糖尿病内科

ビグアナイド系(メトホルミン)

投稿日:30/09/2018 更新日:

ビグアナイド(メトホルミン)

メトホルミン

メトホルミン

ビグアナイド系について

ビグアナイド系の薬の代表がメトホルミンです。2型糖尿病の第一選択薬として世界中で広く使われています。日本糖尿病学会(JDS)、米国糖尿病学会(ADA)、欧州糖尿病学会(EASD)が第一選択薬とすべきとしています。その理由ですが、長い歴史のある糖尿病薬であり、数多くのエビデンス(有効性や安全性の関する科学的な根拠)が蓄積しているからです。

具体的には、心血管死を減らすエビデンスがある(英米だけでなく、同じアジア人である中国人でのエビデンスもある)、単独では低血糖を来さない、体重を増やさない、食欲抑制作用がある、中性脂肪やLDLコレステロールを下げる働きがある、癌抑制作用などがあります。

そして、安価であり、患者さんの負担が少ない薬剤であることも魅力です。

メトホルミンの作用のしくみ

  • 骨格筋でのインスリン作用を増強する。インスリンの効き目を高める。
  • 肝臓での糖新生を抑制して空腹時血糖を下げる。
  • 肝臓でのグルカゴン作用を抑制して空腹時血糖を下げる。
  • 消化管でのブドウ糖吸収を抑制して、食後高血糖を抑える。

メトホルミンはインスリン抵抗性を改善する薬に分類されますが、それは最初にあげた「筋肉でインスリンを働かせやすくする」作用のためです。お示ししたように、メトホルミンにはそれ以外にも多彩な作用があり、血糖を下げます。
日本では長い間750mg/日までしか許可されていなかったため、あまり効果がないと思われがちですが、使用量を増やせば用量依存的血糖改善効果が得られます。1,500mg/日までは明らかな増量効果があります。2010年から最大2,250mg/日まで投与可能になっています。

2019年の添付文書改訂で、腎機能(eGFR)別の最高用量が設定されました(下図参照)。

メトホルミンの腎機能別最高用量

メトホルミンの腎機能別最高用量

腎機能障害患者さんで投与できない方(禁忌)は重度の腎機能障害患者(eGFR<30)のみに緩和されました。

経口摂取が困難な場合などの脱水のリスクや、過度のアルコール摂取には特に注意が必要である旨が追加されました。

メトホルミンの副作用といえば、乳酸アシドーシスが有名です。

(別のビグアナイドである)フェンホルミン使用者において乳酸アシドーシスの報告が相次ぎ、1970年代には多くの国でフェンホルミンの使用が中止されました。当時、乳酸アシドーシスはビグアナイド系薬剤に共通する副作用と考えられ、米国でメトホルミンが見直されて使用が再開される1995年までその復権を待たねばなりませんでした。

フェンホルミン使用中の糖尿病患者さんでの乳酸アシドーシスの発生頻度は10万患者年あたり40~60件とされました。メトホルミン投与による乳酸アシドーシス発生率は約20分の1であり、米国食品医薬品局(FDA)によれば10万患者年あたりの約3件と報告されています*。メトホルミン使用中に発生した乳酸アシドーシスのうち、メトホルミン使用がアシドーシスの原因と考えられる症例は半数以下であり、ショックや組織低酸素症など、乳酸アシドーシスのリクスを抱えた状態の場合が過半数を占めていました。こうした症例での死亡率が高くなっています。このような症例に使用することを避ければ、乳酸の発生頻度は極めて低いものです。

メトグルコ発売後に報告された我が国における乳酸アシドーシスの事例も、添付文書において慎重投与となっている事項に違反した例がほとんどです。

*松岡伸悦、他:ICUとCCU : 集中治療医学 36(7), 527-531, 2012-07

メトホルミンのその他の副作用

比較的多いのは消化器系の副作用です。その頻度は下痢、悪心が5%以上、食欲不振、消化不良、嘔吐、腹痛が1~5%と報告されています。消化器系の副作用は治療開始後早期に発生することが多く、多くは6週以内です。過去のよう用量反応性を示した臨床試験(500~2000mg)では治療中断に至る症例は3~10%とされ、500mg以下ではほとんど起きていません。

正しく使用すれば安全に使えるのがメトホルミンです

このように、メトホルミンは正しく使用すれば乳酸アシドーシスのような重大な副作用は極めて稀です。メトホルミンを内服されていて、何かお困りの方は下山内科クリニックまでご相談下さい。

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