カーボカウントとは?やり方・計算方法・C/I比・ISFを徹底解説|しもやま内科

📘 まず結論:カーボカウントとは何か

カーボカウントとは、食事中の糖質量(炭水化物グラム数)を数え、インスリン注射量を調整する管理方法です。別名「炭水化物計数法」。1型糖尿病患者さんを中心に、食事の自由度を高めながら良好な血糖コントロールを実現するために世界的に用いられています。

以下の3つの計算が核心です:

  1. 食前インスリン量= 食事中の糖質量(g) × C/I比(カーボインスリン比)
  2. 補正インスリン量=(現在の血糖値 − 目標血糖値)÷ ISF(インスリン効果値)
  3. 総インスリン量= ① + ②

※ C/I比・ISFは個人差があるため、主治医と相談して個別に決定します。

このページの要点

  • カーボカウントとは、食事の炭水化物量(g)から食事インスリン量を計算する方法です。
  • C/I比(カーボ/インスリン比)で食事インスリン、ISF(インスリン効果値)で補正インスリンを算出します。
  • 食品別の炭水化物量一覧表と練習問題3問、自動計算ツールで実践的に学べます。
  • インスリン量の調整は必ず医師の指導のもとで行ってください。低血糖リスクに十分注意しましょう。

「同じものを食べても毎回インスリン量に迷ってしまう」「外食だと血糖が読めない」――そんな悩みを減らすための強力な道具がカーボカウントです。

カーボカウントとは、食事に含まれる炭水化物(カーボ)の量(g)を把握し、それに応じてインスリン量を調整する血糖管理法です。特に1型糖尿病の方はもちろん、インスリン治療中の2型糖尿病の方にも広く応用できます。

このページでは、カーボカウントのやり方からC/I比・ISFの計算方法、食品別の炭水化物量一覧、具体的な使用例・練習問題、無料テンプレートまでをわかりやすく解説します。船橋市しもやま内科の糖尿病専門医が監修しています。


🧩 カーボカウントとは?基礎とメリット

基本の考え方

炭水化物は食後に血糖値を最も速く上げる栄養素です。カーボカウントでは、食べ物ごとの炭水化物量を「g単位」で正確にカウントし、インスリンで対応します。食事の自由度を維持しながら、血糖コントロールの精度を高められる点が最大のメリットです。

カーボカウントの3つのメリット

  • 食事の自由度が高まる:食べたいものを適量食べても、炭水化物量に合わせてインスリン調整すれば血糖コントロールを維持できます。
  • 食後血糖の予測が可能に:炭水化物量とC/I比・ISFがわかれば、食後の血糖上昇をある程度予測でき、事前に対策をとれます。
  • 低血糖リスクの低減:インスリン量を食事に合わせて正確に調整することで、予想外の低血糖を減らせます。

基礎カーボカウントと応用カーボカウントの違い

  • 基礎カーボカウント:1日の炭水化物量をほぼ一定に保つ(初心者向け・血糖を安定させやすい)
  • 応用カーボカウント:食事量に応じてインスリン量をその都度計算(自由度が高く、特に1型糖尿病で推奨されることが多い)

🍽️ 食品別・炭水化物量の一覧表

カーボカウントを始める第一歩は、食品の炭水化物量を覚えることです。以下の一覧は一般的な目安です。実際の数値は商品の栄養成分表示を必ず確認してください。

食品 目安量 炭水化物(g)
ご飯 お茶碗1杯(150g) 約55
食パン 1枚(60g) 約25~30
うどん(ゆで) 1玉(200g) 約40~50
スパゲッティ(ゆで) 1皿(250g) 約65~75
バナナ 1本(中) 約15~20
リンゴ 1個(中) 約20~25
牛乳 コップ1杯(200ml) 約10
ジュース(砂糖入り) 1缶(350ml) 約35~45

※数値は日本食品標準成分表および一般的な商品表示を参考にした目安です。実際の値は商品によって異なります。


🧩 カーボカウントのやり方(基本手順)

  1. 食品の炭水化物量を知る:栄養成分表示を確認。「総炭水化物」または「糖質+食物繊維」を参考にします。上の一覧表も活用してください。
  2. 食事全体の炭水化物量を合計する:計量できるものは計量すると精度が上がります。目安量でも慣れれば十分実用的です。
  3. C/I比を使って食事インスリン量を計算:炭水化物量(g) ÷ C/I比 で求めます。
  4. 食前血糖値を見てISFで補正インスリンを追加:目標血糖より高い場合は(現在血糖−目標血糖)÷ ISF で補正します。
  5. 記録して振り返る:食後2時間の血糖値も記録し、医師と相談しながらC/I比やISFを微調整していきます。

🧮 インスリン量の計算方法

🍽️ 食事インスリンの計算

食事インスリン = 炭水化物量(g) ÷ C/I比

例:炭水化物60g、C/I比10の場合
60 ÷ 10 = 6単位

🔧 補正インスリンの計算

補正インスリン = (現在血糖 – 目標血糖) ÷ ISF

例:現在血糖180mg/dL、目標血糖120mg/dL、ISF50の場合
(180 – 120) ÷ 50 = 1.2単位 → 1単位

⚠️ 重要な注意事項

  • 計算結果はあくまで目安です
  • 実際のインスリン量は主治医の指導に従ってください
  • 低血糖を防ぐため、端数処理や安全マージンは医師と相談してください
  • 初めての方は必ず糖尿病専門医・指導医のもとで学んでください

🎯 当院では個別にカーボカウントの指導を行っています

電話:047-467-5500(予約制)

🧮 インスリン量自動計算ツール

以下のフォームに数値を入力して「計算する」ボタンをクリックしてください。


⚖️ C/I比(カーボ/インスリン比)とは?

C/I比とは、「炭水化物○gに対してインスリン1単位が必要」という個人ごとの目安です。たとえばC/I比10であれば「10gの炭水化物にインスリン1単位」、C/I比15であれば「15gに1単位」という意味になります。

C/I比の決め方

C/I比の初期値は、医師が以下のような方法でおおよその目安を設定します。

  • 500ルール:500 ÷ 1日の総インスリン量(TDD)で初期値を概算(例:TDDが50単位なら500÷50=C/I比10)
  • 実測による調整:実際に食事を摂り、食後血糖の変動を見ながら医師と相談して微調整
  • 時間帯によってC/I比が異なることもあります(朝は高め、昼は低めなど)

計算例

炭水化物60g、C/I比10の場合
60 ÷ 10 = 6単位(食事インスリン)

📊 ISF(インスリン効果値)とは?

ISF(インスリン感受性係数/インスリン効果値)とは、「インスリン1単位で血糖値をどれだけ下げられるか(mg/dL)」の目安です。一般的には「1700 ÷ 1日の総インスリン量(TDD)」などで初期値を求めることがあります(個人差が大きいため参考値として)。

ISFの役割

食前の血糖値が目標値より高かった場合、食事インスリンに加えて「補正インスリン」を追加します。この補正量を計算するのがISFの役割です。

計算例

  • 目標血糖:120 mg/dL
  • 実際の血糖:220 mg/dL
  • ISF:50 の場合
(220 - 120) ÷ 50 = 2単位(補正インスリン)

⚠️ 低血糖対策(緊急時の対応)

⚠️ 低血糖症状が出たら

冷や汗・動悸・手の震え・強い空腹感・意識がぼんやりするなどの症状が出たら、まずはブドウ糖(または糖分)を摂取してください。

  • ブドウ糖 5~10g(ブドウ糖錠なら2~4錠)
  • なければ砂糖大さじ1杯、またはジュース(缶)100~150ml
  • 15分後に再測定し、改善なければ再度摂取
  • 意識がない・呼びかけに応じない場合は救急車(119番)

カーボカウントを実践する際は、常に低血糖対策用品(ブドウ糖錠など)を携帯しましょう。運動前・アルコール摂取時は特に注意が必要です。


📝 総インスリン量の計算方法(実践例)

総インスリン = 食事インスリン + 補正インスリン

【実践例】

  • 炭水化物60g(ご飯茶碗1杯+味噌汁+焼魚)
  • C/I比:10 → 食事インスリン:60÷10=6単位
  • 血糖220mg/dL → 目標120mg/dL、ISF:50 → 補正:(220−120)÷50=2単位
  • 合計:8単位

毎回の手計算は大変です。上の自動計算フォームをぜひご活用ください。


📱 すぐに使える自動計算テンプレート(スプレッドシート版)

自分のC/I比・ISF・目標血糖値を入力するだけで自動計算されます。

▶ カーボカウント&インスリン計算シート(無料テンプレート)

リンクを開いたら「ファイル」→「コピーを作成」で自分のGoogleドライブに保存してご利用ください。


✍️ 練習問題で試してみよう(初級〜中級)

ここまで読んで「なんとなく分かった」と思ったら、実際に手を動かしてみましょう。各問題に「この食事のイメージ」を付けましたので、自分の日常の食事と照らし合わせて考えてみてください。数字に慣れると実生活でとても使いやすくなります。答えはクリックで表示されます。

✏️ 練習問題(3問)+答えを見る

【問題1】

この食事のイメージ: 洋風のシンプルな朝食(食パン1枚+無糖ヨーグルト+ゆで卵+サラダ)

  • 炭水化物:45g
  • C/I比:15
  • 食前血糖:180 mg/dL
  • 目標血糖:110 mg/dL
  • ISF:70

総インスリンは何単位?


【問題2】

この食事のイメージ: 軽めの昼食(うどん1玉+天ぷら少なめ、血糖が安定しているとき)

  • 炭水化物:70g
  • C/I比:10
  • 血糖:95 mg/dL(目標に近い)
  • ISF:50

補正は必要? 総インスリン量は?


【問題3】

この食事のイメージ: 普通の和食夕食(ご飯150g程度のお茶碗1杯+おかず少々、食前に血糖が高めの場合)

  • 炭水化物:55g
  • C/I比:12
  • 食前血糖:250 mg/dL
  • 目標血糖:120 mg/dL
  • ISF:40

食事インスリン・補正インスリン・総インスリンはそれぞれ何単位?


✅ 答え

【問題1】

  • 食事インスリン:45 ÷ 15 = 3単位
  • 補正インスリン:(180 − 110) ÷ 70 = 1単位
  • 合計:4単位

【問題2】

  • 補正:不要(目標に近い)
  • 食事インスリン:70 ÷ 10 = 7単位
  • 合計:7単位

【問題3】

  • 食事インスリン:55 ÷ 12 ≈ 4.6単位(通常は四捨五入や医師指示で調整)
  • 補正インスリン:(250 − 120) ÷ 40 = 3.25単位(例:3単位または医師指示で調整)
  • 合計:約7.85単位(実際は端数処理や低血糖リスクを考慮)

※実際の投与では小数点の扱いや安全マージンを医師と相談してください。計算はあくまで目安です。


🔍 カーボカウントをさらに強力にする「CGM(持続血糖モニタリング)」

カーボカウントで食事インスリンを計算する際、食前の血糖値食後の血糖の上がり方を正確に知ることが非常に重要です。

CGMは、指先採血では分かりづらい夜間や食後・運動中の血糖変動をリアルタイムに可視化します。このデータをカーボカウントの記録と組み合わせることで、以下のような効果が期待できます。

  • 自分のC/I比やISFをより正確に調整できる
  • 食後高血糖や予想外の低血糖のパターンを発見し、食事やインスリン量の見直しに役立てる
  • 運動や体調不良時など、血糖が乱れやすい場面での対応力が向上する

📌 【日本の保険適用に関する重要な注意事項】
当院で取り扱うCGM(FreeStyle Libre 2 / Dexcom G7)の保険適用は、原則として「インスリン自己注射を行っている患者さん」に限られます(1型糖尿病の方はもちろん、インスリン治療中の2型糖尿病の方も対象となります)。
経口薬のみで治療中の方がCGMを保険診療で使用することはできませんので、ご了承ください。
▶ 保険適用の詳細や機種の違いは「CGM比較ページ」で確認する


⚠️ 注意事項(必ずお読みください)

  • このページは一般的な計算の考え方を整理したもので、個別のインスリン投与量を指示するものではありません。
  • C/I比やISFは年齢・体重・活動量・時間帯・体調などで大きく変わります。調整は必ず主治医の指導のもとで行ってください。
  • 低血糖を防ぐため、運動量の変化・食事量の違い・体調不良時は慎重に判断し、必要に応じて医療機関にご相談ください。

おすすめ教科書

初心者におすすめ:『さらにかんたん! カーボカウント』(大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学 編集/大阪市立大学医学部附属病院栄養部 編集)合同会社クリニコ出版、2019年。当院ではこれを標準テキストとして使用しています。


❓ よくある質問(FAQ)

Q1. カーボカウントとは何ですか?
食事に含まれる炭水化物(カーボ)量を把握し、それに合わせてインスリン量を計算して血糖を管理する方法です。食後血糖の上がり方を予測しやすくなり、自己管理の精度を高める助けになります。
Q2. カーボカウントでC/I比とは?
C/I比(カーボインスリン比)とは、「炭水化物何gに対してインスリン1単位が必要か」を示す個人ごとの目安です。たとえばC/I比10なら「炭水化物10gにインスリン1単位」となります。食事インスリン量=炭水化物量÷C/I比で計算します。
Q3. カーボカウントのISF(インスリン感受性係数)とは?
ISFとは、インスリン1単位で血糖値をどれだけ下げられるかをmg/dL単位で示した値です。たとえばISF50なら「インスリン1単位で血糖値が50mg/dL下がる」という意味です。補正インスリン量=(現在血糖−目標血糖)÷ISFで計算します。
Q4. カーボカウントの計算方法は?
3ステップです。(1)食事中の炭水化物量を合計する。(2)食事インスリン=炭水化物量÷C/I比。(3)補正インスリン=(現在血糖−目標血糖)÷ISF。総インスリン量=食事インスリン+補正インスリンです。
Q5. カーボカウントは誰に必要ですか?
主にインスリン治療を行っている方が対象です。特に1型糖尿病の方で強く推奨されますが、インスリン治療中の2型糖尿病の方にも応用できます。経口薬のみの治療では原則不要です。主治医に相談してください。
Q6. カーボカウントと糖質制限の違いは?
カーボカウントは「炭水化物を制限する」のではなく、「摂った炭水化物量に合わせてインスリンを調整する」方法です。糖質制限のように炭水化物を減らすのではなく、食事の自由度を保ちながら血糖コントロールを目指します。
Q7. 補正インスリンはどう計算しますか?
一般的には (現在血糖 − 目標血糖)÷ ISF で概算します。ただし低血糖を避けるため、実際の投与量の調整は必ず主治医の指導のもとで行ってください。
Q8. 栄養成分表示は「糖質」か「炭水化物」どちらを見ればいいですか?
表示が「炭水化物」の場合はその値を基本にします。「糖質」の表示がある場合は製品によって定義が異なることがあるため、表示項目を確認しながら使い分けます。
Q9. カーボカウントは1型糖尿病だけの方法ですか?
主に1型糖尿病で用いられますが、インスリン治療中の2型糖尿病でも役立つことがあります。主治医と相談して進めるのが安全です。
Q10. C/I比やISFは誰でも同じですか?
個人差が大きく、時間帯・体調・活動量でも変わります。血糖の推移を見ながら医師の指導のもとで調整します。
Q11. 低血糖を防ぐために注意することは?
運動量の増加、食事量の変化、体調不良、アルコールなどで低血糖リスクが上がります。状況に応じて安全側に調整し、必要なら主治医に相談してください。
Q12. カーボカウントをやっていますが、CGMを使った方が良いですか?保険は使えますか?
カーボカウントの精度を高め、より安全なインスリン調整を行う上で、CGMは非常に有効なツールです。特に、低血糖が頻繁にある方、食後高血糖に悩んでいる方、運動療法を取り入れている方におすすめします。

ただし、日本ではCGMの保険適用は、インスリン注射による治療を行っている患者さんが原則です。ご自身の治療内容が適用となるかどうかは、担当医にご確認ください。当院でも、診察時に保険適応の可否を個別に判断し、ご説明しています。

▶ Libre 2 と Dexcom G7 の違いを詳しく比較する

カーボカウントを始めてみたいけれど不安な方へ
当院では糖尿病専門医・指導医が丁寧に個別指導を行っています。まずはご相談ください。
📞 047-467-5500 に電話する

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)

しもやま内科 院長

  • 日本内科学会 総合内科専門医
  • 日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
  • 日本循環器学会 循環器専門医
  • 日本老年医学会 老年科専門医・指導医
  • 日本甲状腺学会 甲状腺専門医

糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。カーボカウント指導歴は豊富で、1型・2型糖尿病を問わず、患者さん一人ひとりの生活スタイルに合わせたインスリン調整を提案しています。

最終更新:2026年8月

しもやま内科の糖尿病食事療法サポート

当院は船橋市芝山4-33-5に位置し、京成電鉄松戸線「高根木戸駅」・東葉高速鉄道線「飯山満駅」から各々徒歩15分です。糖尿病専門医によるカーボカウンティング指導を行っています。

診療時間:月・火・木・金 9:00~12:00/14:45~17:30、土 9:00~12:00(水日祝休診)。電話:047-467-5500。

関連ページ

最終更新日:2026-08-23

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

11/04/2018