性ホルモン異常・PCOS・男性更年期(LOH症候群)の症状と治療

「最近、疲れが抜けない」「やる気が起きない」「体型が変わってきた」「生理が不順」——これらは単なる年のせいではなく、性ホルモンの乱れが原因かもしれません。

しもやま内科(船橋市)では、男性更年期障害(LOH症候群)多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)月経前症候群(PMS)など、性ホルモンに関連する様々な症状について、内分泌内科の視点から診療を行っています。ホルモンの値は加齢やストレス、生活習慣によって変動し、放置すると生活の質(QOL)を大きく低下させる可能性があります。早めに検査し、適切な対策を取ることが大切です。

当院では、血液検査によるホルモン測定をはじめ、超音波検査、生活習慣指導、漢方薬などの提案を行い、一人ひとりの症状やライフステージに合わせたアプローチを提供しています。必要に応じて、産婦人科や泌尿器科、不妊治療専門機関と連携した診療も可能です。



性ホルモン異常とは

性ホルモン異常は、体内の男性ホルモン(テストステロン)や女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)のバランスが崩れた状態を指します。加齢、ストレス、肥満、生活習慣の乱れ、甲状腺疾患など、様々な要因でホルモンバランスは変動します。

性ホルモン異常は男性にも女性にも起こり得るもので、症状は性別や年齢によって異なります。以下のような症状を感じられたら、一度ホルモン状態を確認されることをおすすめします。

女性に多い症状

  • 月経不順・月経痛の悪化
  • 排卵障害(PCOS関連)
  • PMS・PMDDによる強い不調
  • 更年期症状(ほてり、発汗、イライラ)
  • 不妊・妊娠しにくい

男性に多い症状

  • 疲労感・倦怠感が取れない
  • 性欲(リビドー)の低下
  • 勃起機能の低下(ED)
  • 筋力低下・体脂肪増加
  • 意欲低下・うつ状態

当院では、男性・女性を問わず性ホルモンに関するお悩みを幅広く受け付けています。血液検査でホルモン値を測定し、数値に基づいた適切なアドバイスを行います。



多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS: Polycystic Ovary Syndrome)は、女性ホルモンと男性ホルモンのバランスが崩れ、卵巣に小さな嚢胞が多数できる状態です。生殖年齢の女性の約5〜10%に認められる、決して珍しくない疾患です。

PCOSの主な症状

  • 月経異常 — 月経が順調に来ない(稀発月経・無月経)。数か月に1回しか来ない、あるいは全く来ない
  • 肥満・体重増加 — 特に内臓脂肪型の肥満を伴いやすい
  • 多毛(ヒルスーチズム) — 顔や体の毛が濃くなる
  • ニキビ・脂漏性皮膚炎 — アンドロゲン(男性ホルモン)の影響で皮脂分泌が増加
  • 排卵障害による不妊 — 排卵が起こりにくいため妊娠しにくい
  • 黒色表皮腫(acanthosis nigricans) — 首や脇の下の皮膚が黒ずむ(インスリン抵抗性のサイン)

PCOSが放置されるとどうなるか

PCOSは単なる「婦人科系のトラブル」ではありません。インスリン抵抗性を背景に、以下のような生活習慣病のリスクが高まることが分かっています。

  • 2型糖尿病 — 耐糖能異常を合併しやすく、将来の糖尿病発症リスクが高い
  • 脂質異常症 — LDLコレステロールや中性脂肪が上昇しやすい
  • 高血圧 — メタボリックシンドロームとの関連が強い
  • 子宮体癌 — 長期間の無排卵によりエストロゲンの影響が子宮内膜に持続し、リスクが高まる

当院では、PCOSが疑われる方に対して、血液検査(女性ホルモン・男性ホルモン・血糖・インスリン・脂質など)と超音波検査を実施し、総合的に評価します。治療は、生活習慣の改善を基本としながら、必要に応じて漢方薬などの提案を行います。不妊に関する詳しい情報はPCOSと妊娠のページをご参照ください。



男性更年期障害(LOH症候群)とは

LOH(Late-Onset Hypogonadism)症候群、いわゆる男性更年期障害は、加齢に伴って男性ホルモン(テストステロン)が低下することで起こる様々な心身の症状を指します。女性の更年期のように急激なホルモン減少は起こりませんが、40代後半から緩やかにテストステロンが減少し始め、自覚症状が現れる方が増えてきます。

すべての男性に症状が出るわけではなく、個人差が大きいのが特徴です。しかし、テストステロンの低下が進むと、以下のような症状が現れることがあります。

身体症状

  • 慢性的な疲労感・倦怠感 — 十分に睡眠をとっても疲れが取れない
  • 筋力低下・筋肉量の減少 — 以前より力が出なくなった、体が細くなった
  • 体脂肪の増加、特に内臓脂肪の増加 — お腹周りが気になるようになった
  • 骨密度の低下 — 骨折しやすくなるリスク
  • ほてり・発汗(ホットフラッシュ) — 女性の更年期と同様の症状が出ることも
  • 不眠・中途覚醒 — 眠りが浅く、朝早く目が覚めてしまう

精神・心理症状

  • 意欲の低下・無気力 — 「何もやる気がしない」と感じる
  • うつ状態・気分の落ち込み — 理由なく悲しい、涙もろくなった
  • 集中力・記憶力の低下 — 物忘れが増えた、仕事のミスが増えた
  • イライラ・短気 — 些細なことで腹が立つ

性機能症状

  • 性欲(リビドー)の低下
  • 勃起機能の低下(ED)
  • 射精量の減少

「年のせい」と片付けられがちなこれらの症状も、血液検査でテストステロン値を測定することで客観的に評価できます。当院では、症状を伺いながら必要な検査を提案し、結果に基づいて治療方針を検討します。



月経前症候群(PMS)・月経前不快気分障害(PMDD)

生理前に決まって現れる身体的・精神的な不調を月経前症候群(PMS: Premenstrual Syndrome)といいます。さらに症状が重く、日常生活や仕事に支障をきたす場合は月経前不快気分障害(PMDD: Premenstrual Dysphoric Disorder)と診断されることがあります。

代表的な症状

  • 身体症状 — 乳房の張り、腹部膨満感、頭痛、むくみ、腰痛、疲労感
  • 精神症状 — イライラ、不安感、気分の落ち込み、情緒不安定、集中力低下
  • 行動の変化 — 食欲増進(特に甘いもの)、過眠または不眠、社会活動の回避

症状は黄体期(排卵後から月経開始まで)に現れ、月経が始まると軽快または消失するのが特徴です。症状が重い場合は、低用量ピル(OC/LEP)によるホルモン調整や、漢方薬(当帰芍薬散・加味逍遙散など)を用いた治療が有効なことがあります。当院では、症状のパターンを詳しく伺い、一人ひとりに合った治療法を提案します。



当院での性ホルモン診療の流れ

  1. 問診 — 現在の症状、いつからどのように変化したか、既往歴や服用中の薬について詳しく伺います
  2. 血液検査 — 必要に応じて以下のホルモンを測定します
    • 女性:LH、FSH、エストラジオール(E2)、プロゲステロン、テストステロン、DHEA-S、甲状腺ホルモン(TSH、FT4)、プロラクチン など
    • 男性:LH、FSH、総テストステロン、遊離テストステロン、DHEA-S、甲状腺ホルモン、プロラクチン など
  3. 超音波検査 — 卵巣の状態や子宮内膜の厚さを確認します(女性の場合)
  4. 診断・治療方針の説明 — 検査結果をわかりやすく説明し、治療法を一緒に検討します
  5. 生活習慣指導・治療開始 — 食事・運動・睡眠などのアドバイスに加え、必要に応じて漢方薬などを提案します
  6. 経過観察 — 定期的にフォローアップし、症状の改善度合いや検査値の変化を確認しながら治療を調整します

※女性の場合、月経がある方は月経開始3〜5日目の採血が基本です。月経がない方や男性の方は、特にタイミングの制限はなく、ご都合の良い日にお越しください。男性のテストステロン測定は朝の採血が推奨されます(日内変動があるため)。



治療法の概要

生活習慣の改善(すべての患者さんに推奨)

  • 適正体重の維持 — 肥満はホルモンバランスを乱す大きな要因です。PCOSの方では、体重を5%減らすだけで排卵が再開することもあります
  • バランスの良い食事 — 血糖値の急上昇を抑える低GI食、良質なタンパク質、オメガ3脂肪酸を含む食品を意識しましょう
  • 適度な運動 — 筋トレと有酸素運動の組み合わせが効果的です。週2〜3回、30分程度から始めましょう
  • 質の良い睡眠 — ホルモン分泌は睡眠と深く関係しています。7時間前後の睡眠を目標に
  • ストレス管理 — 慢性的なストレスはコルチゾールを上昇させ、性ホルモンのバランスを崩します

漢方薬

症状や体質に応じて、以下のような漢方薬を提案することがあります。

  • 当帰芍薬散 — 冷え性・貧血傾向の方のPMS・月経不順に
  • 加味逍遙散 — ストレスが強い方のPMS・月経前のイライラに
  • 桂枝茯苓丸 — のぼせ・肩こりを伴う月経不順・更年期症状に
  • 八味地黄丸 — 男性更年期の倦怠感・意欲低下に

ホルモン調整療法

  • 女性 — 低用量ピル(OC/LEP)による月経周期の調整など。更年期症状の緩和が目的の場合には産婦人科と連携します
  • 男性(LOH症候群) — テストステロン補充療法。注射・貼付剤・ジェルなどがあり、症状や生活スタイルに合わせて選択します

※ホルモン調整療法にはメリットとリスクの両方があります。治療を始める前に、副作用や注意点について十分に説明し、患者さんと一緒に判断します。



こんな症状がある方は早めにご相談ください

以下のような症状がある方は、できるだけ早く医療機関への相談をおすすめします。

  • 急激な体重減少または増加を伴うホルモン症状
  • 突然の視野障害や頭痛を伴うホルモンの変動
  • 長期間(3か月以上)月経が全くない
  • 性機能の急激な低下
  • 強い抑うつ気分や自傷行為の恐れがある場合

急な症状でお困りの際は、しもやま内科(047-467-5500)までお電話ください。緊急の場合は119番(救急車)の手配をご検討ください。



❓ よくある質問

Q. LOH症候群(男性更年期)は誰にでも起こるのですか?
テストステロンは加齢とともに緩やかに減少しますが、症状が出るかどうかは個人差が大きく、すべての男性に症状が現れるわけではありません。40代後半〜50代以降で、疲労感・意欲低下・性機能の変化などを自覚された方は、一度血液検査でテストステロン値を確認されることをおすすめします。
Q. PCOSは改善しますか?
PCOSは「治す」というより「コントロールする」病気です。体重管理や運動、適切な治療により症状を改善し、合併症のリスクを下げることができます。特に体重減少は排卵機能の改善に直結するため、生活習慣の見直しが最も重要な治療の一つです。閉経後はホルモンの変動が落ち着くため、月経関連の症状は軽減しますが、代謝リスク(糖尿病・高血圧など)への注意は継続が必要です。
Q. PMSとPMDDの違いは何ですか?
PMSは月経前に現れる身体的・精神的な不調全般を指します。PMDDはその中でも特に精神症状(強いイライラ、抑うつ、不安、情緒不安定)が重症で、仕事や人間関係に支障をきたす場合に診断されます。PMDDの治療には、SSRI(抗うつ薬)や低用量ピルが有効なことがあり、より専門的な対応が必要です。つらい症状でお困りの方は、一人で悩まずご相談ください。
Q. 性ホルモンの検査はどのタイミングで受ければ良いですか?
女性で月経がある方は、月経開始3〜5日目の採血が基本です(この時期がホルモンの基準値を評価しやすいため)。月経がない方や閉経後の方はいつでも可能です。男性は日内変動があるため、朝の採血が推奨されます。また、激しい運動や飲酒の翌日は数値が変動することがあるため、検査前日は普段通りの生活をお過ごしください。
Q. 男性更年期の治療は保険適用ですか?
血液検査による診断と、症状に応じた漢方薬などは保険診療の範囲内で行えます。テストステロン補充療法は、明確な低テストステロン血症と診断された場合に限り保険適用となりますが、注射や貼付剤などの選択肢によって適応や自己負担額が異なります。詳しくは診察の際にご説明します。
Q. PCOSでも妊娠できますか?
PCOSの方でも、適切な治療を受けることで妊娠することは十分に可能です。排卵誘発剤(クロミフェンやレトロゾールなど)を使用して排卵を促す治療が一般的です。当院では初期の診断と生活習慣指導を行い、必要に応じて不妊治療専門の医療機関と連携します。PCOSと妊娠については別ページでも詳しく解説しています。
Q. 40代ですが性欲が低下しました。男性更年期ですか?
性欲(リビドー)の低下はLOH症候群の代表的な症状の一つです。ただし、性機能の問題はテストステロン低下以外に、ストレス・疲労・睡眠不足・糖尿病・高血圧・服薬の影響など様々な要因が関係します。まずは血液検査でホルモン値を確認し、他の原因がないか調べることが大切です。「年のせい」と諦めずにご相談ください。
Q. 更年期の症状に漢方は効きますか?
はい、女性・男性を問わず、更年期症状に漢方薬が有効なケースは多くあります。特に、ホルモン補充療法が使えない方やご希望されない方、症状が軽度〜中等度の方には良い選択肢です。当院では、患者さんの体質や症状に合わせて漢方薬を処方しています。効果には個人差がありますが、一般的には2〜4週間程度で変化を実感される方が多いです。
Q. 甲状腺の病気と性ホルモンは関係がありますか?
はい、甲状腺ホルモンは性ホルモンの分泌や代謝に影響を与えるため、甲状腺機能低下症や亢進症では月経不順や性機能障害が生じることがあります。当院では、性ホルモン異常が疑われる場合、甲状腺ホルモンの検査も同時に行い、甲状腺疾患の有無を確認します。甲状腺と不妊については別ページで詳しく解説しています。
Q. PCOSと診断されましたが、内科を受診する必要はありますか?
はい、PCOSは卵巣の問題だけでなく、インスリン抵抗性や脂質異常症、高血圧など代謝系の合併症リスクが高いため、内科的なフォローアップが重要です。当院では、ホルモン検査に加えて血糖値や脂質の評価を行い、必要に応じて生活習慣指導や治療を提案しています。産婦人科と連携しながら、全身の健康管理をサポートします。
Q. しもやま内科は産婦人科ではないですが、性ホルモンの診療は受けられますか?
はい、当院は産婦人科ではありませんが、性ホルモン異常の初期診療、血液検査、生活習慣指導、漢方薬の処方などを行っています。性ホルモンの乱れは内科的な代謝異常(糖尿病・脂質異常症など)と密接に関わるため、内分泌内科としての視点から総合的に評価・治療できることが当院の強みです。必要に応じて、産婦人科や泌尿器科、不妊治療専門機関をご紹介することも可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。



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最終更新日:2026-08-28

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

08/03/2026