甲状腺 不整脈|バセドウ病・橋本病による動悸・心房細動

先生、バセドウ病を指摘されてから、夜中にドキドキして眠れないんです……これって心臓に影響があるんですか?——先日、28代の女性患者さんが、青ざめた顔で相談されました。安静時の脈が110を超え、時々脈が飛ぶ感覚もあるそうです。実は、甲状腺ホルモンの過剰は心臓に直接作用し、不整脈(心房細動や期外収縮)や心不全を引き起こすことがあるんです。特に若年女性のバセドウ病では、心臓症状が最初の症状となることもあります。

甲状腺の異常は心臓に大きな影響を与えます。バセドウ病(甲状腺機能亢進症)では動悸や心房細動が、橋本病(甲状腺機能低下症)では高血圧や動脈硬化が起こりやすくなります。

このページの要点

  • バセドウ病(甲状腺機能亢進症)→動悸心房細動・不整脈
  • 橋本病(甲状腺機能低下症)→高血圧・動脈硬化・心不全
  • 当日エコー・採血・心電図でスピーディーに診断

甲状腺と心臓の関係

甲状腺ホルモン(T3・T4)は、心臓の鼓動数・収縮力・血管の緊張度を調節する重要なホルモンです。甲状腺機能が亢進(過剰)でも低下(不足)でも、心臓にさまざまな影響を及ぼします。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)と心臓

甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、心臓が過活動になります:

  • 動悸:心拍数が上がり、胸がドキドキする
  • 心房細動:心臓のリズムが乱れる不整脈。脳梗塞のリスク増加
  • 期外収縮:心臓が「飛んだ」感じがする
  • 心不全:長期の亢進で心臓が疲弊する

甲状腺機能低下症(橋本病など)と心臓

甲状腺ホルモンが不足すると、心臓の機能が低下します:

  • 高血圧:心拍数が下がり、血管が硬くなる
  • 動脈硬化進行:コレステロール上昇で血管が詰まりやすくなる
  • 心不全:心臓の収縮力が低下
  • 心嚢液貯留:心臓の周りに水分が溜まる

当院での診断・治療の流れ

当院の院長は、甲状腺専門医と循環器専門医の両方を兼ねているため、甲状腺と心臓の両方を1人の医師でワンストップに診療します。

STEP 1:問診・身体診察

症状(動悸・体重変化・疲労感など)や既往歴を確認。甲状腺の腫れを触診します。

STEP 2:採血検査(当日)

  • 甲状腺機能:TSH・FT3・FT4
  • 甲状腺抗体:TPO抗体・Tg抗体・TRAb
  • 心筋マーカー:BNPなど

STEP 3:甲状腺エコー(当日)

甲状腺の形・大きさ・血流を超音波で評価。バセドウ病の特徴的な血流増加や、橋本病の特徴的なエコー像を確認します。

STEP 4:心電図・心エコー(当日)

不整脈の有無や心臓の機能を評価。心房細動があれば早期発見します。

STEP 5:治療計画

甲状腺の治療と心臓症状の管理を並行して行います。バセドウ病の治療で心臓症状が改善することもありますが、心房細動が慢性化している場合は、抗不整脈薬や抗凝固薬が必要になることもあります。

よくある質問

バセドウ病で心房細動になったら治るの?
バセドウ病による心房細動は、甲状腺の治療(抗甲状腺薬やアイソトープ治療)で甲状腺ホルモンが正常化すると、約60-80%の症例で不整脈が改善または消失すると報告されています。ただし、長期にわたって心房細動が続いている場合は、心臓の電気的除細動や抗不整脈薬が必要になることもあります。
橋本病で動悸がするのはなぜ?
橋本病(甲状腺機能低下症)では、心拍数が下がり、血管が硬くなるため、通常は動悸よりも「疲労感」や「むくみ」が主な症状です。しかし、稀に甲状腺ホルモンの急激な変動や、自己免疫の影響で不整脈が出ることがあります。動悸が続く場合は、心電図と甲状腺機能の両方を確認する必要があります。
甲状腺の治療で不整脈は改善する?
改善するケースがほとんどです。特にバセドウ病による心房細動や期外収縮は、甲状腺ホルモンが正常範囲に戻ることで症状が軽快します。ただし、心房細動が慢性化している場合や、心臓に器質的な異常がある場合は、循環器内科での併診が必要です。
甲状腺エコーと心電図は同じ日に受けられる?
当院の院長は、甲状腺専門医と循環器専門医の両方を兼ねているため、甲状腺エコー・心電図・採血を同日に実施可能です。初診で「動悸+甲状腺腫大」が疑われる場合、1回の来院で必要な検査を完結できます。

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最終更新日:2026-07-01

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

17/03/2026

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