甲状腺クリーゼ
甲状腺クリーゼとは、生命の危険のあるような重篤な甲状腺中毒状態(=バセドウ病などの甲状腺ホルモンが多すぎる状態)のことです。
十分な治療を行なっていない甲状腺機能亢進症を持つ方が、強いストレス(大きな手術、重い感染症など)を受けた時、妊娠・出産時に起こることがあります。甲状腺機能亢進症の治療が突然中止された時にも起こります。甲状腺機能亢進症患者の1-2%が甲状腺クリーゼになります。治療しなければ致死率は50-90%といわれています1)。早期治療しても致死率は20-30%といわれています2)。
発熱(38℃以上)、頻脈(130拍/分 以上)のある患者さんは甲状腺クリーゼを念頭に置かねばなりません。
症状は、意識の混濁、38度以上の高熱、頻脈(1分間に130拍以上)、下痢などの胃腸の症状、心不全の症状などです。
甲状腺クリーゼを疑ったら、専門医のいる施設に急いでご紹介ください。
現在は治療法が進歩していますが、それでも命を落とす危険性もあります。適切な治療を受け、甲状腺機能を安定した状態に保つことが大切です。治療は甲状腺ホルモンの産出・分泌を抑えること、甲状腺ホルモンの作用を抑えること、必要に応じて集中治療室での全身管理が必要です。甲状腺クリーゼが心配な場合は当院にご相談ください。
1)Fisher, J. N. Management of thyrotoxicosis. South Med J, 2002: 95(5); 493.
2)Singhal, A., & Campbell, D. "Thyroid storm." 2003.
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