混合型インスリン(プレミックス)の種類・配合比・作用時間

混合型インスリン(プレミックス)は、速効型インスリン(または超速効型インスリン)と中効型インスリンを一定の比率で混合した製剤です。「プレミックス」という名称は「あらかじめ(pre)混合(mix)された」ことに由来します。1回の注射で、食後血糖(速効型成分が担当)と基礎血糖(中効型成分が担当)の両方をカバーできるため、注射回数を1日2回に減らせることが最大のメリットです。

配合比の意味——数字が示すバランス

混合型インスリンの名称に含まれる数字(30/70、50/50など)は、速効型成分と中効型成分の配合比率を表します。

  • 25/75(ヒューマログミックス25):超速効型25%+中効型75%。基礎血糖重視。
  • 30/70(ノボミックス30、ノボリン30R):速効型30%+中効型70%。多くの患者さんの基本配合。
  • 50/50(ノボミックス50、ヒューマログミックス50):速効型50%+中効型50%。食後血糖が高い方に。

主な製剤一覧と作用時間比較

日本で使用可能な主な混合型インスリン製剤を、作用時間とともに比較します。

商品名 配合成分 配合比(速効型:中間型) 作用発現 最大効果 作用持続時間
ノボリン30R ヒトインスリン 30:70 約30分 2〜8時間 約24時間
ヒューマリン3/7 ヒトインスリン 30:70 約30分 2〜8時間 約24時間
ノボミックス30 インスリンアスパルト 30:70 約10〜20分 1〜4時間 約24時間
ノボミックス50 インスリンアスパルト 50:50 約10〜20分 1〜4時間 約24時間
ヒューマログミックス25 インスリンリスプロ 25:75 約15〜30分 1〜6時間 約24時間
ヒューマログミックス50 インスリンリスプロ 50:50 約15〜30分 1〜6時間 約24時間
ライゾデグ配合注 インスリンアスパルト+デグルデク 30:70(超速効型:持効型) 約10〜20分 1〜4時間 約42時間以上

※作用時間は個人差があります。目安としてご参照ください。ライゾデグ配合注は持効型インスリンデグルデクとの配合であり、従来の混合型とは作用プロファイルが異なります。

ノボミックス30と50の違い

ノボミックス30と50は、同じインスリンアスパルト(超速効型)をベースにしながら、配合比が異なります。

  • ノボミックス30(30/70):中効型成分が70%と多いため、基礎インスリンの補充効果が強い。空腹時血糖が高い方、食事の炭水化物量が比較的安定している方に適します。
  • ノボミックス50(50/50):超速効型成分が50%と多いため、食後血糖への効果が強い。食後高血糖が目立つ方、食事量の変動が大きい方に適します。

1日2回投与法の実際

混合型インスリンの標準的な投与方法は、朝食前と夕食前の1日2回注射です。

  1. 朝食前(通常6:00〜8:00):朝食の30分前(ヒトインスリン混合の場合)または15分前(超速効型混合の場合)に注射。朝食後の血糖上昇を抑えつつ、昼食時まで基礎インスリンを供給します。
  2. 夕食前(通常17:00〜19:00):夕食の30分前(または15分前)に注射。夕食後の血糖上昇を抑えつつ、夜間〜翌朝までの基礎インスリンを供給します。

注射のタイミングは製剤によって異なります。ヒトインスリン配合(ノボリン30R、ヒューマリン3/7)は食前30分、超速効型配合(ノボミックス、ヒューマログミックス)は食前15分以内または食直前が推奨されます。

プレミックスが適している患者像

混合型インスリンは、以下のような患者さんに特に適しています:

  • インスリン注射を開始する2型糖尿病患者さん——1日2回から始められるため、導入のハードルが低い
  • 忙しくて注射の回数を減らしたい方——仕事中や外出先での注射が困難なケース
  • 食事内容と食事時間が比較的一定の方——混合型は食事パターンが安定しているほど効果を発揮しやすい
  • 高齢で複数回の注射が難しい方——認知機能や手技の面で簡便なレジメンが望ましいケース
  • 基礎インスリン単独では血糖コントロール不十分な方——食後高血糖のコントロールも同時に必要

基礎インスリン+食前追加療法(頻回注射療法)との違い

比較項目 混合型インスリン(プレミックス) 基礎インスリン+食前追加療法
注射回数 1日2回 1日4〜5回
食事対応の柔軟性 低い(食事量・時間が固定傾向) 高い(食事量に応じて用量調整可能)
血糖コントロールの緻密さ 中程度 高い
患者さんの負担 低い 高い
低血糖リスク 中程度(特に夕食前〜深夜) 食事を抜いた際にリスク増大
適する患者さん 食事パターンが規則正しい方、高齢者、導入期 食事量変動が大きい方、強化療法が必要な方

どちらの方法を選ぶかは、患者さんのライフスタイル、血糖コントロール目標、自己管理能力を総合的に判断して決定します。

使用上の注意点——低血糖と注射タイミング

混合型インスリンを使用する際は、以下の点に注意が必要です:

  • 低血糖リスク:特に夕食前注射後〜深夜にかけての中効型成分のピーク時に低血糖が起こりやすい。就寝前の血糖測定が重要。
  • 注射タイミングの遵守:食事の30分前(または15分前)を守らないと、食後高血糖や低血糖の原因になります。
  • 食事を抜く場合:混合型インスリンは食事を抜いても注射が必要なため、低血糖リスクが高まります。不規則な食事の方には慎重な適応判断が必要です。
  • 配合比の調整:同一製剤内での配合比の変更はできません。配合比を変えたい場合は別の製剤への切り替えが必要です。
  • 注射部位のローテーション:同じ部位に繰り返し注射すると脂肪萎縮や脂肪肥厚を起こす可能性があります。腹部・大腿・上腕などを計画的にローテーションしましょう。

⚠ 低血糖に注意——こんな症状が出たらすぐ対応を

冷や汗、動悸、手の震え、強い空腹感、めまい、意識がぼんやりする——これらは低血糖のサインです。症状を感じたらすぐにブドウ糖(または砂糖入りの飲料)を摂取してください。意識がない場合、周囲の方はすぐに119番へのご連絡をおすすめします。

関連ページ低血糖の症状と対処法

他のインスリン製剤について

当院では、患者様のライフスタイルに合わせて以下のインスリン製剤もご案内しています。混合型インスリンとの違いを比較してみてください:

まとめ——プレミックスは「簡便さと効果のバランス」が魅力

混合型インスリン(プレミックス)は、注射回数を抑えながら食後血糖と基礎血糖の両方をコントロールできる、バランスの良いインスリン製剤です。

混合型インスリンで治療を始めた後も、定期的な血糖測定と医師による評価が欠かせません。血糖コントロールの状態に応じて、配合比の変更や他のレジメンへの移行を検討します。治療の選択肢を広く知った上で、自分に合った方法を見つけることが、長く続けられるインスリン治療の鍵です。

配合比(30/70、50/50など)は患者さんの血糖パターンに合わせて選択します。

メリットは簡便さですが、食事パターンが不規則な方や強化療法が必要な方には、基礎インスリン+食前追加療法のほうが適している場合もあります。どちらが最適かは、一人ひとりの生活スタイルや血糖コントロール目標に応じて決めることが大切です。

ご相談・予約

インスリン治療で「注射回数を減らしたい」「今の治療でいいのか不安」など、どんなことでもお気軽にご相談ください。患者様の生活スタイルに合わせて、最適なインスリン療法をご提案します。

「注射回数を減らしたい」——混合型インスリンで、負担を軽くしましょう。

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最終更新日:2026-08-28

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

19/05/2026