腎臓

腎臓は体のバランスを保つ重要な臓器です。血液をろ過して老廃物を尿として排泄し、体内の水分・電解質・血圧を調整しています。腎臓病は初期に自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに進行することが多いため、定期的な検査が重要です。糖尿病・高血圧は腎臓病の二大原因であり、これらの疾患をお持ちの方は特に注意が必要です。しもやま内科(船橋市芝山)では、糖尿病専門医・循環器専門医・甲状腺専門医が連携し、腎機能の総合的な管理と生活指導を行っています。

腎臓を守るための生活習慣対策イメージ。高血圧・糖尿病・減塩の3要素が腎臓を囲む構成。しもやま内科。

腎臓の働き

腎臓は腰の上のほう、背中側に左右1対あるそら豆のような形をした臓器で、重さは1個約150gです。主な働きは以下の通りです。

機能 内容
血液ろ過 1日約150Lの血液をろ過し、老廃物(クレアチニン・尿素窒素など)を尿として排泄
水分・電解質調整 体内の水分量・ナトリウム・カリウム・カルシウム・リンのバランスを維持
血圧調整 レニンというホルモンを分泌し、血圧を調節
造血促進 エリスロポエチンというホルモンを分泌し、骨髄での赤血球産生を促進
ビタミンD活性化 ビタミンDを活性型に変換し、カルシウム吸収と骨の健康を維持

このように腎臓は多彩な役割を担っており、その機能が低下すると全身にさまざまな影響が現れます。

腎臓病の種類

腎臓病にはさまざまな種類があります。主なものを以下にまとめます。

  • 慢性腎臓病(CKD):最も一般的な腎臓病。長期間かけて腎機能が徐々に低下する。
  • 糖尿病性腎症:糖尿病の合併症として最も多く、透析導入原因の第1位。
  • 高血圧性腎硬化症:高血圧が長期間続くことで腎血管が障害される。
  • 糸球体腎炎:免疫異常などにより糸球体に炎症が起こる。IgA腎症が代表的。
  • ネフローゼ症候群:大量の蛋白尿が出て、むくみや低アルブミン血症をきたす。
  • 多発性嚢胞腎(PKD):遺伝性の疾患で、腎臓に多数の嚢胞ができる。
  • 急性腎障害(AKI):脱水・薬剤・感染症などで急激に腎機能が低下する。

これらのうち、糖尿病・高血圧が原因となるケースが全体の約60%を占め、生活習慣病のコントロールが腎臓保護に直結することを示しています。

CKD(慢性腎臓病)

CKD(Chronic Kidney Disease)は、腎機能の低下(eGFRが60未満)または腎障害を示す所見(蛋白尿など)が3か月以上続く状態と定義されます。日本では約1,330万人(成人の約8人に1人)がCKDと推定されています。

CKDの病期はeGFRの値により以下のように分類されます。

病期 eGFR(mL/分/1.73㎡) 状態
G1 90以上 正常または高値(蛋白尿など腎障害あり)
G2 60〜89 軽度低下(腎障害あり)
G3a 45〜59 軽度〜中等度低下
G3b 30〜44 中等度〜高度低下
G4 15〜29 高度低下
G5 15未満 腎不全(透析・移植検討)

CKDの最大の特徴は「初期にはほとんど症状が出ない」ことです。健康診断の尿検査や血液検査で偶然発見されることがほとんどです。

すぐに受診が必要なサイン

  • 急なむくみ(特に朝のまぶた・夕方の足)
  • 急に尿量が減った
  • 尿が泡立つ(蛋白尿の疑い)
  • 血尿が出た
  • 急激な血圧上昇

これらの症状がある場合は、早めに受診してください。

糖尿病と腎臓

糖尿病は腎臓病の最大の原因です。糖尿病性腎症は、日本の透析導入患者の約40%を占めています。高血糖の状態が続くと、腎臓の糸球体(血液をろ過する毛細血管の塊)に負担がかかり、徐々に障害されます。

糖尿病性腎症の進行段階は以下の通りです。

  1. 第1期(腎症前期):尿アルブミン正常。腎機能正常。
  2. 第2期(早期腎症期):微量アルブミン尿(30〜299mg/gCr)が出現。
  3. 第3期(顕性腎症期):顕性蛋白尿(300mg/gCr以上)が持続。
  4. 第4期(腎不全期):eGFRが30未満に低下。
  5. 第5期(透析療法期):透析・腎移植が必要に。

早期腎症期(第2期)で発見できれば、血糖管理・血圧管理・減塩により進行を抑えることが可能です。糖尿病と診断された方は、年に1回は尿アルブミン検査とeGFR検査を受けることが推奨されます。

高血圧と腎臓

高血圧は腎臓病の二大原因の一つです。高血圧が長期間続くと、腎臓内の細い血管(腎細動脈)に負担がかかり、血管壁が厚くなって血液の流れが悪くなります。これを高血圧性腎硬化症といいます。

また、腎臓と血圧は密接な相互関係にあります。腎臓が障害されるとレニンという昇圧物質の分泌が増え、かえって血圧が上がるという悪循環に陥ります。逆に、血圧を適切にコントロールすることで腎機能の低下速度を約30〜50%遅らせることができるとされています。

高血圧と診断された方で、特に以下の項目に当てはまる方は注意が必要です。

  • 血圧のコントロールが不良(家庭血圧135/85mmHg以上)
  • 尿検査で蛋白尿を指摘されたことがある
  • すでにeGFRが60未満
  • 糖尿病を合併している
  • 降圧薬を複数服用している

腎機能の検査

腎機能を評価するための検査には以下のものがあります。

検査 内容 頻度の目安
尿検査(尿たんぱく・尿潜血) 腎障害の有無をスクリーニング 年に1回
血清クレアチニン・eGFR 腎臓のろ過機能を数値化 年に1回(CKDは3〜6か月ごと)
尿アルブミン定量 糖尿病性腎症の早期発見 年に1回(糖尿病患者)
腎エコー(超音波) 腎臓の大きさ・形態・腫瘍や嚢胞の有無 必要時
尿Na/K比 食塩摂取バランスの実用的指標 減塩指導の評価に

eGFRとクレアチニン

eGFR(estimated Glomerular Filtration Rate:推算糸球体ろ過量)は、血清クレアチニン値・年齢・性別から計算される腎機能の指標です。正常値は60mL/分/1.73㎡以上とされ、これ未満が3か月以上続くとCKDと診断されます。

血清クレアチニンは筋肉の代謝産物で、腎臓から排泄されます。腎機能が低下すると血中にたまるため、腎機能の指標として用いられます。ただし、筋肉量の影響を受けるため、高齢者や低栄養の方はクレアチニンが低めに出ることがあり、その場合はeGFRが実際より高く見積もられる可能性があります。

eGFRとクレアチニンの関係を簡単に示すと、以下のようになります。

  • eGFR 90以上:腎機能正常
  • eGFR 60〜89:軽度低下(蛋白尿などがあればCKD)
  • eGFR 45〜59:CKD stage G3a
  • eGFR 30〜44:CKD stage G3b(専門医紹介が推奨)
  • eGFR 15〜29:CKD stage G4(腎臓専門医で経過観察)
  • eGFR 15未満:CKD stage G5(腎不全)

蛋白尿

蛋白尿は腎障害の最も重要なサインの一つです。健康な腎臓では、血液中のたんぱく質はほとんど尿に漏れ出しませんが、腎臓の糸球体や尿細管が障害されると、たんぱく質が尿中に漏れ出します。

蛋白尿の程度は以下のように分類されます。

  • 陰性(−):正常
  • ±(トレース):境界域。再検査や精密検査を検討
  • 1+(陽性):30〜100mg/dL程度。持続する場合は精査必要
  • 2+:100〜300mg/dL程度。明らかな腎障害の可能性
  • 3+以上:300mg/dL以上。ネフローゼ症候群など重度の腎障害の可能性

糖尿病の方では、微量アルブミン尿(30〜299mg/gCr)の段階で発見することが、腎症進行予防の鍵となります。しもやま内科では、糖尿病・高血圧の患者さんに対して定期的な尿アルブミン検査を推奨しています。

腎臓病の症状

CKDの初期はほとんど無症状ですが、病気が進行すると以下のような症状が現れます。

症状 原因・メカニズム 出現時期の目安
むくみ(浮腫) 水分・ナトリウム排泄障害 G3b以降
疲労感・倦怠感 腎性貧血・毒素蓄積 G3b〜G4
夜間頻尿 尿濃縮能の低下 G3a以降
食欲不振・吐き気 尿素窒素などの毒素蓄積 G4〜G5
皮膚のかゆみ リン・PTH代謝異常 G4〜G5
息切れ・呼吸困難 水分過剰・貧血 G4〜G5

繰り返しになりますが、これらの症状が現れるころにはすでに腎機能がかなり低下していることが多いため、症状が出る前の定期的な検査が最も重要です。

通常の受診で対応できる場合

健康診断で腎機能の異常(eGFR低下・蛋白尿)を初めて指摘された方、糖尿病や高血圧で定期的な腎機能チェックをご希望の方は、お電話でご予約の上ご来院ください。

047-467-5500

治療法(食事療法・薬物療法)

腎臓病の治療は、原因疾患の治療と腎機能低下を遅らせるための対策が中心です。

食事療法

  • 減塩:1日6g未満(高血圧合併時はさらに厳格に)。加工食品・外食の塩分に注意
  • たんぱく質制限:CKD stage G3b以降は0.6〜0.8g/kg体重/日。肉・魚・卵・大豆製品の量を調整
  • カリウム制限:G4以降は果物・野菜・芋類に注意。ゆでることでカリウムを減らせる
  • リン制限:加工食品・インスタント食品・乳製品に多い。リン/たんぱく質比の低い食品を選ぶ

薬物療法

  • ACE阻害薬・ARB:血圧を下げると同時に、腎臓内の圧力を減らし腎保護効果を発揮
  • SGLT2阻害薬:糖尿病の有無にかかわらず腎保護効果が確認されている
  • 利尿薬:むくみや高血圧の改善に用いる
  • erythropoiesis-stimulating agents(ESA):腎性貧血に対して使用
  • 炭酸水素ナトリウム:代謝性アシドーシスの補正に用いる

薬物療法は腎機能の程度に応じて用量調整が必要です。自己判断での服薬中止や市販薬(特にNSAIDs:ロキソニン・ボルタレンなど)の使用は腎機能を急激に悪化させる恐れがあるため注意が必要です。

腎臓病予防

腎臓病を予防するためには、以下の生活習慣が有効です。

  1. 血圧管理:家庭血圧を135/85mmHg未満に保つ。朝晩の測定を習慣に
  2. 血糖管理:糖尿病の方はHbA1c7%未満を目標に
  3. 減塩:1日6g未満。出汁や香味野菜・香辛料を活用し薄味に慣れる
  4. 適正体重の維持:BMI 22〜25を目標に。肥満は腎臓に負担をかける
  5. 適度な運動:週150分以上の有酸素運動(ウォーキング・水泳など)
  6. 禁煙:喫煙は腎血管を収縮させ腎機能低下を促進する
  7. 水分補給:適度な水分摂取(1日1.5〜2L)は腎臓の負担軽減に。ただし腎機能低下時は医師の指示に従う
  8. 定期健診:年に1回の尿検査・血液検査で腎機能をチェック
  9. 市販薬に注意:NSAIDs(ロキソニン・イブプロフェンなど)の常用は腎機能低下リスク

すぐに119番が必要な緊急症状

  • 完全に尿が出なくなった(無尿)
  • 意識がもうろうとする
  • 息苦しさが急に強くなった
  • けいれんが起きた

しもやま内科の診療

しもやま内科(船橋市芝山)では、腎臓病の診療において以下の特徴があります。

  • 糖尿病専門医・循環器専門医・甲状腺専門医の3専門併設:腎臓病の2大原因である糖尿病と高血圧を、それぞれの専門医が一貫して管理。甲状腺疾患による腎機能への影響も含めて総合的に診療します。
  • 腎機能に配慮した薬物療法:ACE阻害薬・ARB・SGLT2阻害薬など、腎保護効果が確認された薬剤を病期に応じて適切に選択・調整します。
  • 糖尿病腎症の早期発見・早期介入:定期的な尿アルブミン検査・eGFR測定により、早期腎症の段階で発見し進行を抑制します。
  • 減塩・生活指導:尿Na/K比などの客観的指標を用いた減塩アドバイス。食事指導も可能です。
  • 連携体制:進行した腎臓病については、近隣の腎臓専門医・透析施設とスムーズに連携します。

腎機能が気になる方、検診で「腎機能低下」や「蛋白尿」を指摘された方は、ぜひしもやま内科にご相談ください。

しもやま内科

〒274-0814 千葉県船橋市芝山2丁目7-1 リズム22 1階

TEL:047-467-5500

診療科目:内科・糖尿病内科・循環器内科・甲状腺内科・内分泌内科

※当院は予約制ではありません。直接お電話いただくか、ご来院ください。


監修医師

下山 立志(しもやま たつし)

しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医

糖尿病・高血圧・甲状腺疾患を中心に、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。腎機能の管理は生活習慣病診療の根幹をなす重要な分野であり、専門性を活かした診療を提供しています。

最終更新日:2026年8月26日 監修医師:下山立志(しもやま内科院長)

よくある質問(FAQ)

腎臓病の初期症状は?

腎臓病の初期はほとんど自覚症状がありません。むくみ(眼瞼・下肢)、尿の泡立ち、乏尿、疲労感などが現れることもありますが、多くは検診での尿異常(蛋白尿・血尿)や血液検査(クレアチニン上昇)で初めて気づかれます。定期的な検診が重要です。

腎機能の低下はどのように診断しますか?

血液検査でクレアチニン(Cr)・eGFR(推定糸球体濾過量)を測定します。eGFRが60未満を慢性腎臓病(CKD)と診断します。eGFRが45未満で腎機能低下あり、30未満で中等度低下、15未満で末期腎不全と評価します。

慢性腎臓病(CKD)とは?

尿異常や腎機能低下が3ヶ月以上持続する状態を慢性腎臓病(CKD)といいます。日本人の約8人に1人がCKDとされ、放置すると腎不全に進行する可能性があります。早期発見と生活習慣改善で進行を遅らせることができます。

腎臓病に効く薬はありますか?

原因によって異なりますが、ACE阻害薬・ARB(降圧薬)は腎保護作用があり、蛋白尿の減少に効果的です。SGLT2阻害薬(糖尿病薬)も腎機能低下抑制効果が確認されています。ステロイドや免疫抑制薬が必要な腎炎もあります。

腎臓病の食事療法は?

減塩(1日6g未満)が基本です。腎機能低下に応じて蛋白制限(1日0.6〜0.8g/kg標準体重)やカリウム制限・リン制限が必要になることもあります。自己判断での制限は栄養不良のリスクがあるため、医師の指導を受けてください。

腎臓病と高血圧の関係は?

腎臓と高血圧は密接に関連しています。腎臓が障害されると血圧が上昇し、高血圧がさらに腎機能を悪化させるという悪循環が生じます。血圧コントロール(130/80未満が目標)は腎保護に不可欠で、適切な降圧薬治療が重要です。

腎臓病と糖尿病の関係は?

糖尿病は透析導入原因の第1位です。高血糖が続くと腎臓の糸球体が障害され、蛋白尿→腎機能低下→腎不全と進行します(糖尿病性腎症)。血糖コントロール(HbA1c7%未満が目安)を徹底することで進行を予防・遅延できます。

腎臓病は治りますか?

原因によって異なります。急性腎炎は症状の改善が期待できる場合もありますが、慢性腎臓病(CKD)は症状の改善が難しいとされています。ただし適切な治療と生活習慣管理で進行を遅らせ、腎不全への移行を回避・遅延することは十分可能です。

腎臓病の人はどのくらいの水分を摂ればいいですか?

一般的には1日1.5〜2リットルの水分摂取が推奨されますが、むくみがある方や腎機能が低下した方では水分制限が必要になることがあります。利尿薬を服用中の方も含め、個別の状態に応じた適切な水分量を医師にご相談ください。

腎臓病の人が避けるべき薬は?

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬:ロキソプロフェン・イブプロフェンなど)は腎血流を減少させ腎機能を悪化させるため注意が必要です。漢方薬やサプリメントにも腎障害を起こすものがあります。市販薬を購入する際は薬剤師に腎臓病であることを伝えてください。

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受診をご検討の方、お気軽にご相談ください

月・火・木・金 9:00〜12:00 / 14:45〜17:30 土 9:00〜12:00

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最終更新日:2026-08-28

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年科専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

09/08/2025