顔面神経痛と三叉神経痛の違い3つ|セルフチェック付き|船橋

顔面に走る痛みには、顔面神経痛と三叉神経痛の二つが存在する。両者は名前が似ているが、痛みの性質も原因も治療方針も異なる。当院を受診される患者さまで、最初に歯科を受診し、「虫歯ではない」と言われて紹介される方が少なくない。顔の痛みがあっても、どの科を受診すればよいか戸惑われる方が多いのは当然だ。

この記事では、顔面神経痛と三叉神経痛の違いを、症状・原因・治療法の三軸で解説する。最終的には専門医の診察が必要になるが、自宅で確認できる見分け方のポイントもお伝えする。
顔面神経痛と三叉神経痛の痛み方の違いを図解したイラスト。顔面神経痛は広範囲の持続痛、三叉神経痛は限局的な電撃痛であることを視覚的に比較しています。

顔面神経痛とは

顔面神経痛は、第七脳神経(顔面神経)の障害による疼痛である。耳の奥や側頭部から顔面にかけて、電気が走るような痛みや違和感が特徴だ。痛みだけでなく、顔の動きに異常が出ることもある。

当院で顔面神経痛と診断される方の多くは、帯状疱疹の発疹が出た後に痛みが残るケースである。帯状疱疹ウイルスが顔面神経を冒し、神経炎を起こすためだ。発疹が出る前に痛みが始まることもあり、この場合は診断が遅れがちになる。

主な症状は以下の通りだ。

  • 耳の奥や耳の周囲の痛み
  • 顔面のしびれ感や違和感
  • 味覚の変化(舌の前3分の2)
  • 涙や唾液の分泌異常
  • 顔の片側だけが動きにくくなる(顔面神経麻痺)

治療は、帯状疱疹によるものでは抗ウイルス薬と抗炎症薬(ステロイド)を組み合わせる。早期に治療を開始することで、後遺症(帯状疱疹後神経痛)のリスクを下げられる。当院では発症から72時間以内の方には即座に投薬を開始し、必要に応じて神経ブロックも実施する。

三叉神経痛とは

三叉神経痛は、第五脳神経(三叉神経)の異常による激痛である。顔の片側に、雷が落ちたような、針で刺すような鋭い痛みが何秒から数分間続くのが特徴だ。

三叉神経は眼窩上神経・上顎神経・下顎神経の三枝に分かれており、それぞれ額・頬・顎に分布している。どの枝が障害されているかで、痛みの部位が異なる。当院で三叉神経痛と診断される方の多くは、頬や顎の痛みを訴える。

痛みの特徴を具体例でお伝えすると、頬を触るだけで激痛が走るため、洗顔や剃髪が困難になる。食事をする際に顎が痛み出す。歯磨き中に電気ショックのような痛みが起きる。話している途中で突然痛みが襲ってくる。

原因として最も多いのは、血管が三叉神経を圧迫している場合(血管圧迫)である。脳腫瘍や多発性硬化症などが原因となることもあるため、MRI検査で確実に除外する必要がある。当院ではMRI検査を依頼し、血管や脳の状態を確認して原因を特定する。

治療は、抗てんかん薬(カルバマゼピンなど)による薬物療法が第一選択となる。薬物療法で効果が不十分な場合、脳神経外科での微血管減圧術(MVD)やガンマナイフ治療が検討される。当院では薬物療法を開始し、効き目や副作用を見ながら調整する。難治例は脳神経外科と連携して治療方針を決定する。

顔面神経痛と三叉神経痛の違い

二つの病気を比較すると以下の通りだ。

項目 顔面神経痛 三叉神経痛
障害する神経 第七脳神経(顔面神経) 第五脳神経(三叉神経)
痛みの部位 耳周囲・側頭部・顔全体 顔の片側(額・頬・顎のいずれか)
痛みの性質 鈍痛・違和感・電気走る感じ 激しい痛み・針で刺すような鋭痛
誘発因子 特定なし・常時痛むことが多い 触れる・食事・表情筋の動き
代表的な原因 帯状疱疹・中耳炎 血管圧迫・腫瘍
治療の核心 抗ウイルス治療・神経ブロック 薬物療法・微血管減圧術

重要な違いは、三叉神経痛は触れるだけで痛みが誘発される点だ。一方、顔面神経痛は帯状疱疹などの感染症に続発することが多く、耳の症状を伴うことが特徴である。

見分け方のポイント

診察室で患者さんにお聞きする決め手となる質問は二つある。

一つ目は「触れると痛みますか」という質問だ。三叉神経痛の場合、頬に軽く触れただけで激痛が走る。顔面神経痛では、このような触覚による誘発はほとんどない。

二つ目は「耳に違和感はありますか」という質問だ。顔面神経痛は耳の周囲の痛みを伴い、帯状疱疹の場合は耳の中や耳の後ろに水疱ができることがある。三叉神経痛では耳の症状は基本的に出ない。

また、痛みの持続時間も参考になる。三叉神経痛は数秒から数分の発作的な痛みだが、顔面神経痛は持続性の痛みや違和感が多い。

セルフチェック:あなたの顔の痛みはどっち?

以下の項目でチェックしてみましょう。該当する数が多い方が、その病気の可能性が高い目安になります。※確定診断ではありません。受診の参考にしてください。

【チェックA】三叉神経痛の可能性

  • □ 顔の片側だけに、電気が走るような激痛が突然起こる
  • □ 痛みは数秒〜数分で治まるが、繰り返す
  • 頬を触る・洗顔・ひげ剃り・歯磨き・食事で痛みが出る
  • □ 歯科で「虫歯ではなさそう」と言われた
  • □ 痛くないときはまったく普通に過ごせる

【チェックB】顔面神経痛の可能性

  • 耳の奥や耳の周囲がずっと痛い・違和感がある
  • □ 痛みは持続的で、電気が走る感じが続くこともある
  • 帯状疱疹(みずぼうそう)にかかった後に痛みが出た
  • □ 耳の中や耳の後ろに水ぶくれ(発疹)ができたことがある
  • 顔の動きが悪い(片方のまぶたが閉じにくい、口がゆがむ)

チェック結果の目安

  • チェックAが3つ以上該当 → 三叉神経痛の可能性が高いです。神経内科を受診しましょう。
  • チェックBが3つ以上該当 → 顔面神経痛の可能性が高いです。発症から72時間以内が特に重要です。早めに受診してください。
  • 両方とも該当する項目が少ない → 他の原因(歯性疾患・副鼻腔炎・顎関節症など)も考えられます。一般内科・歯科で相談を。

治療法の違い

顔面神経痛の治療は、原因に応じて抗ウイルス薬や抗炎症薬・ステロイド薬を使用する。帯状疱疹によるものは72時間以内の治療開始が重要で、当院ではその場合即座に投薬を開始する。神経ブロック療法も有効で、早期に行うことで後遺症リスクを下げられる。

三叉神経痛の治療は、まず抗てんかん薬(カルバマゼピンなど)による薬物療法が第一選択だ。薬物療法で効果が不十分な場合、脳神経外科での微血管減圧術(MVD)やガンマナイフ治療が検討される。当院では薬物療法を開始し、効き目や副作用を見ながら調整し、難治例は脳神経外科と連携して治療方針を決定する。

受診の目安

顔の痛みが続く場合、以下の症状があれば早めの受診をおすすめする。

  • 顔の片側だけに激痛が走る
  • 洗顔や食事で痛みが誘発される
  • 耳の周囲の痛みとともに顔の動きが鈍くなってきた
  • 歯科治療を受けても痛みが取れない

特に三叉神経痛は自然に治ることが少なく、放置すると痛みが強くなったり薬が効きにくくなったりする。早期に適切な治療を開始することで、日常生活の質を大きく改善できる。

❓ よくある質問

顔面神経痛と三叉神経痛はどう違うのですか?
顔面神経痛は顔の筋肉が動かせなくなる(顔の麻痺)が主な症状で、痛みは軽いかありません。三叉神経痛は顔面の特定部位に激痛が走るが、筋肉の動きには影響しません。原因も全く異なります。
どちらの病気かはどう判断しますか?
症状の違い(麻痺があるか、激痛があるか)と、MRIや血液検査などで鑑別します。しもやま内科では、問診と検査を組み合わせて正確な診断を行います。
自然に治りますか?
顔面神経痛(ベル麻痺)は多くの場合、数週間から数か月で自然に改善します。三叉神経痛は自然には治らず、薬物治療や手術などの治療が必要です。
しもやま内科ではどう対応しますか?
顔面神経痛(ベル麻痺)の場合はステロイド治療とリハビリテーション、三叉神経痛の場合は抗けいれん薬や神経ブロックなど、症状に応じた治療を行います。
受診時に持参すべきものはありますか?
現在服用中のお薬や、これまで受けた検査結果があればお持ちください。症状の経過をメモしておくと、スムーズに診察が進みます。

最終更新日:2026-06-01

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

23/08/2025