📘 要点
- PCOSでは、血糖が正常でも耐糖能異常が隠れることがあります
- 糖代謝の評価は、75gOGTTが最も正確とされています
- OGTTの2時間値140〜199mg/dLはIGT(耐糖能異常)です
- OGTTの2時間値200mg/dL以上は糖尿病型で、内科紹介が目安です
- 体重の5〜10%減少でインスリン感受性の改善が期待できます
- 血糖や体重の変化が気になるときは、早めにご相談ください
血糖・糖尿病でお悩みの方へ
血糖値(血糖)が高い状態は、妊娠中や不妊治療中に特に注意が必要です。食事療法や運動で改善できない場合は、インスリン治療(注射のお薬)が必要になることもあります。
船橋市のしもやま内科では、血糖測定の指導からインスリン治療まで、産婦人科と連携してサポートします。
▼ 詳細な医療情報(医療従事者向け)
PCOS/排卵障害では、妊活・不妊治療の前段階で「糖代謝(耐糖能異常)」を見落とさないことが重要です。
このページでは、OGTTを軸にした評価、インスリン抵抗性(IR)の実務的な見方、体重・生活指導の要点と、内科紹介の目安を整理しました。
PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)や排卵障害の背景には、インスリン抵抗性や耐糖能異常が関与することが多く、妊活・不妊治療の進行と並行して代謝評価が必要になります。
国際ガイドラインでは、糖代謝評価として75gOGTTが最も正確な検査として推奨されています。
当院(船橋市・しもやま内科)では、産婦人科の先生方と連携し、OGTT結果・体重・生活背景を踏まえた外来での血糖/体重マネジメントと、必要時の治療導入を行っています。
📌 このページで扱う範囲(妊娠前〜不妊治療期)
- PCOS/排卵障害における糖代謝評価(OGTT・IR)
- 体重・生活指導の要点(“やり過ぎない”実務設計)
- 内科併診・紹介の目安(いつ・何を添えるか)
※妊娠成立後の血糖目標やGDM診断基準は施設プロトコルで運用差があります。本ページは主に「妊娠前〜不妊治療期」の整理を目的とします。
① なぜOGTTが重要か(PCOS/排卵障害の代謝リスク)
PCOSは、体格にかかわらず耐糖能異常や2型糖尿病のリスクが上がり得るため、妊活・不妊治療の入口で代謝評価を組み込むと安全です。
国際ガイドラインでは、糖代謝の評価として75gOGTTが最も正確であり、可能であればOGTTを優先して評価することが推奨されています。
② OGTTの「実務的」な読み方(紹介判断に直結)
OGTTは「空腹時」と「2時間値」を軸に、まず正常/IGT(耐糖能異常)/糖尿病のどこに入るかを整理すると、紹介判断が明確になります。
| 区分 | 2時間値(75gOGTT) | 実務メモ |
|---|---|---|
| 正常 | < 140 mg/dL | 生活指導+必要時フォロー(体重・脂質・肝機能も合わせて) |
| IGT | 140–199 mg/dL | 内科併診を検討(妊活中は早めに介入して変動/体重を整える) |
| 糖尿病 | ≥ 200 mg/dL | 原則、内科紹介(合併症・治療方針・妊娠計画と整合) |
※上表の区分は、糖代謝の分類として広く用いられる基準(IGT:2時間値 140–199 mg/dL など)に基づきます。最終判断は患者背景と再検で調整します。
③ インスリン抵抗性(IR)の見方:数字より「状況整理」
IRの評価は多面的ですが、産婦人科外来での実務では「体重・腹囲・脂肪肝リスク」「OGTTの反応」「生活背景」をセットで捉えると、介入の優先順位がつけやすくなります。
IRを疑う“よくある所見”
- 体重増加・内臓脂肪優位、食後の強い眠気、間食が増えやすい
- 脂質異常、肝機能(ALT高め)などの代謝合併
- OGTTで2時間値が高め(IGT域)や、空腹時も高め
実際の外来診療では、IRが疑わしい場合ほど「完璧な食事」よりも、継続できる体重/間食/夜食の整理を先に決めるほうが結果的に改善が早い印象です。
④ 体重・生活指導:妊活を止めない“現実解”
体重管理は重要ですが、妊活・不妊治療期は負荷が高くなりやすいため、「できることを絞る」設計が実務向きです。
- 最初の1〜2週間は主食量・間食・夜食の見直しを優先(いきなり全制限にしない)
- “運動”は短時間×高頻度(例:食後10分歩行)を優先
- 体重・月経・食後症状と合わせて、OGTTやHbA1cの変化で評価
⑤ 内科紹介の目安(迷いどころを明文化)
次のいずれかに当てはまる場合は、妊活・不妊治療と並走して内科併診することで、短期間での代謝安定化が期待できます。
- OGTT 2時間値がIGT(140–199)、または糖尿病域(≥200)
- 体重増加が著明、脂質異常・肝機能異常など代謝合併が強い
- 生活指導を行っても改善が乏しく、治療導入や評価設計に迷う
- 妊娠計画(時期・治療ステップ)と代謝管理を同時に調整したい
紹介状には、月経歴・妊活状況(治療ステップ)・身長体重推移・OGTT(各時点)・HbA1c・脂質・肝機能・既往歴をご記載いただけると初回からスムーズです。
📑 ご紹介の流れ(返書・連絡手段)
初診で評価(OGTT結果の整理、生活背景の確認、必要に応じ追加採血)を行い、方針をまとめた返書を原則1週間以内にFAXいたします。
周産期や生殖医療の方針(分娩施設・治療計画)に合わせて、役割分担をご相談ください。
🏥 当院の対応範囲(当院で行うこと・専門施設へお願いすること)
しもやま内科で実際に行っている検査・治療と、連携する専門施設へお願いしている検査・治療をまとめました。「どこまで当院で行い、何を専門施設へお願いするか」の目安としてご覧ください。記載は2026年9月時点の当院の対応状況です。
| 検査・治療 | 当院での対応 |
|---|---|
| 問診・診察(症状・経過・家族歴の確認) | 当院で実施します |
| 血液検査(ホルモン基礎値・抗体・一般生化学) | 当院で実施します(当日結果説明できる項目があります) |
| 尿検査(尿中ホルモン代謝物・尿中カテコラミンなど) | 当院で実施します(検体提出・結果説明まで当院で対応) |
| 75gOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)・インスリン同時測定 | 当院で実施します |
| 自由診療(自費診療) | 当院では行っておりません(保険診療のみ) |
| セカンドオピニオン外来 | 当院では行っておりません |
| 夜間・休日の診療(時間外の電話相談を含む) | 当院では行っておりません |
当院は保険診療を基本としています。当院で実施していない検査・治療は、必要に応じて連携する専門施設へご紹介し、紹介後もホルモン補充や経過観察など当院で継続できる部分は引き続き担当します。当院の診療対象は中学生以上(12歳〜)です。
夜間・休日に急な症状が出た場合は、当院では時間外の診療・電話相談を行っておりませんので、救急外来・#7119(救急安心電話相談)・119番へのご連絡をおすすめします。
❓ よくあるご質問(PCOS/排卵障害 × 糖代謝)
PCOSでは、HbA1cや空腹時血糖が正常でもOGTTをやるべきですか?
OGTTの2時間値が140〜199 mg/dL(IGT)のとき、産婦人科で何をするのが現実的ですか?
空腹時インスリンやHOMA-IRは全例で測るべきですか?
メトホルミン(商品名:メトグルコ)は「排卵」のために使う薬ですか?
内科へ紹介する“最低ライン”はどこですか?
PCOSの糖代謝検査(OGTT)の結果の見方を教えて
PCOSの糖代謝異常は食事で改善できる?
PCOSのインスリン抵抗性にはどんな薬を使う?メトホルミンの効果は?
PCOSの糖代謝管理は何科?しもやま内科では?
※診療時間外はFAXにてご連絡ください。確認次第、折り返します。
📚 参考文献・準拠ガイドライン
- 日本産科婦人科学会「多囊胞性卵巣症候群(PCOS)の診断基準(2024年改定)」
- 日本産科婦人科学会「本邦における多囊胞性卵巣症候群の治療指針」(2025年改訂)
- 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」(南江堂、2024年5月30日発行)
- 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン 産科編2026/婦人科外来編2026」(2026年4月発行)
- 日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」(ライフサイエンス出版、2022年12月2日発行)
- International evidence-based guideline for PCOS(2023年、Monash大学ほか)
本ページは上記の診療ガイドライン等を参考に、一般的な医学情報として作成しています。個々の診断・治療は、検査結果と全身状態をふまえて担当医が判断します。
本ページは医療機関向けの連携案内です。具体的な治療や検査値目標は、患者さんの背景(妊活状況・併用薬・合併症など)により調整します。
📚 関連する詳細情報
受診をご検討の方、お気軽にご相談ください
月・火・木・金 9:00〜12:00 / 14:45〜17:30 土 9:00〜12:00
診療時間外の緊急時は、119番へのご連絡をおすすめします。
最終更新日:2026-08-28
👨⚕️ この記事の監修医師
監修・執筆:しもやま内科 院長(日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医/日本老年医学会 老年科専門医・指導医)
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。