更年期症状と甲状腺|ホットフラッシュ・動悸が似ている原因と見分け方

📘 要点

  • 更年期症状と甲状腺疾患は、ほてりや動悸など似た症状が出ます
  • 40代〜50代の女性は、更年期と甲状腺疾患が重なりやすい時期です
  • 体重の急な変化・手指の震え・首の腫れがあれば甲状腺を疑います
  • 甲状腺が原因の場合は3〜6ヶ月ごとに血液検査で経過を見ます
  • 動悸が1分間に100回以上あるときは、速やかな受診が必要です
  • ほてりや動悸が続き、更年期か甲状腺か迷うときは早めにご相談ください

40代〜50代の女性で「最近、ほてりや動悸が気になる」「更年期かな?”と思ったけれど、甲状腺の病気かも?”と不安になる方は少なくありません。

更年期症状と甲状腺疾患は、実は症状がよく似ています。どちらも女性に多い病気であり、時期も重なりやすいため、見分けが難しいことがあります。

この記事では、更年期症状と甲状腺疾患を見分けるポイントと、何科を受診すべきか、治療の流れについて解説します。

こんな症状はありませんか?(セルフチェック)

以下の症状がある方は、更年期症状か甲状腺疾患の可能性があります。

  • ほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)
  • 動悸・息切れ
  • 発汗が多い
  • 不眠・睡眠障害
  • イライラ・不安感
  • 疲労感・倦怠感
  • 月経不順

これらの症状は更年期症状と甲状腺疾患の両方で見られます。しかし、いくつかの違いがあります。

見分け方のポイント

甲状腺を疑う症状

以下の症状がある場合は、甲状腺疾患の可能性があります。

  • 体重の急な変化(食べていないのに増える/食べているのに減る)
  • 手指の震え(細かい作業がしにくい)
  • 首の腫れ(甲状腺が腫れている)
  • 眼球突出(目が飛び出ている感じがする)
  • 下痢・便秘(排便習慣の急な変化)
  • 皮膚の乾燥または湿潤

更年期を疑う症状

以下の症状がある場合は、更年期症状の可能性が高いです。

  • 月経周期の乱れ(閉経が近い)
  • ホットフラッシュ(急に顔が火照る・汗が出る)
  • 関節痛・肌肉痛(関節や筋肉の痛み)
  • 腟の乾燥・性交痛
  • 頻尿・尿失禁

何科を受診すべき?

まず受診すべき科は、症状によって異なります。

甲状腺疾患が疑われる場合

体重の急な変化・手指の震え・首の腫れがある場合は、甲状腺専門医のいる内科を受診しましょう。

しもやま内科では、甲状腺専門医が血液検査(TSH・FT4・TRAb)とエコー検査を行い、正確な診断と治療を行います。

更年期症状が疑われる場合

月経不順・ホットフラッシュ・関節痛が中心の場合は、婦人科または更年期外来を受診しましょう。

ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬などで症状を改善できます。

どちらも疑われる場合

症状が複雑でどちらかわからない場合は、まず内科(甲状腺専門医)を受診することをお勧めします。

血液検査で甲状腺機能が正常であれば、更年期症状として婦人科を紹介できます。

治療の流れ

甲状腺疾患の場合

  1. 血液検査:TSH・FT4・TRAbを測定
  2. エコー検査:甲状腺の形・大きさを確認
  3. 診断:バセドウ病・橋本病・甲状腺機能低下症など
  4. 治療:
    • バセドウ病:抗甲状腺薬(メルカゾールなど)
    • 橋本病:甲状腺ホルモン剤(チラーヂン)
    • 甲状腺機能低下症:甲状腺ホルモン剤
  5. 定期検査:3〜6ヶ月ごとに血液検査

更年期症状の場合

  1. 問診・血液検査:更年期指数(Simpson指数)やホルモン値を評価
  2. 診断:更年期障害
  3. 治療:
    • ホルモン補充療法(HRT)
    • 漢方薬(当帰芍薬散・加味逍遙散など)
    • 生活習慣の改善
  4. 定期受診:3〜6ヶ月ごとに症状を評価

よくある質問

Q. 更年期と甲状腺疾患は同時に起こりますか?

はい、同時に起こることもあります。40代〜50代の女性は、更年期と甲状腺疾患の両方が発症しやすい時期です。そのため、両方の可能性を考慮して診断する必要があります。

Q. 血液検査だけで診断できますか?

甲状腺疾患は血液検査(TSH・FT4)で診断できます。更年期症状は血液検査(FSH・エストロゲン)で確認することもありますが、症状と年齢から診断することが多いです。

Q. 治療すれば症状は改善しますか?

はい、どちらの疾患も適切な治療で症状は改善します。甲状腺疾患は薬でホルモン値を正常に保つことで、更年期症状はHRTや漢方で症状を和らげることができます。

Q. 放置するとどうなりますか?

甲状腺疾患を放置すると、不整脈・心不全・粘液水腫昏睡など重篤な合併症を起こすことがあります。更年期症状も放置すると、骨粗鬆症・動脈硬化のリスクが高まります。早めに受診しましょう。

Q. 何科を受診すべきか迷ったら?

迷った場合は、まず内科(甲状腺専門医)を受診しましょう。血液検査で甲状腺機能が正常であれば、婦人科を紹介できます。

👨‍⚕️ 院長の実績と専門性

下山立志は、日本甲状腺学会 甲状腺専門医・日本糖尿病学会 糖尿病専門医・日本循環器学会 循環器専門医の三冠専門医です。

当院では年間480件(2025年度実績)の甲状腺疾患を診療しており、更年期症状と甲状腺疾患の鑑別診断に豊富な経験があります。

「更年期かな?甲状腺かな?」と迷ったら、お気軽にご相談ください。

🚨 緊急を要する場合: 急激な動悸・胸痛・息切れ・意識障害がある場合はためらわずに 119番(救急車)へご連絡をおすすめします。

⚠️ 緊急性の判断

  • 動悸・頻脈が強い(1分間に100回以上)・胸痛・息切れ → 速やかに受診してください(甲状腺クリーゼの可能性があります)
  • 意識がもうろうとする・体温が35度以下 → 119番へのご連絡をおすすめします(粘液水腫昏睡の可能性があります)
  • 上記以外の症状は、通常予約で受診いただけます

📞 047-467-5500

🏥 当院の対応範囲(当院で行うこと・専門施設へお願いすること)

しもやま内科で実際に行っている検査・治療と、連携する専門施設へお願いしている検査・治療をまとめました。「どこまで当院で行い、何を専門施設へお願いするか」の目安としてご覧ください。記載は2026年9月時点の当院の対応状況です。

検査・治療 当院での対応
問診・診察(症状・経過・家族歴の確認) 当院で実施します
血液検査(ホルモン基礎値・抗体・一般生化学) 当院で実施します(当日結果説明できる項目があります)
尿検査(尿中ホルモン代謝物・尿中カテコラミンなど) 当院で実施します(検体提出・結果説明まで当院で対応)
甲状腺エコー(超音波検査) 当院で実施します(甲状腺専門医が実施・読影)
75gOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)・インスリン同時測定 当院で実施します
自由診療(自費診療) 当院では行っておりません(保険診療のみ)
セカンドオピニオン外来 当院では行っておりません
夜間・休日の診療(時間外の電話相談を含む) 当院では行っておりません

当院は保険診療を基本としています。当院で実施していない検査・治療は、必要に応じて連携する専門施設へご紹介し、紹介後もホルモン補充や経過観察など当院で継続できる部分は引き続き担当します。当院の診療対象は中学生以上(12歳〜)です。

夜間・休日に急な症状が出た場合は、当院では時間外の診療・電話相談を行っておりませんので、救急外来・#7119(救急安心電話相談)・119番へのご連絡をおすすめします。

参考文献

  • 日本甲状腺学会「甲状腺疾患診断ガイドライン2024」(2024年11月21日改定)
  • 日本甲状腺学会「バセドウ病治療ガイドライン2019」
  • 日本産科婦人科学会・日本女性医学学会「女性のヘルスケアに関するガイダンス(中高年期編)」(厚生労働省、2026年)
  • 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2026」(2026年4月発行)
  • National Institute for Health and Care Excellence (NICE) “Menopause: identification and management (NG23)”(2015年公表、2024年11月改訂)
  • American Thyroid Association (ATA) “Guidelines for the Treatment of Hypothyroidism”(Thyroid 2014;24(12):1670-1751)

関連ページ

🩺 医療者向け補足:更年期と甲状腺疾患の鑑別ポイント

採血で的一次切り分け

検査結果 まず考える方向 次の一手
TSH低値 + FT4高値 甲状腺機能亢進症 TRAbを追加してバセドウ病を鑑別。動悸が強い場合は早めに内科へ
TSH高値 + FT4低値 甲状腺機能低下症 症状の強さ・妊娠希望・HRT予定で方針が変わるため、内科相談
TSH/FT4とも正常 甲状腺は一次的に否定 更年期として治療を検討

紹介判断が早いほうがよい場面

  • 頻脈/動悸が強い、失神・胸痛・息切れがある
  • FT4が明らかに高値/低値、TSHが大きく逸脱
  • TRAb陽性(バセドウ病が疑われる)
  • 甲状腺腫大が目立つ、眼症状が疑わしい
  • 更年期治療を開始したが症状が改善しない

受診をご検討の方、お気軽にご相談ください

月・火・木・金 9:00〜12:00 / 14:45〜17:30 土 9:00〜12:00

047-467-5500

診療時間外の緊急時は、119番へのご連絡をおすすめします。

最終更新日:2026-09-11

👨‍⚕️ この記事の監修医師

監修・執筆:しもやま内科 院長(日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医/日本老年医学会 老年科専門医・指導医)
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

01/10/2025