📘 要点
- 妊娠中に甲状腺のしこりが見つかったときは、まずエコーで評価します
- エコーでは悪性を疑う所見(TI-RADS4以上)を確認します
- 良性が疑われる結節は3〜6ヶ月ごとのエコーで経過をみます
- 穿刺吸引細胞診は当院では行わず、連携先へご紹介します
- 妊娠中は放射性ヨウ素を使う検査や治療を避けます
- しこりが急に大きくなる・声がかすれるときは、早めにご相談ください
甲状腺のことでお悩みの方へ
甲状腺は喉の下にある小さな臓器で、体の代謝(エネルギーの使い方)を調整する「甲状腺ホルモン」を作っています。妊娠・不妊治療中は、このホルモンのバランスが特に大切になります。
船橋市のしもやま内科では、甲状腺の血液検査とエコー検査を行い、必要に応じて薬の調整を行っています。
このページの役割
妊娠中に甲状腺の結節(しこり)が見つかったときの管理(検査のタイミング、穿刺吸引細胞診の適応)をまとめています。結節の検査方法と良性・悪性の見分け方は、関連ページで解説しています。
関連ページ
- 妊娠中にみつかる甲状腺のしこり ― 検査方法と良性・悪性の見分け方
- 妊娠初期の甲状腺チェック ― 検査のタイミングと受診の流れ
- 妊娠中のバセドウ病|TSH目標値と薬物治療
- 船橋市の産婦人科との連携について
▼ 詳細な医療情報(医療従事者向け)
妊娠中の甲状腺結節:エコー所見でリスクを見極め、FNAは「必要性×安全性」で判断します
- 第一選択は頸部超音波(被ばくなし)で、形態所見とリンパ節を評価します。
- 悪性が強く疑われる所見・急速増大・圧迫症状がなければ、妊娠中は経過観察や第2三半期以降のFNA、または産後評価が実務的です。
- FNAが必要な場合は安全性を担保できる連携施設で実施し、結果に応じて妊娠中の方針(待機/第2三半期手術検討)を整理します。
- 妊娠中に見つかった甲状腺結節のエコー評価ポイント(悪性疑い所見・リンパ節)
- FNAを急ぐ条件/待てる条件、実施するなら第2三半期を中心に考える理由
- 産科外来で迷いやすい紹介の目安(急速増大・嗄声・圧迫症状など)
- 妊娠中に避ける検査(放射性ヨウ素関連、造影CTの扱い)
※本ページは医療者向け(for-obgyn)の初期対応メモです。患者さん向け説明は必要に応じて別紙化してください。
1. まず何をするか:産科外来の初動(結節を見つけた当日)
- 頸部エコー(結節+リンパ節)を最優先:被ばくなしで形態評価。
- TSH+FT4(必要に応じFT3):機能異常の併存を確認(結節評価と並行)。
- 赤旗(急速増大/嗄声/圧迫症状/病的リンパ節)なら早期に内分泌へ相談。
- 問診・診察:増大速度、疼痛、嗄声、嚥下障害、呼吸苦、頸部被ばく歴、家族歴(甲状腺癌/多発性内分泌腫瘍など)。
- 検査(基本):TSH・FT4(必要に応じFT3)。
- 画像(基本):頸部超音波(結節:サイズ・性状+頸部リンパ節)。
2. 頸部エコーで見るポイント(悪性疑い所見の拾い上げ)
妊娠中の結節評価は「形態(悪性疑い所見)+リンパ節」が軸です。スコアリング(TI-RADS等)まで厳密に行わなくても、まずは高リスク所見の有無に集中すると実務的です。
- 微細石灰化、縦長(taller-than-wide)、不整な辺縁、被膜外進展疑い
- 著明低エコー(参考)
- 病的リンパ節(丸い、門部消失、嚢胞変性、石灰化など)
※体系化はATA結節ガイドラインやACR TI-RADSの白書が参考になります。
3. 妊娠中に避けたい検査/代替案
- 放射性ヨードを用いる検査・治療(シンチ、RAI)は妊娠中は避けます。
- 造影CTは原則「必要最小限」(緊急性・代替可否・施設方針で調整)。
- 超音波で不十分で深部進展評価が必要な場合は非造影MRIを検討(個別判断)。
4. FNA(穿刺吸引細胞診)の時期と考え方
FNAは妊娠中でも適応があれば実施可能です。一方、緊急性が低い場合は第2三半期や産後に回して安全性と実務性を両立させる戦略が一般的です。
(ATA:妊娠・産褥の甲状腺疾患ガイドライン)PubMed
- 高リスク所見(微細石灰化・縦長・不整形など)
- 急速増大
- 嗄声など神経症状(反回神経麻痺疑い)
- 圧迫症状(呼吸苦・嚥下障害)
- 病的リンパ節を伴う
- 良性を示唆する所見でサイズ安定
- 圧迫症状なし
- リンパ節異常なし
- 産後精査でも臨床的不利益が少ないと判断
細胞診で悪性が示唆されても、腫瘍の挙動・週数・合併症を踏まえ、妊娠中は経過観察で産後手術を選ぶこともあります。手術を行うなら第2三半期が検討されます。
5. どの時点で内科(内分泌)へ紹介するか:判断基準
以下のいずれかに該当する場合は、早期の相談・紹介が実務的です。
- 高リスク所見(微細石灰化・縦長・不整形・被膜外進展疑い 等)
- 病的リンパ節を疑う
- 急速増大、嗄声、圧迫症状(呼吸苦・嚥下障害)
- 機能異常(TSH/FT4の逸脱)を伴い、治療要否や鑑別に迷う
- 「FNAを今やるべきか」「産後まで待つか」の意思決定が難しい
6. 当院で可能な検査・対応(産科連携の実際)
- 採血:TSH、FT4、FT3、TPOAb、TgAb、TRAb など(週数・背景に応じて)。
- 甲状腺エコー:当日実施可(結節性状+頸部リンパ節)。
- FNA(細胞診)が必要な場合:安全性を担保できる連携医療機関へ紹介します。
ご紹介・ご相談(産科の先生方へ)
しもやま内科(甲状腺内科)
TEL:047-467-5500 FAX:047-467-7500
「妊娠中の甲状腺結節(エコー/FNA相談)」とお伝えください。
※ Web予約のご案内は行っていません。お電話にてご連絡ください。
実際の外来診療では、結節の「悪性疑い所見」と「増大速度・症状」をまず整理し、緊急度が低いケースほど妊娠経過を優先して、FNAの時期や実施施設(連携先)を一緒に決めています。
FAQ(妊娠中の甲状腺結節についてよくある質問)
妊娠中に甲状腺結節が見つかったらどうする?
妊娠中の甲状腺結節のエコー検査は安全?TI-RADSとは?
妊娠中に甲状腺の穿刺(FNA)はできる?胎児への影響は?
妊娠中に甲状腺がんと診断されたらどうする?手術は?
妊娠中に良性の甲状腺結節は大きくなる?経過観察の頻度は?
妊娠中の甲状腺結節の治療は薬でできる?
妊娠中の甲状腺結節とがんの見分け方は?エコーでわかる?
妊娠中の甲状腺結節の症状は?痛みはある?
甲状腺結節がある人の妊娠・出産の注意点は?しもやま内科の対応は?
関連ページ(産科×内分泌:初期対応)
🏥 当院の対応範囲(当院で行うこと・専門施設へお願いすること)
しもやま内科で実際に行っている検査・治療と、連携する専門施設へお願いしている検査・治療をまとめました。「どこまで当院で行い、何を専門施設へお願いするか」の目安としてご覧ください。記載は2026年9月時点の当院の対応状況です。
| 検査・治療 | 当院での対応 |
|---|---|
| 問診・診察(症状・経過・家族歴の確認) | 当院で実施します |
| 血液検査(ホルモン基礎値・抗体・一般生化学) | 当院で実施します(当日結果説明できる項目があります) |
| 尿検査(尿中ホルモン代謝物・尿中カテコラミンなど) | 当院で実施します(検体提出・結果説明まで当院で対応) |
| 甲状腺エコー(超音波検査) | 当院で実施します(甲状腺専門医が実施・読影) |
| CT(副腎CT・腹部CT・頭部CTなど) | 当院では撮影しておらず、連携医療機関へご依頼します |
| 甲状腺穿刺吸引細胞診(FNA) | 当院では行っておりません。連携先(船橋市立医療センター耳鼻咽喉科)へご依頼します |
| 手術・入院加療(副腎摘除術・下垂体手術など) | 当院では行っておりません。専門施設へご紹介します |
| 自由診療(自費診療) | 当院では行っておりません(保険診療のみ) |
| セカンドオピニオン外来 | 当院では行っておりません |
| 夜間・休日の診療(時間外の電話相談を含む) | 当院では行っておりません |
当院は保険診療を基本としています。当院で実施していない検査・治療は、必要に応じて連携する専門施設へご紹介し、紹介後もホルモン補充や経過観察など当院で継続できる部分は引き続き担当します。当院の診療対象は中学生以上(12歳〜)です。
夜間・休日に急な症状が出た場合は、当院では時間外の診療・電話相談を行っておりませんので、救急外来・#7119(救急安心電話相談)・119番へのご連絡をおすすめします。
参考文献
- 2026 Guidelines for Thyroid Disease in Preconception, Pregnancy, and Postpartum(American Thyroid Association). Thyroid 2026;36(5):481-544.
公式ページ - ATA Patient summary: Thyroid nodules during pregnancy
公式ページ - Tessler FN, et al. ACR TI-RADS White Paper (2017).
PDF - 甲状腺腫瘍診療ガイドライン2024
PDF/
Minds - 日本甲状腺学会:甲状腺疾患診断ガイドライン(医師向け)
公式
📚 関連する詳細情報
産後の健康管理関連情報
受診をご検討の方、お気軽にご相談ください
月・火・木・金 9:00〜12:00 / 14:45〜17:30 土 9:00〜12:00
診療時間外の緊急時は、119番へのご連絡をおすすめします。
最終更新日:2026-08-28
👨⚕️ この記事の監修医師
監修・執筆:しもやま内科 院長(日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医/日本老年医学会 老年科専門医・指導医)
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。