糖尿病の検査とは?〜何を調べているのか〜
糖尿病の検査は、「現在の血糖値」と「過去の血糖コントロール」を評価するものです。
検査結果をもとに、
- 糖尿病の診断
- 治療効果の評価
- 合併症のリスク評価
を行い、最適な治療方針を決定していきます。
代表的な糖尿病検査3種類
糖尿病の検査には、主に以下の3つがあります。
1. 空腹時血糖(FPG)
- 何を調べるか:朝食前(空腹時)の血糖値
- 基準値:110 mg/dL未満(正常)、110〜126 mg/dL(境界)、126 mg/dL以上(糖尿病型)
- 特徴:簡便で費用も安いが、当日の体調に左右されやすい
2. HbA1c(ヘモグロビンA1c)
- 何を調べるか:過去2〜3か月の平均血糖値
- 基準値:5.6%未満(正常)、5.6〜6.4%(境界)、6.5%以上(糖尿病)
- 特徴:血糖コントロールの「成績表」。毎回の受診時に測定
3. 75gOGTT(経口ブドウ糖負荷試験)
- 何を調べるか:糖液を飲んだ後の血糖値変化
- 基準値:2時間後の血糖値が200 mg/dL以上で糖尿病
- 特徴>:糖尿病の確定診断に最も確実。妊娠糖尿病の診断にも使用
🤰 妊娠糖尿病の検査:
妊娠中の方は妊娠糖尿病検査(75gOGTT)のページをご覧ください。
その他の重要な検査
グリコアルブミン(GA)
- 過去2週間の血糖コントロールを評価
- HbA1cより短期間の変化を捉えられる
- 貧血があると正確に測定できないことがある
- HbA1cと併用することで、より正確な血糖コントロール評価が可能
🔬 検査の詳細ページ一覧
- HbA1c – 過去2〜3ヶ月の平均血糖
- グリコアルブミン(GA) – 過去2週間の血糖
- 75gOGTT – 糖尿病の確定診断
- Beyond HbA1c – 血糖変動の評価
- 定期検査 – 合併症スクリーニング(年1回)
尿検査(尿糖・尿蛋白)
- 尿糖:血糖値が高いと尿に糖が出る(腎糖閾を超えた場合)
- 尿蛋白:腎症の早期発見に重要。微量アルブミン尿の測定が推奨される
⚠️ 糖尿病腎症の早期発見:
尿たんぱくの異常は糖尿病腎症(DKD)の初期サインです。年1回の定期検査をお勧めします。
脂質検査(LDL・HDL・中性脂肪)
- 糖尿病の方は動脈硬化が進みやすいため、脂質管理も重要
- LDLコレステロールは100 mg/dL以下が目標(高リスク群)
肝機能検査(AST・ALT・γ-GTP)
- 脂肪肝(NAFLD/NASH)の評価
- 薬剤性肝障害のモニタリング
検査の頻度は?〜いつ受けるべきか〜
糖尿病治療中の方
- 毎回の受診時(1〜3ヶ月毎):血糖、HbA1c、体重、血圧
- 年1回:眼底検査、尿微量アルブミン、脂質、肝機能、心電図
- 必要に応じて:頸動脈エコー、下肢血管エコー、神経伝導検査
📅 詳細な検査スケジュール:
糖尿病の定期検査ページで、eGFR・眼底・神経検査のタイミングを確認できます。
糖尿病予備群・健診で引っかかった方
- 経過観察中:3〜6ヶ月毎に空腹時血糖とHbA1c
- 診断が不明確な場合:75gOGTTの実施を検討
検査結果の見方〜HbA1cとGAの違い〜
HbA1cとGAは、どちらも「過去の血糖コントロール」を表しますが、期間が異なります。
| 検査 | 反映期間 | 特徴 |
|---|---|---|
| HbA1c | 過去2〜3ヶ月 | 標準的な指標。貧血があると正確に測定できない |
| GA | 過去2週間 | 短期間の変化を捉えられる。甲状腺機能低下症や低アルブミン血症で値が変動 |
HbA1c・GAが正確に反映しない場合
HbA1cが低く出る場合(実力以上に良く見える)
- 貧血
- 貧血からの回復後(若い赤血球の比率が高い)
- 肝硬変、溶血
- 腎不全でエリスロポエチン製剤投与中
- 加齢による腎機能低下
HbA1cが高く出る場合(実力以上に悪く見える)
- 乳び血症
- アルコール多飲
GAが正確に反映しない場合
- 肝硬変(アルブミンの産生・分解能が低下)
- 甲状腺機能低下症
- ネフローゼ症候群(アルブミン量に影響)
ポイント:HbA1cとGAを比較することで、より正確な病態把握が可能になります。血糖コントロールが急激に悪化している局面では両者の比が大きくなり、急速に改善している場合には両者の比が小さくなります。
血糖自己測定(SMBG)の誤差について
血糖自己測定器の特性
血糖測定器は患者さんが自己血糖測定するための器械です。測定値は指先等の毛細血管血の採血値を補正して表示しています。
血液中のブドウ糖濃度の違い
静脈血 < 毛細血管血 < 動脈血
静脈血は毛細血管血よりも約10%低値となると言われています。
測定器の誤差範囲
通常、血糖自己測定器のパッケージやセンサーの箱に誤差範囲が記載されています。おおよそ±10〜20%と記載されています。
誤差が生じる主な原因
1)測定に用いる血液量が少な過ぎる
十分量の血液を用いて測定し直しましょう。血液量が少ない場合、-20%ほど血糖値が低く出てしまうことがあります。
2)手が汚れている状態で使用
手をきれいに洗ってから使用することが重要です。甘いものを食べたその手で測定する、といった分かりやすいケースから、測定の阻害になるような物質を手につけたまま測定してしまうケースまであります。指先に穴を開けるのですから、可能な限り手を清潔な状態にして使用しましょう。
3)測定器を揺らしながら測定
揺らしながら測定すると血中ブドウ糖と試薬の反応が促進され、高い値が出る傾向があります。血糖測定は水平で安定した場所において静かに行いましょう。
正確な測定のポイント
- 測定前には必ず手を洗い、乾燥させる
- 十分な量の血液を採取する
- 測定中は測定器を揺らさない
- 測定器と試薬の有効期限を確認する
- 極端な値が出た場合は再測定する
📊 CGM(持続血糖測定)について:
自己測定の煩わしさを減らし、24時間の血糖変動を可視化するCGM機種比較もご覧ください。
注意:血糖自己測定器はあくまで「目安」であり、正確な値を知るためには病院での血液検査が必要です。測定値が気になる場合は、主治医に相談してください。
📚 検査関連ページ一覧
- HbA1c – 過去2〜3ヶ月の平均血糖
- グリコアルブミン(GA) – 過去2週間の血糖
- 75gOGTT – 糖尿病の確定診断
- Beyond HbA1c – 血糖変動の評価
- 定期検査 – 合併症スクリーニング(年1回)
- 妊娠糖尿病検査 – 妊婦さんの75gOGTT