📘 要点
- アップルウォッチ(Apple Watch)の無呼吸通知はスクリーニングで、確定診断ではありません
- 呼吸の乱れが30日間で一貫して高いと評価された場合に通知されます
- 対応はSeries 9以降・Ultra 2・SE 3で、30日間のうち10日以上の装着データが必要です
- 中等症から重症のSASの検出感度は70〜90%程度とされています
- 検査は自宅で行え、簡易PG検査は3割負担で約2,700円です
- 通知が出た方も、通知が出ない方も、症状があれば早めにご相談ください
Apple Watchで「睡眠時無呼吸の可能性」と表示され、不安を感じていませんか。この通知はあくまでスクリーニング(可能性の指摘)であり、確定診断には医療機関での専門的な評価が必要です。しもやま内科では、自宅で完結できる睡眠検査(簡易PG・在宅PSG)を用意し、結果に応じてCPAPの導入や生活習慣の調整まで、保険診療で一貫対応します。国内に約940万人の潜在患者がいるSAS、治療率はわずか8%——通知を放置せず、正確な診断を受けましょう。
アップルウォッチ(Apple Watch)の無呼吸通知とは——仕組みと通知の条件
アップルウォッチ(Apple Watch)の「睡眠時無呼吸の通知」は、睡眠中の呼吸の乱れをもとに、中等度から重度の睡眠時無呼吸の兆候を検出してお知らせする機能です。米国ではFDA(米国食品医薬品局)の認可を、日本ではPMDA(医薬品医療機器総合機構)のデータベースに「睡眠時無呼吸の兆候の通知プログラム」として登録されています。ただし、いずれも睡眠時無呼吸の診断・治療・管理を目的としたものではなく、医師の診察に代わるものではありません。
検知しているのは、加速度センサーがとらえた「呼吸の乱れ」
加速度センサーでとらえた手首の動きから、睡眠中の呼吸の乱れ(呼吸が乱れた可能性)を推定しています。呼吸の乱れは毎晩「高い」「高くない」の2段階で評価され、30日間で一貫して「高い」と評価された場合に「睡眠時無呼吸の可能性がある」という通知が届きます。無呼吸そのものを直接測っているわけではなく、酸素飽和度(SpO2)を測定しているわけでもありません。通知が出た時期と、医療機関に共有できるPDFレポートはヘルスケアアプリで確認できます。
通知を受け取るための条件——対応機種・OS・設定
対応するのは、最新バージョンのwatchOSを搭載したApple Watch Series 9以降、Apple Watch Ultra 2、Apple Watch SE 3です。iPhoneも最新のiOSにアップデートし、「睡眠」を設定したうえで「Apple Watchで睡眠時間を記録」を有効にしておく必要があります。通知の設定は、iPhoneのヘルスケアアプリで「検索」→「呼吸」→「睡眠時無呼吸の通知」の順に開いて行います。
- 対応機種:Apple Watch Series 9以降/Apple Watch Ultra 2/Apple Watch SE 3(最新バージョンのwatchOSが必要)
- iPhoneを最新のiOSにアップデートする
- 「睡眠」を設定し、「Apple Watchで睡眠時間を記録」を有効にする
- 睡眠時無呼吸と診断されたことがない18歳以上の方が対象
通知が届くまでの記録日数——30日間のうち10日以上
分析には、30日間のうち少なくとも10日間、アップルウォッチを装着した状態で就寝したデータが必要です。データは30日ごとに分析されるため、装着日数が足りない期間は評価の対象になりません。就寝前に充電のため外していたり、バンドが緩んでいたりすると記録が途切れることがあります。
通知の限界——なぜ医療機関での確認が必要か
- 誤検出の可能性:いびきや寝返り、睡眠環境の振動などを無呼吸と誤判定することがあります
- 未検出(見逃し)の可能性:軽症のSAS(AHI 5〜15)では検出感度が低下することが報告されています
- 装着条件の影響:充電切れやバンドの緩み、就寝前に外してしまうとデータが記録されません
研究報告では、中等症〜重症のSASを検出する感度は70〜90%程度とされています。Apple Watchの通知をきっかけに医療機関を受診することは有意義ですが、通知がないからといってSASを完全に否定できるわけではありません。
通知が出ないときに確認していただきたいこと
通知が届かないからといって、睡眠時無呼吸がないとは言えません。Appleの案内でも「睡眠時無呼吸の症状のある人全員が通知を受け取るわけではない」とされています。次の点を確認したうえで、症状がある場合は検査をご検討ください。
- 対応機種・OSか:Series 9以降/Ultra 2/SE 3で、watchOSとiOSが最新になっているか
- 「睡眠」の設定:「Apple Watchで睡眠時間を記録」が有効になっているか
- 装着日数:30日間のうち10日以上、装着して就寝できているか(データは30日ごとに分析)
- 装着の状態:就寝前に充電のため外していないか、バンドが緩んでいないか
- 症状の有無:いびき・日中の強い眠気・起床時の頭痛・夜間の頻尿などがあれば、通知の有無にかかわらず検査の対象になります
研究報告では、中等症から重症のSASの検出感度は70〜90%程度とされる一方、軽症例では見逃されることがあります。通知の有無は、診断の有無とは異なります。
アップルウォッチの通知と、医療用の睡眠検査の違い
通知は「受診のきっかけ」、医療用の検査は「診断と重症度の判定」という役割の違いがあります。同じ睡眠時無呼吸を扱っていても、記録できる情報と目的が異なります。
| 項目 | アップルウォッチの無呼吸通知 | 医療用の睡眠検査(簡易PG・在宅PSG) |
|---|---|---|
| 目的 | 受診のきっかけづくり(スクリーニング) | 診断と重症度の判定 |
| 測定しているもの | 手首の動きから推定した呼吸の乱れ | 呼吸の流れ・胸腹部の動き・酸素飽和度(在宅PSGは脳波も) |
| 結果の表し方 | 呼吸の乱れが「高い/高くない」(30日ごとに評価) | AHI(1時間あたりの無呼吸・低呼吸回数)と酸素飽和度 |
| 診断 | できない | 医師がAHIに基づいて判定 |
| 治療への活用 | なし(受診のきっかけまで) | CPAPの適用判断・効果判定に使用 |
| 費用 | Apple Watchの購入費用のみ | 簡易PG 約2,700円/在宅PSG 約6,540円(3割負担・保険診療) |
確定診断の流れ——通知が出たら最初にすること
通知を受け取ったら、まずは内科を受診してください。当院(船橋市)では、問診・診察から自宅での検査、結果の説明、CPAPの導入と継続管理までを保険診療で一貫して行っています。検査は入院不要で、ご自宅で受けていただけます。
Step1:問診・診察
症状(いびき・日中の眠気・起床時の頭痛など)や併存疾患(高血圧・不整脈・糖尿病など)を評価し、最適な検査方法を判断します。
Step2:自宅での睡眠検査
当院では、どちらの検査も入院不要で自宅で実施可能です。
- 簡易PG検査:指先のセンサーと胸ベルト・鼻センサーを装着し、1泊の睡眠データを記録。費用は約2,700円(3割負担)。2026年6月の改定でAHI 30以上でCPAP保険適用となり、簡易検査のみで治療を始められるケースが増えています
- 在宅PSG検査:脳波を含む精密検査を自宅で実施。費用は約6,540円(3割負担)。簡易検査で診断がつかない場合や合併症がある場合に選択します
Step3:診断と結果説明
AHI(無呼吸低呼吸指数)に基づいて重症度を評価します。軽症(AHI 5〜15)、中等症(15〜30)、重症(30以上)。
Step4:治療方針の検討
中等症以上の場合、CPAP治療が第一選択です。保険適用で月々4,500〜5,500円程度(3割負担)。軽症の場合は生活習慣の改善や経過観察となることもあります。
Apple Watch(アップルウォッチ)で睡眠時無呼吸症候群(SAS)はわかる?——通知のあとの流れ
Apple Watchの通知は「中等度から重症の睡眠時無呼吸の兆候」を知らせるスクリーニングであり、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断そのものではありません。通知が出た方も、通知が出ない方も、症状があれば検査の対象になります。状況ごとの目安は次のとおりです。
| 状況 | 通知・症状から考えられること | 次の行動 |
|---|---|---|
| 通知が出た | 中等度から重症のSASの可能性が指摘された状態(検出感度は70〜90%程度と報告されています) | 内科を受診し、簡易PG検査・在宅PSG検査で確定診断へ |
| 通知が出ない+症状がある(いびき・日中の眠気・起床時の頭痛・夜間頻尿など) | 軽症のSASや装着条件により、通知が出ないことがあります | 通知の有無にかかわらず、在宅PSG検査を含む検査をご検討ください |
| 通知が出ない+症状がない | 現時点では「呼吸の乱れが高い」と評価されていない状態です | 健診などの機会に経過を確認し、症状が出たときは受診を |
検査は自宅で受けられ、費用は簡易PG検査が約2,700円、在宅PSG検査が約6,540円(いずれも3割負担・保険診療)です。治療まで含めた費用はSAS治療の費用、SASの全体像は睡眠時無呼吸症候群(SAS)総合ガイドでご確認いただけます。
受診前に準備いただきたいもの
- Apple Watchのヘルスアプリの「睡眠時無呼吸の可能性」画面のスクリーンショット
- 最近の睡眠状況メモ(就寝・起床時刻、いびきの有無、日中の眠気の頻度)
- 既往歴・内服薬のリスト
お手持ちのデータがなくても受診は可能ですので、ご安心ください。
通知が届いたあとに、知っておいていただきたいこと
ヘルスケアアプリで確認できること——記録期間とPDFレポート
通知を受け取ると、ヘルスケアアプリで過去1か月・6か月・1年間の「呼吸の乱れ」の推移を確認できます。医療機関に共有できるPDFレポートも書き出せるため、受診の際にお持ちいただくと説明がスムーズです。
「診断」はできない
Apple Watchは診断機器ではありません。通知は「中等度から重度の睡眠時無呼吸の兆候」を検出するスクリーニングであり、確定診断には医療用の検査(簡易PG検査・在宅PSG検査)が必要です。また、睡眠時無呼吸があっても通知が出ない方もいます。
早期の受診のきっかけになる
無呼吸は本人が気づきにくいため、通知は受診のきっかけとして有用です。ただし通知の有無にかかわらず、いびき・日中の眠気・起床時の頭痛などの症状がある場合は検査をご検討ください。
よくあるご質問
Q. Apple Watchの無呼吸通知は正確ですか?
FDA認可を受けたアルゴリズムですが、100%正確とは限りません。中等症〜重症の検出感度は70〜90%程度で、軽症例の見逃しやいびきによる誤検出の可能性もあります。通知はあくまで「医療機関を受診するきっかけ」として捉え、確定診断は医療用検査で行いましょう。
Q. 通知が出たら必ず病気ですか?
いいえ。通知は「可能性がある」というスクリーニング結果であり、確定診断ではありません。通知が出ても、医療機関での検査で否定されるケースもあります。一方で、通知が出ていなくても症状がある場合は検査を検討する価値があります。
Q. Apple Watchだけで診断されますか?
されません。この通知機能は、日本ではPMDAのデータベースに「睡眠時無呼吸の兆候の通知プログラム」として登録されていますが、診断・治療・管理を支援する目的であり、診断そのものを行うものではありません。確定診断は医師の判断のもと、医療用の検査機器(簡易PG検査・在宅PSG検査)を用いて行われます。
Q. 通知が出ても症状がなければ大丈夫ですか?
自覚症状がなくても、SASが高血圧(約2.9倍)・脳卒中(約2.9倍)・心臓突然死(約2.6倍)のリスクを高めることが知られています。自覚症状の有無にかかわらず、一度医療機関で相談することをおすすめします。
Q. 通知が出たら何科に行くべきですか?
睡眠時無呼吸の診断・治療は内科が適切です。しもやま内科では内科医師が診察・検査・治療を担当し、検査からCPAP導入・継続管理まで一貫して対応します。
Q. オンラインでの診療は可能ですか?
当院ではオンライン診療によるSAS外来は行っておりません。正確な診断には対面での問診と検査が必要です。通知が出た際は、お電話でご予約の上、ご来院ください。
Q. Apple Watchは何をモニタリングして無呼吸を検知するのですか?
加速度センサーでとらえた手首の動きから、睡眠中の呼吸の乱れを推定しています。呼吸の乱れは毎晩「高い」「高くない」の2段階で評価され、30日間で一貫して「高い」と評価された場合に通知が届きます。無呼吸そのものや酸素飽和度を直接測定しているわけではありません。
Q. 通知が届いたら、次にどうなりますか?
ヘルスケアアプリで「呼吸の乱れ」の推移を確認でき、医療機関に共有できるPDFレポートも書き出せます。通知は確定診断ではないため、医療機関を受診して簡易PG検査または在宅PSG検査を受けることが次のステップです。当院では検査から診断・治療まで保険診療で対応しています。
Q. Apple Watchがあれば健康リスクの予防に役立ちますか?
通知が早期受診のきっかけになる点は有用です。ただし、通知が出ないからといってSASがないとは言えず、軽症例では検出されにくいことが報告されています。通知の有無にかかわらず、いびき・日中の眠気・起床時の頭痛などの症状がある場合は検査をご検討ください。
Q. 通知が出ない場合は、検査を受けなくてもよいですか?
いいえ。通知が出ないことは、睡眠時無呼吸がないことを意味しません。Appleも「睡眠時無呼吸の症状のある人全員が通知を受け取るわけではない」と案内しています。軽症例では検出されにくく、30日間のうち装着日数が10日に満たない期間は評価の対象になりません。いびき・日中の強い眠気・起床時の頭痛などの症状がある場合は、通知の有無にかかわらず検査をご検討ください。
Q. 対応している機種・OSと、必要な設定を教えてください。
最新バージョンのwatchOSを搭載したApple Watch Series 9以降、Apple Watch Ultra 2、Apple Watch SE 3が対応機種です。iPhoneも最新のiOSにアップデートし、「睡眠」を設定したうえで「Apple Watchで睡眠時間を記録」を有効にしてください。通知は、iPhoneのヘルスケアアプリで「検索」→「呼吸」→「睡眠時無呼吸の通知」から設定します。睡眠時無呼吸と診断されたことがない18歳以上の方が対象です。
Q. 何日分のデータがたまれば通知が出ますか?
30日間のうち少なくとも10日間、Apple Watchを装着した状態で就寝したデータが必要で、データは30日ごとに分析されます。装着が数日しかない期間は評価されません。データが足りないと感じる場合は、就寝時の装着と「睡眠」の設定をご確認ください。
Q. Apple Watch Series 11でも診断はできませんか?
できません。Series 11を含む対応機種の通知機能は、中等度から重度の睡眠時無呼吸の「兆候」を知らせるスクリーニングであり、睡眠時無呼吸の診断・治療・管理を目的としたものではないとAppleも明記しています。確定診断は、AHI(無呼吸低呼吸指数)を測定する医療用の検査(簡易PG検査・在宅PSG検査)で行います。
Q. Apple Watchは、睡眠時無呼吸の可能性を検知するために何をモニタリングしていますか?
睡眠中の「呼吸の乱れ」です。腕の動き(加速度センサー)と心拍の情報から睡眠中の呼吸の乱れを推定して記録し、ヘルスケアアプリの「呼吸の乱れ」で確認できる仕様とされています。いびきの音を録音して判定するものではありません。Apple社は、こうした記録が一定期間(約1か月)にわたり繰り返し検出された場合に通知すると説明しています。測定や通知の条件は機種・OSのバージョンによって異なるため、詳細はApple社の公表資料をご確認ください。
Q. Apple Watch Series 11などで「睡眠時無呼吸の可能性」の通知が届いたら、どうすればよいですか?
通知は診断ではなく、受診のきっかけとなるものです。まず内科(睡眠外来)を受診し、簡易検査または在宅PSGで確定診断を行います。当院では、自宅で行える検査からCPAP治療までを保険診療で対応しています。受診の際は、通知の画面やヘルスケアアプリの記録をお持ちいただくと参考になります。検査の種類と流れもご覧ください。
Q. 通知は、睡眠時無呼吸による健康リスクの予防に役立ちますか?
通知そのものは治療ではありません。ただし、自覚のない方が検査・治療につながるきっかけになりうるという点で意義があると考えられています。SASを放置すると、高血圧・脳卒中・心臓突然死などのリスクが高まることが知られており、早期の診断と治療がリスクの低減につながると考えられています。通知が出ない場合でも、いびきや日中の眠気がある場合は検査をおすすめします。
Q. 呼吸の乱れは、どのくらいの頻度で記録されますか?
睡眠中は継続的に記録され、結果はヘルスケアアプリで確認できます。通知は単発の記録ではなく、複数の夜にわたって繰り返し検出された場合に出る仕様とされています。記録・通知の頻度や条件は機種やOSのバージョンによって異なるため、詳細はApple社の公表資料をご確認ください。
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このページの監修・出典
主な参考資料:
- 日本睡眠学会「睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン」/内山真 編「睡眠障害の対応と治療ガイドライン 第3版」(じほう、2019)
- 厚生労働省 診療報酬点数表・診療報酬改定通知(在宅持続陽圧呼吸療法関係)
- 厚生労働省 睡眠時無呼吸症候群に関する情報
- 日本呼吸器学会(監修)「睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020」(南江堂)/日本循環器学会・日本糖尿病学会・日本甲状腺学会の診療ガイドライン
- Apple 公式サポート「Apple Watchの睡眠時無呼吸の通知」
- PMDA(医薬品医療機器総合機構)医療機器データベース
作成・更新:2026年10月10日|このページは一般的な医学情報の提供を目的としたもので、診断・治療方針は診察に基づいて判断します。
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最終更新日:2026-10-10
👨⚕️ この記事の監修医師
監修・執筆:しもやま内科 院長(日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医/日本老年医学会 老年科専門医・指導医)
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。