甲状腺内科

甲状腺中毒症の主な原因とその違い・治療法

🧠 甲状腺中毒症の主な原因と特徴


1. 🦋 バセドウ病(Basedow病 / グレーブス病)

  • 原因:自己免疫疾患。TSH受容体に対する自己抗体(TRAb)が甲状腺を刺激 → ホルモンが過剰分泌される。
  • 年齢・性別:若い女性に多い(20~40代)
  • 特徴的な症状
    • 甲状腺腫大(首の腫れ)
    • 眼球突出(眼症状)
    • 動悸・体重減少・イライラなど
  • 治療
    • 抗甲状腺薬(メチマゾール、プロピルチオウラシルなど)
    • 放射性ヨウ素治療(内服で甲状腺を破壊)
    • 手術(甲状腺の一部/全摘)

2. 🌡️ 無痛性甲状腺炎(silent thyroiditis)

  • 原因:自己免疫性だが、甲状腺が一時的に破壊されホルモンが漏れ出す。分娩後(産後甲状腺炎)にも多い。
  • 痛み:なし("無痛")
  • 経過
    • 一時的な甲状腺中毒状態 → 自然に回復 → 一時的に甲状腺機能低下 → 正常化
  • 治療
    • 原則は対症療法(動悸にβ遮断薬など)
    • 抗甲状腺薬は無効(ホルモンの分泌亢進ではなく、漏れ出ているだけ

3. 🥵 亜急性甲状腺炎(de Quervain病)

  • 原因:ウイルス感染後に起きる炎症性の病気
  • 症状
    • 強い甲状腺の痛み
    • 発熱・全身倦怠感
    • 一時的な甲状腺中毒状態
  • 治療
    • 消炎鎮痛薬(NSAIDs)
    • 重症例ではステロイド(プレドニゾロン)

🔬 鑑別に役立つポイント

特徴バセドウ病無痛性甲状腺炎亜急性甲状腺炎
TSH 低下・FT3/FT4 上昇
甲状腺の腫れ△(軽度)○(圧痛あり)
眼球突出××
痛み××
TRAb(抗体)陽性陰性陰性
治療抗甲状腺薬など対症療法消炎薬・ステロイド

📝 補足:治療中の注意点

  • 抗甲状腺薬には副作用(肝障害、無顆粒球症など)があるため、定期的な血液検査が必要です。
  • 放射性ヨウ素治療や手術後は甲状腺機能低下症に転じることもあるので、ホルモン補充が必要なケースも。

-甲状腺内科