1型糖尿病とは

1型糖尿病
糖尿病全体の中で、1型糖尿病は患者さんの約5〜10%程度とされる、比較的少ないタイプの糖尿病です。
多くは自己免疫の異常により、膵臓のβ細胞が攻撃されてインスリンがほとんど出なくなるタイプ(自己免疫性1型糖尿病)です。
膵臓のインスリン分泌が高度に低下するため、治療の中心はインスリン補充(インスリン注射やインスリンポンプ)になります。
飲み薬だけで血糖を保つことはできず、早期からインスリン治療を行うことが非常に重要です。
1型糖尿病か2型糖尿病かはどう診断する?
「自分は1型なのか2型なのか」は、血液検査と病歴の組み合わせである程度はっきりとわかります。
代表的な検査・情報は次のようなものです。
- 膵島関連自己抗体(GAD抗体など)の有無
- Cペプチド(インスリン分泌能)の低下の程度
- 肥満の有無・家族歴・発症年齢・経過の速さ
これらを総合して、「1型糖尿病」「2型糖尿病」「緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)」「劇症1型糖尿病」などを判断していきます。
一度も自己抗体やCペプチドを測定していない方、長年「2型糖尿病」と言われているがインスリン導入が急に必要になった方は、1型関連の検査を一度きちんと受けておく価値があります。
緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM):「2型」に見える1型糖尿病
見た目や発症時期からは2型糖尿病に見えても、実はゆっくり膵β細胞が壊れていく1型糖尿病のことがあり、これを「緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)」と呼びます。
- 診断の時点ではインスリンがまだある程度出ている
- 最初は飲み薬である程度コントロールできるように見える
- 数年かけて徐々にインスリン分泌が低下し、最終的にインスリンがほとんど出なくなる
このタイプでは、自己抗体が陽性であること、経過中にCペプチドが低下してくることなどが診断の手掛かりになります。
詳しくは、こちらのページで解説しています。
→ 緩徐進行1型糖尿病(SPIDDM)とは
劇症1型糖尿病:数日〜1週間で急速に進行するタイプ
もう一つ重要なのが「劇症1型糖尿病」です。
風邪のような症状のあと、数日〜1週間以内に急激な高血糖とケトアシドーシスに至るタイプで、日本から報告された独特の病型です。
- 発症から1週間前後でケトーシス/ケトアシドーシスに陥る
- 初診時の血糖はかなり高いのに、HbA1cはまだそれほど高くない
- Cペプチドが高度に低下し、内因性インスリンがほとんど残っていない
疑った場合は、迅速な治療開始(輸液とインスリン)が必要になります。
詳細は、別ページでまとめています。
→ 劇症1型糖尿病とは|初期症状・診断基準・治療
なぜ「最初にしっかり診断すること」が大切か
1型糖尿病と2型糖尿病では、治療戦略が根本的に違います。
1型(典型・緩徐進行・劇症)ではインスリン治療が中心であり、経口薬だけを続けても十分な効果が得られません。
最初に1型の可能性を見落としてしまうと、
- 「飲み薬を増やしても血糖が下がらない」状態が続く
- その間にCペプチドがどんどん低下し、残っていたインスリン分泌能が失われる
- 結果的に、インスリン導入時には既に完全なインスリン欠乏状態になっている
といった経過をたどることがあります。
一方で、早期に1型と診断し、適切なタイミングでインスリン治療を始めると、残存インスリン分泌を長く保てる可能性があり、血糖変動の少ない良好なコントロールを目指しやすくなります。
一度きちんと検査をして、安心できる治療計画を立てませんか?
- 「自分は2型糖尿病と言われているが、本当にそうなのか不安がある」
- 「やせ型なのに糖尿病と言われた」
- 「飲み薬を増やしてもHbA1cがなかなか下がらない」
こうした場合は、一度、自己抗体やCペプチドを含めた検査を行い、「自分の糖尿病のタイプ」をはっきりさせておくと安心です。
糖尿病は、1型・2型を問わず、放置すると網膜症・腎症・神経障害・心血管疾患などの合併症リスクが高まります。
治療開始が早いほど、将来の合併症リスクを下げられることが多いとされています。
当院では、1型糖尿病・緩徐進行1型糖尿病・劇症1型糖尿病を含め、糖尿病全般について
- 自己抗体・Cペプチド・HbA1cなどの採血
- 必要に応じた入院精査や連携医療機関への紹介
- インスリン導入・インスリンポンプ・持続血糖測定(CGM)の導入支援
などを通じて、一人ひとりに合った治療計画作りをお手伝いしています。
まずは現状を一度きちんと評価し、「自分の糖尿病のタイプ」と「これからの治療の方針」を一緒に整理していきましょう。お気軽にご相談ください。