📘 要点
- 授乳中もチラーヂンSは継続でき、母乳への移行はごくわずかです
- 産後は6〜8週でTSHを再確認し、必要に応じて用量を調整します
- メルカゾールは15mg/日以下なら授乳を続けられます
- 服薬は授乳直後に行い、次回の授乳まで3〜4時間空けるのが目安です
- 乳児のルーチン採血は原則不要で、成長の見守りを共有します
- 授乳の継続に迷うときは、早めに専門医へご相談ください
甲状腺のことでお悩みの方へ
甲状腺は喉の下にある小さな臓器で、体の代謝(エネルギーの使い方)を調整する「甲状腺ホルモン」を作っています。妊娠・不妊治療中は、このホルモンのバランスが特に大切になります。
船橋市のしもやま内科では、甲状腺の血液検査とエコー検査を行い、必要に応じて薬の調整を行っています。
このページの役割
授乳期(産後)の甲状腺薬の考え方をまとめています。妊娠中の薬剤の使い分けは、関連ページをご覧ください。
関連ページ
- 妊娠中の抗甲状腺薬 ― メルカゾール・プロパジールの使い分け
- チラーヂンの妊娠中の使い方 ― 甲状腺機能低下症の治療薬
- 橋本病と妊娠・授乳 ― 産後の経過と授乳の考え方
- 船橋市の産婦人科連携|妊娠中の内科管理(GDM・甲状腺・高血圧)
- 妊娠初期の甲状腺チェック|TSH・FT4の基準値
- 妊娠中のバセドウ病|TSH目標値と薬物治療
- 妊活・不妊治療中の甲状腺チェック|TSH目標値
- 船橋市の産婦人科との連携について
- 妊娠中の内科管理|妊娠初期からの検査と連携
▼ 詳細な医療情報(医療従事者向け)
授乳期の甲状腺薬:安全性とフォロー(LT4/チアマゾール/PTU)
授乳中はレボチロキシン(LT4)は基本的に安全です。抗甲状腺薬は「最少用量」と「授乳直後の内服」を軸に、母体TSH/FT4の再評価と、必要時のみ乳児フォローを共有します。
産婦人科外来でよくある悩みは「授乳を続けてよいか」「どの薬をどのタイミングで飲ませるか」「乳児の採血が必要か」です。
ここでは、授乳を止めずに安全域で管理するための実務ポイントを1ページにまとめます。
1) LT4(レボチロキシン)は授乳中に基本“継続OK”
- 安全性:LT4は母乳中にごく少量で、通常用量で乳児への有害事象は報告上きわめて稀です。LactMed: Levothyroxine
- TSH再評価:産後は必要量が変わることがあるため、目安として6–8週でTSH/FT4を再確認します。ATA(妊娠・産褥の甲状腺疾患ガイドライン) Guidelines
- 内服のコツ:空腹時内服。鉄・カルシウム・マグネシウム・PPI・大豆製品で吸収低下があり、投与間隔を確保します(例:LT4と鉄/Caは4時間以上)。
2) 抗甲状腺薬(MMI/PTU)は「最少用量」+「授乳直後内服」
- 基本方針:授乳は原則継続しつつ、母体の甲状腺機能を保つ最少用量を目指します。ATA(妊娠・産褥の甲状腺疾患ガイドライン) Guidelines
- MMI(チアマゾール):母乳曝露を減らすには授乳直後に内服し、次回授乳まで3–4時間空けるのが実務的です。LactMed: Methimazole
- 用量目安:低〜中等量としてMMI〜20mg/日、PTU〜450mg/日が目安としてよく引用されます。ATA(妊娠・産褥の甲状腺疾患ガイドライン)
- PTU:一部状況で選択されますが、母体側の肝障害リスクには注意し、漫然長期化を避けます。LactMed: Propylthiouracil
3) 乳児フォローは「ルーチン採血より“成長発達の見守り共有”」
- 日常観察:体重増加曲線、哺乳力、傾眠・興奮、発汗・下痢傾向、皮疹。
- 採血の要否:原則は不要で、成長発達の定期健診での確認が推奨されます。LactMed: Methimazole
- 検討する状況:哺乳不良・体重停滞・傾眠が強いなどが持続する場合に、小児科で甲状腺機能を検討します。
- 共有項目:母体の薬剤名・用量・内服時刻、採血結果、症状推移を母子手帳や紹介状で共有。
🏥 当院の対応範囲(当院で行うこと・専門施設へお願いすること)
しもやま内科で実際に行っている検査・治療と、連携する専門施設へお願いしている検査・治療をまとめました。「どこまで当院で行い、何を専門施設へお願いするか」の目安としてご覧ください。記載は2026年9月時点の当院の対応状況です。
| 検査・治療 | 当院での対応 |
|---|---|
| 問診・診察(症状・経過・家族歴の確認) | 当院で実施します |
| 血液検査(ホルモン基礎値・抗体・一般生化学) | 当院で実施します(当日結果説明できる項目があります) |
| 尿検査(尿中ホルモン代謝物・尿中カテコラミンなど) | 当院で実施します(検体提出・結果説明まで当院で対応) |
| 甲状腺エコー(超音波検査) | 当院で実施します(甲状腺専門医が実施・読影) |
| 自由診療(自費診療) | 当院では行っておりません(保険診療のみ) |
| セカンドオピニオン外来 | 当院では行っておりません |
| 夜間・休日の診療(時間外の電話相談を含む) | 当院では行っておりません |
当院は保険診療を基本としています。当院で実施していない検査・治療は、必要に応じて連携する専門施設へご紹介し、紹介後もホルモン補充や経過観察など当院で継続できる部分は引き続き担当します。当院の診療対象は中学生以上(12歳〜)です。
夜間・休日に急な症状が出た場合は、当院では時間外の診療・電話相談を行っておりませんので、救急外来・#7119(救急安心電話相談)・119番へのご連絡をおすすめします。
よくあるご質問(FAQ)
授乳中に甲状腺薬を飲んでもいいの?母乳に影響はある?
チラーヂンS(レボチロキシン)は授乳中に飲み続けられる?
メルカゾール(チアマゾール)は授乳中に飲める?
授乳中に甲状腺薬を飲み忘れたらどうする?
甲状腺薬を飲みながら授乳するときの注意点は?
授乳中にバセドウ病が再発したらどうする?治療は?
橋本病でチラーヂンSを飲んでいるが、授乳中に増量が必要?
授乳中に甲状腺の検査(エコー・シンチ)はできる?
授乳中の甲状腺薬の管理は何科?しもやま内科では?
授乳継続の可否そのものよりも、「母体の病勢が落ち着いているか」と「薬の飲み方(授乳直後・最少用量・相互作用回避)」でトラブルが減ります。迷うときは、母体の採血推移と症状を添えて紹介いただくと調整が早くなります。
※ Web予約のご案内は行っていません。お電話(診療時間外はFAX)でご連絡ください。
参考文献・出典
- LactMed: Levothyroxine. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK501003/
- LactMed: Methimazole. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK501024/
- LactMed: Propylthiouracil. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK501084/
- ATA 2026 Guidelines for Thyroid Disease in Preconception, Pregnancy, and Postpartum. https://www.thyroid.org/professionals/ata-professional-guidelines/
- Rind J, et al. Hyperthyroidism in Pregnancy and Lactation. J Endocrine Soc. 2021. https://academic.oup.com/jes/article/5/4/bvab001/6067596
📚 関連する詳細情報
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月・火・木・金 9:00〜12:00 / 14:45〜17:30 土 9:00〜12:00
診療時間外の緊急時は、119番へのご連絡をおすすめします。
最終更新日:2026-08-28
👨⚕️ この記事の監修医師
監修・執筆:しもやま内科 院長(日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医/日本老年医学会 老年科専門医・指導医)
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。