「熱が出たけど、これって何かの病気?」——発熱は誰もが経験する症状ですが、原因はさまざまです。発熱はウイルスや細菌への体の防御反応であり、安易に下げすぎないことも大切です。一方で、意識障害や呼吸困難を伴う発熱は危険です。このページでは発熱の基礎知識、受診の目安、解熱薬の正しい使い方、小児や高齢者の注意点を、船橋市のしもやま内科がわかりやすく解説します。
発熱とは?—平熱と発熱の定義
日本人の平均的な平熱は36.0〜37.0℃とされていますが、個人差が大きく、同じ人でも日内変動があります。一般的には朝の体温が37.0℃以上、または37.5℃以上を発熱と定義します。ただし高齢者は基礎代謝の低下により平熱が35℃台であることも多く、36.5℃でも微熱と捉える必要があります。また乳幼児は体温調節機能が未熟で、37.5℃前後でも平熱の範囲であることがあります。
発熱は「体温が上がっている状態」そのものが問題なのではなく、その背後にある原因(感染症・炎症・腫瘍など)が重要です。発熱は免疫細胞の働きを活性化し、病原体の増殖を抑える生体防御反応です。そのため「熱が出た=すぐに下げなければ」ではなく、まずは原因を見極めることが大切です。
発熱の原因—ウイルス・細菌・その他
発熱の原因は多岐にわたりますが、日常診療で最も多いのは感染症です。
感染症による発熱(約9割)
- ウイルス感染症——風邪(Rhino・Adeno・RSウイルスなど)、インフルエンザ、COVID-19(コロナ)、咽頭結膜熱(プール熱)、伝染性単核球症(EBウイルス)、手足口病、ヘルパンギーナ
- 細菌感染症——扁桃腺炎(溶連菌)、肺炎球菌・マイコプラズマ肺炎、尿路感染症(膀胱炎・腎盂腎炎)、胆のう炎、虫垂炎、蜂窩織炎
- その他の病原体——マイコプラズマ、クラミジア、結核菌
非感染性の発熱
- 自己免疫疾患——関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、血管炎、成人スチル病
- 甲状腺疾患——バセドウ病(甲状腺クリーゼで高熱)
- 薬剤熱——抗菌薬・抗けいれん薬などの副作用
- 悪性腫瘍——がん自体が産生する発熱物質による腫瘍熱(特に悪性リンパ腫・白血病・腎細胞がん)
- 中枢性発熱——脳血管障害・脳腫瘍などによる体温調節中枢の障害
発熱の種類—熱型パターン
熱の出方(熱型)は診断の重要な手がかりです。経過を記録して医師に伝えると診断精度が高まります。
- 稽留熱(けいりゅうねつ)——1日の体温差が1℃未満で、高い発熱が持続。腸チフス・粟粒結核・重症肺炎でみられる。
- 弛張熱(しちょうねつ)——1日の体温差が1℃以上あり、最低でも37.5℃以上。感染症・膿瘍・敗血症で最も多いタイプ。
- 間欠熱(かんけつねつ)——発熱と平熱の日が交互に繰り返される。マラリア・腎盂腎炎でみられる。
- 回帰熱(かいきねつ)——数日間の発熱と数日間の平熱が交互に出現。回帰熱スピロヘータ感染症など。
発熱時の受診目安—何度から・何日続いたら?
すぐに受診が必要な場合(危険サインあり)
以下の症状がある場合は、体温や日数にかかわらず速やかに医療機関を受診してください。
- 意識障害——呼びかけに反応しない、ボンヤリして会話が成り立たない
- 呼吸困難——息苦しい、呼吸が速い、SpO₂(血中酸素飽和度)が95%未満
- 痙攣——全身または部分的な痙攣
- 強い頭痛+首の硬さ——髄膜炎の可能性
- 胸痛——心筋炎・肺梗塞の可能性
- 激しい腹痛——虫垂炎・胆のう炎・膵炎の可能性
- 重度の全身倦怠感——立てない、動けない
受診を検討する目安(危険サインなしの場合)
以下の条件に該当する場合は、内科への受診をおすすめします。
- 38.0℃以上の発熱が1日以上続く——自己判断による経過観察には限界があります
- 37.5〜38.0℃の微熱が3日以上続く——慢性感染症や非感染性発熱の可能性
- 解熱薬で一時的に下がるがまた上がる——根本的な治療が必要
- 咳・痰・鼻水・喉の痛みなど随伴症状が強い
- 基礎疾患がある方——糖尿病・慢性腎臓病・心不全・免疫抑制状態など
- 高齢者(65歳以上)——肺炎でも熱が上がりにくく、発見が遅れがち
コロナ・インフルエンザ・風邪の違い
| 風邪(普通感冒) | インフルエンザ | COVID-19(コロナ) | |
|---|---|---|---|
| 発熱の程度 | 微熱〜38℃未満 | 38℃以上の高熱(急激に上昇) | 37.5〜39℃(緩徐〜急激) |
| 発症の仕方 | 徐々に症状出現 | 突然の高熱・悪寒・全身痛 | 徐々に〜急に(個人差大) |
| 主な症状 | 鼻水・くしゃみ・喉の痛み・咳 | 高熱・全身筋肉痛・関節痛・頭痛・倦怠感 | 発熱・咳・倦怠感・嗅覚・味覚障害・喉の痛み |
| 検査 | 通常不要(診察で判断) | 迅速抗原検査(15分) | 迅速抗原検査・PCR検査 |
| 治療 | 対症療法(休息・水分補給・解熱薬) | 抗インフルエンザ薬(発症48時間以内) | 対症療法・重症化リスクに応じて抗ウイルス薬 |
発熱時のセルフケア
- 水分補給——発熱により不感蒸泄が増加。1日1.5〜2リットルの水分(経口補水液やスポーツドリンクが理想的)。高齢者は脱水になりやすいため特に注意。
- 安静——免疫を最大限働かせるため、可能な限り安静に。無理な入浴・運動は避ける。
- 室温調整——室温20〜22℃、湿度50〜60%が目安。厚着・厚掛けは避け、汗をかいたらこまめに着替える。
- 栄養補給——食欲がなければ無理に食べる必要はないが、食べられる時は消化のいいもの(おかゆ・うどん・ゼリー飲料)を少量ずつ。
- 氷枕・冷却シート——不快感を和らげる目的で使用するのはOK。ただし全身を冷やす必要はなく、太い血管の通る首・腋の下・鼠径部を冷やすと効果的。
解熱薬の正しい使い方—アセトアミノフェンとNSAIDs
アセトアミノフェン(カロナール®、タイレノール®など)
- 胃腸への負担が少なく、胃潰瘍のリスクが低い。
- 小児や妊婦さんにも使いやすい。
- 用法用量を守れば安全性が高いが、過剰摂取で肝障害に注意。
- 1回300〜500mg、1日3〜4回まで。4時間以上の間隔を空ける。
NSAIDs(ロキソニン®、イブプロフェンなど)
- 解熱・鎮痛効果が強いが、胃粘膜障害・腎機能低下・喘息誘発のリスクあり。
- 空腹時の服用は避け、食後に服用する。
- アスピリン喘息の既往がある方は使用不可。
- 小児への使用は医師の指示が必要。
⚠ 注意——解熱薬はあくまで症状を和らげる対症療法です。熱の原因を治療するものではありません。38.5℃以上でつらい場合に使用するのが一般的な目安です。また複数の解熱薬を同時に飲む、飲む間隔を短くする、決められた1日最大量を超えることは絶対に避けてください。解熱薬に頼るだけでなく、早めに医療機関を受診して原因を特定することが大切です。
📖 一般医学情報
以下の「小児と高齢者の発熱」に関する解説は、一般的な医学知識を提供するための参考情報です。当院は中学生以上(12歳~)を診療対象としており、小学生以下(11歳以下)のお子様の発熱診療は行っておりません。該当の場合は小児科専門医へご相談ください。
小児と高齢者の発熱—注意が必要なケース
小児の発熱
- 体温調節機能が未熟で急に高熱(40℃近く)になることがあるが、熱の高さと重症度は必ずしも比例しない。
- 熱性痙攣——6ヶ月〜5歳で起こりやすく、ほとんどは予後良好だが、初めての痙攣は受診が必要。
- ぐったりして水分が取れない、機嫌が極端に悪い、嘔吐を繰り返す場合は早めに受診を。
- 生後3ヶ月未満の乳児の発熱(38℃以上)はすぐに受診。免疫が未熟で重症化リスクが高い。
高齢者の発熱
- 基礎代謝の低下や体温調節機能の衰えにより、感染症があっても発熱が目立たないことが多い。
- 「なんだか元気がない」「食欲がない」「ぼんやりしている」という変化が感染症のサインであることがある。
- 平熱が低め(35℃台)の高齢者は、36.5℃でも微熱と捉え注意が必要。
- 脱水・誤嚥性肺炎・尿路感染症が高齢者の発熱の主要原因。特に夏場の熱中症との鑑別も重要。
内科でできる検査
しもやま内科では、発熱の原因を特定するために以下の検査を実施しています。
- 問診・診察——発熱の経過・随伴症状・渡航歴・基礎疾患を確認。咽頭・胸部・腹部の診察。
- 迅速抗原検査——インフルエンザ・COVID-19(コロナ)・A群溶連菌(迅速キット)——結果は約15分。
- 血液検査——白血球数・CRP(炎症反応)・プロカルシトニン(細菌感染の指標)・肝機能・腎機能。細菌感染かウイルス感染かの鑑別に有用。
- 尿検査——尿路感染症の有無を確認。細菌・白血球の有無で診断。
- 胸部X線(レントゲン)——肺炎・気管支炎の有無を確認。
- パルスオキシメーター——SpO₂(血中酸素飽和度)測定。肺炎・COVID-19での重症度評価に必須。
危険な発熱のサイン—緊急性の判断
以下の症状がある場合は、救急搬送を含めた緊急対応が必要です。ためらわずに医療機関を受診してください。
- 意識障害——呼びかけに応じない、会話が成立しない、見当識障害(時間や場所がわからない)
- 呼吸困難——息切れが強い、呼吸数が明らかに多い(1分間に30回以上)、SpO₂が94%以下
- 痙攣——全身性の痙攣が5分以上続く、または繰り返す
- チアノーゼ——唇や爪が紫色になる
- ショック状態——血圧低下、顔色不良、冷や汗、脈が弱く速い
- 激しい頭痛+嘔吐——くも膜下出血・髄膜炎の可能性
- 発疹(点状出血・紫斑)——髄膜炎菌血症の可能性
関連ページ
よくある質問(FAQ)
発熱の原因で多いのは?
体温が何度以上なら受診すべき?
熱が何日続いたら受診したほうがいい?
解熱薬の種類は?どう使い分ける?
コロナと普通の風邪はどう違う?
発熱時の食事は何を食べればいい?
📖 一般医学情報 — 子供が発熱したときの対処法は?
※以下の対処法は一般的な医学参考情報です。当院は中学生以上(12歳~)を診療対象としています。小学生以下(11歳以下)のお子様の発熱は小児科専門医へご相談ください。
まずは機嫌と水分摂取量を観察してください。機嫌が良く水分が取れていれば、熱の高さだけで慌てる必要はありません。ただし生後3ヶ月未満の乳児が38℃以上の発熱、ぐったりして水分が取れない、痙攣を起こした、嘔吐を繰り返す場合は速やかに受診してください。
インフルエンザの検査はいつ受けるべき?
高齢者の発熱で気をつけることは?
危険な発熱のサインは?
発熱と平熱の違いは?自分で測るときの注意点は?
「熱が続いてつらい」「何日も下がらない」——お早めにご相談ください。
しもやま内科では発熱の原因精査(迅速検査・血液検査・画像検査)に対応しています。
月・火・木・金 9:00〜12:00 / 14:45〜17:30 土 9:00〜12:00
〒273-0005 千葉県船橋市本町3-1-12
予約不要・発熱の方は事前にご連絡の上、マスク着用でお越しください
受診をご検討の方、お気軽にご相談ください
月・火・木・金 9:00〜12:00 / 14:45〜17:30 土 9:00〜12:00
診療時間外・緊急時は、119番へのご連絡もご検討ください
最終更新日:2026-08-28
👨⚕️ この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。