【医師監修】SU剤(スルホニル尿素薬)の効果と副作用|糖尿病の飲み薬を徹底解説

SU剤(スルホニル尿素薬)は、膵臓のβ細胞からインスリンを分泌させることで血糖を下げる糖尿病治療薬です。効果が高く費用対効果も良い一方、低血糖や体重増加のリスクがあり、特に心筋梗塞など虚血性心疾患のある方では注意が必要です。しもやま内科では、グリメピリド(商品名:アマリール)など安全性の高い製剤を選択し、適切な用量調整で安全に使用しています。

SU剤とは?〜インスリンを出す飲み薬〜

SU剤(スルホニル尿素薬:Sulfonylurea)は、膵臓のβ細胞を刺激してインスリンを分泌させる作用を持つ飲み薬です。2型糖尿病の治療薬として長年使用されており、血糖降下効果が強く、比較的安価という特長があります。

SU剤は「膵臓に働きかけてインスリンを出す」薬なので、膵臓がまだインスリンを作れる状態の方に有効です。膵臓の機能が著しく低下している方には効果が限定的になります。

SU剤が有効な人

  • 食事・運動療法だけで血糖がコントロールできない2型糖尿病の方
  • 膵臓のインスリン分泌能力がまだ残っている方
  • 他の飲み薬(メトホルミンなど)で血糖が十分下がらない方

SU剤の作用機序〜血糖を下げる仕組み〜

SU剤は膵臓β細胞にあるATP感受性カリウムチャネル(KATPチャネル)を閉じる作用を持ちます。チャネルが閉じると細胞内にカルシウムが流入し、インスリン分泌顆粒が細胞外に放出されます。

つまり、SU剤は「膵臓に『インスリンを出せ』と命令する薬」です。食後の血糖上昇に対して、膵臓からインスリンを追加で分泌させることで、血糖値を素早く下げる効果があります。

SU剤の血糖降下効果

指標 期待される効果
空腹時血糖 30〜60mg/dL低下(個人差あり)
HbA1c 1.0〜1.5%低下
効果発現 開始後1〜2週間で効果が現れる

SU剤の種類と特徴〜代表的な4剤を比較〜

日本で使用されている主なSU剤は以下の4つです。作用時間の長さや1日の服用回数、低血糖リスクに違いがあります。

薬剤名(一般名) 商品名 作用時間 1日服用回数 特徴・注意点
グリベンクラミド メトグルコなど 長時間 1〜2回 低血糖リスクが高い。高齢者では注意が必要
グリメピリド アマリールなど 中長時間 1回(朝) 低血糖リスクはグリベンクラミドより低い。1日1回で済む
グリクラジド ジアミクロンMRなど 中時間 1〜2回 徐放性製剤あり。低血糖リスクは中程度
ミチグリニド グリフナスなど 超短時間 3回(食前) 超速効型。食後血糖に特化。低血糖リスクは低い

SU剤の選び方のポイント

  • 高齢者や低血糖が心配な方→グリメピリド(アマリール)またはミチグリニド(グリフナス)
  • 1日1回で済ませたい方→グリメピリド(アマリール)
  • 食後血糖が特に高い方→ミチグリニド(グリフナス)
  • 費用を抑えたい方→グリベンクラミド(メトグルコ)※後発品あり

SU剤の主な副作用〜低血糖に注意〜

SU剤の最も重要な副作用は低血糖(血糖値が下がりすぎること)です。インスリン分泌を促す薬なので、食事を取らないまま薬を飲むと、血糖が急激に低下するリスクがあります。

低血糖の症状

程度 症状 対処法
軽度 空腹感、冷汗、手の震え、動悸 砂糖入り飲み物やお菓子を摂取
中度 頭痛、集中力低下、イライラ、ふらつき 砂糖入り飲み物+パンや餅などの炭水化物
重度 意識障害、けいれん、昏睡 周囲の人が救急車を呼ぶ、グルカゴン注射(あれば)

低血糖を防ぐための注意点

  • 食事を抜かない:薬を飲む日は必ず3食きちんと食べる
  • 運動前後の血糖チェック:激しい運動後は低血糖になりやすい
  • 飲酒は控えめに:お酒は低血糖を引き起こしやすくする
  • 常に糖分を携帯:キャンディー・ジュースなどを持ち歩く
  • 周囲の人に伝える:家族や職場の人に「SU剤を飲んでいること」を知らせる

SU剤と他の糖尿病薬の比較

SU剤は効果が強い一方で低血糖リスクがあるため、近年では他の飲み薬と組み合わせて使用されることが多くなっています。

薬剤の種類 作用 低血糖リスク 体重への影響
SU剤 膵臓からインスリン分泌促進 高い 増加しやすい
メトホルミン 肝臓の糖新生抑制、インスリン感受性向上 低い 減少または中立
DPP-4阻害薬 GLP-1作用の増強、膵臓への働きかけ 低い 中立
SGLT2阻害薬 尿から糖を排出 低い 減少
GLP-1受容体作動薬 インスリン分泌促進、食欲抑制 低い 減少

SU剤を使う上で知っておきたいこと

二次無効(徐々に効かなくなる)

SU剤を長期間使用していると、膵臓のβ細胞が疲労し、効果が薄くなることがあります(二次無効)。この場合は、薬の追加や変更を検討します。

虚血プレコンディショニングとの関係

SU剤(特にグリベンクラミド)は、心臓の虚血プレコンディショニング(自己防御機構)を阻害する可能性が指摘されています。虚血性心疾患のリスクがある方は、医師と相談の上で薬剤選択が必要です。

妊娠・授乳中の使用

SU剤は胎盤を通過するため、妊娠中の使用は避けるべきです。妊娠糖尿病や妊娠中の血糖管理については、医師に必ず相談してください。

最終更新日:2026-06-19

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

06/03/2026