内分泌内科

副腎腫瘍(偶発腫)とは?症状・検査・治療と受診の目安|しもやま内科

01/11/2009

副腎腫瘍が見つかったときに、まず確認すること

副腎腫瘍の多くは良性で、健診CTなどで偶然見つかります。大切なのは「ホルモンを出していないか」と「悪性が疑われないか」を最初に評価することです。
採血・尿検査と画像所見で、経過観察か手術かを判断します。

副腎腫瘍(副腎偶発腫)とは?

副腎腫瘍は、副腎(腎臓の上にある臓器)にできる腫瘍の総称です。腹部CTなど「副腎の病気を疑っていない検査」で偶然見つかるものは副腎偶発腫(adrenal incidentaloma)と呼ばれます。[1][2]

多くは良性ですが、①ホルモンを過剰に分泌していないか②画像所見から悪性が疑われないかで治療方針が変わります。[1]

受診の目安(先にここだけ読めばOK)

  • 健診や他院のCT/MRIで「副腎に腫瘍」と言われた(症状がなくても可)
  • 高血圧が治りにくい/低カリウムを指摘された(原発性アルドステロン症の可能性)
  • 動悸・頭痛・発汗が発作的に起こる(褐色細胞腫の可能性)
  • 体重増加、糖尿病・脂質異常の悪化、骨粗鬆症などが目立つ(クッシング関連を疑うことがあります)
  • 腫瘍が大きい/短期間で大きくなったと言われた

※上記に当てはまる場合は、内分泌内科(または内分泌を扱う内科)での評価が役立ちます。[1][3]

副腎腫瘍の分類(大きく3つ)

副腎腫瘍は、実務上つぎの3群に分けて考えると理解しやすいです。[1]

  • 機能性副腎腫瘍:ホルモンを過剰に分泌する
  • 非機能性副腎腫瘍:ホルモン分泌を伴わない(無症状で偶然見つかることが多い)
  • 悪性腫瘍:副腎皮質がん、転移など(頻度は高くありませんが見逃しは避けたい)

まず行う評価:ホルモンと画像(2本柱)

① ホルモンを出していないか(機能性の除外・確認)

症状がなくても、ホルモン過剰が見つかることがあります。採血・尿検査などで評価し、必要に応じて負荷試験や専門施設紹介を検討します。[1]

  • 原発性アルドステロン症(PA):高血圧・低カリウムなどが手がかり(詳細は専用ページへ)
  • クッシング症候群/軽症(subclinical):典型像がなくても、糖代謝・血圧・骨などに影響することがあります[1]
  • 褐色細胞腫:発作的高血圧、動悸、頭痛、発汗など(詳細は専用ページへ)[1]

② 悪性が疑われないか(サイズ・画像所見)

画像所見(形・濃度・境界・増大傾向など)と腫瘍径をもとに、悪性や転移の可能性を評価します。判断が難しい場合は、専門施設での追加評価や治療方針相談が有用です。[1]

1. 機能性副腎腫瘍(ホルモンを出す)

原発性アルドステロン症 ▶

アルドステロンが過剰に分泌され、高血圧や低カリウム血症の原因になることがあります。疑いがあれば、専門的なホルモン検査で評価します。[1]

クッシング症候群 ▶

副腎皮質からコルチゾールが過剰に分泌される病気です。典型的症状がはっきりしない軽症例(subclinical)でも、生活習慣病の悪化に関わることがあります。[1]

褐色細胞腫 ▶

アドレナリンなど(カテコールアミン)を分泌し、発作的な高血圧・動悸・頭痛・発汗などが特徴です。疑いがあれば、まずは安全に検査計画を立てます。[1]

2. 非機能性副腎腫瘍(ホルモンを出さない)

非機能性副腎皮質腺腫(いわゆる“非機能性腺腫”)

無症状で偶然見つかることが多いタイプです。初回評価でホルモン異常と悪性の可能性を確認したうえで、画像所見・大きさにより経過観察または手術を検討します。[1][3]

副腎骨髄脂肪腫

脂肪成分を含む良性腫瘍で、多くは無症状です。一般に経過観察となることが多いですが、サイズや症状によって方針が変わります。[1]

3. 悪性腫瘍(頻度は高くないが見逃したくない)

副腎がん(副腎皮質がん)

まれですが、進行が早い場合があります。ホルモン産生の有無で症状が変わり、治療は手術を中心に、状況により薬物療法なども検討されます。[1]

悪性褐色細胞腫(転移や再発を伴うもの)

褐色細胞腫のうち、転移・再発を伴うタイプです。診断・治療は専門施設での総合的判断が必要になります。[1]

神経芽細胞腫(小児に多い)

副腎髄質由来で小児に多い悪性腫瘍です。疑いがある場合は小児専門施設での治療が必要です。[1]

転移性副腎腫瘍

他臓器のがんが副腎に転移したものです。原発巣の治療方針が優先され、状況に応じて追加治療が検討されます。[1]

経過観察になるのはどんなとき?(放置ではなく“評価のうえでの見守り”)

初回評価でホルモン異常がなく画像所見から良性が強く疑われる場合は、経過観察となることがあります。経過観察の頻度(再画像・再検査の要否)は、腫瘍の性状やリスク、施設方針により異なるため、主治医と相談して決めます。[1][4]

よくあるご質問(副腎腫瘍)

Q. 健診で副腎に腫瘍があると言われました。がんですか?

多くは良性です。ただし「ホルモンを出していないか」「画像で悪性が疑われないか」を確認する必要があります。まずは内分泌を扱う医療機関で評価しましょう。[1][2]

Q. 症状がないのですが、受診したほうがいいですか?

はい。無症状でもホルモン過剰が見つかることがあり、画像評価も必要です。初回評価で安全な方針(経過観察/治療)を決めるのが重要です。[1]

Q. 「副腎腫瘍が原因の高血圧」があると聞きました。本当ですか?

はい。原発性アルドステロン症などでは高血圧が主症状になることがあります。必要に応じてホルモン検査で評価します。[1]

Q. 褐色細胞腫が心配です。どんな症状が手がかりですか?

発作的な血圧上昇、動悸、頭痛、発汗などが手がかりになります。疑いがある場合は検査計画が重要なので、自己判断で放置せず相談してください。[1]

Q. 手術が必要になるのはどんな場合ですか?

ホルモン過剰がある場合、悪性が疑われる場合、また腫瘍の大きさ・増大や症状など総合的に判断して手術を検討します。[1][3]

Q. しもやま内科ではどこまで対応できますか?

当院では副腎ホルモンの血液検査・尿検査などの初期評価を行い、必要に応じてCT/MRIなどの画像検査の手配や高次医療機関への紹介で連携します。

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👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年病専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

参考文献

  1. Fassnacht M, et al. European Society of Endocrinology clinical practice guidelines on the management of adrenal incidentalomas (2023).
    (リンク)
  2. 日本内分泌学会(一般向け)「副腎偶発腫瘍」.
    (リンク)
  3. 日本泌尿器科学会・日本内分泌外科学会「内分泌非活性副腎腫瘍診療ガイドライン2022年版(PDF)」.
    (リンク)
  4. AACE Official Statement on Adrenal Incidentalomas Guidelines(フォローアップの考え方のアップデートに言及).
    (リンク)

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