アミオダロン・造影剤・免疫チェックポイント阻害薬による甲状腺機能異常|専門医解説

先生、アミオダロンを飲み始めてから甲状腺が腫れてきた気がするんです……——先日、心房細動でアミオダロンを服用中の65代の男性患者さんが、首を触りながら相談されました。アミオダロンには大量のヨウ素が含まれており、甲状腺機能亢進症(AIT)や低下症を誘発することがあるんです。特に基礎疾患がある方や高齢者は注意が必要で、定期的な甲状腺機能検査が必須です。

薬剤性甲状腺機能異常

代表はアミオダロンヨウ素負荷(造影剤・うがい薬)、免疫チェックポイント阻害薬です。甲状腺機能亢進・低下はいずれも起こり得るため、服薬歴経時的なTSH/FT3/FT4で評価し、原因に応じてβ遮断薬・抗甲状腺薬・ステロイド・レボチロキシンを適切に選択します。


薬剤性甲状腺機能異常のアイキャッチ画像。アミオダロン誘発甲状腺症(Type1/2)、ヨウ素造影剤による甲状腺機能異常、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)関連甲状腺炎の3つを横並びに図示。甲状腺専門医監修。しもやま内科。

緊急性分岐導線 -->

お困りの症状はありませんか?

すぐに受診が必要な場合

動悸・体重減少・息切れが急に出現、または強い倦怠感・むくみがある

047-467-5500 に電話

通常のご相談

服用中の薬と甲状腺機能について相談したい

047-467-5500 で予約

緊急時(夜間・休日)

呼吸困難・意識障害など緊急性が高い症状がある場合

119番(救急車を呼ぶ)

関連ページ:
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能低下症
循環器(アミオダロン関連)

アミオダロン誘発甲状腺症(AIT)

なぜ起こる? ヨウ素含有量が多く、甲状腺に影響。Type 1(基礎に多結節性甲状腺腫や潜在バセドウがあり、ヨウ素過剰で産生過剰)と、Type 2(破壊性甲状腺炎で放出亢進)に大別。
  • 鑑別の目安:甲状腺血流(ドプラ)、抗体(TRAb)、Tg・TPOAb、IL-6、時にシンチ所見/混合型もあり。
  • 治療:
    • Type 1:抗甲状腺薬(メチマゾール等)±無機ヨウ素回避、難治例はKClO4や手術検討。
    • Type 2:プレドニゾロンなどステロイド(漸減)。
    • 共通:症状にβ遮断薬。アミオダロン継続の可否は循環器と協議。
  • 低下症:TSH高値・FT4低値ではレボチロキシン補充。アミオダロン継続でも補充可能。

ヨウ素負荷(造影剤・うがい薬)

  • 背景:CT造影、PCI前後、ポビドンヨード系うがい薬などで一過性のヨウ素過剰。
  • 起こり方:基礎に結節性甲状腺腫や潜在バセドウがあるとJod-Basedowで亢進症を来しやすい。逆に一過性低下症も。
  • 対応:予定造影前は既往とTSHを確認。発症時はβ遮断薬、必要に応じ抗甲状腺薬。ヨウ素含有製品は一時中止や減量を検討。
  • 注意:RAI治療予定者は造影ヨウ素で治療が遅れるため、事前調整が必要。

免疫チェックポイント阻害薬(ICI)

  • 機序:免疫関連有害事象(irAE)として破壊性甲状腺炎→低下症の経過を辿ることが多い。
  • 評価:治療開始後は定期的にTSH/FT4(必要に応じFT3)をモニター。
  • 対応:甲状腺中毒症期はβ遮断薬で対症。重症や持続例でステロイドを検討。低下症へ移行したらレボチロキシン補充(体調・心機能に応じ段階的に)。
  • ICI継続:生命危機的でなければ多くは継続可能。中断・再開は腫瘍内科と協議。

実践のコツ

  • まず服薬・処置歴(開始時期・量・中止可否)を確認。
  • 亢進か低下かをTSH/FT4(±FT3)で同定し、症状強度で初期対応(β遮断薬/補充)を先行。
  • アミオダロン中の不整脈リスクは循環器科と即連携。ICI中は腫瘍内科と方針共有

ご相談ください:原因薬や背景疾患により方針は変わります。必要に応じて循環器・腫瘍内科と連携し、過不足のない治療を提案します。

よくある質問

📄 よくあるご質問(FAQ)

Q. アミオダロンを服用中ですが、甲状腺の検査は必要?

はい、必要です。アミオダロンはヨード含有量が非常に多い薬剤で、服用開始後3〜6ヶ月で甲状腺機能異常(亢進症・低下症の両方)を起こし得ます。定期的なTSH・FT4のモニタリングが推奨されます。当院では内服開始前・開始後3ヶ月・その後6ヶ月ごとのチェックをおすすめしています。

Q. アミオダロンによる甲状腺機能亢進症(Type1/Type2)の違いは?

Type1はヨード誘発性のホルモン過剰産生で、抗甲状腺薬(チアマゾールなど)が有効です。Type2は薬剤による甲状腺組織の破壊によるホルモン漏出で、ステロイドが有効です。エコーでの血流評価や甲状腺シンチで鑑別し、治療法を選択します。

Q. 造影剤(CT検査)で甲状腺機能は影響を受けますか?

ヨード造影剤の使用により、特に甲状腺疾患の既往がある方では甲状腺機能亢進症や低下症を起こすことがあります。検査前に甲状腺機能を確認し、特に高リスクの方(バセドウ病史など)では予防的治療を検討することがあります。通常は一過性で、数週間〜数ヶ月で改善します。

Q. 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)で甲状腺機能異常が起こる?

はい、免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ、キイトルーダなど)では、甲状腺機能低下症が最も頻度の高い副作用の一つです。亢進症を経て低下症に移行するパターンも見られます。定期的なTSHモニタリングが標準的に行われ、必要に応じてチラーヂン補充を行います。

Q. アミオダロンによる甲状腺機能低下症の治療は?

アミオダロン内服中にTSHが上昇しFT4が低下した場合は、チラーヂン(レボチロキシン)による補充療法を行います。多くの場合、アミオダロンを継続しながらの補充が可能で、TSHを正常範囲に保つよう調整します。不整脈のコントロールと甲状腺機能のバランスが重要です。

Q. リチウム内服中も甲状腺機能に注意が必要?

はい、リチウムは甲状腺ホルモンの合成・分泌を抑制し、甲状腺機能低下症を起こすことが知られています。特に橋本病の基礎がある方では発症リスクが高まります。定期的なTSHチェックと、必要に応じたチラーヂン補充が推奨されます。

Q. 薬剤性甲状腺機能異常は薬をやめれば治る?

原因薬剤を中止できれば多くの場合、時間経過とともに改善します。ただし、アミオダロンのように体内に長く残る薬剤では、中止後も数ヶ月〜1年以上影響が続くことがあります。また、基礎疾患(橋本病など)がある場合は、薬剤中止後も機能異常が持続することがあるため、継続的なフォローが必要です。

Q. ヨウ素含有のサプリメントや食品でも甲状腺機能に影響する?

はい、ヨウ素を多量に含む食品(昆布・わかめなどの海藻類)やサプリメントの過剰摂取でも、甲状腺機能異常(主に低下症)を起こすことがあります。特に橋本病など甲状腺疾患の基礎がある方は注意が必要です。1日あたりのヨウ素摂取量は成人で130μg(推奨量)〜3,000μg(耐容上限量)が目安です。

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長/日本甲状腺学会 甲状腺専門医 ほか

関連:甲状腺機能亢進症
甲状腺機能低下症
循環器(アミオダロン)


← 甲状腺内科トップへ戻る

最終更新日:2026-08-17

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

11/10/2025