ランタスXRの特徴|作用時間・トレシーバ違い|しもやま内科(船橋市)

ランタスXR(インスリングラルギンXR)とは

ランタスXR(一般名:インスリングラルギンXR)は、従来のランタス(インスリングラルギン)を改良し、より長時間・より安定した作用を実現した1日1回投与の持効型インスリン製剤です。「ランタスを打っているけど、次の注射の直前(24時間近く経った頃)になると血糖が上がってしまう」という方に検討いただくことが多い製剤です。ランタスと同じ有効成分(インスリングラルギン)ですが、放出制御技術により作用時間が延長され、従来品ではカバーしきれなかった時間帯も安定した効果を維持します。

当院(しもやま内科、船橋市)では、患者様の血糖コントロール状況や生活リズムに合わせて、ランタスXRを含めた複数の基礎インスリン製剤の中から最適なものをご提案しています。

ランタス(従来型)との違い:濃度・持続時間

従来のランタスとランタスXRの最も大きな違いは、インスリン濃度(U-100 vs U-300)と作用持続時間です。

項目 ランタス(U-100) ランタスXR(U-300)
濃度 100単位/mL 300単位/mL(3倍濃縮)
作用持続時間 約24時間 約36時間以上
有効成分 インスリングラルギン インスリングラルギン(同一)
ピーク ほぼピークレス ピークレス(よりフラット)

ランタスXRは3倍濃縮(U-300)のため注射量(液量)が少なく済みます。また、放出制御により24時間を超えて安定した効果が持続するため、注射間際の血糖上昇(エンド・オブ・ドーズ効果)が気になる方に適しています。切り替えは比較的スムーズで、翌日の注射から同用量でスタートすることが一般的です。

作用時間と投与方法

ランタスXRの作用時間は約36時間以上で、1日1回の注射で安定した基礎インスリンを供給します。投与タイミングは毎日同じ時間帯が理想ですが、前後2〜3時間程度のずれであれば大きな影響はありません。

  • 注射回数:1日1回
  • 投与時間:毎日同じ時間帯(朝・夕・就寝前など生活リズムに合わせて決定)
  • 注射部位:腹部、大腿部、上腕部(部位による吸収速度の差はあるが、毎回同じ部位をローテーション)
  • 適応:1型糖尿病・2型糖尿病の基礎インスリン治療

ランタスXRはピークレス(作用の山がない)なプロファイルを持つため、従来のNPHインスリンのように作用のピーク時に低血糖を起こすリスクが少なく、安全に使用しやすい点が特徴です。

トレシーバ(インスリンデグルデク)との比較

トレシーバ(一般名:インスリンデグルデク)もランタスXRと同じく1日1回の持効型インスリンですが、以下のような違いがあります。

項目 ランタスXR トレシーバ
有効成分 インスリングラルギン インスリンデグルデク
作用時間 約36時間以上 約42時間以上
注射時間の融通 前後2〜3時間程度 前後8〜12時間程度(非常に自由度が高い)
濃度 U-300(3倍濃縮) U-100
低血糖リスク 低い 非常に低い

シフト勤務や生活リズムが不規則な方には、注射時間の融通が利くトレシーバが適している場合があります。一方、ランタスから切り替える場合は同じ成分のランタスXRの方がスムーズです。どちらを選ぶかは、患者様の生活スタイルや現在の治療状況によって個別に判断します。

グラルギンBS(バイオシミラー)との関係

インスリングラルギンには、先発品(ランタス/ランタスXR)のほかに、バイオシミラー(後続品)も複数販売されています。日本では以下のグラルギンBS(バイオシミラー)が使用可能です:

  • グラルギンBS「リリー」(インスリングラルギンBS)
  • グラルギンBS「サノフィ」
  • ベースリン(富士フイルム富山化学)

これらのバイオシミラーはランタス(U-100)と同等の有効性・安全性が確認されており、薬価が先発品より安いため、医療費の負担を軽減できる選択肢です。ただし、ランタスXR(U-300)に対応するバイオシミラーは現時点で存在しません。ランタスXRの持続時間の延長や濃縮が必要な方は、原則として先発品のランタスXRを使用することになります。経済的な理由で先発品の継続が難しい場合は、ランタス通常品またはバイオシミラーへの変更も含めてご相談ください。

適応患者像:こんな方におすすめ

  • 次の注射の前に血糖が上がってしまう方(24時間を超えて効果がほしい方)
  • 夜間から早朝にかけての血糖コントロールに悩んでいる方
  • すでにランタスを使用していて、もう少し安定した効果を望む方
  • 注射量(液量)を減らしたい方(U-300で3倍濃縮のため、同じ単位でも注入液量が1/3)
  • ランタスとトレシーバのどちらかを迷っている方

一方、以下のような方はランタスXRより別の基礎インスリンの方が適している場合があります:

  • 生活リズムが極端に不規則で、注射時間を大きく変えたい方→トレシーバが適する場合あり
  • 週1回投与を希望する方→アウィクリ(インスリンイコデク)の選択肢あり
  • 費用を優先したい方→グラルギンBS(バイオシミラー)の選択肢あり

副作用:低血糖と注射部位反応

低血糖

すべてのインスリン製剤に共通する最も重要な副作用は低血糖です。ランタスXRはピークレスで低血糖リスクが少ない設計ですが、以下のような状況では低血糖に注意が必要です:

  • 食事量が通常より少なかった
  • いつもより多くの運動を行った
  • アルコールを摂取した
  • 他の糖尿病薬(SU薬など)と併用している

⚠️ 低血糖の症状と緊急対応

症状:冷や汗、動悸、手の震え、強い空腹感、めまい、意識がぼんやりする

対応(15のルール)
① ブドウ糖5〜10g、または砂糖入り飲料(ジュースなど)100〜150mLを摂取
② 15分後に再測定
③ 改善しなければもう一度同量を摂取
④ 改善しない、または意識障害がある場合はすぐに救急搬送(119番)

☎ 当院でも緊急時の対応をサポートします。047-467-5500

注射部位反応

注射部位の発赤、腫れ、かゆみ、内出血(皮下出血)などが生じることがあります。これらは多くの場合、数日で自然に改善します。同じ場所に連続して注射するとリポ肥大(脂肪の塊)が生じ、インスリンの吸収にムラが出る原因となるため、部位を毎回ローテーションすることが重要です。

他の基礎インスリン製剤との比較表

製剤名 一般名 投与頻度 作用時間 特徴
ランタス インスリングラルギン 1日1回 約24時間 スタンダードな基礎インスリン、バイオシミラーあり
ランタスXR インスリングラルギンXR 1日1回 約36時間以上 高濃度・長時間、エンド・オブ・ドーズ効果を改善
トレシーバ インスリンデグルデク 1日1回 約42時間以上 注射時間の自由度が高い、低血糖リスクが非常に低い
アウィクリ インスリンイコデク 週1回 約7日間 注射頻度が最も少ない

インスリン製剤の一覧

当院では、患者様のライフスタイルや血糖コントロール状況に合わせて、以下のインスリン製剤をご案内しています。詳しくはインスリン製剤一覧をご覧ください。

❓ よくある質問

ランタスXRとランタスの違いは何ですか?
ランタスXRは従来のランタスを高濃度(U-300)・長時間作用化した製剤です。有効成分は同じインスリングラルギンですが、放出制御技術により約36時間以上とより長く安定した効果が持続します。注射の直前になって血糖が上がる「エンド・オブ・ドーズ効果」が気になる方に適しています。
ランタスXRの作用時間はどのくらいですか?
ランタスXRの作用時間は約36時間以上です。従来のランタス(約24時間)より長く、1日1回の注射で翌日の同じ時間まで安定した基礎インスリン効果を維持します。
トレシーバとランタスXRはどちらがいいですか?
どちらが良いかは患者様の生活リズムや治療状況によります。トレシーバは注射時間の融通が利く(前後8〜12時間程度)ため、シフト勤務など不規則な生活の方に適します。ランタスXRは同じインスリングラルギン系からの切り替えがスムーズで、ランタス使用者がステップアップする際に選ばれることが多いです。当院では個別に相談の上、最適な製剤を提案します。
ランタスXRはいつ注射すればいいですか?
毎日同じ時間帯に注射するのが理想的です。朝・夕・就寝前のいずれでも構いませんが、生活リズムに合わせて一定の時間に注射してください。前後2〜3時間程度のずれであれば大きな問題はありません。
グラルギンBS(バイオシミラー)との違いは?
グラルギンBSは従来のランタス(U-100)のバイオシミラーで、ランタスXR(U-300)のバイオシミラーは現時点で存在しません。経済的な理由でコストを抑えたい場合は、ランタス通常品またはグラルギンBSへの変更も検討できます。ランタスXRの長時間作用や高濃度によるメリットが必要な方は先発品の継続となります。
ランタスからランタスXRへの切り替えはどうやりますか?
翌日の注射からランタスXRに変更し、用量は同じ単位数からスタートすることが一般的です。切り替え後1〜2週間は血糖値を多めに測定し、必要に応じて微調整を行います。必ず医師の指示に従ってください。
ランタスXRの値段は高いですか?
ランタスXRは放出制御技術を採用しているため、従来のランタスより薬価は高めです。ただし保険診療内での自己負担額の差は限定的です。詳しい金額はお薬をお受け取りになる薬局でご確認ください。費用が気になる方はバイオシミラーの選択肢もご相談ください。
ランタスXRの副作用は?
主な副作用は低血糖と注射部位反応(発赤・腫れ・内出血)です。ランタスXRはピークレス設計のため従来型より低血糖リスクは低いですが、食事量の減少や運動時などは注意が必要です。注射部位は毎回ローテーションし、リポ肥大を防ぎましょう。
注射を忘れた場合どうすればいいですか?
気づいたときにできるだけ早く注射してください。ただし、次の注射時間まで6時間以内の場合は、その回はスキップして次の通常のタイミングに戻してください(2回続けて打つと低血糖のリスクがあります)。2回分をまとめて打たないでください。判断に迷う場合は当院までご連絡ください。
ランタスXRは1型糖尿病にも使えますか?
はい、1型糖尿病の基礎インスリンとしても使用できます。1型糖尿病ではインスリン分泌が完全に枯渇しているため、ランタスXRで基礎インスリンを補充し、追加で食事時の速効型インスリンを併用する治療が一般的です。

インスリン治療のこと、専門医に相談してみませんか?

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しもやま内科
千葉県船橋市芝山4-33-5
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最終更新日:2026-08-25

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

25/04/2026