🔊 このページの要点
吸入薬を「正しい手順」で使うことが最重要。機種(MDI/DPI/ソフトミスト)ごとの吸い方と、
息を吐いてから深く吸う・3〜5秒息止め・ICS後はうがいが基本です。うまく効かない時のチェックポイントも解説します。

1. まずは共通の基本
- 息を吐いてから:胸を軽く空にしてから吸入を開始
- 深く吸って3〜5秒息止め:薬剤を気道に留めるための重要ポイント
- ICS(吸入ステロイド)後は必ずうがい:口腔カンジダや嗄声の予防
- 毎日同じ時間に:コントローラー(予防薬)は「継続」が効果を生む
2. MDI(加圧式:pMDI)の手順
- キャップを外し、よく振る(製品指示に従う)
- 息を吐く(苦しくない範囲で)
- マウスピースを唇で密閉、押下と同時にゆっくり深く吸う
- 3〜5秒息止めしてからゆっくり吐く
- 必要回数分繰り返す(各回ごとに2〜3ステップ目から)
- ICS含有ならうがい(含嗽)
押下と吸気のタイミングが難しい方は、スペーサー(補助具)の使用をおすすめします。
3. DPI(ドライパウダー)の手順
- 規定の操作で吸入準備(カプセル/ブリスター/レバー等)
- 息を吐いてから、マウスピースをしっかり咥える
- 速くて深い吸気(粉末を十分に気道へ)
- 3〜5秒息止め→ゆっくり吐く
- ICS含有ならうがい
湿気は粉末固結の原因になります。保管は高温多湿を避けること。
4. ソフトミスト(SMI)の手順
- 装置の装填/準備(初回プライミングは製品指示に従う)
- 息を吐く→マウスピースを密閉
- ボタン押下と同時にゆっくり深い吸気(ミストを追いかけるイメージ)
- 3〜5秒息止め→ゆっくり吐く
- ICS含有ならうがい
5. スペーサーの使い方(MDIの強い味方)
- マウスピース/マスクを密着、1押下=5〜6回のゆっくり呼吸
- 静電気防止のため、中性洗剤で洗って自然乾燥(拭き取りは静電気↑)
6. よくあるミスと対策
| よくあるミス | 対策 |
|---|---|
| 押下と吸気のタイミングが合わない(MDI) | スペーサー使用、「押してから吸う」ではなく「押しながら吸う」 |
| 吸入前に息を吐いていない | 毎回軽く吐いてから開始。胸に吸気の余地を作る |
| 息止めが短い | 3〜5秒を目標に。苦しければ段階的に延長 |
| ICS後のうがいを省略 | 口腔内副作用予防のため毎回うがい(含嗽) |
| DPIの吸気が弱い/遅い | 速く深い吸気を意識。難しければ装置変更を相談 |
7. お手入れ・保管
- マウスピースは乾いた布で拭く(機種により水洗い不可)
- 直射日光・高温多湿を避け、子どもの手の届かない場所に保管
- 残量表示や回数カウンターを定期的に確認
8. 使い分け(コントローラーとリリーバー)
- コントローラー:毎日定時に(ICS±LABA/LAMA など)
- リリーバー(SABA等):症状時に使用。週2回以上の使用はコントロール不良のサイン
9. うまくいかない時のQ&A
吸った感じがしません
吸気のタイミングや速度を調整。MDIは押下と同時に吸う、DPIは速く深く。必要に応じて装置変更を検討します。
口の中がイガイガする/声がかれる
ICS後のうがい徹底で改善します。続く場合は薬剤・デバイスの調整をご相談ください。
外出先での管理は?
携帯ポーチに入れて温度変化と衝撃を回避。予備を自宅に保管すると安心です。
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👨⚕️ この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長/日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本老年医学会 老年病専門医・指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医
しもやま内科 院長/日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本老年医学会 老年病専門医・指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医
吸入薬がうまく効かない・使い方が不安な方へ。 機種に合わせて手技確認と調整を行います。