睡眠時無呼吸症候群に対するCPAP治療を行っています。

睡眠時無呼吸症候群
しもやま内科では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)に対するCPAP治療を行っています。
いびきをかいている方、とりわけ「息が止まっているよ!」と言われてしまうような大きないびきをかいている方は、睡眠時無呼吸症候群 (sleep apnea syndrome; SAS)かもしれません。呼吸が止まるいびきは要注意です。
睡眠時無呼吸症候群は、健康と思われる成人の中にも数多く潜在しています。 高血圧、不整脈、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞等の循環器疾患、夜間突然死との関連も指摘されています。日中の眠気による交通事故、労働災害、仕事や学業の能率低下など、極めて重大な社会問題を引き起こす病気です。
睡眠時無呼吸症候群は、さまざまな生活習慣病を合併すると言われ、そうでない患者さんに比べて次のような危険性が報告されています。
睡眠時無呼吸症候群による高血圧は夜間だけでなく日中の高血圧の原因となります。日中の眠気はないかもしれませんが高血圧そのものが睡眠時無呼吸症候群の症状である可能性が高いと思われます。睡眠時無呼吸症候群による高血圧は降圧薬抵抗性であることが多く、CPAPにより改善し降圧薬の減量や中止が可能となることがしばしばです。心不全や脳血管障害、冠攣縮性狭心症など心血管イベントとの関連も指摘されています。
睡眠時無呼吸症候群の合併症
以下の病気の発症危険率があると言われています。
高血圧症が2倍
冠動脈疾患が3倍
脳血管障害が4倍
特に習慣性の強いいびきがある場合、
心筋梗塞の発生が4倍になり、交通事故の発生率は7倍になると言われています。
有病率
人口の1~2%
症状
- いびき
- 寝ている時の無呼吸
- 目が覚める
- 日中の眠気
- 常に疲労感やだるさ
などがあります。
一番分かりやすいのが、いびきです。いびきが出るというのは、気道が狭くなっている証拠です。特に10秒ほど息が止まった後に大きないびきをかき始めたら、睡眠時無呼吸症候群が極めて疑わしいです。重度な方は低酸素になるため、体が異常事態と認識して起きてしまう人も多いです。
睡眠中に体が休めないため、日中に激しい眠気が出現します。ちょっと眠いでは済まされないほどの眠気で、仕事や運転に支障をきたします。
睡眠時無呼吸症候群が怖いのは、それだけではありません。
寝ている間に気道が狭くなり低酸素状態になることで、体が酸素不足に陥ります。呼吸で酸素が足りなくなる分、頑張るのが心臓になります。しかし心臓は、24時間365日、もともと動き続ける臓器です。その心臓を夜休ませないで、むしろ激しく働かせることで心臓が疲れてきてしまいます。
そのため睡眠時無呼吸症候群の方は、心不全を併発しやすいと言われています。心不全の方は、
- 高血圧
- 浮腫み
- 息切れ
などの症状を呈しやすいです。
心臓が頑張っても低酸素が続いた場合、
- 心筋梗塞
- 不整脈
- 脳卒中
など致命的な病気が起こるリスクになります。昼間に眠いという症状だけでなく、夜間血圧上昇を引き起こす関係で高血圧を進行させやすくなります。朝方の著明な高血圧で脳卒中や心筋梗塞などを引き起こしかねません。
このように睡眠時無呼吸症候群は、ただいびきがうるさいだけの病気ではなく、生活にも支障が大きく、重篤な病気になるリスクが高まる怖い病気なのです。
睡眠時無呼吸症候群のタイプ
閉塞型
一番多いタイプで、無呼吸のときに胸郭と腹壁の呼吸運動は保たれますが、上気道が閉塞し、口や鼻からの呼吸が停止する無呼吸の型のことをいいます。閉塞型睡眠時無呼吸の病因としては、大きな扁桃や舌根が沈下し、上気道が閉塞し、無呼吸となると考えられます。 閉塞型睡眠時無呼吸には「いびき」を伴います。いびきは無呼吸中には起こりませんが、呼吸が再開する時に大きないびきが見られます。その後数回の呼吸とともにいびきが起きた後、再び無呼吸状態になります。
中枢型
呼吸中枢機能の低下が原因で、呼吸筋の運動が停止する無呼吸の型のことをいいます。一般に脳幹の呼吸中枢機能の低下が原因といわれています。
睡眠時無呼吸症候群の検査
簡易睡眠時無呼吸検査(アプノモニター)
夜間の酸素濃度や呼吸状態を簡単に計測できる検査を自宅に持ち帰ることができる検査です。
終夜ポリソムノグラフィー検査
精密検査として、外来で終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)検査も行っています。機械を装着して自宅で一晩おやすみいただき、後日呼吸状態のデータを解析します。
睡眠時無呼吸症候群の治療
上記の検査で重症な睡眠時無呼吸症だった場合、夜に特殊な呼吸機器を取り付けて、いわば鼻マスクのような形で空気を送り込む機械、CPAPという治療法が保険で受けられます。

CPAP
これを使うことで、夜間の無呼吸が改善され、昼間の眠気が劇的に改善します。
言葉や写真だけだとイメージが沸きづらいかもしれません。
人によっては、
- 機械から圧を出し続けられたら苦しいんじゃないか
- そんな圧をかけたら寝られないよ
- 機械を取り付けて毎日寝るなんて怖い
といった心配される方もいらっしゃるかもしれません。初めての治療に関して不安を抱くのは当然だと思います。しかし導入してみると、多くの方が思ってたより全然楽だとおっしゃっています。
むしろCPAPは、その日のうちから治療効果が出ます。今まで空気の通り道が狭くなってしまっていたのを、空気の圧ですぐに通りやすくする治療なのです。このため、すぐに低酸素状態が改善されるのです。
そのため人によっては使った次の朝から、
- スッキリと目が覚めた
- 日中の眠気が無くなった
- 頭痛やだるさ等が感じづらくなった
など効果が実感できます。