⚠️ 重症低血糖で死なせないために──まずこれだけ覚えてください。
意識がない・呼びかけに反応しない・けいれんしている → 絶対に口から食べさせないでください。
誤嚥・窒息を防ぎ、すぐに119番(救急車)。同時にバクスミー(点鼻グルカゴン)を使える状態なら使用。
このページでは、重症低血糖の正しい対応手順とやってはいけない行動を糖尿病専門医が解説します。
🆘 重症低血糖:これだけは絶対に守って
✅ 意識がはっきりしない → 口から何も与えない(誤嚥・窒息のため)
✅ 無反応・けいれん → すぐに119番(ためらわない)
✅ バクスミーが処方されている → 鼻腔に1回スプレー(練習済みなら)
✅ 意識がある・自分で飲める → ブドウ糖10〜20gをすぐに摂取
✅ 家族はバクスミーの使い方を事前に練習(当院で指導可)
💡 重症低血糖 緊急対応アルゴリズム
【STEP 1】意識・呼吸の確認
↓ 反応なし・けいれんあり ↓
【STEP 2】119番(救急車)を呼ぶ
↓ 同時に行う ↓
【STEP 3】安全確保 + バクスミー点鼻(処方されている場合)
• 横向きに寝かせる(誤嚥防止)
• バクスミーを鼻腔に1回噴射
• 救急隊に「低血糖」「バクスミー使用済み」と伝える
• 口から飲食物を与えない(窒息)
• 水を飲ませようとしない
• 無理に起こさない
• 様子を見て遅らせない
低血糖は命に関わります
低血糖(血糖値70mg/dL未満)は、放置すると意識障害・けいれん・死に至る可能性があります。重症低血糖は死亡リスクを約3倍に上げることが国内外の研究で報告されています。どんなにHbA1cが良好でも、低血糖を繰り返してはいけません。
実際、糖尿病患者の死因の一つに低血糖由来の心肺停止が含まれており、予防可能な死をいかに防ぐかが糖尿病治療の最大の課題です。
【最重要】意識がないときの対応
血糖値が50mg/dL以下になると、脳がブドウ糖不足に陥り意識を失います。この状態で絶対にやってはいけないこと=口から飲食物を与えることです。誤嚥性肺炎や窒息が死亡原因になります。
| 状況 | 正しい対応 | 絶対NG |
|---|---|---|
| 意識あり・自分で飲める | ブドウ糖10〜20gをすぐに摂取 | 放置する・時間を稼ぐ |
| 意識もうろう・返事がおかしい | 食べさせない・119番・安全確保 | 無理に飲ませる(窒息の危険) |
| 無反応・けいれん | 119番 + バクスミー点鼻(家族が使用) | 様子を見てしまう |
🧬 バクスミー(点鼻グルカゴン)の正しい使い方
バクスミーは注射のいらない点鼻グルカゴン製剤で、誤嚥リスクがなく家族でも安全に使えます。重症低血糖で意識がない・飲めない状況で使用します。
使い方(3ステップ)
- ケースからバクスミーを取り出し、黄色いキャップを外す
- 鼻腔にノズルを軽く差し込み、ピストンを最後まで押し切る(1回)
- 押したらすぐに引き抜く(特に吸引の必要はなし)
効果が出るまでの時間:通常5〜15分で意識回復。10分経っても反応がない場合は救急隊に伝えてください。⚠️ 使用後は吐き気が出ることがありますが、命を優先してください。
低血糖の症状(早期発見が命を救う)
- 初期症状(自律神経症状):動悸・発汗・手指の震え・強い空腹感
- 進行症状(中枢神経症状):意識もうろう・異常行動・けいれん・昏睡
⚠️ 無自覚性低血糖(症状を感じない)は最も危険です。HbA1cが良好で頻繁に低血糖を起こす人はCGM(持続血糖測定)の導入を検討しましょう。
低血糖の主な原因
- インスリンや経口血糖降下薬(SU薬・グリニド)の過剰投与
- 食事の遅れ・不足・抜かし
- 普段以上の運動(特に夜間・翌朝の低血糖)
- 飲酒(特に空腹時・就寝前)
- 入浴後の血管拡張によるインスリン吸収促進
よくある質問(重症低血糖・家族向け)
Q. 重症低血糖の症状は?
Q. 低血糖で意識がない時はどうすれば?
(1) すぐに119番(救急車)を呼ぶ。
(2) 口から何も与えない(誤嚥・窒息の危険)。
(3) バクスミーが処方されていれば鼻腔に1回スプレーする。
同時に、横向きに寝かせて気道を確保してください。
Q. バクスミーの使い方は?
Q. 低血糖で救急車を呼ぶ目安は?
• 呼びかけに反応しない
• 返事がおかしい・意味不明な言動
• けいれんしている
• 自分で立てない・座っていられない
• バクスミーを使っても10分以上意識が戻らない
Q. 低血糖で食べさせないのはなぜ?
Q. 低血糖の意識障害は後遺症が残る?
Q. 低血糖で死亡することはある?
(1) 低血糖による脳機能低下 → 呼吸停止・心肺停止
(2) 低血糖中の不整脈(QT延長など)→ 致死性不整脈
(3) 誤った対応(口から食べさせようとする)→ 窒息・誤嚥性肺炎
ACCORD試験など大規模研究でも、重症低血糖は死亡リスクを有意に上げることが示されています。決して「ただの低血糖」と軽く見てはいけません。
Q. 家族が低血糖になった時の対処法は?
【意識あり・飲める場合】 ブドウ糖10〜20gか糖質飲料をすぐに。15分後に再測定。改善なければ追加摂取。
【意識もうろう・無反応の場合】 ①口から与えない ②すぐに119番 ③バクスミー(処方されていれば)使用 ④横向きに寝かせる。
普段から家族全員で対応手順を共有し、冷蔵庫など見える場所に「低血糖対応マニュアル」を貼っておくと安心です。
Q. 夜間の重症低血糖を防ぐには?
• 就寝前の血糖値を確認し、110mg/dL未満なら補食(牛乳・クラッカーなど)
• 夕方の運動が多かった日は就寝前に血糖値を再確認
• 飲酒した日は夜間低血糖リスクが上昇するため要注意
• CGM(持続血糖測定器)のアラーム機能が最も有効
• 寝汗でパジャマが濡れる、悪夢を見る、朝の頭痛や倦怠感は夜間低血糖のサインです。頻繁にある場合は主治医に相談を。
🚨 もし目の前の人が意識を失ったら、今すぐ119番!
救急隊に「糖尿病の低血糖かもしれない」と伝えてください。
バクスミーを使った場合も「バクスミーを点鼻した」と必ず伝えましょう。
👨⚕️ 監修医師
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
低血糖を起こさない安全な血糖コントロールを第一に考え、糖尿病患者さんの命と生活の質を守る診療を行っています。重症低血糖の対応については、患者さんだけでなくご家族の指導にも力を入れています。
経歴: 複数の総合病院での勤務を経て、船橋市にしもやま内科を開業。糖尿病診療において「低血糖ゼロ」を目標に掲げ、CGM・インスリンポンプ療法にも対応。
最終更新: 2026年8月23日(本ページの内容は医学的知見の更新に伴い適宜見直しています)
最終更新日:2026-08-23
👨⚕️ この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。