朝だけ血圧が高い(モーニングサージ)|放置していい?原因と対策を循環器専門医が解説

【要点まとめ】

  • モーニングサージ(朝の血圧急上昇)は、心筋梗塞・脳卒中の発症が増える時間帯と一致します。
  • 家庭血圧で135/85mmHg以上が続く場合は要注意です。
  • 背景に睡眠時無呼吸症候群(SAS)甲状腺機能亢進症が潜むことがあります。
  • 危険なサインや受診の目安を早めに知ることが重要です。



朝だけ血圧が高い(モーニングサージ)とは?

モーニングサージの注意喚起画像

モーニングサージとは、起床後に血圧が急激に上昇する現象を指し、心血管イベント(心筋梗塞・脳卒中)が起こりやすい時間帯と一致します。

特に以下の方は注意が必要です:

  • 高血圧治療中の方
  • 脂質異常症・糖尿病・肥満のある方
  • 睡眠時無呼吸症候群が疑われる方
  • 甲状腺機能異常が指摘されている方

家庭で朝一番に測った血圧が135/85mmHg以上の日が続く場合、早朝高血圧が疑われます。



モーニングサージ(朝の血圧上昇)はなぜ起こる?

① 交感神経の急激な活性化

起床時には、自律神経のうち交感神経が優位になり、血管が収縮して血圧が上がります。高血圧の方ではこの上昇が過度になりやすく、急激な血管負荷につながります。

② 2つのタイプがある

早朝高血圧の2タイプ:モーニングサージ型・持続性高血圧型
早朝高血圧の2つのタイプ

● モーニングサージ型(朝急上昇型)

  • 夜間に血圧が下がる
  • 起床と同時に急激に上昇
  • 高齢者・脂質異常症・耐糖能異常に多い
  • 脳卒中リスクと関連

● 持続性高血圧(夜間から高いまま)

  • 夜間に血圧が十分に下がらない
  • SAS(睡眠時無呼吸)、腎機能障害に多い
  • 睡眠中も心血管への負荷が持続



甲状腺や睡眠時無呼吸症候群(SAS)が関係することも

甲状腺ホルモンの影響

甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)では、心拍数や心拍出量が増加し、血圧の上昇・脈圧拡大につながります。夜間の血圧低下が不十分となり、結果として早朝高血圧の要因になります。

必要に応じて甲状腺ホルモン採血・甲状腺エコーによる評価を行います。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

SASでは、夜間の低酸素・覚醒反応が繰り返されることで交感神経が過度に活性化し、早朝の血圧上昇を引き起こします。CPAP治療で早朝血圧が安定するケースも多く、疑われる場合は検査をおすすめします。

▶ 血圧の「正常値」と家庭血圧の測り方もチェックしましょう

「そもそも血圧の正常値はいくつ?」「家で測った血圧はどこまでが大丈夫?」と気になる方は、
年代別の目安家庭血圧の正しい測り方をまとめたページもご参照ください。

▶ 血圧の正常値はいくつ?年代別の目安と家庭血圧の測り方



早朝高血圧で「危険なサイン」が出たら要注意です

すぐ受診すべき症状

  • 胸の痛み・締め付け感
  • 突然の息切れ・強い動悸
  • 片側の麻痺・しびれ
  • めまい・ふらつき・視野が欠ける
  • 強い頭痛(雷鳴頭痛)

特に45歳以上で朝の血圧が急上昇する方は要注意です。



自宅での血圧測定(モーニングサージを見つけるコツ)

  • 起床後1時間以内
  • 排尿後
  • 座位で1〜2分安静後
  • 上腕式血圧計で測定
  • 2回測って平均を記録

数日続けて記録し、受診時にご持参ください。



どんなときに医療機関を受診すべき?

受診をおすすめするケース

  • 朝の血圧が135/85mmHg以上が数日続く
  • 胸痛・息切れ・動悸などの症状を伴う
  • いびき・日中の眠気が強い(SASの疑い)
  • 甲状腺疾患を指摘されている/症状がある
  • 降圧薬を飲んでいるのに朝だけ高い

服薬治療中でも、夕食後服用の薬が深夜~早朝に切れる場合は調整が必要です。



しもやま内科で可能な検査・治療

  • 心電図
  • 心エコー(左室肥大・大動脈弁評価)
  • 頸動脈エコー(動脈硬化評価)
  • 睡眠時無呼吸の簡易検査
  • 甲状腺ホルモン検査・甲状腺エコー
  • 降圧薬の見直し・服用時間調整



ご相談・受診をご希望の方へ

早朝高血圧は「年齢のせい」と見過ごされがちですが、治療介入で改善するケースが多くあります。


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👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年病専門医・指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医
高血圧・心疾患・内分泌疾患の診療に長年携わり、地域に根ざした総合内科診療を行っています。

13/05/2019