循環器内科

早朝高血圧(モーニングサージ)にご注意ください|原因・タイプ・対策|しもやま内科(船橋市)

13/05/2019

【要点まとめ】

  • 早朝高血圧は起床直後の血圧が高い状態で、心筋梗塞・脳卒中リスクを高めます。
  • タイプはモーニングサージ型持続性高血圧型の2つ。
  • 睡眠時無呼吸症候群(SAS)甲状腺機能亢進症が関与することがあります。
  • 朝の血圧を継続測定し、早期発見と治療につなげましょう。

早朝高血圧にご注意ください

早朝高血圧に注意を促す案内画像(心血管イベントリスクの上昇に関する注意喚起)

高血圧が動脈硬化を起こす

血圧とは、心臓から押し出された血液が動脈にかける圧力です。高い圧が持続すると血管壁にダメージが蓄積し、結果として動脈硬化が進行します。

動脈硬化がさらに血圧を高くする悪循環へ

動脈硬化と早朝高血圧の悪循環を示すイメージ図
早朝高血圧

動脈が硬くなると血液を送り出すためにより高い圧が必要となり、血圧はさらに上がります。狭心症・心筋梗塞・脳卒中のリスクは起床後3時間以内に高まることが知られ、これは早朝高血圧が問題となる時間帯と重なります。
家庭で朝起きてすぐ測った血圧が135/85mmHg以上が続く場合は、早朝高血圧の可能性を考え、医療機関にご相談ください(目安)。

早朝高血圧はなぜ起きる?

通常、睡眠中は血圧が低く、起床に向けて徐々に上がります。高血圧の方ではこの上昇が過度になりやすく、次の2タイプに大別されます。

早朝高血圧の2タイプ(モーニングサージ型・持続性高血圧型)の概念図
早朝高血圧の2つのタイプ

モーニングサージ(早朝急上昇型)

深夜に血圧は低下するものの、起床時に急激に上昇するタイプ。高齢者、脂質異常・耐糖能異常のある方に多く、脳卒中リスクに注意が必要です。

持続性高血圧

夜間に十分下がらず、そのまま早朝も高値が持続するタイプ。腎機能障害やいびき・SASのある方に多く、睡眠中から心血管への負荷が続きます。

甲状腺ホルモンと早朝高血圧の関係

甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)では心拍数・心拍出量が増え、血管反応性も変化するため、収縮期高血圧や脈圧増大がみられ、夜間の血圧低下が不十分となることで早朝高血圧の要因になることがあります。必要に応じて甲状腺ホルモンの採血・甲状腺エコーを行います。

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▶ 睡眠時無呼吸症候群(SAS)と早朝高血圧の関係

SASは夜間の低酸素・覚醒反応による交感神経の活性化で早朝の血圧を異常に上げることがあります。ガイドラインでも早朝高血圧の原因の一つとして言及されています。

CPAP治療で早朝高血圧が改善するケースがあり、該当が疑われる方は検査をご検討ください。

服薬治療中でも早朝高血圧が見られることがあります。夕食後に服用した降圧薬の効果が深夜〜早朝に切れる場合などは、薬剤の種類や服用時間の調整が必要です。まずは家庭血圧(起床後1時間以内、排尿後、座位1〜2分安静、上腕測定)を複数日記録し、受診時にご持参ください。

ご相談・受診をご希望の方へ

早朝高血圧は年齢のせいと見過ごされがちですが、治療介入で改善する可能性があります。良くならずお困りの方はお気軽にご相談ください。

☎ 047-467-5500 に電話して相談する

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年病専門医・指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医
高血圧・心疾患・内分泌疾患の診療に長年携わり、地域に根ざした総合内科診療を行っています。

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