糖尿病の緊急症である糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と高浸透圧高血糖症候群(HHS)は、命に関わる重篤な状態です。本ページでは、DKAとHHSの症状・診断基準・治療法の違いを、実際の数値基準とともに糖尿病専門医が詳しく解説します。早期発見・適切な対処が命を救います。「いつ救急車を呼ぶべきか」「シックデイ時にどう対応するか」についても具体的にまとめました。
🚨 緊急時の対応 — 119番へのご連絡を
以下の症状がある場合は、119番へのご連絡をおすすめします。
- 意識がない、または意識がぼんやりしている
- 呼吸が異常に深く速い(クエスモール呼吸)
- 激しい腹痛や嘔吐が続いている
- けいれんを起こしている
- 血糖値が600 mg/dL以上で症状がある
- 尿または血中ケトン体が強陽性
迷ったら、とにかく119番。救急隊が医療機関で判断を受けるようサポートします。
糖尿病緊急症とは
血糖コントロールの異常により急激に全身状態が悪化し、短時間で生命の危険が生じる状態を糖尿病緊急症と呼びます。主なものは以下の3つです。
- 低血糖症:血糖値が70 mg/dL未満に低下。数分単位で意識障害・脳障害を起こすため即座の対処が必要。重症低血糖の詳細はこちら
- 糖尿病性ケトアシドーシス(DKA):インスリンの絶対的不足によりケトン体が蓄積し、血液が酸性化(代謝性アシドーシス)する病態。主に1型糖尿病で発症。
- 高浸透圧高血糖症候群(HHS):極度の高血糖(600 mg/dL以上)と高度脱水により血清浸透圧が上昇し、意識障害を来す病態。主に高齢の2型糖尿病で発症。DKAより死亡率が高い。
DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)とは
糖尿病性ケトアシドーシス(Diabetic Ketoacidosis, DKA)は、インスリンが極度に不足することで、体内で脂肪が異化されケトン体(アセト酢酸・β-ヒドロキシ酪酸・アセトン)が過剰産生され、血液が酸性に傾く病態です。
DKAの主な症状
- 多飲・多尿:口渇が強く、大量の水分を摂取し頻尿になる
- 体重減少:急激な体重減少(数日〜数週間で数kg)
- 全身倦怠感・筋力低下
- 吐き気・嘔吐・腹痛:腹部症状を伴うことが多く、急性腹症と誤診されることも
- 深く速い呼吸(クエスモール呼吸/Kussmaul呼吸):アシドーシスを代償するために呼吸数と換気量が増加
- 果実臭(アセトン臭)の口臭:ケトン体の一種(アセトン)が呼気に混じるため
- 意識障害:嗜眠から昏睡まで段階的に進行
- 脱水症状:皮膚乾燥、眼球陥没、口唇乾燥、尿量減少
DKAの主な原因
- インスリン注射の中止・減量・不適切な投与
- 感染症:感冒、肺炎、尿路感染症、胃腸炎など(最も多い誘因)
- 初発の1型糖尿病:診断未確定でインスリンが投与されていない状態
- ストレス・外傷・手術:カテコラミン上昇によるインスリン抵抗性増大
- SGLT2阻害薬の使用:まれに正常血糖DKA(euglycemic DKA)を誘発
HHS(高浸透圧高血糖症候群)とは
高浸透圧高血糖症候群(Hyperosmolar Hyperglycemic State, HHS)は、著しい高血糖(通常600 mg/dL以上)により血清浸透圧が急上昇し、高度脱水と意識障害を来す病態です。DKAと異なりケトーシスは軽度でアシドーシスは原則として認めません。
HHSの主な症状
- 高度の口渇・多飲:1日に3〜5L以上の水分摂取
- 多尿:高血糖による浸透圧利尿の結果、排尿量が著増
- 高度脱水:皮膚ツルゴル低下、粘膜乾燥、眼球陥没、血圧低下、頻脈
- 意識障害:嗜眠・昏迷・昏睡と段階的に進行。DKAより意識障害が目立つ
- けいれん・片麻痺・失語症:脳梗塞と鑑別が必要な神経症状
- 発熱:感染症が誘因となっている場合や、脱水熱として出現
HHSの主な原因
- 感染症:肺炎、尿路感染症、敗血症(最も多い誘因)
- 不適切な治療中断:経口血糖降下薬やインスリンの中止
- 初発の2型糖尿病:無症状で経過し、高度高血糖となって初めて発見
- 利尿薬・ステロイド・免疫抑制薬:血糖上昇作用のある薬剤
- 急性疾患:脳卒中、心筋梗塞、消化管出血、急性膵炎
- 高齢・認知症・ADL低下:水分摂取が不十分になる
DKAとHHSの比較 — 違いを明確に理解する
| 項目 | DKA(糖尿病性ケトアシドーシス) | HHS(高浸透圧高血糖症候群) |
|---|---|---|
| 発症の型 | 急性(数時間〜24時間) | 亜急性〜慢性(数日〜数週間) |
| 好発患者 | 1型糖尿病(若年〜中年) 時に2型糖尿病でも |
2型糖尿病(高齢者) |
| 血糖値 | 250〜500 mg/dL(時に正常血糖DKAあり) | 600 mg/dL以上(時には1,000 mg/dL超) |
| 血清浸透圧 | 変動あり(軽度〜中等度上昇) | 320 mOsm/kg以上(高度上昇) |
| pH(動脈血) | 7.3未満(代謝性アシドーシス) | 7.3以上(正常または軽度低下) |
| HCO₃⁻ | 15 mEq/L未満 | 18 mEq/L以上 |
| ケトン体(血中・尿中) | 強陽性(アシドーシスの原因) | 陰性〜弱陽性 |
| アニオンギャップ | 増加(高AG代謝性アシドーシス) | 正常 |
| 意識障害 | 軽度〜中等度(DKAの重症度に依存) | 高度(浸透圧上昇による) |
| 脱水 | 中等度(体重の5〜10%) | 高度(体重の10〜15%) |
| 死亡率 | 1〜5%(適切な治療下) | 10〜20%(高齢・合併症ありで上昇) |
診断基準 — 数値で見極める
DKAの診断基準(日本糖尿病学会 診断基準より)
以下の3つ全てを満たす場合にDKAと診断します。
- 高血糖:血糖値 250 mg/dL以上
- ケトーシス:血中ケトン体 3.0 mmol/L以上、または尿ケトン体 2+以上
- アシドーシス:動脈血pH 7.3未満、かつ/またはHCO₃⁻ 15 mEq/L未満
重症度分類:
- 軽症:pH 7.25〜7.30、HCO₃⁻ 15〜18 mEq/L
- 中等症:pH 7.00〜7.24、HCO₃⁻ 10〜14 mEq/L
- 重症:pH 7.00未満、HCO₃⁻ 10 mEq/L未満
HHSの診断基準
以下の全てを満たす場合にHHSと診断します。
- 高血糖:血糖値 600 mg/dL以上
- 高浸透圧:血清浸透圧 320 mOsm/kg以上(計算式:2×(Na⁺+K⁺)+血糖値(mg/dL)/18)
- ケトーシスなし:血中ケトン体 3.0 mmol/L未満、尿ケトン体陰性〜弱陽性
- アシドーシスなし:動脈血pH 7.3以上、HCO₃⁻ 18 mEq/L以上
- 意識障害:嗜眠・昏迷・昏睡など(判断基準の必須項目ではないが高率で伴う)
治療の概要
DKA・HHSともに緊急入院での治療が必要です。基本治療の3本柱は以下の通りです。
① 輸液(水分補正)
生理食塩液を用いた急速輸液で循環血液量を回復します。DKAでは総不足水分量の約50%を最初の4〜6時間で投与、残りを24時間かけて補正します。HHSではより高度な脱水に対応し、時に10L以上の輸液が必要です。
② インスリン療法
速効型インスリンの持続静脈注射(または皮下注射)を行います。まず初回ボーラス投与後、0.1単位/kg/時の持続投与で血糖値を漸減(1時間あたり50〜70 mg/dLの低下速度が目安)。血糖値が250 mg/dL程度まで低下したら、ブドウ糖液を併用してインスリンを継続しケトーシス・アシドーシスの消退を図ります。
③ 電解質補正
カリウムはインスリン投与により細胞内に移行し低カリウム血症を来しやすいため、血清K値をモニターしながら適宜補正します。HCO₃⁻の補充は原則行いません(アシドーシス改善により組織酸素化が阻害されるリスクがあるため)。
誘因の治療
感染症が誘因の場合、抗菌薬を適切に使用します。心筋梗塞・脳卒中・急性膵炎など、基礎疾患の精査・治療も並行して行います。
⚠️ 注意:治療中は1時間ごとに血糖値をモニター
DKA・HHS治療中は、血糖値・電解質・血中ケトン体・動脈血ガス分析を頻回に測定し、治療効果と合併症の早期発見に努めます。急速な血糖低下(1時間あたり100 mg/dL以上)は脳浮腫のリスクとなるため、慎重な速度調整が必要です。
警告サイン一覧 — 早期発見チェックリスト
以下のサインに気づいたら、早めに医療機関を受診または電話相談してください。
| カテゴリ | チェック項目 | 緊急度 |
|---|---|---|
| 全身症状 | 強いだるさが続く・体重が急に減った・発熱がある | 🟡 注意 |
| 口渇・排尿 | 異常に喉が渇く・トイレが近い(1日10回以上)・夜中に何度も起きる | 🟡 注意 |
| 消化器症状 | 吐き気がする・嘔吐した・お腹が痛い | 🟠 早めに受診 |
| 呼吸の変化 | 呼吸が深く速くなっている・息が甘い果物のような匂い | 🔴 緊急 |
| 意識の変化 | ぼんやりしている・呼びかけに反応が悪い・話がつじつま合わない | 🔴 緊急(119番) |
| 神経症状 | 手足が震える・けいれん・片方の手足が動かない・呂律が回らない | 🔴 緊急(119番) |
| 血糖値測定 | 血糖値が400 mg/dL以上でケトン体が陽性(DKAの可能性) 血糖値が600 mg/dL以上(HHSの可能性) |
🔴 緊急 |
糖尿病緊急症の予防|シックデイルール
糖尿病緊急症の多くは、適切な予防策で回避できます。特に重要なのがシックデイ(体調不良時)の対応です。
シックデイルール(7つのポイント)
- 絶対にインスリンを自己中断しない:食事が取れなくてもインスリンは継続(ただし減量調整が必要な場合あり、事前に主治医と相談)
- 頻回に血糖を測定する:体調不良時は2〜4時間ごとに測定
- 十分な水分摂取:1時間あたりコップ1杯(150〜200 mL)の経口補水液や水を飲む
- 食事が取れなくても糖質を確保:ゼリー飲料・ジュース・スープなどで1時間あたり15gの糖質を摂取
- ケトン体を確認する:血糖250 mg/dL以上の場合は尿ケトン体または血中ケトン体測定を併用
- 主治医に連絡する目安を決めておく:発熱38℃以上が2日以上持続/血糖値が400 mg/dL以上でケトン体陽性/嘔吐や下痢で水分摂取不能/意識の変化がある
- 悪化時は躊躇なく病院へ:「様子を見よう」が命取りになることがある
日常の予防策
- 定期的な血糖測定:自己血糖測定(SMBG)の習慣化。特に体調変化時は測定回数を増やす
- 医師の指示通りの服薬・インスリン注射:自己判断で中止・変更しない
- 感染症予防:インフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチンの接種、手洗い・うがいの励行
- 高齢の方・認知機能低下のある方の見守り:家族や周囲が水分摂取や服薬の状況を確認する
- 旅行・外出時の準備:保険証・糖尿病連携手帳・ブドウ糖・予備のインスリン・グルカゴン注射キットを携帯
よくある質問(FAQ)
DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)とは?
DKAは、インスリンが極度に不足することで体内で脂肪が分解され、ケトン体が過剰に産生されることで血液が酸性に傾く病態です。主に1型糖尿病で発症しますが、2型糖尿病でも感染症・ストレスなどで起こることがあります。血糖値は250〜500 mg/dL程度、動脈血pHは7.3未満、血中ケトン体は3.0 mmol/L以上が診断基準です。緊急入院による輸液・インスリン療法・電解質補正が必要です。
HHS(高浸透圧高血糖症候群)とは?
HHSは、極度の高血糖(600 mg/dL以上、時に1,000 mg/dL超)により血清浸透圧が320 mOsm/kg以上に上昇し、高度脱水と意識障害を来す病態です。主に高齢者の2型糖尿病で発症し、DKAと異なりケトーシスやアシドーシスは軽度です。死亡率は10〜20%と高く、DKAより予後不良です。大量輸液とインスリン療法による緊急治療が必要です。
DKAとHHSの違いは?
DKAは主に1型糖尿病の若年〜中年に急性発症し、ケトン体蓄積による代謝性アシドーシス(pH低下・HCO₃⁻低下)が特徴です。呼吸が深く速くなり(クエスモール呼吸)、果実臭の口臭がみられます。HHSは主に高齢2型糖尿病で数日〜数週間かけて進行し、血糖600 mg/dL以上・血清浸透圧320 mOsm/kg以上と高度の高血糖・高浸透圧が特徴で、ケトーシスは軽度です。HHSはDKAより死亡率が高く(10〜20% vs 1〜5%)、意識障害がより顕著です。両病態の鑑別には、血糖値・pH・HCO₃⁻・ケトン体・浸透圧の測定が不可欠です。
DKAの症状は?
主な症状は、①強い口渇と多飲多尿、②吐き気・嘔吐・腹痛(急性腹症と誤診されることも)、③深く速い呼吸(クエスモール呼吸)、④果実臭(アセトン臭)の口臭、⑤全身倦怠感・筋力低下、⑥意識障害(嗜眠〜昏睡)、⑦脱水症状(皮膚乾燥・眼球陥没)です。1型糖尿病の初発では体重減少が目立つこともあります。これらの症状が急に出現した場合は、早急に医療機関を受診してください。
HHSの症状は?
HHSの主な症状は、①異常な口渇と大量の多飲(1日3〜5L以上)、②多尿(頻回の排尿)、③高度の脱水(皮膚乾燥・粘膜乾燥・血圧低下・頻脈)、④意識障害(嗜眠・昏迷・昏睡)、⑤けいれん・片麻痺・失語などの神経症状(脳梗塞と似ているため鑑別が必要)です。DKAと異なり、呼吸の異常や果実臭は目立ちません。高齢者では非特異的な症状(元気がない・食欲がない)から始まることも多いため、周囲の注意深い観察が重要です。
DKAの診断基準は?
日本糖尿病学会の診断基準では、以下の3つ全てを満たす場合にDKAと診断します。
①高血糖:血糖値 250 mg/dL以上
②ケトーシス:血中ケトン体 3.0 mmol/L以上、または尿ケトン体 2+以上
③アシドーシス:動脈血pH 7.3未満、かつ/またはHCO₃⁻ 15 mEq/L未満
重症度はpH値で分類:軽症(pH 7.25〜7.30)、中等症(pH 7.00〜7.24)、重症(pH 7.00未満)です。
HHSの診断基準は?
HHSの診断は以下の基準を全て満たすことで確定します。
①高血糖:血糖値 600 mg/dL以上
②高浸透圧:血清浸透圧 320 mOsm/kg以上(計算式:2×(Na⁺+K⁺)+血糖(mg/dL)/18)
③ケトーシスなし:血中ケトン体 3.0 mmol/L未満、尿ケトン体陰性〜弱陽性
④アシドーシスなし:動脈血pH 7.3以上、HCO₃⁻ 18 mEq/L以上
⑤意識障害:嗜眠・昏迷・昏睡(高頻度で合併するが診断の必須項目ではない)
血清浸透圧が320 mOsm/kgを超える場合、意識障害のリスクが急増します。
DKAとHHSの治療は?
両病態ともに緊急入院での治療が必要です。治療の3本柱は共通しています。
①輸液:生理食塩液を用いた急速輸液で脱水を補正。DKAでは総不足水分量の半分を最初の4〜6時間で投与。HHSではより大量の輸液(時に10L超)が必要です。
②インスリン療法:速効型インスリンの持続静注。血糖値を1時間あたり50〜70 mg/dLの速度で低下させます。血糖が250 mg/dL程度になったらブドウ糖液を併用し、ケトーシス・アシドーシスが消退するまでインスリンを継続します。
③電解質補正:カリウムの変動に注意しながら適宜補正します。
併せて、感染症などの誘因の治療も並行して行います。治療中は1時間ごとの血糖モニターと頻回の血液検査が必要です。
糖尿病緊急症で救急車を呼ぶべき症状は?
以下の症状が1つでもあれば、迷わず119番にご連絡をおすすめします。
🔴 意識がない、または意識がぼんやりしている
🔴 呼吸が異常に深く速い(クエスモール呼吸)
🔴 激しい腹痛や嘔吐が続いている
🔴 けいれんを起こしている
🔴 血糖値が600 mg/dL以上で意識障害や強い脱水がある
🔴 血中ケトン体が強陽性(3.0 mmol/L以上)で症状がある
「迷ったら119番が鉄則」です。救急隊員が状況を判断し、適切な医療機関に搬送します。
糖尿病緊急症を予防するには?
予防の基本は以下の5つです。
①血糖の定期測定:自己血糖測定(SMBG)を習慣化。特に体調不良時は2〜4時間ごとに測定。
②治療の継続:医師の指示通りに内服薬・インスリン注射を継続。自己中断はDKAの最大の原因です。
③シックデイルールの実践:発熱時もインスリン継続・頻回の血糖測定・十分な水分摂取。
④感染予防:ワクチン接種(インフルエンザ・肺炎球菌)、手洗い・うがいの励行。
⑤家族の理解と協力:緊急時の症状・連絡先・対応方法を家族で共有しておく。
ケトアシドーシスの原因は?
DKAの原因として最も多いのはインスリン注射の中止・減量です。次いで感染症(感冒・肺炎・尿路感染症など)が誘因となるケースが多く、感染によるストレスホルモンの上昇がインスリン抵抗性を増大させ、相対的インスリン不足を引き起こします。その他、初発の1型糖尿病が診断されずにインスリンが投与されていない状態、外傷・手術・心筋梗塞などの身体的ストレス、SGLT2阻害薬による正常血糖DKAなども原因となります。特に1型糖尿病患者では、インスリン注射を「食事が取れないから」「血糖が低いから」と自己判断で中止することがDKAの直接的な引き金になります。
シックデイ時の対応は?
発熱・嘔吐・下痢などの体調不良時(シックデイ)は、血糖コントロールが不安定になりDKA・HHSのリスクが高まります。以下の対応を守ってください。
①インスリンは自己中断せず継続する(ただし用量調整が必要な場合あり。事前に主治医と相談しておく)
②血糖測定を2〜4時間ごとに行う
③水分をこまめに摂取する(1時間あたり150〜200mLの経口補水液や水)
④食事が取れなくても糖質を確保する(ゼリー飲料・スープなどで1時間あたり15g)
⑤血糖250 mg/dL以上の場合は尿または血中ケトン体も確認する
⑥以下の場合は躊躇なく医療機関に連絡・受診する:発熱38℃以上が2日以上持続/血糖400 mg/dL以上でケトン体陽性/嘔吐や下痢で水分摂取不能/意識の変化がある
日頃からシックデイルールを確認し、緊急時の連絡先を手元に用意しておきましょう。
HHSの死亡率はどのくらいですか?
HHSの死亡率は10〜20%と報告されており、DKA(1〜5%)に比べて有意に高いことが知られています。死亡率が高い理由は、①患者が高齢で基礎疾患(心血管疾患・脳血管疾患・腎障害など)を有することが多い、②発見が遅れやすく高度脱水や意識障害が進行した状態で受診することが多い、③治療中の合併症(脳浮腫・横紋筋融解症・血栓症・感染症など)のリスクが高いことが挙げられます。早期発見・早期治療開始が予後改善の鍵です。
低血糖と高血糖、どちらが危険ですか?
両方とも危険ですが、障害の発生機序と時間経過が異なります。低血糖は血糖値が急激に低下することで脳への糖供給が不足し、数分単位で意識障害やけいれん・脳障害を起こすため、即座の対処(ブドウ糖投与・グルカゴン注射)が必要です。高血糖(DKA・HHS)は数時間〜数日かけて進行し、脱水・アシドーシス・高浸透圧の程度が生命予後に直結します。特にHHSの死亡率は10〜20%と高く、見落としがちな危険な病態です。どちらも早期発見・早期対応が極めて重要です。
家族ができることは何ですか?
糖尿病緊急症では、家族の適切な初期対応が患者の生命予後を大きく左右します。
低血糖が疑われる場合:意識があれば砂糖・ブドウ糖・ジュースを与える。意識がない場合は絶対に口に物を入れず、横に寝かせてすぐに119番。グルカゴン注射キットがあれば使用する。
DKA・HHSが疑われる場合:意識があれば水分補給を促し、早急に医療機関を受診させる。意識障害がある場合や呼吸がおかしい場合は躊躇せず119番。
日頃から、血糖測定の方法・緊急時の連絡先・かかりつけ医の情報・服用中の薬剤リストなどを家族で共有し、すぐに行動に移せる準備をしておくことが大切です。
監修者情報
監修:下山 立志(しもやま内科 院長)
糖尿病専門医。日本糖尿病学会専門医・日本内科学会認定内科医。船橋市芝山にて内科・糖尿病診療を行い、1型糖尿病から2型糖尿病、合併症管理まで幅広く対応。患者さん一人ひとりの生活に寄り添った血糖管理と緊急時対応の指導を重視している。
【資格・所属学会】日本糖尿病学会(専門医)・日本内科学会(認定内科医)・日本老年医学会
糖尿病緊急症でお困りの方へ|しもやま内科
糖尿病緊急症の疑いがある場合は、まず119番へのご連絡をおすすめします。緊急対応後の継続的な血糖管理については、しもやま内科でフォローアップが可能です。普段の血糖コントロールやシックデイルールについても、お気軽にご相談ください。
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しもやま内科
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- 重症低血糖 – 意識がない時の対処法・バクスミー
- 糖尿病性ケトアシドーシス(DKA) – 症状・治療・予防
- 高浸透圧高血糖症候群(HHS) – DKAとの違い・予防
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最終更新日:2026-08-28
👨⚕️ この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。