甲状腺内科

バセドウ病

投稿日:16/10/2016 更新日:

バセドウ病とは

バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に作られる状態である甲状腺機能亢進症を起こす代表的な病気です。

体の中に甲状腺ホルモンが増えて体重減少、全身倦怠感、手のふるえ、動悸、息切れ、脈が速くなる、暑さに耐えられないといったような諸症状が出ている状態を甲状腺中毒症といいます。バセドウ病も甲状腺中毒症状をきたす疾患ですが、区別すべきものとして、亜急性甲状腺炎や、無痛性甲状腺炎があります。

バセドウ病の治療についてはバセドウ病の治療をご参照下さい。

バセドウ病はこんな人に多い

女性に多い病気であり、男女の比率は男性1人に対して女性5~6人程度です。甲状腺の病気のなかでは比較的男性の比率が高い病気です。20~50歳代の方に発症することが多く、中でも30~40歳代の方の発症が最も多く認められます。

バセドウ病は自己免疫疾患です

バセドウ病の発症は、体を守る免疫システムの異常が関係しています。

免疫はウィルスや細菌などの外敵に対する“抗体”を作ることによって体を守る大切な仕組みです。しかし、外敵ではなく自分自身の体を攻撃する抗体(自己抗体)が作られてしまうと、それによって病気が引き起こされることがあります。これが「自己免疫疾患」であり、バセドウ病もそのひとつです。なぜこのような抗体ができるのかはまだ解明されていません。

バセドウ病では、自己抗体(TRAb、TSAb)が甲状腺を刺激することにより甲状腺ホルモンを過剰に産生します。

バセドウ病の原因

バセドウ病は複数の原因が関与して発症すると考えられています。バセドウ病に罹患している方の15%くらいには家族内に同じ病気の方がおり、遺伝的な要因も関与しているようです。しかし、そればかりではなく、出産などの大きな体内環境の変化後に発症することもあり、このような遺伝的ではない要因も発症に関与していると考えられています。

バセドウ病の症状

バセドウ病では、次の3つが代表的な症状(Merseburg (メルセブルグ)の三徴)とされています。
しかし、3つとも症状が現れる方もいれば、そうでない方もいます。

  • 甲状腺腫
  • 眼球突出
  • 頻脈
  • 甲状腺腫

    甲状腺腫とは甲状腺が腫れている状態を指します。バセドウ病では、多くの場合甲状腺が全体的にはれる「びまん性甲状腺腫」を認めます。中には甲状腺のはれに左右差がある方や、腫れをほとんど認めない方もいます。

    眼球突出

    眼球突出をはじめとした目の症状(甲状腺関連眼症)は、バセドウ病の特徴的な症状です。眼球突出だけでなく上まぶたが腫れる「眼瞼腫張」、まぶたが上がってしまう「眼瞼後退」、物が二重に見える「複視」なども眼症状の一つです。もちろん、このような症状を認めない方もいます。

    その他の諸症状

    甲状腺ホルモンは体の新陳代謝を高めるホルモンです。甲状腺ホルモン過剰の状態では新陳代謝が異常に高くなり、多汗、暑がり、食欲亢進、体重減少などの症状が起こります。また、内臓の働きも活発になり頻脈や便通の異常(軟便、下痢、頻回な便通)も認めます。他には手足のふるえ、倦怠感などもよく見られる症状です。精神的ないらつき、不眠、集中力の低下などが原因で大人では仕事の能率の低下、子どもでは成績の低下がみられることもあります。爪の変形(二枚爪)、皮膚の白斑、前脛骨粘液水腫(すねから足の皮膚の一部が腫れて色が黒くなる)などの症状を伴うこともあります。

    バセドウ眼症
    眼球突出

    バセドウ眼症では、眼球の後ろにある脂肪組織や眼球を動かす筋肉が炎症やむくみによって肥大し、眼球が前方に押し出され眼球突出がおこります。突出の程度が大きい場合には、眼球表面の結膜の発赤や角膜の潰瘍が起こり、痛みを伴うこともあります。

    眼瞼後退

    上まぶたを上げる筋肉の緊張や炎症により、まぶたが下がらなくなることにより挙上され起こります。甲状腺ホルモンが高い時に筋肉の緊張から眼瞼が後退することがあり、これは抗甲状腺薬でホルモンを正常化させると改善することもあります。しかし、炎症のため眼瞼後退が現れている場合は、眼科専門医での治療が必要です。

    複視

    眼球を動かす筋肉に炎症がおきると筋肉が腫れ、動きが悪くなります。左右の眼球が同じように動かず、物が二重に見える症状が現れます。

    ホルモンが安定しても眼症状が続くことや悪化することがあります。眼症状に精通している眼科の専門医を受診し、症状の評価、適切な治療の選択が必要です。また、喫煙は眼症状の増悪因子ですので、禁煙が必要です。

    循環器系の症状

    バセドウ病で甲状腺ホルモンが過剰な状態が長期にわたり継続すると、心臓が過剰な働きを強いられて疲弊し、不整脈や心不全(心臓の働きが悪くなる状態)を引き起こします。とくに高齢者は影響を受けやすいのですが、若い方でも起こることがありますので注意が必要です。甲状腺の治療で甲状腺ホルモン値を正常化させることが一番重要ですが、心不全や不整脈の治療も同時に行う必要があります。

    甲状腺クリーゼ

    甲状腺クリーゼは、十分な治療を行なっていない甲状腺機能亢進症を持つ方が、強いストレス(大きな手術、重い感染症など)を受けた時に起こりうる状態です。症状は、意識の混濁、38度以上の高熱、頻脈(1分間に130回以上)、下痢などの胃腸の症状、心不全の症状などです。現在は治療法も進歩していますが、それでも命をおとす危険性もあります。適切な治療を受け、甲状腺機能を安定した状態に保つことが大切です。

    甲状腺中毒性周期性四肢麻痺

    甲状腺ホルモンが高い時に、暴飲暴食や激しい運動をした翌朝などに手足が動かなくなることがあり、これが周期性四肢麻痺です。アジア人の男性に多く、長くても数時間で自然に治まりますが、甲状腺ホルモンを正常化しないと繰り返します。

    高血糖

    甲状腺ホルモンが高い時には血糖値も高くなる傾向があります。もともと糖尿病の方は、バセドウ病が悪化すると血糖値のコントロールが悪くなることもあります。適切な治療で甲状腺ホルモンのコントロールを行うと本来の状態に改善します。

    骨粗鬆症

    甲状腺機能亢進症では、骨の代謝回転が早く、骨密度が減少することが知られています。閉経後の女性や高齢の場合には、骨粗鬆症のリスクがいっそう高くなります。バセドウ病の治療により甲状腺機能が正常化すると、骨の代謝回転が次第に平常の状態にもどり、骨密度は1~2年かけて次第に回復してきます。

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