糖尿病治療薬の種類と選び方|内服薬・注射薬一覧|しもやま内科(船橋市)

糖尿病の治療薬は、患者さん一人ひとりの状態に合わせて選択します。内服薬と注射薬にはそれぞれ異なる作用機序があり、肥満・やせ体型、心不全や腎機能の有無、年齢や生活スタイルによって最適な薬剤が異なります。しもやま内科では10種類以上の糖尿病治療薬を取り扱い、エビデンスに基づいた個別化治療を提供しています。

糖尿病治療薬の種類

糖尿病の治療薬は大きく分けて「内服薬(経口血糖降下薬)」と「注射薬」に分類されます。それぞれの特徴を理解し、患者さんの状態に合わせて選択することが重要です。

内服薬(経口血糖降下薬)

  • メトホルミン(商品名:メトグルコ):2型糖尿病の第一選択薬。肝臓での糖新生を抑制し、インスリン抵抗性を改善。体重増加がなく、低血糖リスクが低い。
  • SGLT2阻害薬(商品名:フォシーガ・ジャディアンスなど):腎臓での血糖再吸収を抑え、尿中に排泄。体重減少効果・心腎保護効果がエビデンスで確認されている。
  • DPP-4阻害薬(商品名:ジャヌビア・トラゼンタなど):インクレチン(GLP-1)の分解を抑え、食後高血糖を抑制。低血糖リスクが低く、高齢者にも使いやすい。
  • SU剤(商品名:アマリール・ディアミクロンなど):膵臓からのインスリン分泌を促進。血糖降下作用は強いが、低血糖に注意が必要。
  • グリニド薬(商品名:ファスティック・ノボノルムなど):食後血糖上昇を抑える速効型薬。食直前に服用し、食事を抜くときはスキップ可能。
  • ピオグリタゾン(商品名:アクトス):インスリン抵抗性を改善するチアゾリジン系薬。内臓脂肪型肥満の患者に適応。詳細はピオグリタゾンのページをご参照ください。
  • α-GI(商品名:ベイスン・グルコバイなど):腸管での糖質吸収を遅らせ、食後血糖の急上昇を抑制。

注射薬

  • GLP-1受容体作動薬(商品名:オゼンピック・トルリシティ・マンジャロなど):週1回の皮下注射。インスリン分泌促進・胃内容排出遅延・食欲抑制により体重減少効果が高い。
  • インスリン療法:最も強力な血糖降下作用。1型糖尿病では必須、2型糖尿病でも経口薬でコントロール不良の場合に導入。基礎インスリン・追加インスリン・持続皮下注(CSII)など複数の選択肢がある。

内服薬と注射薬の使い分け方

糖尿病治療の基本は内服薬(経口血糖降下薬)から開始します。2型糖尿病の第一選択はメトホルミンで、効果不十分な場合に追加の内服薬を併用します。

注射薬への切り替え・追加を検討するタイミングは以下の通りです:

  • 内服薬2〜3剤を最大用量まで使用してもHbA1cが目標未達成(一般的に7.0%未満が目標)の場合
  • 強い体重減少効果が必要な肥満症例では、GLP-1受容体作動薬を内服薬に上乗せ
  • 血糖値が極めて高い(HbA1c 9.0%以上、空腹時血糖250mg/dL以上)場合はインスリン導入を検討
  • 1型糖尿病劇症1型が疑われる場合は最初からインスリン療法

当院では経口薬・注射薬のメリットを総合的に評価し、患者さんのライフスタイルや治療目標に合わせて段階的に治療を強化します。

併用療法の考え方

単剤で血糖コントロールが不十分な場合、作用機序の異なる薬剤を組み合わせる併用療法を行います。適切な併用により、単剤よりも強い血糖降下効果が得られ、用量を抑えられるため副作用リスクも軽減できます。

代表的な併用パターン

  • メトホルミン+DPP-4阻害薬:低血糖リスクが低く、最も標準的な2剤併用。体重増加なし。
  • メトホルミン+SGLT2阻害薬:体重減少・心腎保護を同時に期待。心血管リスクの高い患者に有用。
  • メトホルミン+SU剤:血糖降下作用が強いが、低血糖リスクがやや高い。コストを抑えたい場合に選択。
  • メトホルミン+GLP-1受容体作動薬:体重減少と血糖改善の両立。肥満合併例に強く推奨。
  • SGLT2阻害薬+GLP-1受容体作動薬:体重減少・心血管保護の相乗効果。作用機序の異なる注射+内服の組み合わせ。
  • 経口薬3剤併用(メトホルミン+DPP-4阻害薬+SGLT2阻害薬など):インスリン導入前の選択肢として増加中。

患者さんのタイプ別 薬剤選択ガイド

肥満・内臓脂肪型の方

  • 第一選択:メトホルミン
  • 追加選択:SGLT2阻害薬(体重減少効果)・GLP-1受容体作動薬(体重減少効果)
  • 適応あり:ピオグリタゾン(インスリン抵抗性改善)

心不全・心血管疾患を合併の方

  • 積極的に使用:SGLT2阻害薬(心不全・心血管イベント抑制のエビデンス)
  • 使用可能:メトホルミン・GLP-1受容体作動薬・DPP-4阻害薬
  • 注意・禁忌:ピオグリタゾン(心不全悪化リスク)

腎機能低下の方

  • 腎機能非依存:リナグリプチン(トラゼンタ:DPP-4阻害薬)・SGLT2阻害薬の一部(eGFRによる用量調整あり)
  • 用量調整が必要:多くの薬剤(メトホルミン・SGLT2阻害薬など)
  • 禁忌:メトホルミン(eGFR 30未満で使用不可)

高齢者・低血糖リスクを避けたい方

  • 低血糖リスク低:メトホルミン・SGLT2阻害薬・DPP-4阻害薬・GLP-1受容体作動薬
  • 低血糖リスクあり:SU剤・グリニド薬・インスリン(単独使用時は比較的低いが、併用時は注意)

やせ型・インスリン分泌低下の方

  • 有効:SU剤・グリニド薬・インスリン(インスリン分泌促進・補充)
  • 効果が限定的:メトホルミン・SGLT2阻害薬(インスリン抵抗性改善主体の薬剤)

薬剤選択のポイント

  • 体重:減らしたい→SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬。増やしたい→SU剤・インスリン
  • 低血糖リスク:避けたい→メトホルミン・SGLT2阻害薬・DPP-4阻害薬・GLP-1受容体作動薬
  • 心血管保護:SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬に有効性データあり
  • 腎保護:SGLT2阻害薬・メトホルミン(適応内)にエビデンスあり
  • 服用回数:1日1回が望ましい→SGLT2阻害薬・DPP-4阻害薬(多くは1日1回)
  • コスト:長期内服が必要な場合、保険診療内での薬剤費も考慮して選択

緊急を要する症状について

以下の症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。

すぐに当院に電話・受診が必要な症状

  • 意識がもうろうとする、呼びかけに反応が弱い
  • 冷や汗・動悸・手の震えが続き、ブドウ糖を摂取しても改善しない(重症低血糖の可能性)
  • 嘔吐・腹痛が続き、水分も摂れない
  • 急激な体重減少と口渇・多尿(高血糖昏睡の可能性)

当院TEL:047-467-5500(診療時間内)

すぐに119番へ

  • 意識がない・呼びかけに全く反応しない
  • けいれんが止まらない
  • 呼吸がおかしい(深く速い呼吸)

よくある質問(FAQ)

Q1. 糖尿病の薬はどうやって選ばれますか?

患者さんの年齢、体重・肥満度、合併症(心不全・腎症・肝疾患など)、低血糖リスク、生活スタイル(食事時間・仕事内容)、治療費などを総合的に評価して選びます。しもやま内科では、患者さんと十分に相談しながら最適な薬を選択しています。

Q2. SGLT2阻害薬とDPP-4阻害薬の違いは?

SGLT2阻害薬は腎臓で糖を尿に排泄することで血糖を下げ、体重減少・心腎保護効果があります。DPP-4阻害薬はインクレチンを分解から保護してインスリン分泌を促進し、低血糖リスクが極めて低いことが特徴です。SGLT2阻害薬は心血管リスクが高い方に、DPP-4阻害薬は高齢者や低血糖を避けたい方におすすめです。

Q3. メトホルミンはいつ飲むのが効果的?

メトホルミンは食後または食直前に服用します。空腹時に服用すると胃腸障害(吐き気・下痢)が起こりやすいため、食事と一緒に飲むことが推奨されます。1日2回型(メトグルコ)は朝・夕食後に、1日1回の徐放製剤は夕食後の服用で十分な効果が得られます。

Q4. 薬は一生飲み続けなければいけませんか?

必ずしもそうではありません。体重減少や生活習慣の改善で血糖が安定し、長期間良好なコントロールを維持できれば、薬を減らしたり休止したりできる場合もあります(糖尿病寛解)。ただし、自己判断での中断は血糖悪化や合併症リスク上昇につながるため、必ず医師と相談の上で調整してください。

Q5. 糖尿病治療薬を飲むと太りますか?

薬の種類により異なります。SU剤・インスリン・ピオグリタゾンは体重増加の可能性があります。一方、メトホルミン・SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬は体重減少効果が期待できます。体重増加が気になる方は、減量効果のある薬剤を優先的に選択することが可能です。

Q6. 副作用が心配です

どの薬にも副作用の可能性はありますが、患者さんの状態に合わせて適切に選べば安全性は高まります。しもやま内科では、定期的な血液検査・尿検査とフォローアップで副作用を早期発見・対応しています。気になる症状があれば遠慮なくご相談ください。

Q7. 血糖値が正常になったら薬をやめてもいい?

医師の判断なしに自己判断で中止することは危険です。血糖値が正常化したように見えても、それは薬の効果によるもので、中止すれば再び高血糖になる可能性が高いです。体重減少や生活習慣の改善によって薬の減量・中止が可能かどうかは、医師が経過を総合的に判断します。

Q8. 複数の薬を併用しますか?

はい、多くの場合1種類の薬で十分な血糖コントロールができない場合、2〜3種類の薬を併用します。作用機序の異なる薬を組み合わせることで、相乗効果が期待でき、各薬剤の用量を抑えられるため副作用リスクも低減できます。

Q9. 注射は痛くないですか?

現代の注射針は極細で、痛みは軽微です。多くの患者さんは「思ったより痛くなかった」とおっしゃいます。GLP-1受容体作動薬は週1回の注射で済みます。インスリンも専用のペン型注入器や注射補助具を使用することで負担を軽減できます。当院では注射のコツも丁寧にお伝えします。

Q10. グリニド薬を飲み忘れたらどうすればいい?

グリニド薬(ファスティック・ノボノルムなど)は食直前に服用する薬です。飲み忘れに気づいた時点で、もし食事をまだ食べている途中であれば直ちに服用してください。食事が終わってから気づいた場合は、その回はスキップし、次の食事の前に通常通り服用してください。まとめて2回分を服用するのは避けてください。

治療薬の詳細ページ

各薬剤の詳細な作用機序・副作用・注意事項については、以下の個別ページをご覧ください。

内服薬(経口血糖降下薬)

  • メトホルミン:2型糖尿病の第一選択薬。作用・副作用・用法の詳細
  • SGLT2阻害薬(フォシーガ・ジャディアンス・ルセフィなど)
  • DPP-4阻害薬(ジャヌビア・トラゼンタ・エクアなど)
  • SU剤(アマリール・ディアミクロンなど)
  • グリニド薬(ファスティック・ノボノルム・グルファストなど)
  • ピオグリタゾン(アクトス:インスリン抵抗性改善薬の詳細)
  • α-GI(ベイスン・グルコバイ・セイブルなど)

注射薬

関連ページ


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最終更新日:2026-08-26

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

07/03/2026