内分泌内科

原発性アルドステロン症とは?治りにくい高血圧・低カリウムの原因と検査|しもやま内科

01/10/2018

原発性アルドステロン症:見逃さないための要点

高血圧の原因として「原発性アルドステロン症(PA)」が隠れていることがあります。まずは血液検査(アルドステロン/レニン比:ARR)でスクリーニングし、必要に応じて専門施設で確定検査・病型診断へ進みます。治療は手術で治せるタイプと、薬でコントロールするタイプに分かれます。

原発性アルドステロン症(Primary Aldosteronism:PA)は、副腎からアルドステロンが過剰に分泌され、高血圧低カリウム血症、心血管リスクの上昇につながり得る病気です。

近年は「思っているより多い」とされ、ガイドラインでもスクリーニング(見つけるための検査)の重要性が強調されています。
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実際の外来診療では、血圧が高いのに薬が増えていく健診でカリウムが低い若い頃から高血圧といった場面で、早めに「PAのスクリーニング」を検討することで治療方針が大きく変わることがあります。


1. どんな人がスクリーニング(ARR検査)の対象ですか?

PAは「高血圧の二次性原因」として重要で、まず血液検査(ARR)で拾い上げ、疑わしければ段階的に精査します。
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  • 低カリウム血症(または利尿薬なしでもカリウムが低め)
  • 治療抵抗性の高血圧(薬を複数使っても目標に届きにくい)
  • 若年発症の高血圧、家族に若年高血圧や脳卒中がいる
  • 副腎偶発腫(副腎に腫瘍が見つかった)+高血圧
  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS)など、背景因子を伴う高血圧で疑いが強い場合

なお近年は「より広くスクリーニングする」方向性も議論されており、Endocrine Societyの新しいガイドライン(2025)では、より多くの高血圧患者を視野に入れた推奨が示されています。
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2. 症状はありますか?(ないことも多い)

PAは症状がはっきりしないことも少なくありません。典型例は高血圧ですが、以下のようなサインが手がかりになります。

  • 血圧が高い(若い頃から・薬が増える)
  • 低カリウム:だるさ、こむら返り、筋力低下など
  • 頭痛・動悸など(他疾患でも起こるため、総合的に判断)

3. 診断の流れ(当院 → 必要時に専門施設へ)

Step 1:ARR(アルドステロン/レニン比)でスクリーニング

最初の入口は血液検査(ARR)です。薬剤や採血条件で値が変動することがあるため、検査のタイミングや前処置は医師の指示に従ってください。
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Step 2:確認検査(確定/除外のための検査)

ARRが高い場合、ガイドラインに沿って確認検査(いくつかの負荷試験など)で「PAらしさ」を確認します。
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Step 3:病型診断(片側か両側か)

治療方針を決めるために、画像検査(CT等)と、必要に応じて副腎静脈サンプリング(AVS)で「片側性(手術で治せる可能性)」か「両側性(薬で管理)」かを評価します。
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4. 治療(手術で治せるタイプ/薬でコントロールするタイプ)

片側性(手術が選択肢)

片側の副腎が原因であれば、副腎摘出術で血圧や低カリウムが改善する可能性があります。病型判断は画像だけでは不十分なことがあり、AVSが重要になることがあります。
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両側性(薬物治療が中心)

両側の副腎が関与する場合は、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)などで治療します。血圧・カリウム・腎機能をみながら、薬剤調整を行います。
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5. 受診の目安(こんなときは早めに相談を)

  • 健診でカリウムが低いと言われた
  • 血圧が高い/薬が増えているのに下がりにくい
  • 副腎の腫瘍(偶発腫)が見つかった
  • 家族に若年の高血圧や脳卒中がいる

当院では、まずスクリーニング(ARR)を含む初期評価を行い、精密検査や手術が必要な場合は高次医療機関と連携してご案内します。

🧭 関連ページ

原発性アルドステロン症について、よくある疑問(検査の流れ・治療・放置リスク)をQ&Aでまとめました。

よくあるご質問(原発性アルドステロン症)

まず不安を整理(症状がなくても大丈夫?)

Q. 症状がないこともありますか?

あります。外見上の変化は乏しく、血清カリウムが正常の方もいるため、症状だけでは見逃されることがあります。

疑うポイント(どんな人が対象?)

Q. どんな人が疑われますか?

薬を飲んでも下がりにくい高血圧、若年発症の高血圧、低カリウム、脳卒中や心肥大など臓器障害を伴う高血圧などでは疑います。

Q. よくある誤解はありますか?

『低カリウムがないから違う』とは限りません。カリウム正常例も少なくないため、治りにくい高血圧ではスクリーニングが大切です。

検査(まず何をする?)

Q. まず何を検査しますか?

アルドステロンとレニンを同時に測定するスクリーニング検査が基本です。結果により、追加の確認検査や画像検査を検討します。

Q. 画像検査(CT/MRI)だけで診断できますか?

画像だけでは確定できません。ホルモン検査の結果と合わせて評価し、必要に応じて専門的な検査が行われます。

症状(低カリウムが関係すること)

Q. 低カリウムだとどんな症状が出ますか?

脱力感、筋力低下、多尿などが起こることがあります。

治療(手術?薬?)

Q. 治療は手術ですか?薬ですか?

片側が原因の場合は手術で血圧改善が期待できます。両側の場合などは薬(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬など)でコントロールします。

Q. 放置すると何が問題ですか?

早期から腎障害、心肥大、脳卒中、心筋梗塞などの臓器障害を合併しやすいとされ、早期診断・早期治療が重要です。

しもやま内科でできること

Q. しもやま内科では何ができますか?

高血圧の背景評価としてホルモン検査(スクリーニング)を行い、結果によりCT/MRIなどの紹介検査や高次医療機関との連携(確定診断・手術検討)を進めます。

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年病専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医

糖尿病・高血圧・甲状腺疾患・副腎疾患など内分泌代謝領域を含む内科診療に長年従事し、地域のかかりつけ医として幅広い症状と検査異常に対応しています。
実際の外来診療では、薬を飲んでも下がりにくい高血圧や低カリウムなどの所見から原発性アルドステロン症を疑い、ホルモン検査による初期評価と、必要時の高次医療機関紹介まで一貫して説明・連携することを重視しています。

📚 参考文献(ガイドライン・一次情報)

  1. Naruse M, Katabami T, Shibata H, et al.
    Japan Endocrine Society clinical practice guideline for the diagnosis and management of primary aldosteronism 2021.
    Endocr J. 2022;69(4):327-359.
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/endocrj/69/4/69_EJ21-0508/_html/-char/ja
  2. Adler GK, Stowasser M, Correa RR, et al.
    Primary Aldosteronism: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline.
    J Clin Endocrinol Metab. 2025;110(9):2453-2495.
    https://www.endocrine.org/clinical-practice-guidelines/primary-aldosteronism-2
  3. Funder JW, Carey RM, Mantero F, et al.
    The management of primary aldosteronism: Case detection, diagnosis, and treatment: An Endocrine Society Clinical Practice Guideline.
    J Clin Endocrinol Metab. 2016;101(5):1889-1916.
    https://academic.oup.com/jcem/article/101/5/1889/2804729

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