糖尿病内科

糖質制限の利点と欠点

23/08/2018

糖質制限の利点と欠点


糖質制限ですが、食後高血糖の是正に効果があり、グルコーススパイクを抑えることで心血管イベントを減らし得ると思います。
しかし、良いところばかりではありません。
炭水化物が入ってこなければ、燃やすものがないので人体は脂肪の異化と蛋白異化をして何とか生きようとします。
脂肪の異化は行き過ぎなければ適度な減量ができますが、行き過ぎればケトーシスになります。また、脂肪酸が血中に溢れます。
長期間行えばそれはそれで動脈硬化の要因になり、元も子もなくなります。
また、蛋白異化→糖新生でブドウ糖を作るわけですが、サルコペニアのリスクがあるし、そもそもインスリンの作用する場所の代表である骨格筋が減ればインスリンが効かなくなって耐糖能障害を悪化させかねません。
最近でた論文では総摂取カロリーの50-55%を糖質にすることで死亡率最小というデータが示されました。
糖質制限ダイエット(炭水化物30-40%)は通常(40-70%)より寿命が2.3年短いと示されました。糖質を減らしたぶんを動物性脂肪で補う傾向があったからのようですが、それは米国ならではの背景が影響していて、そのまま日本に当てはまるかどうかわかりません。
私は、極端な炭水化物制限は短期(2Wくらい)限定で減量目的でやるのがいいと思っています。
上述のように長期間やると確かに痩せますが、高脂肪酸血症が持続し、骨格筋が減ってインスリン抵抗性が上がり、かえって糖尿病になりやすく、悪化しやすくなるからです。
日本では北里大の山田悟先生が、この世界の第一人者です。ロカボという概念を提唱していて、ご飯は50g(約半膳)、食パンなら8枚切り1枚まで、という適切な量の糖質を摂ることを推奨しています。なんとなくですが、主食の炭水化物はせいぜい普通の半分までが限界で、それを超えて減らすと害が大きいと考えるべきでしょうか。まだまだエビデンスはないのですが、緩やかな糖質制限を長期間行うのが良いかもしれません。でも、ダイエットはどんなダイエットでも脂肪だけ減るものはないので、必ず筋を道連れにします。ですから運動とセットで行うのが鉄則です。

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