糖尿病内科

アルコール依存症患者さんの糖尿病管理は難しい

投稿日:10/05/2017 更新日:

アルコール依存症と糖尿病

アルコール依存症と糖尿病

アルコール依存症と糖尿病

アルコール依存症の患者さんの糖尿病管理は難しい

アルコール依存症の患者さんの糖尿病コントロールは難しいです。現在、日本には109万人のアルコール依存症者がいると推計されています。しかしながら、断酒を志向した専門治療につながる患者さんはわずか4~5万人で100万人以上がアルコール関連身体疾患にて内科など対象療法のみを受けていると考えられます。

プライマリケアの場で、患者さんのアルコール依がどの程度であるかを見極め、重症度に応じて対応する枠組みとして世界保健機関(WHO)により推奨されているのがScreening, Brief Intervention,Referral to Treatment (SBIRT ;アルコール依存症の予防・早期発見・介入)です。これは、The Alcohol Use Disorders Identification Test(AUDIT;飲酒習慣スクリーニングテスト)という10項目のスクリーニング・テストを実施し、その得点・得点プロフィールにより「低リスク飲酒・非飲酒群」「ハイリスク飲酒群」「依存症疑い群」の3つに分別して、それぞれの群に「教育」「ブリーフインターペンション」「専門医療への紹介」を行うものです。
2012年からは厚生労働省も健診・保健指導に取り入れています

(http://www.mhlw.gojp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seifcatsu/ 61/hoken-program3_06.pdf rel="nofollow")。
詳細は、下記URLからダウンロードできる日本語版WHOマニュアルをご覧下さい(http://oki・kyojp/who-bj・jp_20120215.pdf rel="nofollow")。

なお、「依存症疑い群」のカットオフ値が厚生労働省の保健指導では15点と、WHOマニュアルの20点より低いのは保健師が保健指導を行う際の目安として、総得点が低くても得点プロフィールで依存症レベルと判断される層も入れたためと考えられます。

アルコール依存症患者さんの対人関係の特徴

未治療のアルコール依存症者は、以下に挙げる独特の対人関係パターンを持つことが多いので、ぞれを熟知して対応することが援助側の「燃え尽き」を防ぐために重要になります。これらの対人関係パターンは、もともとの気質性格というよりは患者さんの生活経験から醸成されてきたもので、依存症の進行につれてより先鋭化してきます。もちろん、依存症者全員が以下全ての特徴を持つわけではないことをおことわりしておきます。

1.相談が下手である
患者さんは、大事なことに限って相訣しない傾向があります。自分一人で抱え込んで、行動してしまってから事後報告することが多くみられます。あるいは、「常識的に考えて、その相手に相談したら、破滅的な結果しか生まないだろう」という相手にわざわざ相談してしまいます。例えば、借金返済の問題を飲み友達に相談して、誘われるまま「とりあえず飲みに行く」などです。
健康な人と違って、彼らには「誰かに相談したら物事が解決した」という経験が非常に乏しいので、「とりあえず飲んで、目の前から問題を消す」という“回避'の解決方法を取ることが多くなります。
また、飲酒問題を起こす前の時期の彼らの適応パターンは。「ひたすらガマン」「相手の意向を(言葉で確認することなく)推察して先回りして勣く」などの過剰適応が多くみられます。

2.対人関係の「境界線」を引かれて育っている
健康な人の場合は、人づきあいの中で「AさんSとは職場の電話番号と携帯番号は教えるが、他の情報は教えない」「Bさんには職場の電話番号・携帯番号・メールアドレスだけでなく、自宅の住所も実家の電話番号も教える」「Cさんには職場の電話番号だけ教える」などのように、自ら対人関係での距離を選び、相手に教える情報も選んでいます。
その点、患者さんは「あらゆる情報を教えるか、全く何も教えないか」といった極端な選択をすることが多くなっています。それは「自分の持つ感覚に応じて、対人距離は選んでよい」というメッセージを受け取って育ってきていない(=対人関係の「境界線」を壊されて育っている)経験によるのです。

アルコール依存症から回復すると

「アルコール依存症が回復する」ということは、上記のような不健康な対人関係パターンがより健康的な対入関係パターンに変化して、「「酒」という「穴が開いた船」を手放して、生活上のストレス・困りごとを「しらふ」で解決できる」状態になることです。
それは、適切な相談相手に適切な夕イミングで『しらふ』で相談ができるようになり、結果として安定した断酒を継続できるようになること、ともいえます。

そこから容易に理解できると思いますが、「酒をガマンしている」状態は、依存症の回復段階でいえばほんの初期なのです。専門治療につながって順調に回復が進むと、約5年で「対人関係や問題解決のスキルが向上して、酒に依存し人生を楽しめるようになります。

アルコール依存症から脱するために必要な援助

前述のように、アルコール依存症は慢性疾患であり、回復にかなりの時間を必要とします。これまでの研究で、アルコール依存症患者さんの予後を左右するのは「医療機関や自助グループにつながって断酒を志向した治療を継続しているか否か」であることが分かっています。生命予後に直結する治療中断は避けたいものの、「治療に来ているから、まあいいや」と飲酒・節酒を続ける患者に有効なアプローチができないまま経過すれば、やはり破綻は避けられません。

治療目標はあくまで「患者が断酒を志向し、行動すること」としつつ、目標に向かって今どこにいるか、前進部分を拾い上げて患者に返しつつ、次の課題を小さく設定して、粘り強くアプローチを続けることが望ましいといえます。その際、次の課題は患者と相談して設定するのが望ましいでしょう。例えば、「不規則受診→定期受診の割合を増やす」『毎日飲酒→隔週1.2日は休肝日とする』「y-GTPの値を常に400IU/L台だったところから400IU/L未満とする」などです。

この作業を続けるには、「誰もが率直に発言できる」「発言にレスポンスがある」「話し合った結論が次の治療に生かされる」カンファレンスを定期的に催することが不可欠です。

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