「先生、健康診断で下の血圧が95と言われたんですが、これって大丈夫なんですか?上は正常なのに…」
——50代の男性患者さんが、診察室で不安そうに尋ねられました。健康診断で「血圧が少し高いね」と言われ、自宅で測定したら上の血圧は130くらいなのに、下の血圧が95以上あることに気づいたそうです。
実は、下の血圧(拡張期血圧)が高い状態を放っておくと、心臓や血管に深刻な負担がかかり、脳卒中や心筋梗塞のリスクが2〜3倍に上昇することがわかっています。
この記事では、循環器専門医として年間2,000件以上の血圧測定を行う当院が、拡張期血圧が高くなる原因と、今日から始められる具体的な改善方法を詳しく解説します。
最低血圧(拡張期血圧)が高い原因
拡張期血圧とは
血圧は収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)の2つで表されます。
| 種類 | 説明 | 正常値 |
|---|---|---|
| 収縮期血圧(上) | 心臓が収縮して血液を送り出す時の圧力 | 120mmHg未満 |
| 拡張期血圧(下) | 心臓が拡張して休んでいる時の圧力 | 80mmHg未満 |
拡張期血圧が90mmHg以上の場合は、高血圧症(拡張期優位型)と診断されます。
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拡張期血圧が高くなる主な原因
① 血管の硬化・狭窄
動脈硬化が進むと、血管が硬くなり、拡張時にも十分な拡張ができなくなります。特に40代以降は要注意です。
② 塩分の摂取過多
日本人の平均塩分摂取量は1日約10g(目標の6gを大きく超過)。塩分を摂りすぎると、体内に水分が溜まり、血圧が上昇します。
③ 運動不足・肥満
運動不足や肥満は、交感神経の緊張を高め、血管を収縮させるため、血圧上昇の原因となります。
④ ストレス・喫煙・飲酒
慢性的なストレス、喫煙、過度の飲酒は、血管を収縮させたり、心拍数を上げたりして血圧を上昇させます。
最低血圧が高い場合の改善方法
生活習慣の改善が基本
🧂 減塩を心がける
1日の塩分摂取量を6g未満に抑えましょう。
| 食品 | 塩分量 | 注意点 |
|---|---|---|
| 味噌汁(1杯) | 2〜3g | 朝・昼・晩と3杯で6〜9g |
| 漬物 | 1〜2g | 少量でも塩分濃度高い |
| ラーメン | 5〜8g | 1杯で1日の目標量を超過 |
| 加工肉・ハム | 2〜4g | 朝食で要注意 |
| パン | 1〜2g | 意外と塩分が含まれる |
具体的な対策:
- 自炊を増やし、味噌汁は味を薄くする
- 醤油は減塩醤油に切り替える
- 食品の栄養成分表示で「食塩相当量」を確認
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🏃 適度な運動
有酸素運動(ウォーキング、水泳、自転車など)を週3〜5回、1回30分以上行うと、血圧低下効果が期待できます。
効果的な運動の目安:
- ウォーキング:時速4〜5kmで、少し汗ばむ程度
- 散歩:朝30分+夜30分の1日1時間が理想
- 水泳:週2回、1回45分
⚠️ 注意:血圧が高い状態で激しい運動は危険。まずは軽い散歩から始め、当院で運動プログラムの相談も可能です。
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🚭 禁煙・節酒
- 喫煙:血管を損傷し、血圧を上昇させる。禁煙で1年後には心血管リスクが半減
- 飲酒:少量であれば問題ありませんが、過度の飲酒は控えましょう(日本酒1合、ビール中瓶1本、ワイン180mlを目安に)
⚖️ 体重管理
BMI25以上の方は、適正体重を目指して減量を行うと、血圧が低下します。体重1kg減で、血圧は約1mmHg低下することが知られています。
薬物治療が必要な場合
生活習慣の改善だけでコントロールできない場合は、降圧薬の服用が必要です。
| 薬剤の種類 | 特徴 | 拡張期血圧への効果 |
|---|---|---|
| ACE阻害薬 | 血管を拡張させる | ⭐⭐⭐ |
| ARB | 血管を拡張させる(副作用が少ない) | ⭐⭐⭐ |
| カルシウム拮抗薬 | 血管を拡張させる | ⭐⭐⭐ |
| 利尿薬 | 塩分を排出する | ⭐⭐ |
当院では、患者さんの年齢、合併症、生活習慣を考慮して、最適な降圧薬を選択します。副作用が気になる方は、ぜひご相談ください。
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拡張期血圧が高い場合の治療
放置した場合のリスク
拡張期血圧が高い状態を放っておくと、以下のリスクが高まります:
| 合併症 | リスク上昇率 | 説明 |
|---|---|---|
| 脳卒中 | 2〜3倍 | 脳の血管が破損または詰まる |
| 心筋梗塞 | 2倍 | 心臓の血管が詰まる |
| 心不全 | 3倍 | 心臓のポンプ機能が低下 |
| 慢性腎臓病 | 2倍 | 腎臓の血管が損傷 |
| 認知症 | 1.5倍 | 脳の血流障害によるもの |
しもやま内科での診療の流れ
- 初診:問診+血圧測定+基本検査
- 精密検査:血液検査、腎機能、心電図、ホルター血圧測定(必要に応じて)
- 治療方針決定:生活習慣改善+薬物治療の組み合わせ
- フォロー:2〜4週間ごとの受診で経過観察
まとめ
拡張期血圧(下の血圧)が高い場合:
✅ 原因:塩分過多、運動不足、肥満、ストレス、喫煙、飲酒
✅ 改善方法:
- 減塩(1日6g未満)
- 適度な運動(週3〜5回×30分)
- 禁煙・節酒
- 体重管理
✅ 放置のリスク:脳卒中・心筋梗塞のリスクが2〜3倍に
下の血圧が90mmHg以上の方は、早めに専門医の診察を受けましょう。
❓ よくある質問
Q1: 拡張期血圧だけが高いのはなぜ?
A: 血管の硬化や塩分の摂取過多が主な原因です。収縮期血圧は正常でも、血管の柔軟性が低下していると拡張期血圧が高くなります。40代以降に多い傾向です。
Q2: 下の血圧を下げる即効性のある方法は?
A: 即効性があるのは「減塩」と「運動」です。塩分を減らすと数日で効果が現れ、運動を始めると2〜4週間で血圧が低下します。ただし、根本的な改善には継続が必要です。
Q3: 拡張期血圧が100を超えたら危険?
A: 100mmHg以上は「高血圧症(2度)」に該当し、心血管イベントのリスクが高まります。早めに専門医の診察を受け、生活習慣の改善と必要に応じて薬物治療を開始しましょう。
Q4: 薬を飲み始めたら一生やめられない?
A: 必ずしもそうではありません。生活習慣を改善し、体重を減らすことで、医師の判断で減薬・休薬が可能になる場合があります。ただし、自己判断で止めるのは危険です。
Q5: 自宅で血圧を測定する際の注意点は?
A: ①測定前に5分間安静にする ②カフェイン・喫煙・運動後は30分待つ ③毎日同じ時間帯に測定 ④正しい姿勢で測定(背もたれに寄りかかり、腕を心臓と同じ高さに)。朝と夜の2回測定し、1週間の平均を記録すると良いでしょう。
👨⚕️ この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
- 日本内科学会 総合内科専門医
- 日本循環器学会 循環器専門医
- 日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
- 日本老年医学会 老年科専門医・指導医
年間2,000件以上の血圧測定と、500名以上の高血圧症患者さんの治療を担当。
ご予約・お問い合わせ
TEL:047-467-5500
受付時間:月・火・木・金 9:00〜12:00、14:45〜17:30/土曜 9:00〜12:00(水日祝休診)
下の血圧が気になる方は、まずは一度ご相談ください。
最終更新日:2026-06-15
👨⚕️ この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。