粘液水腫性昏睡(Myxedema Coma)とは?低体温・意識障害を伴う緊急状態を専門医が解説|船橋市 しもやま内科

「甲状腺の病気って、放置するとどうなるの?」——たまにそう質問されることがあります。甲状腺機能低下症(橋本病)を治療せずに放置すると、ごく稀に「粘液水腫昏睡(myxedema coma)」という重篤な状態に陥ることがあります。年に数例あるかないかの非常に稀なケースですが、知っておいて損はないので今回はその話をします。

そもそも粘液水腫昏睡って?

甲状腺機能低下症が極度に進行し、体温・意識・呼吸・血圧など生命維持に関わる機能が低下した状態です。「昏睡」という名前からイメージされる通り、意識がもうろうとして最終的には昏睡状態に至ります。

補足すると「粘液水腫」という名前ですが、皮膚がブヨブヨに腫れるわけではありません(昔そう呼ばれていた名残です)。実際には全身の代謝が極端に落ちて、生命の危機に陥る状態——これが粘液水腫昏睡です。

なぜ起こるのか

甲状腺機能低下症の治療を自己判断で中断してしまった場合が最も多いです。「薬を飲むのを忘れて何ヶ月も経ってしまった」というケースや、「症状がないからもう大丈夫」と思って通院をやめてしまったケース。

その他、感染症や手術、外傷、寒さへの曝露などがきっかけになることもあります。

こんな症状が出たら要注意

  • 極度の寒がりと体温低下——体温が35度以下になることも
  • 意識の低下——ボンヤリしている、反応が鈍い、呼びかけに答えない
  • 呼吸が遅くて浅い
  • 顔やまぶたの腫れぼったさ
  • 徐脈(脈拍が極端に遅い)
  • 低血圧

これは「救急車を呼ぶべき」状態です。在宅での対応は不可能なので、迷わず救急要請を。

甲状腺機能低下症の治療中で、「最近薬を飲んでいない」という方——今すぐ再開してください。そして早めに医療機関を受診しましょう。粘液水腫昏睡は、適切な甲状腺ホルモン補充を続けていればほぼ防げる病気です。

❓ よくある質問

どのくらいの頻度で起こる?
非常に稀です。甲状腺機能低下症患者さんのうち、粘液水腫昏睡を発症するのは0.1%未満と言われています。ただし、高齢者や薬を中断している方はリスクが高いので注意が必要です。
治療すれば回復する?
早期発見・早期治療が鍵です。甲状腺ホルモンの静脈注射や全身管理で回復が見込めますが、発見が遅れると命に関わることもあります。だからこそ「なる前の予防」が何より大事。

甲状腺の薬、ちゃんと飲めてますか?自己判断でやめるのが一番危険です。

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最終更新日:2026-04-03

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

08/10/2025

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