「先生、糖尿病って診断されたけど、何を食べていいのかさっぱりわからなくて…ご飯もダメって聞いたんですけど」——糖尿病患者さんから最も多い相談のひとつです。結論から言うと、ご飯も果物も「適量」なら食べて大丈夫。特別な糖尿病食を買う必要もありません。このページでは、今日からすぐに実践できる「食べて良いもの・悪いもの」「1日のメニュー例」「外食の選び方」まで、船橋市の糖尿病専門医がわかりやすく解説します。
糖尿病の食事療法とは?「食べてはいけない」はありません
糖尿病の食事療法と聞くと「何も食べられなくなるのでは?」と不安に思う方が多いですが、実際には「バランスを整える」だけでOK。完全に禁止される食品は基本的にありません。「何を食べるか」よりも「いつ・どのくらい・何と一緒に食べるか」が大切です。
当院では「今日からできること」を優先し、複雑なカロリー計算は求めていません。段階的に食習慣を見直すことで、無理なく血糖コントロールを改善する方が大勢いらっしゃいます。
⏱ 急いで読む方へ: 目次から気になる項目へお進みください。急に血糖が高くなった(食後300mg/dL以上が続く)、体重が急減した、喉が異常に渇く——こんな症状がある方は下の「緊急の受診が必要なサイン」をご確認ください。
🍽 食べて良いもの・悪いもの一覧表
「何を食べていいのかわからない」という方は、まずこの表を参考にしてください。全ての食品を「適量」で楽しむのが基本です。
| カテゴリ | 積極的に食べたいもの 👍 | 控えめにしたいもの ⚠️ |
|---|---|---|
| 主食 | 玄米・雑穀米・全粒粉パン・オートミール | 白米の大盛り・食パン・菓子パン・白うどん |
| タンパク質 | 鶏むね肉・ささみ・豚赤身・魚・豆腐・納豆・卵 | 脂身の多い肉(バラ肉・サーロイン)・ベーコン・ソーセージ・揚げ物 |
| 野菜 | 葉物野菜・きのこ類・海藻・トマト・きゅうり・ブロッコリー(好きなだけOK) | 煮物の甘辛味(砂糖が多いもの)・ポテトサラダ(マヨネーズ多め) |
| 果物 | りんご1/2個・みかん1個・グレープフルーツ1/2個・ベリー類 | バナナ・ぶどう・柿(糖質多めなので半分まで)・ドライフルーツ・フルーツジュース |
| 乳製品 | 無糖ヨーグルト・牛乳(コップ1杯)・チーズ(少量) | 加糖ヨーグルト・フルーツ味の乳飲料・練乳入り |
| 飲み物 | 水・お茶(緑茶・麦茶・烏龍茶)・ブラックコーヒー | 清涼飲料水(コーラ・ジュース)・スポーツドリンク・加糖コーヒー |
| 調味料・油 | オリーブオイル・ごま油(少量)・酢・ポン酢・香味野菜・だし | マヨネーズ・ドレッシングのかけすぎ・バター・ラード |
🥗 ベジファーストの正しいやり方
「ベジファースト(野菜を先に食べる)」は、糖尿病患者さんが今日から始められる最も簡単な方法です。しかし「サラダをちょっとつまんでからご飯」では効果が半減します。
正しいベジファーストの手順
- まず汁物:味噌汁やスープで胃を温め、満腹感を先取り
- 次に野菜:生野菜サラダ、煮物、おひたし — 食物繊維が血糖の吸収をゆっくりにします
- タンパク質:魚、肉、豆腐、卵 — 満腹感が続き、食後の血糖上昇を抑えます
- 最後に主食:ご飯やパン — 上で食べた野菜やタンパク質のおかげで、自然に量が減ります
たったこれだけの順番で、同じメニューでも食後血糖値が平均30〜50mg/dL低くなると言われています。「最初は面倒」と思う患者さんも、続けると「これが普通」になります。
🍚 炭水化物(糖質)の適正量の目安
糖質を「ゼロにする」必要はありません。むしろ極端な糖質制限は低血糖やリバウンドのリスクが高まります。1食あたりの目安は以下です。
| 食品 | 1食あたりの目安量 | 糖質量(約) |
|---|---|---|
| ご飯 | 茶碗1杯(150g) ※小盛りなら130g | 約55g |
| 食パン | 6枚切り1枚 | 約25g |
| うどん | 1人前(茹で200g) | 約50g |
| スパゲッティ | 乾燥100g | 約70g |
| いも類 | じゃがいも中1個・さつまいも1/2本 | 約20〜30g |
1日に必要な糖質量は、体格や活動量によって異なりますが、一般的な成人で1日あたり250〜300g程度が目安(総エネルギーの約50〜60%)。「糖質ゼロ」にする必要はなく、「3食に分散して食べる」ことがポイントです。
📋 1日のメニュー例(朝・昼・夕・間食)
「具体的に何を食べればいいの?」という方のために、1日のメニュー例を2パターンご紹介します。
パターンA:和食中心(基本的な組み合わせ)
| 食事 | メニュー |
|---|---|
| 朝食 | ご飯(小盛り130g)・味噌汁(わかめ・豆腐)・焼き鮭1切れ・ほうれん草のおひたし・納豆 |
| 昼食 | 玄米おにぎり1個・鶏むね肉と野菜のサラダ(ノンオイルドレッシング)・野菜スープ |
| 夕食 | ご飯(茶碗1杯150g)・お刺身3〜4切れ・きんぴらごぼう・サラダ(トマト・きゅうり・レタス)・味噌汁 |
| 間食 | 無糖ヨーグルト(100g)・くるみ2〜3個・りんご1/4個 |
パターンB:洋食・パン派の方へ
| 食事 | メニュー |
|---|---|
| 朝食 | 全粒粉パン(6枚切り1枚)・スクランブルエッグ・グリーンサラダ・ブラックコーヒー |
| 昼食 | ツナサラダサンド(全粒粉パン)・ミネストローネ・りんご1/2個 |
| 夕食 | 鶏むね肉のソテー(オリーブオイル少量)・温野菜ブロッコリー・玄米ご飯小盛り |
| 間食 | アーモンド5〜6粒・ブラックコーヒー |
🏪 外食の選び方・コンビニ活用術
「外食が多い」「昼はコンビニ弁当しか買えない」という方も安心してください。ちょっとした工夫で血糖コントロールは十分可能です。
外食の選び方5か条
- 定食屋を選ぶ:ご飯・みそ汁・魚or肉・野菜 — バランスが取りやすい。ご飯は「少なめ」で注文
- ラーメン屋では「麺半分+野菜増量+トッピングは味玉」:スープは残す(塩分も糖質もカット)
- ファミレスは和風定食がベスト:ハンバーグより塩焼き魚、パスタより御膳をチョイス
- ファストフードは「単品+サラダ」:セットのポテトとドリンクは糖質の塊。単品サンドイッチ+サラダ+水かお茶
- 居酒屋では「最初に枝豆・サラダ・刺身」:揚げ物は1品まで、締めの雑炊やラーメンは控えめに
コンビニ活用術
- サラダチキン+ゆで卵+サラダ+おにぎり(1個)or サンドイッチ — これで栄養バランス完璧
- おでん(大根・こんにゃく・たまご)は糖質ほぼゼロでおすすめ
- 飲み物は無糖のお茶か水。ペットボトル飲料は「果汁1%」でも糖質が入っているので要注意
🍎 果物は食べていい?よくある疑問に回答
「果物は甘いからダメですよね?」と聞かれることがとても多いです。果物にはビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富で、適量なら積極的に取り入れたい食品です。ただし「1日1回、1/2個分」が目安。フルーツジュースやドライフルーツは糖質が濃縮されているので要注意です。
❌ 糖尿病の食事療法でやりがちな失敗
- 糖質をゼロにする:低血糖・倦怠感・リバウンドの原因に。適量は必要
- 「糖尿病食」専用の特別メニューを買う:通常の和食で十分。市販の「糖質オフ」食品は割高で続かない
- 間食を完全に禁止する:ストレスでドカ食いや暴飲暴食のリスク。計画的に少量を楽しむのが長続きのコツ
- 「今日食べ過ぎたから明日は絶食しよう」:血糖値が乱高下します。毎日同じようなバランスを保つことが重要
- サプリメントや健康食品に頼る:医薬品のような効果は証明されていません。まずは食事の基本を見直しましょう
🚨 緊急の受診が必要なサイン
以下の症状がある方は、食事療法の前にまず医療機関を受診してください。
- 急に体重が数キロ落ちた(1〜2か月で5kg以上)
- 異常な喉の渇き、水分をいくら飲んでも足りない
- トイレ(排尿)の回数が明らかに増えた
- 食後の血糖値が300mg/dL以上を繰り返す
- 急激な視力低下やかすみ目
これらの症状は血糖コントロールが大きく乱れているサインです。まずは受診して適切な治療計画を立てましょう。食事療法はその後のステップです。
📌 こちらのページでは「はじめての食事療法」を解説しています。
より詳しい栄養指導や、インスリン治療中の食事の調整については「糖尿病の栄養・食事療法(総合編)」をご覧ください。こちらは通院中の患者さんや、より深く学びたい方向けの内容です。
❓ よくある質問(FAQ)
ご飯は食べていいの?茶碗何杯まで?
果物は甘いからダメですか?
間食(おやつ)は完全にやめたほうがいい?
糖質制限(ロカボ・ケトジェニック)は効果ある?
外食が多いのですが、何を選べばいいですか?
血糖値を下げる「特効食品」はありますか?
お酒は飲んでもいいですか?
ベジファーストは本当に効果がありますか?
コンビニやスーパーで買える「糖質オフ食品」は活用すべき?
食事療法だけでHbA1cはどのくらい下がりますか?
まとめ:今日から始める3つのこと
- 食べる順番を「野菜→タンパク質→主食」にする(ベジファースト)
- ご飯は茶碗1杯(150g)を目安に、果物は1/2個まで
- 外食では定食屋・和食を選び、揚げ物は週1回まで
難しい計算は不要です。まずはこの3つから始めてみてください。「糖尿病だから食べられない」ではなく「食べ方を工夫すれば、楽しみながら続けられる」——それが当院の食事療法の考え方です。
食事療法でお困りなら、しもやま内科へご相談ください
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月・火・木・金 9:00〜12:00 / 14:45〜17:30 土 9:00〜12:00
最終更新日:2026-08-26
👨⚕️ この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。