妊娠糖尿病(GDM)FAQ|よくある質問と回答15選

妊娠と糖尿病 トップ(妊娠中の血糖管理について)

妊娠糖尿病の検査・診断基準(75gOGTTの詳細・判定方法)

妊娠糖尿病(GDM)は妊娠中に初めて発見される糖代謝異常で、適切に管理すれば多くの方が健康な赤ちゃんを出産できます。船橋市の糖尿病専門医「しもやま内科」では、産科と連携した妊娠糖尿病の診療を行っています。このページでは、妊婦さんからよく寄せられる質問を厳選して15項目、専門医がわかりやすくお答えします。

「妊娠中に血糖値が高いと言われたんですが、お菓子を我慢するだけでいいんですか?」——30代の妊婦さんが、そう尋ねて来院されました。妊娠24週の検診で75gOGTTを受けたそうですが、値が基準を超えて「妊娠糖尿病(GDM)」と診断されたとのこと。「赤ちゃんに影響あるんじゃないか」「食事はどうすればいいのか」と不安そうな様子でした。

GDMと診断されると、「何を食べたらいいかわからない」「ずっとインスリンを打ち続けるのか」と心配になる方が多くいらっしゃいます。しかし、妊娠糖尿病は妊娠中だけの一時的な状態であることがほとんどで、適切な管理方法を身につければ、多くの方が合併症なく妊娠を継続できます。「食事療法だけで乗り切れた」「インスリンを使っても赤ちゃんに影響はなかった」という方も多数いらっしゃいます。このページでは、そうした不安をひとつずつ解消していくためのFAQをまとめました。

妊娠糖尿病(GDM)よくある質問15選

Q1. 妊娠糖尿病とはどんな病気ですか?

妊娠糖尿病(GDM:Gestational Diabetes Mellitus)は、妊娠中に初めて発見または発症する糖代謝異常です。妊娠中は胎盤から分泌されるヒト胎盤ラクトゲン(hPL)やエストロゲン、プロゲステロンなどのホルモンの影響でインスリンが効きにくくなり(インスリン抵抗性)、血糖値が上がりやすくなります。多くは出産後には正常化しますが、放置すると母体や胎児に影響が出るため、適切な管理が重要です。日本では全妊婦さんの約10〜15%がGDMと診断され、適切な治療により多くの方が健康な赤ちゃんを出産しています。

Q2. 妊娠糖尿病の検査はいつやるのですか?

基本的には妊娠24〜28週の間に全妊婦さんを対象にスクリーニング検査として75gOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)を行います。ただし、以下のリスク因子がある方は妊娠初期(12週前後)に早期検査を実施します:前回妊娠でGDMになった方、BMI25以上の肥満がある方、40歳以上の高齢妊娠、糖尿病の家族歴(両親・兄弟姉妹)がある方、過去に4,000g以上の巨大児を出産した経験がある方、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の既往がある方。

Q3. 検査前に食事をしてもいいですか?

75gOGTTは空腹時に行う検査のため、検査前日の夜9時以降は絶食してください。水やお茶(砂糖・ミルクなし)は少量であれば飲んでも構いませんが、ジュース・コーヒー(ミルク・砂糖入り)・ガム・飴などは避けてください。また、検査前日はいつも通りの食事をとり、極端に炭水化物を減らしたり増やしたりしないようにしてください。結果の正確性を保つため、医師の指示を必ず守りましょう。

Q4. 診断基準はどのようになっていますか?

75gOGTTで、以下の3つの基準のうちいずれか1つ以上を満たすと妊娠糖尿病(GDM)と診断されます。①空腹時血糖値92mg/dL以上、②1時間後血糖値180mg/dL以上、③2時間後血糖値153mg/dL以上です。以前は2つ以上の基準が必要でしたが、現在の国際統一基準(IADPSG)では1つでも該当すれば診断されます。約15〜20%の妊婦さんがこの検査でGDMと診断されると報告されています。

Q5. 赤ちゃんに影響はありますか?

血糖コントロールが不十分な場合、以下のような影響が赤ちゃんに出ることがあります。①巨大児(出生体重4,000g以上)による肩難産リスクの上昇、②出生後の低血糖(新生児低血糖症)——母体の高血糖に適応して胎児のインスリン分泌が亢進しているためです、③呼吸窮迫症候群、④新生児黄疸、⑤将来の肥満や耐糖能異常(糖尿病)リスク上昇。しかし、適切な血糖管理によりこれらのリスクは大幅に軽減できることが多くの研究で示されています。

Q6. 産後は治るのですか?

多くの場合、出産後には血糖値は正常化します。胎盤が娩出されるとインスリン抵抗性を引き起こすホルモンが体内からなくなるため、産後数日〜数週間で血糖値は妊娠前の状態に戻ります。ただし、GDMだった方は将来2型糖尿病を発症するリスクが高く、約30〜50%は生涯のうちに発症すると言われています。そのため、産後6〜12週に再度75gOGTTを行い血糖値が正常化していることを確認します。その後も年に1回の血糖値チェック(健康診断)を継続することをおすすめしています。当院でも産後のフォローアップに対応していますので、お気軽にご相談ください。

Q7. 食事はどうすればいいですか?

極端な糖質制限は禁物です。妊娠中は赤ちゃんの脳や臓器の発育にブドウ糖(糖質)が必要不可欠だからです。適切な食事療法のポイントは以下の通りです。①食べる順番を野菜→たんぱく質(肉・魚・卵・豆腐)→炭水化物(ご飯・パン)にする「ベジファースト」、②朝食の炭水化物量を控えめにする(朝はインスリン抵抗性が強く出やすいため)、③1日の食事を3食+間食2〜3回に分ける「分割食」で血糖値の急上昇を防ぐ、④白米より玄米・雑穀米、白パンより全粒粉パンを選ぶ、⑤野菜や海藻・きのこ類を多めに摂る。当院では、妊婦さん一人ひとりに合わせた食事プランを提案しています。

Q8. 運動はしていいですか?

医師の許可があれば、適度な運動は推奨されます。運動にはインスリン感受性を高め、食後血糖値を下げる効果があります。おすすめの運動はウォーキング、マタニティヨガ、水泳(水中ウォーキング)、軽いストレッチなどです。目安は週5日以上、1日20〜30分程度で、特に食後30分〜1時間後の軽い運動(10〜15分のウォーキング)が効果的です。一方、腹圧のかかる運動、激しいジャンプ、転倒リスクのある運動、長時間のランニングは避けてください。出血・腹痛・お腹の張りがある場合は速やかに中止し、医師に相談しましょう。

Q9. インスリンは赤ちゃんに安全ですか?

「インスリンを打つと赤ちゃんに悪影響があるのでは?」と心配される方が多くいらっしゃいますが、これは誤解です。インスリンは分子量が約5,800と大きく、胎盤を通過しません。そのため、母体が注射したインスリンが直接赤ちゃんに影響を与えることはありません。むしろ、高血糖を放置することで胎児の膵臓が過剰にインスリンを分泌し、巨大児や出生後低血糖のリスクを高めることのほうが問題です。必要な場合には積極的にインスリンを使用することが、お母さんと赤ちゃんの両方にとって安全です。ペン型注射器なら自分での注射も簡単で、当院では丁寧に注射手技の指導を行っています。

Q10. 経口血糖降下薬は使えるのですか?

日本では、妊娠中の経口血糖降下薬(メトホルミンなど)は保険適用がなく、第一選択とはなりません。海外(特に米国・英国)ではメトホルミンが使用されることもあり、インスリンとの同等性を示す研究もありますが、国内の診療ガイドラインでは食事療法・運動療法でコントロール不十分な場合の標準治療はインスリン療法です。妊娠中の薬剤使用について不安がある方は、主治医とよく相談してください。

Q11. 次回の妊娠でも再発しますか?

GDMの再発率は30〜50%と報告されています。再発リスクを高める因子として、初回妊娠時のBMIが高かった方、初回の血糖値が強陽性だった方、初回妊娠から次の妊娠までの体重増加が大きかった方などが挙げられます。予防策としては、次の妊娠前に適正体重(BMI25未満)を維持すること、定期的な運動習慣を続けること、バランスの良い食生活を心がけることが大切です。また、前回GDMだった方は、次回妊娠時には妊娠初期(12週前後)から早期検査を受けることが強く推奨されます。

Q12. 帝王切開になりやすいですか?

GDMがあると、血糖コントロールが不十分な場合に胎児が大きくなりすぎる(巨大児:出生体重4,000g以上)リスクがあり、その結果、肩難産を防ぐ目的で帝王切開となる可能性が高まることが知られています。しかし、適切な血糖管理により胎児の過剰成長を防げれば、自然分娩は十分可能です。当院では連携する産科医とともに、母体の血糖コントロール状態・胎児の発育状況・骨盤の状態などを総合的に評価し、最適な分娩方法を検討します。GDMがあっても自然分娩が可能なケースが多いため、過度に心配する必要はありません。

Q13. 予防はできますか?

妊娠前にできる予防として、適正体重(BMI25未満)の維持・定期的な運動習慣・バランスの良い食生活が重要です。妊娠後は体重増加を適切な範囲に抑えることが予防につながります(標準体重の方は10〜13kg、肥満傾向のある方は7〜10kg程度が目安)。また、妊娠初期から炭水化物の質に気をつけ(精製された炭水化物より全粒穀物を選ぶ)、食物繊維を十分に摂ることも有効とされています。ただし、すべてのGDMを予防できるわけではなく、遺伝的要因・年齢・多胎妊娠などコントロールできない因子も関与します。

Q14. どのくらいの頻度で通院が必要ですか?

GDMと診断された後は、血糖コントロールの状態によりますが、通常2〜4週間に1回の通院が必要です。通院時には自己血糖測定(SMBG)の記録を確認し、食生活の見直しや必要に応じてインスリン量の調整を行います。また、血糖測定そのものの指導や、測定機器の管理についてもサポートします。なお、産科での定期検診(通常2〜4週間に1回)とは別に糖尿病内科でも管理が必要となるため、両方の予定を調整しながら通院を進めていきます。

Q15. しもやま内科では妊娠糖尿病(GDM)に対応していますか?

はい、しもやま内科(船橋市)では妊娠糖尿病(GDM)の診療に対応しています。糖尿病専門医による診断・治療に加え、連携した個別食事指導、自己血糖測定(SMBG)のトレーニング、ペン型インスリンの導入・用量調整まで一貫してサポートします。近隣の産科医療機関と密に連携し、妊娠中から産後まで継続した血糖管理を提供しています。「血糖値が高いと言われたけど、どこに相談すればいいかわからない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。初診の際は、これまでの検診結果(血糖値の記録や他の医療機関での検査結果)や紹介状(お持ちの場合)をご持参ください。当院では患者さん一人ひとりに寄り添った診療を心がけています。

こんな症状がある方は早めにご相談ください

すぐに受診が必要な場合
・のどの渇きが異常に強く、水を何杯も飲んでしまう
・トイレの回数が極端に増えた(夜間も何度も起きる)
・体重が急に減少している(妊娠中なのに体重が増えない・減る)
・吐き気や嘔吐が続く
・意識がぼんやりする
このような症状は、血糖値が非常に高い状態(高度な高血糖)を示している可能性があります。早めに当院またはかかりつけの産科医にご連絡ください。

通常の診療で相談いただく場合
・妊娠中の検診で血糖値を指摘された
・食事の内容や食べ方に不安がある
・血糖自己測定について知りたい・始めたい
・インスリン注射が必要と言われたが不安
・妊娠前から糖尿病があり、妊娠を考えている(プレコンセプションケア)

診療案内

妊娠糖尿病(GDM)でお悩みの方、血糖値が高いと言われて不安な方は、ぜひしもやま内科へご相談ください。糖尿病専門医が丁寧に診察・指導いたします。船橋市内の産科医療機関との連携も万全ですので、安心して通院いただけます。

電話予約:047-467-5500
診療時間:月・火・木・金 9:00〜12:00、14:45〜17:30/土曜 9:00〜12:00(水・日・祝休診)
所在地:千葉県船橋市(高根木戸駅・飯山満駅よりアクセス)

妊娠と糖尿病 トップに戻る妊娠糖尿病の検査・診断基準について詳しく見る

受診をご検討の方、お気軽にご相談ください

月・火・木・金 9:00〜12:00 / 14:45〜17:30 土 9:00〜12:00

047-467-5500

診療時間外の緊急時は、119番へのご連絡を

最終更新日:2026-08-28

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

22/03/2026