糖尿病内科

よく眠れないと糖尿病は良くならない

15/04/2015

よく眠れないと糖尿病は良くならない

寝不足の糖尿病患者さんは血糖コントロールが良くならないことは、経験的に良くご承知のことであると存じます。糖尿病患者さんの中には睡眠障害を合併した方が非常に多くいらっしゃいます。

糖尿病と睡眠障害はどちらが原因でどちらが結果、という関係ではなく両者が密接にリンクしていることがわかってきました。

大阪市立大が今回糖尿病が悪化すると睡眠障害を来すということを明らかにしました。糖尿病の悪化に伴い睡眠の質が低下し、早朝高血圧をもたらし、心血管イベントが増えるというのです。睡眠障害のある糖尿病患者の場合、良く眠れるようにすることが大事であると改めて警鐘を鳴らしています。経験的に納得できるお話です。SASの患者にnasal CPAPを開始すると、血糖コントロールが改善することが良くあります。

大阪市立大学の稲葉雅章教授らは、2型糖尿病の入院患者63人を対象に、寝ているときの脳波を調べました。その結果、糖尿病のコントロールが不良の患者ほど、深い眠りに就いている時間が短い傾向が確認されました。また、深い眠りの時間が短い患者は、早朝高血圧を来す傾向があり、動脈硬化や心筋梗塞を招きやすいという結果が得られました。

稲葉教授は、「患者のデータから、糖尿病と睡眠障害、それに循環器の病気が互いに関係していることがうかがえる。糖尿病の患者に対し、睡眠障害を改善する治療を行う必要がある」と話しています。

📌肥満と睡眠時無呼吸症候群の関係

糖尿病(特に肥満を伴った糖尿病)の方では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)を合併していることが多く、CPAP治療などによって日中の眠気や代謝異常が改善され、減量しやすくなる可能性があります。

実際、日本循環器学会:循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドラインでも、SASと肥満の双方向の関連が指摘されています。

高度肥満の方には、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が隠れていることがあります。SASを治療することで、結果的に体重減少につながる可能性もあります。


肥満と睡眠時無呼吸症候群の関係を解説するイラスト|しもやま内科(船橋市)


睡眠時無呼吸症候群(SAS)の詳細を見る

※ CPAP導入の流れや、当院での検査対応について詳しく紹介しています。

この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長(船橋市)

  • 日本内科学会 総合内科専門医
  • 日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
  • 日本甲状腺学会 専門医
  • 日本循環器学会 専門医
  • 日本老年医学会 老年科専門医・指導医

糖尿病、肥満、不眠との関連についても、専門的な視点から診療を行っています。

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