妊娠糖尿病Q&A|糖尿病専門医が妊婦さんの不安にやさしく回答|しもやま内科(船橋市)

妊娠中に血糖値が高めと言われた方へ。妊娠糖尿病は母体と赤ちゃん双方に影響し得るため、早めの評価と管理が重要です。原因・検査・治療と食事管理の要点を、専門医がわかりやすく解説します。

「妊娠糖尿病かも?」と不安な方へ:
まずは受診の目安を整理できる セルフチェック入口ページ もご利用ください(診断ではありません)。

妊娠中に「血糖値が高め」と言われた方へ——それは妊娠糖尿病の可能性があります。
放置すると母体にも赤ちゃんにも影響が出ることがあるため、早めの対応が大切です。
このページでは、妊娠糖尿病の原因・検査・治療・食事管理など、よくある疑問に専門医がわかりやすくお答えします。

妊娠糖尿病Q&A|糖尿病専門医が解説

1. 妊娠糖尿病とは何ですか?
妊娠中に初めて血糖値が高くなる状態を「妊娠糖尿病」と呼びます。妊娠前からの糖尿病とは異なり、多くは出産後に改善しますが、母体や胎児に影響を与えることもあるため、適切な管理が必要です。
2. なぜ妊娠中に血糖値が高くなるのですか?
妊娠中は胎盤から分泌されるホルモンの影響で、インスリンの効きが悪くなり(インスリン抵抗性)、血糖値が上がりやすくなります。
3. どんな検査で見つかりますか?
妊娠24〜28週頃に「75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)」を行い、一定以上の血糖値を示した場合に妊娠糖尿病と診断されます。健診で血糖が高いと指摘された場合は早めに検査を行うこともあります。
4. 妊娠糖尿病は赤ちゃんに影響しますか?
血糖値が高い状態が続くと、胎児が過剰に成長して「巨大児」になるリスクがあり、分娩時のトラブルや新生児の低血糖、黄疸、羊水過多などの影響が出ることがあります。
5. 私自身の健康に影響はありますか?
妊娠高血圧症候群や羊水過多、帝王切開のリスクが高まるほか、将来的に2型糖尿病へ移行する可能性もあるため、出産後のフォローアップも大切です。

こんな不安・疑問に対応しています

  • 妊婦健診で血糖値が高いと言われた
  • OGTT(75gブドウ糖負荷試験)って何?
  • 胎児が大きいと言われたが心配
  • 分食指導・血糖コントロールって大変?
  • フリースタイルリブレで測定できる?
  • 将来的に糖尿病になるリスクは?
  • 船橋で妊娠糖尿病を診てくれる病院は?

妊娠糖尿病の治療ステップ(分食 → 血糖評価 → 必要ならインスリン)

妊娠糖尿病の治療は「段階的」に行います。まずは食事の工夫(分食)から始め、血糖の動きを確認し、必要に応じて安全にインスリン治療へ進みます。

妊娠糖尿病の治療ステップ|分食→リブレ→インスリン導入

6. どんな治療が必要ですか?
妊娠糖尿病の治療は、まず 食事療法(分食) が基本です。しもやま内科では 医師の指導のもと、血糖値が上がりすぎないように 分食の調整 を行います。
また、血糖の変動をより正確に把握するために、 フリースタイルリブレ(持続血糖測定器) を使用し、食後血糖のパターンを確認します。
食事療法で十分なコントロールが得られる場合はそれを継続し、改善が難しい場合は インスリン治療 を検討します。

🍙 妊娠糖尿病の「分食」:具体例(明日から迷わないために)

分食の目的は、「食べる量を極端に減らす」ことではなく、「炭水化物(糖質)が一度に集中しないように分ける」ことです。
しもやま内科では、医師の指導のもと、食後血糖(食後1〜2時間の上がり方)を見ながら、分け方を一緒に調整します。

✅ 1日の分け方(例:3食+間食2回)

  • 朝食:主食+たんぱく質(卵・納豆など)+野菜/汁物
  • 午前の間食(必要な方):少量の補食(下の「選び方」参照)
  • 昼食:主食で食後高血糖が出る場合は、一部を間食に回すという調整が有効です
  • 午後の間食:夕食前の空腹が強い方に
  • 夕食:遅い時間の大盛りは血糖が上がりやすいため、まとめ食いを避ける
  • 就寝前(必要な方のみ):夜間低血糖や空腹が強い場合に、医師の判断で少量

✅ 間食(補食)の“選び方”のコツ

  • 少量で、血糖が急に上がりにくいものを選ぶ
  • まずはたんぱく質・脂質・食物繊維を含むものを優先(例:無糖ヨーグルト、チーズ、ゆで卵、ナッツ少量 など)
  • 果物・菓子パン・ジュースは血糖が上がりやすいため、量とタイミングに注意

※「何が合うか」は個人差があります。自己判断で極端に減らさず、実際の血糖を見ながら調整しましょう。

⚠️ よくある誤解(ここだけ押さえる)

  • 「間食=悪」ではありません。一度に食べる量を分けることで、食後血糖のピークを下げる狙いがあります。
  • 「主食ゼロ」は原則おすすめしません。妊娠中の体調(便秘・倦怠感など)にも影響し得ます。
  • 分食は「血糖を見ながら調整する治療」です(必要に応じてリブレ等で把握します)。

分食の考え方を「炭水化物の量」から理解すると、さらに調整がしやすくなります。
カーボカウントの基本と計算方法

7. 薬を使っても赤ちゃんに影響しませんか?
妊娠中の血糖コントロールに使用するインスリンは安全性が高く、胎児への影響はないとされています。経口薬(飲み薬)は原則として妊娠中には使用されません。
8. 出産後は治りますか?
多くの方は出産後に血糖値が正常に戻りますが、一部の方はその後も耐糖能異常が続き、将来的に糖尿病を発症することがあります。出産後の定期的な血糖検査が大切です。
9. しもやま内科ではどのような管理をしていますか?
糖尿病専門医が在籍し、 くらもちレディースクリニック船橋市立医療センター と連携して妊娠糖尿病の管理を行っています。
食事療法から血糖評価、必要時のインスリン導入まで、安心してご相談いただけます。
10. 妊娠糖尿病と診断されたら、どうすれば?
なるべく早く専門医のもとでの治療を開始することが大切です。妊娠期間中にしっかり血糖を管理することで、お母さんと赤ちゃんの健康を守ることができます。

11. 分食は具体的にどうすればいいですか?
分食は「炭水化物(糖質)が一度に集中しないように分ける」のがコツです。まずは3食+間食(必要な方)という形で、食後の血糖が上がりやすい食事の一部を、少量の補食に回す方法を検討します。
ページ内の具体例はこちら:▶ 分食の具体例を見る
※妊娠中は体調や週数で最適解が変わるため、自己判断で極端に減らさず、医師の指導のもとで調整しましょう。
妊娠糖尿病の分食(3食+間食)を一日の流れで示した写真イメージ
分食のイメージ:1日の食事を「3食+(必要に応じて)間食」に分け、炭水化物(糖質)が一度に集中しないように調整します。実際の分け方は妊娠週数や血糖の上がり方で変わるため、医師の指導のもとで一緒に最適化します。

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👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年病専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医

糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

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21/05/2025