 15〜30:中等度SAS
    • 30以上:重度SAS
  • 最低酸素飽和度(SpO2の低下具合)
  • 睡眠ステージの乱れ具合(PSGの場合)

Step 5:治療方針の決定

診断結果に基づき、CPAP療法や生活指導(減量、体位療法)などの治療方針を提案します。CPAP治療は保険適用で月々4,500〜5,500円程度(3割負担)から継続可能です。

SAS検査結果の見方——AHI・3%ODI・SpO2で何が分かるか

検査結果の用紙には、AHI以外にも複数の数値が並びます。どれも睡眠中の呼吸の状態を表す指標ですが、意味はそれぞれ異なります。結果説明で確認する数値の読み方を整理します。

① AHI(無呼吸低呼吸指数)——重症度の基本

1時間あたりに「無呼吸」と「低呼吸」が合わせて何回起きたかを示す数値です。無呼吸は10秒以上呼吸が止まった状態、低呼吸は10秒以上換気が30%以上低下し、酸素飽和度が3%以上下がるか、覚醒反応を伴う状態を指します(日本睡眠学会の判定基準)。

AHI 分類 一般的な解釈
5未満 正常範囲 この値だけでSASを否定できるわけではありません
5〜15未満 軽症 症状や合併症によっては治療を検討します
15〜30未満 中等症 治療の検討が多くなります
30以上 重症 早めの治療開始が望ましい状態です

② 3%ODI——酸素が下がった回数

3%ODIは、酸素飽和度(SpO2)が3%以上低下した回数を1時間あたりで示す指標です。AHIとは数え方が異なるため、両者の値が一致しないことも珍しくありません。目安として、5以上でSASが疑われ、15以上では中等症〜重症の可能性があるとされています。

③ 最低SpO2と、90%未満の時間

最低SpO2は、睡眠中に最も低くなった酸素飽和度です。一瞬だけ低い値が出た場合はセンサーのずれや体の冷えなど測定上の影響も考えられるため、最低値だけでなく、平均値・90%未満の時間・低下の持続時間を合わせて見ることが大切です。AHIが同じでも、酸素が大きく下がって長く続く方ほど体への負担は大きいとされます。

数値が「見た目より軽い」ときに確認すること

  • AHIは低いのにSpO2が低い:肺の病気(COPDなど)、心不全、肥満に伴う低換気など、SAS以外の要因が背景にある可能性があります。呼吸器内科・循環器内科での評価が必要になることがあります
  • 仰向けのときだけ数値が高い:仰向け時のAHIが横向きの2倍以上ある場合、体位依存性のSASが疑われます
  • 一晩だけの結果である:検査結果には夜ごとの変動があります。日中の眠気や合併症と合わせて判断します

簡易検査の結果を読むときの注意

簡易検査は脳波を測定しないため、覚醒反応を伴う低呼吸を数えられず、PSGに比べて呼吸イベントが少なめに出る傾向があります。また、機械による自動解析は、専門技師による解析より1時間あたり5〜8回低く評価することがあると報告されています。そのため、簡易検査の数値だけで「治療は必要ない」と結論づけることはできません。当院では、数値・自覚症状・合併症・診察所見を合わせて総合的に判断します。

「異常あり」と指摘されたら——次にやること

  1. 結果票のAHI・3%ODI・最低SpO2を確認する(検査の種類によって指標名が異なります)
  2. 日中の眠気、起床時の頭痛、いびき、夜間の覚醒などの症状と照らし合わせる
  3. 治療が必要かどうかは医師の診察で判断する(数値だけで自己判断しない)
  4. 中等症以上、または合併症がある場合は、CPAP治療を含めた方針を相談する

SAS検査前の注意点

検査を正確な結果とするために、以下の点にご注意ください。

  • 普段通りの生活を送る(異常に長い・短い睡眠時間にならないように)
  • 昼寝は避ける
  • カフェイン(コーヒー・紅茶・緑茶)の摂取は午後3時までに控える
  • お酒は飲まない(睡眠や呼吸に影響し、検査結果が変わることがあります)
  • 睡眠薬・鎮静剤は避ける(必要な場合は事前に医師にご相談ください)
  • 検査当日は普段通りの就寝時間を心がける

こんな症状がある方は、早めの受診をご検討ください

  • 家族から「寝ている間に呼吸が止まっている」と指摘されたことがある
  • 大きないびきを家族に指摘される
  • 日中、強い眠気に襲われる(運転中・会議中・食事中に眠くなる)
  • 起床時の頭痛や口の渇きが続く
  • 十分な睡眠時間をとっているのに疲れが取れない
  • 夜中に何度も目が覚める

急な息苦しさや胸の痛みがある場合は、119番(救急車)へのご連絡をおすすめします。

しもやま内科のSAS検査・診断の特徴

総合内科専門医による診断

院長は総合内科専門医・糖尿病専門医・循環器専門医・甲状腺専門医であり、検査結果を詳しく解説します。数値だけでなく、生活習慣や合併症との関連を総合的に判断します。

在宅検査の充実

  • 簡易在宅検査・在宅PSGともに業者から自宅に機器が届く形式
  • 入院不要で自然な睡眠環境で検査可能
  • 万一のやり直しにも対応(保険診療・定額負担)

検査から治療まで院内で対応

検査→診断→CPAP導入まで、当院で一貫して対応します。

生活習慣改善指導

SASは肥満と深く関係しています。減量プログラム、運動指導、食事改善のアドバイスも併せて行います。

よくあるご質問

Q. SASの簡易検査とは?在宅PSGとどう違うのですか?

A. 簡易検査は指先・胸・鼻のセンサーで主に呼吸と酸素飽和度を測定する自宅検査です。在宅PSGは脳波も含めてより詳細に測定します。どちらも入院不要で、業者から自宅に機器が届けられる形式です。費用は簡易検査が約2,700円、在宅PSGが約6,540円です(3割負担)。

Q. 在宅検査は痛いですか?準備は必要ですか?

A. 痛くありません。センサーを装着するだけです。普段通りの生活で自宅のベッドで眠っていただきます。検査当日はカフェインやお酒を控え、普段通りの睡眠時間を確保してください。

Q. 2026年6月の改定で何が変わりましたか?

A. 簡易検査(在宅)の保険適用基準がAHI 40以上からAHI 30以上に緩和されました。これにより、簡易検査のみでCPAP治療を開始できるケースが増えています。「以前は基準を満たさなかった」という方も、改めてご相談ください。

Q. SASの検査結果が出るまでどれくらいかかりますか?

A. 簡易検査・在宅PSGともに、検査機器を業者に返送してから解析・結果報告までおおよそ1週間程度かかります。

Q. SASの検査は保険適用ですか?費用はいくらですか?

A. はい、両方の検査とも保険適用です。3割負担の場合、簡易検査で約2,700円、在宅PSGで約6,540円が目安です(初診料・再診料は別途)。万一やり直しになっても自己負担は定額です。

Q. 簡易検査で軽度と判定された場合、治療は必要ですか?

A. 軽度SASでも日中の眠気が強い場合や合併症がある場合は治療を検討します。また、症状が続く場合は在宅PSGでの再検査をご提案することがあります。

Q. 在宅PSGの装着がうまくできなかった場合は?

A. 業者にご連絡いただければ、再検査が可能です。保険診療のため自己負担は定額ですので、ご安心ください。

Q. SASの検査は誰でも受けられますか?予約が必要ですか?

A. 初診での診察が必要です。いびきや日中の眠気などの症状がある方は、まずは当院の初診予約をお取りください。

Q. 簡易検査とPSGのどちらを選べばいいですか?

A. 初診時の問診や身体所見に基づいて医師が提案します。明らかなSAS症状があり合併症もある場合は在宅PSG、まずは簡易的に評価したい場合は簡易検査を選ぶことが多いです。どちらが適しているかは診察時にご説明します。

Q. オンライン診療での検査対応はありますか?

A. 当院ではオンライン診療によるSAS外来は行っておりません。検査の選択から結果説明・治療開始まで、対面で丁寧に行うことを大切にしています。

Q. 検査結果のAHIはどの数値から治療が必要ですか?

AHIが5以上で睡眠時無呼吸症候群と診断されます。一般的には中等症(AHI 15〜30未満)以上で治療の検討が多くなりますが、AHIが軽度でも日中の強い眠気がある場合や、高血圧・糖尿病・心臓病などの合併症がある場合は治療を検討します。数値だけでなく症状や背景を含めて総合的に判断します。

Q. AHIは低いのに酸素飽和度(SpO2)が低いと言われました。どういう意味ですか?

呼吸が止まる回数は多くないのに酸素が下がっている場合、肺の病気(COPDなど)、心不全、肥満に伴う低換気など、SAS以外の要因が背景にある可能性があります。この場合は、数値の見た目上の軽さにかかわらず、呼吸器内科や循環器内科での評価が優先されることがあります。当院でも、必要に応じて専門機関へのご紹介を行います。

診療情報

項目 内容
診療時間 月・火・木・金:9:00〜12:00 / 14:45〜17:30 土曜:9:00〜12:00(水・日・祝:休診)
所在地 千葉県船橋市芝山4-33-5
最寄駅 高根木戸駅・飯山満駅 各徒歩15分
駐車場 7台完備(予約不要・無料)

関連情報

このページの監修・出典

監修・執筆:しもやま内科 院長(日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医/日本老年医学会 老年科専門医・指導医)

主な参考資料:

  • 日本睡眠学会「睡眠障害の診断・治療ガイドライン」(睡眠時無呼吸の判定基準)
  • 厚生労働省 診療報酬点数表・診療報酬改定通知(在宅持続陽圧呼吸療法関係)
  • 厚生労働省 睡眠時無呼吸症候群に関する情報
  • 日本呼吸器学会・日本循環器学会・日本糖尿病学会・日本甲状腺学会の診療ガイドライン

作成・更新:2026年9月13日|このページは一般的な医学情報の提供を目的としたもので、診断・治療方針は診察に基づいて判断します。

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最終更新日:2026-09-13

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

19/05/2026