副腎腫瘍は、副腎(腎臓の上にある臓器)に発生する腫瘍の総称で、大きく分けて以下の3種類に分類されます。
- 機能性副腎腫瘍:ホルモンを過剰に分泌
- 非機能性副腎腫瘍:ホルモン分泌を伴わない
- 悪性腫瘍:副腎がんなどの進行性腫瘍
多くは良性ですが、症状の有無や腫瘍の大きさ、ホルモン異常の有無などに応じて治療方針が異なります。
1. 機能性副腎腫瘍
原発性アルドステロン症 ▶
アルドステロンが過剰に分泌されることで高血圧・低カリウム血症をきたす病態です。詳細はリンク先をご覧ください。
クッシング症候群 ▶
副腎皮質からコルチゾールが過剰に分泌される病気です。典型的な症状がなくても、サブクリニカルクッシングと呼ばれる状態が存在します。
褐色細胞腫 ▶
アドレナリンなどのカテコールアミンを分泌する腫瘍で、発作的高血圧や動悸が特徴です。詳細は専用ページをご覧ください。
2. 非機能性副腎腫瘍
非機能性副腎皮質腺腫
ホルモンを過剰に分泌しないため無症状で、健康診断などで偶然発見されることが多いです。大きさや形により経過観察か手術が検討されます。
副腎骨髄脂肪腫
脂肪細胞と骨髄成分からなる稀な良性腫瘍で、多くは無症状です。通常は経過観察となります。
3. 悪性腫瘍
副腎がん(副腎皮質がん)
非常に稀な悪性腫瘍で、進行が早く予後も不良なことがあります。ホルモン産生の有無によって症状が異なり、手術が第一選択ですが、全身状態によっては薬物療法も検討されます。
悪性褐色細胞腫
褐色細胞腫のうち転移や再発を伴うもの。確定診断には時間を要し、抗がん剤治療なども選択されます。
神経芽細胞腫
副腎髄質由来の小児に多い悪性腫瘍です。小児がんの一種で、専門施設での治療が必要です。
転移性副腎腫瘍
他臓器のがんが副腎に転移したものです。主に原発巣の治療が優先されますが、状態に応じて外科的切除も検討されます。
よくあるご質問(副腎腫瘍)
Q. 健診で副腎に腫瘍があると言われました。がんの可能性はありますか?
副腎腫瘍の多くは良性です。ただし、画像の所見や大きさによっては悪性の可能性もありますので、専門医の診察を受けましょう。
Q. 副腎腫瘍があっても症状がないのですが、大丈夫ですか?
ホルモンを出さない「非機能性腫瘍」の場合、症状が出ないこともあります。定期的な画像検査などで経過をみることが多いです。
Q. 高血圧が続いていて副腎の病気を疑われました。本当ですか?
はい、特に原発性アルドステロン症などの副腎腫瘍では、高血圧が主な症状となることがあります。専門的なホルモン検査が必要です。
Q. クッシング症候群とは何ですか?
副腎から分泌される「コルチゾール」というホルモンが過剰になる病気です。肥満・満月様顔貌・糖尿病などがみられます。
Q. 褐色細胞腫とはどんな病気ですか?
副腎からアドレナリンなどが過剰に出る病気で、血圧が急に上がったり動悸・発汗・頭痛などの症状が出ます。
Q. 手術が必要になるのはどんな場合ですか?
腫瘍の大きさが大きい場合や、ホルモンの異常がある場合、また悪性の可能性がある場合には手術をすすめることがあります。
Q. 腫瘍が小さい場合は何もしなくていいですか?
小さい非機能性腫瘍は経過観察することが多いですが、定期的な画像検査やホルモン検査が必要です。
Q. 副腎がんはどんな病気ですか?
副腎皮質がんなどの悪性腫瘍は非常にまれですが、進行が速いこともあるため、早期発見が重要です。
Q. 褐色細胞腫は家族にも遺伝しますか?
一部の褐色細胞腫は遺伝性があるため、家族歴のある方は注意が必要です。遺伝子検査がすすめられる場合もあります。
Q. しもやま内科ではどのような検査ができますか?
当院では、副腎ホルモンの血液検査や尿検査、必要に応じてCT・MRIの紹介検査も可能です。外科手術が必要な場合は高次医療機関と連携します。
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📍 地域に根ざした内分泌診療|船橋市 しもやま内科
副腎腫瘍に不安を感じている方へ──しもやま内科では、専門医による初期評価・必要時の高次医療紹介を行っています。CTやホルモン検査結果を踏まえ、最適な管理と説明を心がけています。
👨⚕️ この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年病専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。