減塩のコツ10選|糖尿病・高血圧の味付けの工夫と効果的な減塩法|しもやま内科

減塩のコツや調味料の選び方、外食時の注意点、糖尿病・高血圧の方の塩分目標値を専門医がわかりやすく解説します。今日から実践できる具体的な減塩法を紹介。

「塩分を減らせって言われたけど、どうすればいいの?」「味が薄くて続かない…」そんなお悩み、よく耳にします。実は減塩は「我慢」ではなく、「工夫」です。ちょっとしたコツを知れば、美味しく食べながらしっかり塩分をコントロールできます。

⚠ こんな症状があったらすぐに受診を

強い頭痛・吐き気・めまい・視力低下・胸の痛み・呼吸苦・手足のしびれ——これらは高血圧緊急症のサインです。早めに医療機関を受診してください。

なぜ糖尿病・高血圧の人は減塩が必要なのか

塩分(食塩)を取りすぎると、体内にナトリウムが溜まり、血液の水分量が増えて血圧が上昇します。糖尿病の方はすでに血管が傷つきやすい状態にあるため、高血圧が加わると心筋梗塞や脳卒中のリスクが大幅に増加します。

また、糖尿病性腎臓病(DKD)がある方は腎臓がナトリウムをうまく排出できないため、塩分の影響を特に受けやすくなります。減塩は、血圧コントロール・腎臓保護・合併症予防のために不可欠な治療のひとつです。

減塩の目標値

対象 1日の塩分目標 目安(大さじ)
一般成人 6g以下 小さじ2杯程度
高血圧・糖尿病患者 6g以下(理想は5g) 小さじ1.5〜2杯程度
糖尿病性腎臓病(DKD)の方 医師の指示に従う(3〜5gの場合も) 医師・管理栄養士に相談

日本人の平均塩分摂取量は約10g/日と言われており、目標の6gに達するには意識的な工夫が必要です。

減塩のコツ10選 ― 今日から実践できる具体策

❶ 調味料を見直す ― 塩分の"隠れ家"を知る

塩分は「塩」だけでなく、醤油・味噌・めんつゆ・コンソメ・ケチャップなど、さまざまな調味料に含まれています。まずは毎日使う調味料の塩分量を把握しましょう。

主要調味料の塩分量(1杯あたり)

調味料 塩分量 減塩のポイント
塩(小さじ1杯) 約5.5g 最初に塩を減らす
醤油(大さじ1杯) 約2.5g 減塩醤油に変更、量を半分に
味噌(大さじ1杯) 約2.0g 味噌汁は1杯に抑える
めんつゆ(3倍濃縮・大さじ1) 約1.5g 減塩めんつゆに
コンソメ顆粒(小さじ1杯) 約1.5g 無塩・減塩タイプに
ケチャップ(大さじ1杯) 約0.8g 使いすぎ注意
マヨネーズ(大さじ1杯) 約0.3g 塩分は低いがカロリー注意

❷ 「減塩調味料」を賢く選ぶ

市販の減塩調味料は塩分を30〜50%カットしたものが多く、味も近年大幅に改良されています。選び方のコツは以下の通りです。

  • 減塩醤油:塩分50%カットタイプが豊富。料理によって使い分けるのがおすすめ。
  • 減塩味噌:塩分30〜40%カット。みそ汁のときは具だくさんにして満足感アップ。
  • 減塩めんつゆ:そのまま使える希釈タイプなら塩分調整が簡単。
  • カリウム強化塩:ナトリウムの一部をカリウムに置き換えた商品。腎機能低下のある方は医師に相談が必要。
  • だしの素(無塩タイプ):塩分ゼロでもうま味は豊富。調味のベースとして活用。

❸ うま味と香りで塩分を補う

塩分を減らすと「味が薄い」と感じる方は、塩分以外の「うま味」を活用しましょう。

代用食材・調味料 効果 具体的な使い方
酢・レモン汁 酸味で引き締まり 炒め物の仕上げ、サラダドレッシング
ごま油・オリーブオイル 香りで満足感アップ 仕上げに少量回しかける
生姜・にんにく 辛味成分でアクセント 炒め物・煮物の香り付け
柚子胡椒・山椒 ピリッとした刺激 鍋物・焼き魚に少量
かつお節・昆布・しいたけ うま味でコク だしをしっかり取る、トッピング
香草(パセリ・バジル等) 香りで深み 仕上げに散らす
ネギ・みょうが・大葉 薬味の香りと食感 たっぷりトッピング
炒りごま・刻みのり 食感と風味 ご飯・サラダに散らす

実践例:減塩味噌汁

  • 味噌の量を半分にし、かわりにかつお節や干ししいたけでうま味を補う
  • 昆布だしを使うと、塩分を抑えてもコクが出る
  • 具材をたっぷり入れる(豆腐・わかめ・大根・ほうれん草など)
  • 仕上げに小ねぎや三つ葉を添えて香りでカバー

❹ 身近な食品の「塩分ベスト比較」を知る

同じような食品でも塩分量は大きく異なります。選び方ひとつで毎日の塩分をグッと減らせます。

食品 高塩分タイプ 塩分量 低塩分タイプ 塩分量
朝食のパン クロワッサン+バター 約1.5g 食パン6枚切り1枚(そのまま) 約0.8g
塩鮭(1切れ) 約2.0g 生鮭(焼いて塩をふらない) 約0.3g
スープ インスタントみそ汁 約2.0g 手作りだしベースの味噌汁(減塩味噌) 約0.8g
麺類 ラーメン(汁完飲) 5〜7g ざるそば(つゆを半分残す) 約1.5g
おにぎり 梅干し+海苔の塩分 約1.5g 塩を少なめ+鮭フレーク少々 約0.8g
サラダ 市販ドレッシング(大さじ2) 約1.2g レモン汁+オリーブオイル+胡椒 約0.0g

❺ 「隠れ塩分」に注意!加工食品の落とし穴

「味が濃くないから大丈夫」と思って食べている食品に、実は大量の塩分が含まれていることがあります。

  • パン・シリアル:食パン6枚切り1枚で約0.8g。クロワッサンや菓子パンはさらに多い。
  • ハム・ソーセージ・ベーコン:ハム3枚(60g)で約2g。ベーコン1枚(20g)で約0.8g。
  • チーズ:プロセスチーズ1枚(18g)で約0.6g。スライスチーズはさらに塩分が多いものも。
  • 漬物:たくあん1切れ(20g)で約1g。糠漬け・べったら漬けも同程度。
  • カップ麺・レトルトカレー:1食で塩分4〜6g。1食でほぼ1日分の塩分を摂ってしまう。
  • 冷凍食品:冷凍チャーハン・パスタ・グラタンは1食あたり2〜4g。
  • 即席みそ汁・スープ:1袋で1.5〜2.5g。粉末だしで代用する工夫を。
  • 市販ドレッシング・たれ:ごまドレッシング大さじ2杯で約1.0g。焼肉のたれ大さじ1杯で約1.5g。

❻ 外食・コンビニで減塩するコツ

外食は自炊より塩分が多くなりがちです。レストランの料理は平均で1食あたり塩分4〜6g含まれることもあります。

外食で押さえる6つのポイント

  1. 汁物・スープは残す:つゆやスープの半分〜全部を残すだけで塩分1〜2g減
  2. 麺類はつゆを半分残す:うどん・そば・ラーメンはつゆを飲み干さない
  3. 漬物・お新香は控えめに:一口だけにする、または最初から辞退する
  4. 定食はご飯少なめ:おかずの塩分をご飯で流し込む量を減らす
  5. 味の濃い料理+淡白な料理を組み合わせる:焼き魚+おひたしのようなバランスが理想的
  6. 「減塩」「塩分カット」表示の商品を選ぶ:コンビニでも減塩商品が増えており、意識して選ぶ習慣を

高塩分メニューと代替案

メニュー 推定塩分量 代替案
ラーメン(汁ごと) 5〜7g つけ麺(つゆ半分)またはスープは半分残す
カレーライス 3〜5g ライス少なめ、ルーを半分残す
チャーハン 3〜4g 半量にする、塩分控えめ表記の店を選ぶ
ハンバーグ定食 3〜4g ソースを半分、漬物を辞退
お好み焼き・たこ焼き 3〜5g ソース・マヨネーズは控えめに
牛丼(並) 3〜4g つゆだくは避ける、紅生姜の塩分に注意

❼ 調理のひと工夫で減塩

  • 「かける」から「つける」に:醤油やソースを直接かけるのではなく、小皿に取って「つける」ようにすると使用量が半分以下に。
  • 煮込み料理は味を付けるタイミングをずらす:最後に味を調えると少量の調味料で済む。
  • 香味野菜・スパイスを活用:カレー粉・クミン・パプリカ・オレガノなど、スパイス類は塩分ゼロでも風味豊か。
  • 酢・柑橘類を味のアクセントに:酢の物、レモン汁をかけた焼き魚は塩分が少なくても満足感がある。
  • 焼き目や焦げ目で風味をプラス:グリルで焼くことで香ばしさが加わり、塩分少なめでも美味しく感じられる。

❽ 減塩でも美味しく!簡単レシピの考え方

減塩=味気ない、ではありません。以下の組み合わせを意識すると、満足感のある食事が作れます。

  • 和食の基本:ご飯(無塩)+焼き魚(塩少なめ)+おひたし(ほぼ無塩)+味噌汁(減塩味噌+だし+具だくさん)
  • 洋食の基本:パン(無塩・全粒粉)+グリルチキン(ハーブ塩胡椒軽め)+サラダ(レモンベース)+ヨーグルト(無糖)
  • 中華風:ご飯+蒸し鶏のゴマだれ(減塩醤油+ごま油+酢)+青菜炒め(にんにく・生姜風味)

❾ 減塩の効果 ― どれくらいで変化が出る?

減塩を始めても、「すぐに効果が出るわけではない」と諦めてしまう方がいます。しかし、正しく減塩を続ければ、数週間で変化を実感できる方が多いです。

期間 期待できる効果
1〜2週間 味覚が慣れて塩分が少ない食事でも満足感が出てくる
2〜4週間 血圧が5〜10mmHg低下する方が多い(個人差あり)
1〜3か月 朝の顔のむくみが軽減、体重が1〜2kg減少(水分変動)
3〜6か月 降圧薬が減量できる可能性(医師の判断が必要)
長期(1年以上) 心不全・脳卒中・心筋梗塞のリスク低減

減塩は継続が最重要です。最初は味が薄く感じても、2週間ほどで舌の感覚が変わってきます。「減塩=まずい」は一時的なもの。続ければ必ず変化を実感できます。

❿ 減塩を習慣化するためのチェックリスト

  • ☐ 調味料を減塩タイプに切り替えた
  • ☐ 「かける」から「つける」に変えた
  • ☐ 汁物・スープは残す習慣がついた
  • ☐ 外食ではメニュー選びに注意している
  • ☐ 加工食品を減らし、新鮮な食材を選んでいる
  • ☐ うま味・香辛料・香味野菜を活用している
  • ☐ 血圧を週1回測定して変化を確認している

減塩でお悩みの方へ ― 当院でのサポート

しもやま内科では、糖尿病・高血圧・糖尿病性腎臓病(DKD)の方に向けた食事指導を行っています。減塩だけでなく、糖質管理・タンパク質制限など、一人ひとりの状態に合わせた包括的な食事アドバイスを提供しています。

  • 個別の食事指導:生活スタイル・好みの味・家族構成に合わせた減塩プランの提案
  • 調味料の見直し:ご家庭にある調味料を一緒に確認し、減塩版への切り替えをサポート
  • 外食の工夫:よく行くレストラン・コンビニでの具体的な選び方をアドバイス
  • 血圧・血糖値のモニタリング:減塩の効果をデータで確認しながら治療を進めます

監修者情報

監修:下山立志(しもやま内科 院長)

糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病診療を専門とする内科医。患者さん一人ひとりの生活スタイルに合わせた、無理なく続けられる食事療法・治療を提案。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会専門医。

監修日:2026年8月23日

減塩は「やらされる」ではなく、「自分で選んで実践する」ことが継続のカギです。まずはできることから一つずつ始めてみましょう。お困りのことがあれば、いつでもご相談ください。

最終更新日:2026-08-23

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

03/05/2024