このページの要点
- カーボカウントとは、食事の炭水化物量(g)から食事インスリン量を計算する方法です。
- C/I比(カーボ/インスリン比)で食事インスリン、ISF(インスリン効果値)で補正インスリンを算出します。
- 練習問題3問と自動計算フォーム付きで実践的に学べます。
- インスリン量の調整は必ず医師の指導のもとで行ってください。低血糖リスクに十分注意しましょう。
「同じものを食べても毎回インスリン量に迷ってしまう」「外食だと血糖が読めない」――そんな悩みを減らすための強力な道具がカーボカウントです。
カーボカウントとは、食事に含まれる炭水化物(カーボ)の量(g)を把握し、それに応じてインスリン量を調整する血糖管理法です。特に1型糖尿病の方はもちろん、インスリン治療中の2型糖尿病の方にも広く応用できます。
このページでは、カーボカウントのやり方からC/I比・ISFの計算方法、具体的な使用例・練習問題、無料テンプレートまでをわかりやすく解説します。船橋市しもやま内科の糖尿病専門医が監修しています。
🧮 インスリン量の計算方法
🍽️ 食事インスリンの計算
食事インスリン = 炭水化物量(g) ÷ C/I比
例:炭水化物60g、C/I比10の場合
60 ÷ 10 = 6単位
🔧 補正インスリンの計算
補正インスリン = (現在血糖 – 目標血糖) ÷ ISF
例:現在血糖180mg/dL、目標血糖120mg/dL、ISF50の場合
(180 – 120) ÷ 50 = 1.2単位 → 1単位
⚠️ 重要な注意事項
- 計算結果はあくまで目安です
- 実際のインスリン量は主治医の指導に従ってください
- 低血糖を防ぐため、端数処理や安全マージンは医師と相談してください
- 初めての方は必ず糖尿病専門医・指導医のもとで学んでください
🎯 当院では個別にカーボカウントの指導を行っています
電話:047-467-5500(予約制)
🧮 インスリン量自動計算ツール
以下のフォームに数値を入力して「計算する」ボタンをクリックしてください。
🧩 カーボカウントとは? 基礎とメリット
基本の考え方
炭水化物は食後に血糖値を最も速く上げる栄養素です。カーボカウントでは、食べ物ごとの炭水化物量を「g単位」で正確にカウントし、インスリンで対応します。
基礎カーボカウントと応用カーボカウントの違い
- 基礎カーボカウント:1日の炭水化物量をほぼ一定に保つ(初心者向け・血糖を安定させやすい)
- 応用カーボカウント:食事量に応じてインスリン量をその都度計算(自由度が高く、特に1型糖尿病で推奨されることが多い)
カーボカウントのやり方(基本手順)
- 食品の炭水化物量を知る(栄養成分表示を確認。「総炭水化物」または「糖質+食物繊維」を参考)
- 食事全体の炭水化物量を合計する(可能なら計量で精度を上げる)
- C/I比を使って食事インスリン量を計算
- 食前血糖値を見てISFで補正インスリンを追加
- 記録して振り返り、医師と相談しながら調整する
炭水化物量の目安例(参考値)
・ご飯150g(お茶碗1杯) ≈ 55g
・食パン1枚(60g) ≈ 25〜30g
・うどん1玉(200g) ≈ 40〜50g
※実際は商品の栄養成分表示を必ず確認してください。
⚖️ C/I比(カーボ/インスリン比)とは?
C/I比とは、「炭水化物○gに対してインスリン1単位が必要」という個人ごとの目安です(例:C/I比10 = 10gのカーボに1単位)。
計算例
炭水化物60g、C/I比10の場合
60 ÷ 10 = 6単位(食事インスリン)
💉 ISF(インスリン効果値)とは?
ISFとは、「インスリン1単位で血糖値をどれだけ下げられるか(mg/dL)」の目安です。一般的には「1700 ÷ 1日の総インスリン量(TDD)」などで初期値を求めることがあります(個人差が大きいため参考値として)。
計算例
- 目標血糖:120 mg/dL
- 実際の血糖:220 mg/dL
- ISF:50 の場合
(220 - 120) ÷ 50 = 2単位(補正インスリン)
📊 総インスリン量の計算方法(実践例)
総インスリン = 食事インスリン + 補正インスリン
- 炭水化物60g、C/I比10 → 6単位
- 血糖220mg/dL → 目標120mg/dL、ISF50 → 2単位
- 合計8単位
毎回の手計算は大変です。上の自動計算フォームをぜひご活用ください。
📱 すぐに使える自動計算テンプレート(スプレッドシート版)
自分のC/I比・ISF・目標血糖値を入力するだけで自動計算されます。
▶ カーボカウント&インスリン計算シート(無料テンプレート)
リンクを開いたら「ファイル」→「コピーを作成」で自分のGoogleドライブに保存してご利用ください。
✍️ 練習問題で試してみよう(初級〜中級)
ここまで読んで「なんとなく分かった」と思ったら、実際に手を動かしてみましょう。
各問題に「この食事のイメージ」を付けましたので、自分の日常の食事と照らし合わせて考えてみてください。
数字に慣れると実生活でとても使いやすくなります。答えはクリックで表示されます。
✏️ 練習問題(3問)+答えを見る
【問題1】
この食事のイメージ: 洋風のシンプルな朝食(食パン1枚+無糖ヨーグルト+ゆで卵+サラダ)
- 炭水化物:45g
- C/I比:15
- 食前血糖:180 mg/dL
- 目標血糖:110 mg/dL
- ISF:70
総インスリンは何単位?
【問題2】
この食事のイメージ: 軽めの昼食(うどん1玉+天ぷら少なめ、血糖が安定しているとき)
- 炭水化物:70g
- C/I比:10
- 血糖:95 mg/dL(目標に近い)
- ISF:50
補正は必要? 総インスリン量は?
【問題3】
この食事のイメージ: 普通の和食夕食(ご飯150g程度のお茶碗1杯+おかず少々、食前に血糖が高めの場合)
- 炭水化物:55g
- C/I比:12
- 食前血糖:250 mg/dL
- 目標血糖:120 mg/dL
- ISF:40
食事インスリン・補正インスリン・総インスリンはそれぞれ何単位?
✅ 答え
【問題1】
- 食事インスリン:45 ÷ 15 = 3単位
- 補正インスリン:(180 − 110) ÷ 70 = 1単位
- 合計:4単位
【問題2】
- 補正:不要(目標に近い)
- 食事インスリン:70 ÷ 10 = 7単位
- 合計:7単位
【問題3】
- 食事インスリン:55 ÷ 12 ≈ 4.6単位(通常は四捨五入や医師指示で調整)
- 補正インスリン:(250 − 120) ÷ 40 = 3.25単位(例:3単位または医師指示で調整)
- 合計:約7.85単位(実際は端数処理や低血糖リスクを考慮)
※実際の投与では小数点の扱いや安全マージンを医師と相談してください。計算はあくまで目安です。
📈 カーボカウントをさらに強力にする「CGM(持続血糖モニタリング)」
カーボカウントで食事インスリンを計算する際、食前の血糖値と食後の血糖の上がり方を正確に知ることが非常に重要です。
CGMは、指先採血では分かりづらい夜間や食後・運動中の血糖変動をリアルタイムに可視化します。このデータをカーボカウントの記録と組み合わせることで、以下のような効果が期待できます。
- 自分のC/I比やISFをより正確に調整できる
- 食後高血糖や予想外の低血糖のパターンを発見し、食事やインスリン量の見直しに役立てる
- 運動や体調不良時など、血糖が乱れやすい場面での対応力が向上する
📌 【日本の保険適用に関する重要な注意事項】
当院で取り扱うCGM(FreeStyle Libre 2 / Dexcom G7)の保険適用は、原則として「インスリン自己注射を行っている患者さん」に限られます(1型糖尿病の方はもちろん、インスリン治療中の2型糖尿病の方も対象となります)。
経口薬のみで治療中の方がCGMを保険診療で使用することはできませんので、ご了承ください。
▶ 保険適用の詳細や機種の違いは「CGM比較ページ」で確認する
⚠️ 注意事項(必ずお読みください)
- このページは一般的な計算の考え方を整理したもので、個別のインスリン投与量を指示するものではありません。
- C/I比やISFは年齢・体重・活動量・時間帯・体調などで大きく変わります。調整は必ず主治医の指導のもとで行ってください。
- 低血糖を防ぐため、運動量の変化・食事量の違い・体調不良時は慎重に判断し、必要に応じて医療機関にご相談ください。
おすすめ教科書
初心者におすすめ:
『さらにかんたん! カーボカウント』(大阪市立大学大学院医学研究科発達小児医学 編集/大阪市立大学医学部附属病院栄養部 編集)
合同会社クリニコ出版、2019年
当院ではこれを標準テキストとして使用しています。
❓ よくある質問(FAQ)
Q1. カーボカウントとは何ですか?
食事に含まれる炭水化物(カーボ)量を把握し、それに合わせてインスリン量を計算して血糖を管理する方法です。食後血糖の上がり方を予測しやすくなり、自己管理の精度を高める助けになります。
Q2. C/I比(カーボ/インスリン比)とは何ですか?
「炭水化物○gを処理するのにインスリン1単位が必要」という目安です。たとえばC/I比10なら「炭水化物10gにインスリン1単位」が基本になります。
Q3. ISF(インスリン効果値)とは何ですか?
インスリン1単位で血糖がどれだけ下がるか(mg/dL)の目安です。食前血糖が目標より高いときの「補正インスリン」の計算に使います。
Q4. 補正インスリンはどう計算しますか?
一般的には (現在血糖 − 目標血糖)÷ ISF で概算します。ただし低血糖を避けるため、実際の投与量の調整は必ず主治医の指導のもとで行ってください。
Q5. 栄養成分表示は「糖質」か「炭水化物」どちらを見ればいいですか?
表示が「炭水化物」の場合はその値を基本にします。「糖質」の表示がある場合は製品によって定義が異なることがあるため、表示項目を確認しながら使い分けます。
Q6. カーボカウントは1型糖尿病だけの方法ですか?
主に1型糖尿病で用いられますが、インスリン治療中の2型糖尿病でも役立つことがあります。主治医と相談して進めるのが安全です。
Q7. C/I比やISFは誰でも同じですか?
個人差が大きく、時間帯・体調・活動量でも変わります。血糖の推移を見ながら医師の指導のもとで調整します。
Q8. 低血糖を防ぐために注意することは?
運動量の増加、食事量の変化、体調不良、アルコールなどで低血糖リスクが上がります。状況に応じて安全側に調整し、必要なら主治医に相談してください。
Q9. カーボカウントをやっていますが、CGMを使った方が良いですか?保険は使えますか?
カーボカウントの精度を高め、より安全なインスリン調整を行う上で、CGMは非常に有効なツールです。特に、低血糖が頻繁にある方、食後高血糖に悩んでいる方、運動療法を取り入れている方におすすめします。
ただし、日本ではCGMの保険適用は、インスリン注射による治療を行っている患者さんが原則です。ご自身の治療内容が適用となるかどうかは、担当医にご確認ください。当院でも、診察時に保険適応の可否を個別に判断し、ご説明しています。
▶ Libre 2 と Dexcom G7 の違いを詳しく比較する
👨⚕️ この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。
最終更新:2026年4月
しもやま内科の糖尿病食事療法サポート
当院は船橋市芝山4-33-5に位置し、京成電鉄松戸線「高根木戸駅」・東葉高速鉄道線「飯山満駅」から各々徒歩15分です。糖尿病専門医によるカーボカウンティング指導を行っています。診療時間:月・火・木・金 9:00~12:00/14:45~17:30、土 9:00~12:00(水日祝休診)。電話:047-467-5500。
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