甲状腺内科

甲状腺機能低下症

18/04/2019

甲状腺機能低下症

甲状腺ホルモンは、全身の代謝を維持するのに重要なホルモンです。このホルモンが低下すると活動性が鈍くなり、昼夜を問わず眠く、全身の倦怠感が強く、記憶力や計算力の低下がみられます。また、体温が低くなり、皮膚が乾燥して、夏でも汗をかかなくなります。顔はむくみやすくなり、脱毛が起こり、カツラが必要になることもあります。声が低音化してしわがれるのも特徴です。

甲状腺機能低下症とは

甲状腺ホルモンの分泌が低下して活動性が低下する病気です。圧倒的に女性に多く(男女比は1対10以上)、40歳以後の女性では軽症なものも含めると全体の5%になります。成人に起こり、症状がはっきり出ているものは粘液水腫、小児にみられる先天性のものはクレチン病とも呼ばれます。

甲状腺機能低下症の原因

  • 原発性甲状腺機能低下症(慢性甲状腺炎による甲状腺機能低下症)
  • 先天的なもの

先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)
無甲状腺
異所性甲状腺腫(正常な位置に甲状腺がなく、舌根部分などに甲状腺組織が認められます)

  • 一過性のもの

産後一過性甲状腺機能低下症
破壊性甲状腺炎の回復期

  • 海草(ヨウ素)の取りすぎによる甲状腺機能低下症

(これは、海草(特に昆布)の摂取制限をするだけで改善します)

  • 甲状腺の病気の治療によるもの(永続性です)

術後甲状腺機能低下症
アイソトープ治療後甲状腺機能低下症

甲状腺自体が損われて起こる原発性機能低下症と、甲状腺をコントロールしている甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌が低下するために起こる続発性機能低下症、そして極めて稀な甲状腺ホルモン不応症とに分かれます。原発性機能低下症の原因としては、甲状腺の術後、アイソトープ治療後、甲状腺ホルモン合成障害などもありますが、圧倒的に多いのは慢性甲状腺炎です。ただし、甲状腺は予備能力が非常に高い臓器で正常な細胞が10分の1残っていればホルモンの分泌は低下しないので、橋本病でも多くの場合は甲状腺腫があるだけで、甲状腺機能低下症の症状は出ません。

甲状腺機能低下症の症状

甲状腺は多くの場合はれていますが、萎縮性甲状腺炎といってまったく甲状腺のはれがなく、高度の甲状腺機能低下症になることもあります。顔や手足がむくみやすくなるのは、ムコ多糖類という物質が皮下にたまるからで、そのために押してもへこまない浮腫(むくみ)が起こり、粘液水腫といわれる理由になっています。また、眉毛の外側3分の1が抜けるのが特徴です。アキレス腱をハンマーで叩いて反射をみると、もどる時の動きがゆっくりになります。

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