高浸透圧高血糖症候群(HHS)|症状・原因・治療法・予防策|しもやま内科(船橋市)

高浸透圧高血糖症候群(HHS)は、高齢の2型糖尿病で多く見られる緊急症ですが、1型糖尿病でも発症することがあります。極度の高血糖と脱水により意識障害を起こす重篤な状態です。

高浸透圧高血糖症候群(HHS)は、極度の高血糖と脱水により意識障害を起こす生命に関わる糖尿病の緊急症です。高齢者に多く、死亡率が高いため、早期発見と適切な治療が重要です。

高浸透圧高血糖症候群(HHS)とは

高浸透圧高血糖症候群(Hyperosmolar Hyperglycemic State: HHS)は、インスリンの相対的不足により血糖が極度に上昇(通常600mg/dL以上)、血液の浸透圧が高くなり、重度の脱水と意識障害を起こす状態です。DKAと比較してケトン体の蓄積は少なく、主に2型糖尿病患者、特に高齢者に起こります。

HHSの主な症状

HHSはDKAよりも徐々に症状が進行し、発見が遅れやすいのが特徴です。以下の症状に注意してください。

  • 極度の口渴と多飲多尿:1日3-5リットル以上の水分摂取と排尿
  • 重度の脱水症状:皮膚の乾燥、目のくぼみ、口渇、頻脈、立ちくらみ
  • 意識障害:嗜眠、昏睡、反応が鈍い、混乱状態
  • けいれん:高血糖による神経症状
  • 片麻痺や運動障害:高浸透圧による脳障害

HHSとDKAの違い

項目 HHS DKA
主な対象 高齢の2型糖尿病患者 1型糖尿病患者
血糖値 600mg/dL以上(極度に高い) 250-400mg/dL
ケトン体 軽度または陰性 陽性(中等度以上)
アシドーシス 軽度(pH 7.30以上) 重度(pH 7.30未満)
症状の進行 徐々に(数日間) 急速(数時間〜1日)
意識障害 重度(昏睡しやすい) 中等度
死亡率 高い(10-20%) 低い(1-5%)

HHSの原因と誘因

HHSは以下のような状況で発症しやすくなります。

  • 感染症:肺炎、尿路感染症、敗血症(最も多い)
  • 水分摂取不足:高齢者の渇き感覚の低下、嚥下困難、認知症
  • 利尿剤の使用:脱水を促進
  • 血糖降下薬の中断:自己判断による服薬中止
  • 急性疾患:心筋梗塞、脳卒中、膵炎
  • ストレス:手術、外傷、精神的ストレス

HHSの診断基準

HHSの診断には以下の基準が用いられます。

  • 血糖値:600mg/dL以上
  • 有効血清浸透圧:320mOsm/L以上(正常:280-300)
  • 動脈血pH:7.30以上(軽度のアシドーシスまたは正常)
  • ケトン体:陰性または軽度(血中ケトン体3mmol/L未満)
  • 意識障害:嗜眠、昏睡、混乱

HHSの治療

HHSは入院治療が必要です。DKAと比較して治療期間が長く、慎重な管理が必要です。

1. 輸液療法(最重要)

HHSの治療の中心は、脱水の補正です。生理食塩水などを点滴し、慎重に水分を補充します。急速な輸液は肺水腫のリスクがあるため、心不全のある高齢者では特に注意が必要です。

2. インスリン治療

輸液開始後、血糖が下がらなければインスリンを投与します。HHSでは血糖降下速度をゆっくりにし、浸透圧の急速な変化による脳浮腫を防ぎます(1時間あたり50-70mg/dLが目安)。

3. 電解質補正

カリウム、ナトリウム、リン酸イオンなどの電解質異常を補正します。インスリン治療開始後はカリウムが細胞内に移動するため、積極的に補充します。

4. 合併症の治療

感染症が誘因となっている場合は、抗菌薬を使用。血栓症予防のための抗凝固薬、圧瘡予防などの看護も重要です。

HHSの予防策

HHSは適切な管理で予防できます。高齢者の糖尿病患者さんは特に以下の点に注意してください。

  • 十分な水分摂取:1日1.5-2リットルの水分を意識的に摂る。高齢者は渇きを感じにくいため、時間決めで水分補給
  • 血糖自己測定の徹底:特に体調不良時は頻回に測定
  • 感染症の早期治療:発熱や感染症状があれば早期受診
  • 血糖降下薬の継続:絶対に自己判断で中止しない
  • 家族の監視:高齢者の水分摂取状況や意識状態に注意
  • 定期受診:糖尿病の管理状態を定期的に確認

救急受診が必要な場合

以下の症状がある場合は、直ちに救急車を呼んでください(119番)。

  • 意識がぼんやりする、または意識がない
  • 極度の口渴と多尿が続く
  • 重度の脱水症状(皮膚の乾燥、目のくぼみ)
  • けいれんや片麻痺
  • 血糖値が600mg/dL以上

しもやま内科での対応

しもやま内科では、HHSの予防と早期発見に注力しています。

  • 高齢者の糖尿病管理:高齢患者さんのリスクを定期評価
  • 家族教育:HHSの症状と対応法を家族に指導
  • 水分摂取の指導:高齢者に適した水分摂取方法を個別にアドバイス
  • 24時間体制の電話相談:緊急時の対応方針を電話でご案内
  • 救急連携:近隣の救急病院と連携し、迅速な受け入れ体制を構築

HHSは適切な予防と早期治療で、命を守ることができます。不安な点があれば、遠慮なくご相談ください。


しもやま内科
船橋市芝山 4-33-5
TEL: 047-467-5500


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04/03/2026