月経不順(無排卵)に高アンドロゲン(多毛・ざ瘡・男性化)が合併した場合、原因は大きく
①卵巣性(PCOSなど)②副腎性(NCCAH/腫瘍など)③薬剤性に分けて考えると初期対応が整理できます。
本ページでは、産婦人科外来での最小限の初期採血セットと、画像検査・内科(内分泌)紹介の目安をまとめます。
実務では、まず「見逃せない赤旗(腫瘍・クッシング・非古典型先天性副腎過形成など)」の有無を確認し、
次に副腎/卵巣/薬剤の3分類で原因を絞り込みます。
※実際の外来診療では、採血より先に「急速進行」「男性化」「薬剤歴」を拾い上げるだけで、紹介の緊急度がほぼ決まるケースが少なくありません。
🚩 まず確認:赤旗(緊急度が上がる所見)
- 症状が数か月で急速に進行(多毛/ざ瘡の急増、短期間での男性化)
- 男性化所見(声が低くなる、筋肉増加、陰核肥大、乳房縮小 など)
- 著明なアンドロゲン高値(総テストステロンやDHEA-Sが“桁違い”に高い)
- クッシングを疑う所見(中心性肥満、皮膚線条、近位筋力低下、易あざ 等)
- 妊娠の可能性(治療方針が変わるため最優先で除外)
※赤旗があれば、採血と並行して早期の内分泌評価・画像検査を検討します。
🧭 原因を3分類で考える(卵巣性/副腎性/薬剤性)
| 分類 | 代表例 | ヒント |
|---|---|---|
| 卵巣性 | PCOS、卵巣アンドロゲン産生腫瘍 など | 思春期〜若年で慢性経過が多い。急速進行/男性化なら腫瘍を疑う。 |
| 副腎性 | 非古典型CAH(NCCAH)、副腎腫瘍、クッシング など | DHEA-S高値は副腎由来の示唆。NCCAHは17-OHP評価が鍵。 |
| 薬剤性 | アンドロゲン/蛋白同化ステロイド、ダナゾール 等 | 問診で拾える。中止可否の検討が最優先。 |
🧪 初期対応:最小限の採血セット(産婦人科外来)
- 妊娠判定(尿/血中hCG)
- 総テストステロン(可能ならLC-MS/MS、難しければ施設標準で)+必要に応じて遊離テストステロン
- DHEA-S(副腎由来アンドロゲンの目安)
- 17-ヒドロキシプロゲステロン(17-OHP)(NCCAHスクリーニング)
- 併せて原因鑑別として:TSH、プロラクチン(月経不順の基本)
※採血タイミング(早朝・卵胞期など)や測定法で解釈が変わるため、疑わしければ内分泌科と相談の上で負荷試験等へ進めます。
📌 結果の読み方:紹介・画像検査の目安
1) 腫瘍性を疑うとき(卵巣/副腎)
- 急速進行や男性化があれば、数値が“境界”でも腫瘍を疑い、早期に内分泌評価+画像検査を検討します。
- 文献上の実務目安として、総テストステロンが著明高値(例:200 ng/dL程度以上)や、DHEA-Sが700〜800 μg/dL程度以上では腫瘍性の可能性が上がります(カットオフは一律ではありません)。
2) 副腎性(NCCAHなど)を疑うとき
- 17-OHP高値はNCCAHを疑います。条件を整えた再検や負荷試験の適応判断が必要なため、内分泌科紹介が有用です。
- DHEA-S優位の上昇は副腎由来を示唆します。赤旗所見があれば画像検査を並行します。
3) 卵巣性(PCOSなど)を疑うとき
- 慢性経過の無排卵+(臨床/生化学的)高アンドロゲンが中心で、赤旗が乏しければPCOSなどを第一に考えます。
- 妊活中は、排卵誘発・体重/糖代謝評価(OGTT、インスリン抵抗性)など、目的に応じた並走が重要です。
🩺 薬剤性のチェック(採血より先に確認)
服薬・サプリ・外用薬も含めて、以下を確認します(該当すれば中止/変更可否を優先して検討)。
- アンドロゲン製剤、蛋白同化ステロイド(ボディメイク用途含む)
- ダナゾール(子宮内膜症など)
- その他:薬剤歴・既往を踏まえ個別に評価(不明なら内分泌相談)
📩 ご紹介の目安(しもやま内科への内分泌相談)
- 赤旗(急速進行/男性化/著明高値/クッシング疑い)がある
- 17-OHP高値でNCCAHが疑わしい(採血条件や次の検査の相談が必要)
- 妊活・不妊治療中で、PCOS/排卵障害+糖代謝(OGTT/IR/体重)も含めて内分泌評価を並走したい
- 薬剤性の疑いがあるが中止可否・代替案の判断に迷う
紹介状には、症状の経過(いつから・どれくらいの速度で増悪したか)、男性化所見の有無、服薬/サプリ歴、妊娠希望の有無、
採血結果(テストステロン、DHEA-S、17-OHP、TSH、PRLなど)をご記載いただけますと初回からスムーズです。
ご紹介・ご相談の連絡先
☎ 047-467-5500 | FAX 047-467-7500
※診療時間外はFAXにてご連絡ください。確認次第、折り返します。
📚 参考(ガイドライン/一次情報)
本ページは医療連携を目的として作成しています。具体的な治療や検査値目標は、患者さんの背景(年齢・妊娠希望・併用薬・合併症)により調整します。