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船橋市のしもやま内科では、日本甲状腺学会認定の甲状腺専門医が甲状腺薬の副作用とその対処法について解説します。チラーヂンS(レボチロキシン)、メルカゾール(チアマゾール)、プロパジール(プロピルチオウラシル)の各薬剤における副作用の種類・頻度・初期症状・緊急対応を詳しく説明します。
甲状腺薬の副作用:概要
甲状腺疾患の治療薬は多くの方に安全に使用されていますが、すべての薬剤に副作用の可能性があります。副作用の多くは医師の管理下で適切に対応可能であり、症状が出た場合も早期発見・早期対応により重篤化を防ぐことができます。
重要なのは「副作用が出たらすぐに医師に相談する」という姿勢です。自己判断で服薬を中止すると、基礎疾患の症状が悪化するリスクがあります。
チラーヂンS(レボチロキシン)の副作用
チラーヂンSは甲状腺機能低下症(橋本病など)の補充療法に用いられる薬剤です。体内で生成される甲状腺ホルモンと同一の成分のため、適切な用量では副作用は稀です。副作用が生じる主な原因は過剰投与によるものです。
過剰投与時の症状
- 動悸・頻脈:心臓がドキドキする、脈が速くなる
- 不眠:寝つきが悪い、夜中に目が覚める
- 体重減少:食欲はあるのに体重が減る
- 手指振戦:手のふるえ
- 発汗過多:汗をかきやすくなる
- イライラ・不安感:感情が高ぶりやすい
- 下痢:便通がゆるくなる
対処法
過剰投与による症状が疑われる場合、医師が血液検査(TSH・FT4)を確認し、必要に応じて投与量を調整します。症状が出ても自己判断で中止せず、受診して相談することをおすすめします。
チラーヂンSは安全とされている薬剤ですが、急な増量や初回服用時は特に注意深い経過観察がすすめられます。
メルカゾール(チアマゾール)の副作用
メルカゾールはバセドウ病(甲状腺機能亢進症)の治療に用いられる抗甲状腺薬です。
比較的頻度の高い副作用
- 発疹・蕁麻疹:皮膚のかゆみを伴う発疹。比較的初期に出現することが多い
- 関節痛:手指や膝などの関節の痛み
- 肝機能障害:ALT・ASTなどの肝酵素上昇。定期的な採血でモニタリング
注意が必要な副作用:無顆粒球症
無顆粒球症(agranulocytosis)は、白血球の一種である好中球が著しく減少する副作用です。頻度は0.1〜0.5%程度と稀ですが、発症すると重症感染症のリスクが高まります。
初期症状:
- 突然の咽頭痛(のどの痛み)
- 38℃以上の発熱
- 全身倦怠感
- 口内炎
緊急対応:上記の症状が出現した場合は、すぐに医療機関に連絡し、血液検査を受けることをおすすめします。早期発見・早期対応により回復が可能です。無顆粒球症が確認された場合は、メルカゾールを中止し、好中球の回復を待ちます。
まれな副作用
- 血管炎(ANCA関連血管炎)
- 胆汁うっ滞型肝障害
- 低プロトロンビン血症
プロパジール(プロピルチオウラシル/PTU)の副作用
プロパジールはメルカゾールと同様の抗甲状腺薬ですが、副作用のプロファイルが一部異なります。特に妊娠初期(器官形成期)や甲状腺クリーゼで用いられることがあります。
主な副作用
- 発疹・皮疹:メルカゾールと同様に出現することがある
- 肝機能障害:プロパジールはメルカゾールより肝障害の頻度がやや高いとされています。特に劇症肝炎(まれ)に注意が必要
- 無顆粒球症:メルカゾールと同様に発症リスクあり(初期症状:咽頭痛・発熱)
- ANCA関連血管炎:長期使用例で報告あり
- 関節痛・筋肉痛
対処法
プロパジールによる副作用が疑われる場合は、速やかに医師に相談してください。肝機能障害の早期発見のために定期的な血液検査が行われます。副作用によってはメルカゾールへの変更や、他の治療法(放射性ヨード治療・手術)の検討が必要となる場合があります。
副作用が出た時の対処法(まとめ)
自己判断で薬を中止しない
副作用を疑った場合でも、自己判断で服薬を中止すると甲状腺機能亢進症が再燃し、症状が悪化するリスクがあります。必ず医師に相談してから指示に従ってください。
医師に相談するタイミング
- 発疹・かゆみが出現した
- 関節痛・筋肉痛が続く
- 吐き気・食欲不振がある
- 倦怠感が強い
緊急で連絡が必要な症状
- 咽頭痛+38℃以上の発熱(無顆粒球症の可能性)
- 黄疸(皮膚や白目が黄色い)
- 強い腹痛・吐き気
- 息切れ・呼吸困難
これらの症状がある場合は、早めに医療機関に連絡することをおすすめします。
治療の選択肢(副作用時の変更)
副作用が確認された場合、以下のような対応が行われます。
- 軽度の副作用(発疹など):抗ヒスタミン薬の追加や減量で対応可能な場合がある
- 中等度〜重度の副作用:薬剤の中止と別の抗甲状腺薬への変更(メルカゾール⇔プロパジール)
- 無顆粒球症・重症肝障害:薬剤中止後、放射性ヨード治療(アイソトープ治療)や甲状腺摘出手術の検討
よくある質問
副作用が心配で薬を飲みたくないのですが、どうすればいいですか?
副作用への不安は自然なことです。遠慮なく医師にその気持ちを伝えてください。副作用の頻度や対処法について十分な説明を受け、納得して治療を続けることが大切です。治療をしないリスク(甲状腺機能亢進症の悪化・クリーゼのリスク)と副作用のリスクを比較し、医師と一緒に最適な治療方針を決めていきましょう。
副作用は必ず出ますか?
副作用はすべての方に出るわけではありません。多くの方は副作用なく治療を継続できています。定期的な血液検査で監視しながら治療を進めるため、重篤な副作用は早期に発見できる体制が整っています。
妊娠中に甲状腺薬を服用しても安全ですか?
妊娠中の甲状腺疾患治療は、母体と胎児の両方の健康のために非常に重要です。抗甲状腺薬(特にプロパジールは妊娠初期に、メルカゾールは妊娠中期以降に選択されることが多い)は、医師の管理下で適切な用量調整を行いながら使用します。自己判断で中止すると甲状腺機能亢進症が悪化し、母体・胎児ともにリスクが高まります。妊娠中・妊娠を計画中の方は担当医とよく相談してください。
子どもでも同じ副作用が出ますか?
小児でも同様の副作用が起こり得ます。特に小児ではメルカゾールによる無顆粒球症などのリスクに注意が必要であり、定期的な採血によるモニタリングが重要です。
最終更新日:2026-09-09
👨⚕️ この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。