内分泌内科

高度肥満症のさまざまな治療

21/05/2018

高度肥満症のさまざまな治療

高度肥満の治療

高度肥満の治療

高度肥満症の食事療法

肥満症には生活習慣が大きく影響しています。なかでも食べ過ぎなどの不適切な食生活は、特に肥満を招く原因となっています。そのため、肥満治療では、食事による摂取エネルギーを抑えることが重要になります。そこで行われるのが「食事療法」です。食事療法では主に、栄養指導を高度肥満症の人、もしくは家族などの関係者に対して行われます。具体的には、メニューを考える際に糖質と脂肪の摂取量をできるだけ減らし、一方で骨格や筋肉、各種代謝を維持するために必要なタンパク質やビタミン、ミネラルの摂取量を確保するといったことを行います。

食事習慣を変更し、我慢を強いられるのは容易なことではなく、苦痛を感じることもあるかもしれません。そのため、栄養指導では単に食事内容の指導が行われるだけではなく、本人のライフスタイルに合わせた食事内容のアドバイスや、ストレスへの対処法も教えてくれます。

高度肥満症の薬物療法

肥満治療ではまず食事の改善と運動による治療を行い、その効果が十分でない人に対して肥満治療薬を使った治療を行う場合もあります。現在国からの認可が降りている肥満治療薬は「マジンドール」と「セチリスタット」の2種類です。「マジンドール」は、食欲に関する神経に働きかけて、食欲を抑える作用があります。また代謝を良くすることで消費エネルギーを増やし、体重を減らします。内服期間は最長で3カ月に限定されています。また、対象者は、食事療法や運動療法の効果が十分でない高度肥満症の人となっています。副作用は依存性があること、口の渇き、便秘などがあり、使用に関しては多くの注意点があるため、保険診療上では厳しく使用が制限されています。「セチリスタット」は、脂質の吸収を抑えることによって内臓脂肪を減らし、体重を減少させます。健常成人でセチリスタットを内服すると、糞便中の脂肪排出量が増加します。糖尿病や脂質異常症を発症していて、食事療法や運動療法を行っても効果が不十分な肥満者を対象にした薬です。副作用としては、脂肪便・下痢がみられます。

高度肥満症の手術療法

高度肥満症の治療では、手術が行われる場合もあります。「肥満に対する手術」と言うと、脂肪吸引といったものを想像するかもしれません。しかし高度肥満治療のために行われる手術は、美容のために行う手術とは違います。手術の方法は数種類あるので、一部をご紹介します。

1)スリーブ胃切除術:胃の一部を切り取って、胃を筒状にします。そうすることで摂取エネルギーを減らすことができます。

2)胃バイパス術:胃を小さくし、加えて消化吸収の役割のある小腸をショートカットで通過するようにルートを変更します。これにより、摂取エネルギーの減少と消化吸収の抑制が期待されます。

3)スリーブバイパス術:スリーブ胃切除術に加えて小腸のルート変更(ショートカット)も行う術式です。胃バイパス術と同様に摂取エネルギーの減少と消化吸収の抑制をすることができます。

4)胃バンディング術:胃の上の方にバンドを巻いて締め付け、胃を上下に分ける方法です。食事の摂取量が減少する効果が期待できます。

5)胃バルーン留置術:胃の中にバルーン(風船)を留置する方法です。これにより食事摂取量が減少し、体重の減少につながります。

日本では、2014年4月にスリーブ状胃切除術が腹腔鏡下の肥満外科手術として初めて保険適応となりました。しかし、手術にはリスクを伴うため、手術を受ける患者サイドには決められた条件をクリアする必要があり、また施行する施設にも細かい基準があります。患者サイドの条件として、「18歳〜65歳の人であり、6 カ月以上の内科的治療で効果不十分なBMI 35 kg/m2以上で,2型糖尿病, 高血圧または脂質異常症のうち1つ以上を合併した患者」と決められています。また、実施にあたり「高血圧症,脂質異常症又は糖尿病の治療について5年以上の経験を有する常勤の医師が、治療の必要性を認めていること」も挙げられています。一方、施設基準として,「腹腔鏡を使用した胃の手術が年間 20 例以上実施されていること」や「常勤の内科医,麻酔科医,管理栄養士の配置」によるチームでの肥満診療体制が整っていること、などが挙げられています。

高度肥満症の治療は簡単ではありません。その理由のひとつは、肥満は自覚症状に乏しいことです。肥満は、外見的な変化はあっても、体の中での異変についてはなかなか自覚できません。そのため食事や運動などの生活習慣を改善したり、病院を受診したりする必要性を感じにくく、そのままの生活を送ってしまいがちです。こうして治療の機会を逃している間にも体の中では、血管や心臓などが徐々に、そして着実に傷ついてしまいます。そしていつの間にか、重大な病気を発症して命を失ってしまうかもしれない状態となってしまいます。高度肥満症を改善するためにひとりで治療を継続することは難しいと言えます。生活習慣を改善していくのは根気が必要であり、継続することはとても難しいことです。もし高度肥満症に当てはまっていると思ったら、医療機関へ相談してみるのはいかがでしょうか。医師、看護師、栄養士などの医療チームと一緒に治療を続けることが大切です。

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