帯状疱疹と神経痛の関係|早期受診の重要性

帯状疱疹は皮膚だけでなく、後遺症として強い神経痛や顔面神経麻痺を残すことがあります。
発疹から72時間以内の受診・治療開始がとても重要です。気になる痛みや発疹があれば、早めに内科へご相談ください。

【船橋市で帯状疱疹や神経痛が心配な方へ】

「ピリピリする痛み」「水ぶくれが帯状に並ぶ」「発疹は治ったのに痛みだけ続く」──
こうした症状は、帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛の可能性があります。
しもやま内科(船橋市芝山)では、内科専門医が帯状疱疹の診断と治療、長く続く神経痛への対処についてご相談をお受けしています。

「発疹は治ってきたのに、ピリピリとした痛みだけが続く……」

帯状疱疹は、皮膚の病気というだけでなく、神経に強いダメージを与え、
長く続く神経痛(帯状疱疹後神経痛)を残すことがある病気です。
特に顔面に発症した場合、顔面神経麻痺や耳の障害など、生活に大きな影響が出ることがあります。

このページでは、帯状疱疹と神経痛の関係なぜ早期受診が重要なのかワクチンによる予防について、
船橋市の内科クリニックである当院の立場からわかりやすく解説します。


帯状疱疹と神経痛に悩む中年女性の写真|胸に手を当てて痛みを訴える様子|しもやま内科

📌 AI要約
帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化で起こり、皮膚の発疹だけでなく神経の炎症による強い痛みを伴います。
特に顔面に出ると顔面神経麻痺や耳の障害(ラムゼイ=ハント症候群)を生じることがあります。
発疹から72時間以内に抗ウイルス薬を開始することで後遺症リスクを減らせるとされ、
50歳以上では帯状疱疹ワクチン(シングリックス®)による予防も有効です。

帯状疱疹とは?

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus, VZV)が体内の神経節に潜伏し、
加齢・疲労・ストレス・病気などで免疫力が低下したときに再活性化することで発症します。

  • 体の片側に帯状に出る赤い発疹と水ぶくれ
  • 発疹の前後から出現するピリピリ・ズキズキする痛み
  • 胸・背中・お腹・腰・顔面など、神経の走行に沿って症状が出る

皮膚症状だけを見ると「虫刺され」「かぶれ」と似ていることもあり、
発疹が出始めた時点で帯状疱疹だと気づかないケースも少なくありません。
しかし、早期に診断して治療を始めるかどうかが、その後の神経痛の出やすさに影響すると言われています。

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顔面神経痛と帯状疱疹の関係

顔面に発症する帯状疱疹のうち、耳まわりの発疹や痛み、顔面神経麻痺などを伴うものは
ラムゼイ=ハント症候群(Ramsay Hunt syndrome)と呼ばれます。

  • 片側の顔が動かしにくい・ゆがむ(顔面神経麻痺)
  • 耳のまわりや耳の中に水ぶくれが出る
  • 難聴・耳鳴り・めまいなどの耳症状
  • 強い耳の痛みや顔面の痛み

ラムゼイ=ハント症候群では、発症から72時間以内に抗ウイルス薬とステロイドを開始したほうが、
顔面神経麻痺の回復率が高いとされています。
「顔が動かしにくい」「片側だけ表情が作りにくい」「耳のあたりがとても痛い」といった症状があれば、
できるだけ早く受診してください。


帯状疱疹後神経痛(PHN)とは

発疹が治ったあとも90日以上痛みが続く状態を「帯状疱疹後神経痛(postherpetic neuralgia, PHN)」と呼びます。
痛みの性状はさまざまですが、一般的に次のような訴えが多くみられます。

  • 焼けるような・ジンジンする痛み
  • 電気が走るような鋭い痛み
  • 衣服が触れるだけで強く痛む(アロディニア)

帯状疱疹後神経痛の主なリスク因子として、以下が報告されています。

  • 高齢(特に60歳以上
  • 急性期の痛みが非常に強かった
  • 皮疹の範囲が広かった
  • 糖尿病や免疫抑制状態などを背景に持つ

すべての人で神経痛が長引くわけではありませんが、
「早期に抗ウイルス薬を開始すること」「急性期の痛みを我慢しすぎないこと」
後の神経痛を軽減するうえで大切だと考えられています。


早期受診が重要な理由

帯状疱疹は発疹出現から72時間以内に抗ウイルス薬を開始したほうが、痛みの期間や皮疹の治り方、
その後の神経痛の程度が良好になると報告されています。
発疹が出はじめて数日以内が、治療の「ゴールデンタイム」と言えます。

特に以下のような場合は、できるだけ早く内科・皮膚科などを受診してください。

  • 顔や耳のまわり、目の周囲に発疹や痛みが出ている
  • 痛みがとても強く、夜も眠れない
  • 持病(糖尿病・がん・免疫抑制治療中など)がある
  • 発疹の範囲が広い、熱を伴う

「少し様子を見てから受診しよう」と考えているうちに72時間を超えてしまうケースもあります。
迷ったときは、早めにご相談いただくことをおすすめします。


治療の基本

帯状疱疹の治療は、大きく次の3点が柱になります。

  • 抗ウイルス薬:アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなど
  • 炎症・麻痺への対処:必要に応じてステロイドなど
  • 痛みのコントロール:急性期・慢性期それぞれに応じた鎮痛治療

抗ウイルス薬

ウイルスの増殖を抑える薬で、発疹出現からできるだけ早く開始することが重要です。
内服薬が中心ですが、重症例では点滴が選択されることもあります。

ステロイド(必要時)

ラムゼイ=ハント症候群など、神経の炎症やむくみが強いと考えられる場合には、
抗ウイルス薬と併用して短期間のステロイド治療が検討されます。
投与量や期間は、年齢・持病・症状の重さなどを総合的に判断して決めます。

痛みの治療

急性期の痛みには、アセトアミノフェンやNSAIDsなどの一般的な鎮痛薬を使用しつつ、
痛みが強い場合には以下のような薬が検討されます。

  • ガバペンチン、プレガバリンなどの神経障害性疼痛治療薬
  • 三環系抗うつ薬
  • リドカイン貼付剤などの局所治療

帯状疱疹後神経痛では、痛みが長期化し生活の質(QOL)が大きく低下することがあります。
「年齢のせい」「仕方ない」と我慢しすぎず、痛みのコントロールについても相談してください。


予防:帯状疱疹ワクチン

50歳以上の方には、帯状疱疹ワクチン(シングリックス®)による予防が推奨されています。
臨床試験では、帯状疱疹そのものと帯状疱疹後神経痛の双方を90%以上予防できると報告されています。

  • 2回接種(通常は2か月間隔)
  • 生ワクチンではない不活化ワクチンのため、免疫抑制状態の方にも接種しやすい
  • 接種部位の痛みや発熱など、一時的な副反応が出ることがある

「帯状疱疹のあとに神経痛が残るのが怖い」「周囲で帯状疱疹になった人の話を聞いて不安」という方は、
ワクチン接種についてもご相談ください。


よくある質問(Q&A)

Q1. 発疹が出てから何日目までなら受診したほうが良いですか?

可能であれば発疹が出てから72時間以内(3日以内)に受診することをおすすめします。
この時期に抗ウイルス薬を開始することで、皮疹や痛みの経過、帯状疱疹後神経痛のリスクを減らせるとされています。
ただし72時間を過ぎても治療がまったく無意味になるわけではないため、迷ったら早めにご相談ください。

Q2. 帯状疱疹の痛みはどのくらい続きますか?

個人差がありますが、多くの方では数週間〜1か月程度で痛みが落ち着いていきます。
ただし高齢の方や急性期の痛みが非常に強かった方では、その後も数か月以上痛みが続く帯状疱疹後神経痛になることがあります。
早期治療と適切な痛みのコントロールが大切です。

Q3. 発疹が治ったあともピリピリするのは神経痛でしょうか?

発疹がほぼ消えているにもかかわらず、その部位にピリピリ・ジクジクした痛みが続く場合は、
帯状疱疹後神経痛の可能性があります。軽い痛みでも長引くとつらく、睡眠不足や気分の落ち込みにつながることもあります。
我慢せず、痛みの程度や生活への影響を診ながら治療方法を検討します。

Q4. 帯状疱疹は人にうつりますか?

帯状疱疹の水ぶくれの中には水痘・帯状疱疹ウイルスが含まれており、
水ぼうそうにかかったことがない人にうつると、水ぼうそうとして発症することがあります。
発疹が出ている期間は、患部をガーゼなどで覆い、乳幼児や妊婦さんとの接触はできるだけ避けてください。

Q5. 帯状疱疹後神経痛は完治しますか?

完全に痛みが消えるまで時間がかかる方もいますが、時間の経過とともに徐々に軽快していくケースが多いです。
その間、神経障害性疼痛に対する薬や貼り薬などを組み合わせ、生活の質を保てるように調整していきます。
一人ひとりの痛みの感じ方に合わせて治療方針を相談します。

Q6. 帯状疱疹ワクチンは何歳から受けたほうがよいですか?

一般的には50歳以上の方が対象とされています。
特に、帯状疱疹を起こしたくない事情がある方(仕事で休めない、介護・子育て中など)や、
過去に帯状疱疹でつらい思いをした方には接種をおすすめする場合があります。
接種の適応や費用については、受診時にご相談ください。

Q7. 糖尿病や免疫抑制治療中でもワクチンは打てますか?

シングリックス®は不活化ワクチンのため、生ワクチンに比べると免疫抑制治療中の方にも接種しやすい特徴があります。
ただし、治療内容や免疫状態によって判断が変わる場合があるため、主治医と相談しながら接種時期を決める必要があります。

Q8. いつどの診療科を受診すべきか迷ったら?

帯状疱疹は内科・皮膚科・耳鼻科など複数の診療科が関わる病気です。
「どこに行けばよいかわからない」ときには、まず内科で全身状態や持病を含めて評価し、
必要に応じて専門科へご紹介するのも一つの方法です。
船橋市周辺でお困りの方は、しもやま内科へご相談ください。


📞 帯状疱疹や神経痛でお困りの方へ

「これが帯状疱疹かもしれない」「痛みが強くてつらい」「発疹は治ったのに痛みだけ残っている」など、気になる症状があればご相談ください。
発疹から72時間以内の受診が、後遺症予防につながります。


📞 047-467-5500(しもやま内科)

千葉県船橋市芝山4-33-5(京成バス千葉セントラル:大慶山バス停そば)
※受診前にお電話で混雑状況をご確認いただくとスムーズです。

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年病専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医

糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患ならびに循環器・老年期疾患の診療に長年従事し、
地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

29/08/2025