下垂体の病気とホルモン異常|下垂体腺腫・ホルモンの出すぎ/不足の原因と検査

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  • 下垂体は脳の底部にある小さな器官で、全身のホルモンをコントロールする司令塔です。下垂体の病気は様々なホルモン異常を引き起こします。
  • 代表的な疾患に下垂体腺腫(機能性・非機能性)があり、ホルモンの過剰分泌や不足、腫瘍による視神経圧迫などを起こします。
  • 船橋市しもやま内科では、下垂体腺腫の初期評価・ホルモン検査を行い、手術が必要な場合は船橋市立医療センター等をご紹介します。
  • 下垂体のホルモン異常は二次性高血圧の原因になることもあり、早期発見・治療が重要です。

📍 船橋市で下垂体の病気・ホルモン異常でお悩みの方へ

「頭のMRIで下垂体に影があると言われた」「プロラクチンや成長ホルモンが高いと言われた」——下垂体の病気は耳慣れない名前も多く、不安になりやすい分野です。船橋市・習志野市・八千代市・鎌ケ谷市の方で、下垂体腺腫やホルモン異常でお悩みの方は、ぜひ当院へご相談ください。

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住所:千葉県船橋市芝山4-33-5
電話:047-467-5500
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下垂体とは?——ホルモンの司令塔

下垂体は、脳の底部にある豆粒大(約0.5〜1g)の内分泌腺です。蝶の形をした頭蓋骨のくぼみ(トルコ鞍)に位置し、視神経交叉のすぐ下にあります。全身のホルモン分泌をコントロールする「司令塔」として働きます。

下垂体前葉から分泌されるホルモン

ホルモン 働き 過剰時の症状 不足時の症状
成長ホルモン(GH) 骨・筋肉の成長、代謝調節 先端巨大症、巨人症 低身長(小児)、筋力低下
プロラクチン(PRL) 乳汁分泌、性腺機能調節 乳汁漏出、月経不順、不妊 産後の乳汁分泌不全
甲状腺刺激ホルモン(TSH) 甲状腺ホルモンの分泌促進 甲状腺機能亢進症 甲状腺機能低下症
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH) 副腎皮質からのコルチゾール分泌促進 クッシング症候群 副腎不全(低血圧・倦怠感)
卵胞刺激ホルモン(FSH)/黄体形成ホルモン(LH) 性腺機能の調節(卵胞発育・排卵・精子形成) —(稀) 不妊、月経異常、性腺機能低下

下垂体後葉から分泌されるホルモン

  • 抗利尿ホルモン(ADH、バソプレシン):腎臓での水分再吸収を促進し、尿量を調節します。不足すると尿崩症(大量の薄い尿が出る)を起こします。
  • オキシトシン:子宮収縮・乳汁排出を促進。分娩時や授乳時に重要なホルモンです。

下垂体腺腫——もっとも多い下垂体疾患

下垂体腺腫は下垂体にできる良性腫瘍です。多くは非癌性ですが、大きさやホルモン分泌の有無によって様々な症状を引き起こします。

大きさによる分類

  • 微小腺腫(マイクロアデノーマ):10mm未満。多くは無症状で、脳ドックのMRIで偶然発見されます。
  • 巨大腺腫(マクロアデノーマ):10mm以上。視神経交叉を圧迫し、視野障害(両耳側半盲)や頭痛を起こすことがあります。

ホルモン分泌による分類

分泌するホルモンによって、機能性腺腫と非機能性腺腫に分けられます。以下、代表的なものを詳しく解説します。

プロラクチン産生腺腫(プロラクチノーマ)

もっとも頻度の高い機能性下垂体腺腫で、女性に多く見られます。プロラクチン(PRL)を過剰分泌します。

症状

  • 女性:乳汁分泌(非産褥期)、月経不順・無月経、不妊、性欲低下
  • 男性:性欲低下、勃起障害(ED)、精子減少による不妊、まれに乳房発育(女性化乳房)

治療

  • 薬物療法(第一選択)カベルゴリン(商品名:カバサール®)が第一選択薬です。週1〜2回の内服でプロラクチンを速やかに正常化します。ブロモクリプチン(商品名:パーロデル®)も使用されますが、カベルゴリンの方が効果が高く副作用が少ないとされています。
  • 手術:薬物療法が無効または不耐容の場合や、巨大腺腫で視神経圧迫がある場合に検討します。
  • 一般的に、薬物療法で良好なコントロールが得られることが多く、まずは内服治療から開始します。

成長ホルモン産生腺腫(先端巨大症)

成長ホルモン(GH)を過剰に分泌する腺腫で、成人では先端巨大症(先端肥大症)を引き起こします。年間発生率は100万人あたり約3〜4人と比較的稀な疾患ですが、放置すると生命予後に影響するため確実な診断・治療が必要です。

症状

  • 顔貌変化:眉弓(まゆげの骨)の突出、下顎の突出(受け口)、鼻の肥大——写真を見比べると変化に気づくことがあります
  • 手足の肥大:指輪が入らなくなる、靴のサイズが大きくなる
  • 全身合併症高血圧糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、心肥大、大腸ポリープの増加
  • その他:関節痛、多汗、手根管症候群

診断

  • IGF-1(ソマトメジンC)測定:スクリーニングに有用。加齢による基準値を考慮して評価します。
  • 経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)によるGH抑制試験:確定診断に必須。75gブドウ糖負荷後もGHが抑制されないことで診断します(正常ではGHが1ng/mL未満に抑制される)。
  • 頭部MRI:腺腫の有無・大きさを確認

治療

  • 手術(第一選択)経蝶形骨洞手術(TSS)——鼻の奥から内視鏡でアプローチし、腺腫を摘出します。微小腺腫では治癒率が高い一方、巨大腺腫では周囲組織への浸潤により完全摘出が困難な場合もあります。
  • 薬物療法
    • ソマトスタチンアナログ(オクトレオチド・ランレオチド):GH分泌を抑制。注射剤で、手術不能例や術後もコントロール不良例に用います。
    • GH受容体拮抗薬(ペグビソマント):GHの作用そのものを阻害します。
  • 放射線治療:手術・薬物療法でコントロール不良の場合に検討します(効果発現まで数年かかることがあります)。

ACTH産生腺腫(クッシング病)

ACTHを過剰分泌し、副腎からコルチゾールが過剰に産生されることでクッシング症候群を呈します。下垂体性のクッシング症候群を特にクッシング病と呼びます。

症状

  • 満月様顔貌(顔が丸くなる)、中心性肥満(体幹に脂肪がつき、四肢は細い)
  • 皮膚症状:皮膚が薄くなる、紫色の stretch marks(皮膚線条)、挫創治癒遅延
  • 全身症状高血圧糖尿病、骨粗鬆症、易感染性、筋力低下、月経異常、精神症状(抑うつ・不眠)

診断

  • スクリーニング:尿中遊離コルチゾール、深夜コルチゾール(唾液中または血中)、デキサメタゾン抑制試験
  • 鑑別診断:ACTH依存性(下垂体・異所性)かACTH非依存性(副腎性)かを、ACTH測定・CRH負荷試験・海綿静脈洞サンプリングで鑑別します。

治療

  • 手術(第一選択):経蝶形骨洞手術で腺腫を摘出
  • 薬物療法:手術不能例にはコルチゾール合成阻害薬(メチラポンなど)を使用
  • 放射線治療:手術後の残存・再発例に

TSH産生腺腫

TSHを過剰分泌し、甲状腺機能亢進症を引き起こす稀な下垂体腺腫です。バセドウ病と鑑別が重要で、TSHが高値にもかかわらず甲状腺ホルモン(FT3・FT4)も高値という特徴的な検査所見を示します(バセドウ病ではTSH低値)。

  • 症状動悸、体重減少、手指振戦、頻脈、心房細動
  • 治療:手術が第一選択。ソマトスタチンアナログも有効な場合があります。

非機能性下垂体腺腫(無機能腺腫)

ホルモンを分泌しない下垂体腺腫です。多くは微小腺腫で無症状ですが、大きくなると以下の症状を引き起こします:

  • 視野障害:両耳側半盲(視神経交叉の圧迫による)——最初は気づきにくく、進行してから発見されることが多い
  • 頭痛:腫瘍による頭蓋内圧亢進や硬膜の伸展
  • 下垂体機能低下症:正常下垂体組織が圧排され、ホルモン分泌が低下

経過観察・手術適応

  • 微小無機能腺腫(10mm未満・無症状):定期的なMRIとホルモン検査で経過観察。多くの場合は増大せず、手術不要です。
  • 巨大無機能腺腫(10mm以上)、または増大傾向がある場合:視野障害が出現する前に手術を検討します。
  • 手術適応:視野障害あり、腫瘍の急速な増大、下垂体機能低下症を伴う、頭痛が強い——いずれかに該当すれば手術が検討されます。

下垂体機能低下症

下垂体のホルモン分泌機能が低下し、1つまたは複数のホルモンが不足する状態です。

原因

  • 下垂体腺腫による圧迫
  • 手術・放射線治療後
  • 頭部外傷(下垂体茎断裂)
  • 下垂体卒中(腺腫内出血)
  • シーハン症候群(分娩時の大量出血による下垂体壊死)
  • リンパ球性下垂体炎

症状(不足するホルモンによる)

  • ACTH低下(副腎不全):倦怠感、低血圧、低血糖、体重減少——感染症などのストレス時に副腎クリーゼ(意識障害・ショック)を起こす危険があります
  • TSH低下(中枢性甲状腺機能低下症):甲状腺機能低下症と同様の症状(疲労・冷え・体重増加・便秘)
  • LH・FSH低下(性腺機能低下症):月経異常、性欲低下、不妊、骨粗鬆症
  • GH低下(成人):筋力低下、体脂肪増加、QOL低下
  • ADH低下:尿崩症(次項参照)

治療(ホルモン補充療法)

  • 副腎不全:ヒドロコルチゾン(コートリル®)の補充——最も優先。甲状腺ホルモン補充より先に開始します(甲状腺ホルモンを先に補充すると副腎クリーゼを誘発するため)。
  • 中枢性甲状腺機能低下症:レボチロキシン(チラーヂン®)補充
  • 性腺機能低下症:女性にはエストロゲン・プロゲスチン補充、男性にはテストステロン補充
  • GH低下:成長ホルモン補充(保険適応には厳格な基準あり)
  • 尿崩症:デスモプレシン(点鼻薬・内服薬)補充

尿崩症(中枢性)

抗利尿ホルモン(ADH)の分泌不足により、大量の薄い尿(1日3〜15リットル)が出る病気です。のどが異常に渇き(口渇)、大量の水を飲むようになります(多飲多尿)。腎性尿崩症(腎臓がADHに反応しない)との鑑別が必要です。

  • 診断:水分制限試験、デスモプレシン投与試験
  • 治療:デスモプレシン点鼻薬または内服薬でADHを補充。適切な補充で日常生活に支障なく過ごせます。

⚠️ こんな症状があったらすぐに受診を

以下の症状は、下垂体腺腫の進行や下垂体卒中など緊急性の高い状態を示す可能性があります。

  • 急激な視力低下・視野の狭窄——両側の視野が欠ける、物が二重に見える
  • 突然の激しい頭痛、吐き気——下垂体卒中の可能性
  • 急激な血圧低下・意識障害——副腎クリーゼの可能性

119番へのご連絡をおすすめします。

下垂体疾患の診断の流れ

1. 問診・身体診察

症状(頭痛・視野障害・月経異常・乳汁分泌・手足の変化など)、MRI所見、既往歴、家族歴を確認します。また、古い写真と最近の写真を比較して、顔貌変化を確認することもあります(先端巨大症のスクリーニング)。

2. ホルモン検査(当日採血可能)

  • 下垂体ホルモン:プロラクチン(PRL)、成長ホルモン(GH)、ACTH、TSH、LH、FSH
  • 標的ホルモン:甲状腺ホルモン(FT3・FT4)、コルチゾール、IGF-1、性ホルモン
  • 負荷試験(必要に応じて):成長ホルモン分泌刺激試験、ACTH負荷試験、OGTTによるGH抑制試験、デキサメタゾン抑制試験など

3. 画像検査の評価・紹介

既存のMRIの再評価、または新規MRI(船橋市立医療センター等をご紹介)を行います。下垂体MRIは通常の頭部MRIよりも薄いスライス(2〜3mm)で撮影され、造影剤を用いることでより詳細な評価が可能です。手術適応の有無や、経過観察でよいかを判断します。

4. 治療・フォローアップ

  • 薬物治療:プロラクチノーマにはカベルゴリン、先端巨大症にはソマトスタチンアナログなど
  • 手術紹介:船橋市立医療センター等への紹介(視神経圧迫・ホルモン過剰が強い場合)
  • ホルモン補充療法:術後や機能低下症の場合に各種ホルモンを補充
  • 経過観察:微小無機能腺腫の場合は定期的なMRIとホルモン検査でフォロー

よくある質問(FAQ)

下垂体の病気の症状は?

症状はホルモンの種類や腫瘍の大きさによって異なります。ホルモン過剰では乳汁分泌・月経異常・先端巨大症(手足の肥大・顔貌変化)・クッシング症候群(満月様顔貌・中心性肥満)など、ホルモン不足では倦怠感・低血圧・冷え・性機能低下などが現れます。腫瘍が大きい場合は視野障害や頭痛を起こします。

下垂体腺腫とは?

下垂体にできる良性の腫瘍です。10mm未満の微小腺腫と10mm以上の巨大腺腫に分けられ、ホルモンを過剰分泌する機能性と分泌しない非機能性があります。多くは良性で、がんとは異なりますが、大きさやホルモン異常によって治療が必要になることがあります。

プロラクチノーマとは?

プロラクチン(PRL)を過剰分泌する下垂体腺腫で、もっとも頻度の高い機能性腺腫です。女性では乳汁分泌・月経不順・不妊、男性では性欲低下・ED・不妊の原因になります。第一選択治療はカベルゴリンなどの薬物療法で、多くの場合コントロールが可能です。

先端巨大症とは?

成長ホルモン(GH)産生腺腫によりGHが過剰に分泌されることで、手足の肥大・下顎の突出・眉弓の隆起などの顔貌変化をきたす病気です。高血圧・糖尿病・心肥大などの合併症を伴うことが多く、早期診断・治療が重要です。治療は経蝶形骨洞手術(TSS)が第一選択で、薬物療法(ソマトスタチンアナログなど)を併用することもあります。

下垂体の検査は?

まず血液検査で各種ホルモン(PRL・GH・ACTH・TSH・LH・FSH・IGF-1・コルチゾールなど)を測定し、異常が見つかれば負荷試験(OGTTによるGH抑制試験やACTH負荷試験など)を行います。頭部MRI(下垂体用の薄いスライス・造影)で腫瘍の有無を確認します。当院では初回のホルモン検査は当日採血が可能です。

下垂体の腫瘍は手術が必要?

すべての下垂体腫瘍に手術が必要なわけではありません。微小な無機能腺腫で無症状の場合は、定期的なMRI経過観察で十分です。手術が必要となるのは①視野障害がある、②腫瘍が急速に増大している、③ホルモン過剰が薬物でコントロールできない、④下垂体卒中を起こした——などの場合です。

下垂体機能低下症とは?

下垂体のホルモン分泌機能が何らかの原因で低下し、1つまたは複数のホルモンが不足する状態です。原因には腺腫による圧迫、手術後、頭部外傷、下垂体卒中などがあります。不足するホルモンに応じて補充療法(ヒドロコルチゾン・チラーヂン・性ホルモンなど)を行います。

カベルゴリンの副作用は?

カベルゴリン(商品名:カバサール®)はプロラクチノーマの第一選択薬です。主な副作用として、悪心・嘔吐・めまい・起立性低血圧があります。これらの副作用は少量から開始し徐々に増量することで軽減できることが多いです。まれに心臓弁膜症との関連が報告されていますが、通常の治療用量でのリスクは低く、治療前に心エコーを行うことが推奨されています。

下垂体の病気は治る?

多くの下垂体疾患は適切な治療でコントロールが可能です。プロラクチノーマは薬物療法でホルモン値が正常化し、微小腺腫の手術では治癒も期待できます。先端巨大症やクッシング病も手術で治癒が目指せます。ただし、巨大腺腫や浸潤性の腺腫では完全摘出が難しく、長期的なフォローアップや複数の治療法の組み合わせが必要になることがあります。

下垂体の病気で頭痛は起きる?

はい、下垂体腺腫が大きくなると頭痛を引き起こすことがあります。腫瘍が頭蓋内の硬膜を伸展させたり、髄液の流れを妨げたりすることで頭痛が生じます。また、下垂体卒中(腺腫内出血)では突然の激しい頭痛・吐き気・視野障害が出現するため、緊急対応が必要です。慢性的な頭痛でMRIを受けた結果、下垂体腺腫が偶然見つかることもあります。

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参考文献

  • 日本内分泌学会「下垂体腫瘍診断・治療ガイドライン」(2025年版)
  • 日本脳神経外科学会「下垂体腺腫の診断と治療に関するコンセンサス」
  • The Pituitary Society Clinical Practice Guidelines for Acromegaly
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下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
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内分泌疾患(下垂体・副腎・甲状腺)の診療に長年従事し、二次性高血圧の精査・治療も多数経験しています。

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最終更新日:2026-08-28

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日本甲状腺学会 甲状腺専門医
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06/12/2025