糖尿病内科

劇症1型糖尿病とは|初期症状・診断基準(HbA1c<8.7)・治療

23/05/2016

🔊 このページの要点(劇症1型糖尿病)

劇症1型糖尿病は、発症から数日でインスリン分泌がほぼ枯渇し、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)に進むことがある緊急疾患です。
風邪のような症状の後に、強い口渇・多飲・倦怠感・呼吸が荒い(深い)などがあれば早めに受診を。
診断は「血糖288mg/dL以上・HbA1c<8.7%・Cペプチド低下」などの基準で判断し、治療は早期のインスリン導入が中心です。

劇症1型糖尿病とは(Fulminant Type 1 Diabetes)

劇症1型糖尿病は、発症から数日以内に膵β細胞が急速に障害され、インスリン分泌が著しく低下するタイプの1型糖尿病です。
発熱・腹痛・咽頭痛などの感冒様症状の後に、急激な高血糖から糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)へ進むことがあります(疑った時点で早めの受診が重要)。

初期に見られやすい症状:口渇、多飲、多尿、強い倦怠感、体重減少、吐き気・腹痛、呼吸が荒い(深い)など。

スクリーニング基準(疑うべき状況)

項目 内容
発症の速さ 糖尿病症状が1週間以内に急速に出現
血糖値 初診時 288 mg/dL 以上
HbA1c 8.7% 未満(最近1〜2か月の平均血糖を反映)
インスリン分泌指標(Cペプチド) 尿中Cペプチド <10 μg/day または 空腹時 <0.3 ng/mL かつ負荷後 <0.5 ng/mL

診断基準(以下すべてを満たす)

項目 内容
① ケトーシス/DKA 発症後1週間以内に出現
② 血糖・HbA1c 血糖 288 mg/dL 以上 かつ HbA1c < 8.7%
③ Cペプチド 尿中 <10 μg/day または 空腹時 <0.3 ng/mL かつ負荷後 <0.5 ng/mL

治療(急性期)とその後の管理

急性期:まず命を守る(DKA対応)

劇症1型糖尿病では、早期のインスリン治療と補液が生命予後を左右します。
DKAが疑われる場合は、点滴・電解質管理を含む緊急対応が必要になるため、自己判断で様子を見ず医療機関へ。

慢性期:インスリン治療を安全に続ける

インスリン分泌が大きく低下するため、生涯にわたるインスリン補充療法が必要です。
血糖の変動が大きい場合は、持続血糖モニタリング(CGM)や持続皮下インスリン注入療法(CSII)を組み合わせて管理することがあります。

受診の目安(急ぐべきサイン)

  • 風邪の後に強い口渇・多飲・倦怠感が急に出た
  • 吐き気・腹痛、呼吸が荒い(深い)、意識がぼんやりする
  • 尿ケトン陽性や血糖高値を指摘された

患者教育・生活指導(低血糖・食事・運動・ストレス)

低血糖時の対応(まず安全確保)

低血糖(震え、発汗、動悸、頭痛、めまい、強い空腹感など)は早めに対処します。
可能なら血糖を確認し、ブドウ糖や砂糖を含む飲食で回復を図ります(重症時は周囲の助けを)。

日常生活での注意点

  • 食事:カーボカウントを取り入れるとインスリン調整がしやすくなります。
  • 運動:運動前後の血糖チェックを習慣化し、低血糖対策(補食など)をセットで考えます。
  • 体調不良時:発熱・嘔吐時は血糖が乱れやすく、ケトン上昇のチェックが重要です。

ストレス管理

睡眠不足や強いストレスは血糖変動を大きくすることがあります。無理のない範囲で、休息・相談先の確保・生活リズムの調整を意識します。

日本における劇症1型糖尿病の疫学(推定)

劇症1型糖尿病は、日本での報告が比較的多いとされ、患者数や年間発症数は公的資料・学会資料で推定値が示されています。

出典

※ 本ページは一般的な情報提供です。症状が急に悪化したり、吐き気・腹痛・呼吸が苦しいなどがある場合は、早めに医療機関へご相談ください。

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