糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)は、1型糖尿病で最も注意すべき緊急症の一つです。インスリン不足により血糖が高くなり、ケトン体が蓄積して酸性化した血液は生命を脅かします。早期発見と適切な治療が重要です。
糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)は、インスリン不足により血糖が急激に上昇し、ケトン体が蓄積する生命に関わる緊急症です。早期発見と適切な治療が予後を左右します。DKAの症状、原因、治療法、予防策を専門医が解説します。
糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)とは
糖尿病性ケトアシドーシス(Diabetic Ketoacidosis: DKA)は、インスリンの絶対的または相対的不足により、血糖が異常に高くなり(通常300mg/dL以上)、体内にケトン体が蓄積し、血液が酸性化(アシドーシス)する状態です。主に1型糖尿病患者に起こりますが、2型糖尿病患者でも感染症やストレスにより発症することがあります。
DKAの主な症状
DKAの症状は急速に進行します。以下の症状が現れたら、直ちに医療機関を受診してください。
- 強い口渴と多飲多尿:血糖の上昇により、体内の水分が尿として排出される
- 深大呼吸(クエスモール呼吸):体内の酸性度を中和しようと、深く速い呼吸になる
- 吐き気・嘔吐:ケトン体の蓄積による消化管症状
- 腹痛:特に小児でみられることが多い
- 脱水症状:皮膚の乾燥、目のくぼみ、頻脈、血圧低下
- 意識障害:嗜眠、昏睡、意識がぼんやりする
- フルーツのような息:ケトン体による特徴的な口臭
DKAの原因と誘因
DKAは以下のような状況で発症しやすくなります。
- インスリン治療の中断:経済的理由、自己判断による中止、注射忘れ
- 感染症:肺炎、尿路感染症、皮膚感染症など
- 急性疾患:心筋梗塞、脳卒中、膵炎など
- ストレス:手術、外傷、精神的ストレス
- 薬剤:ステロイド、サリチル酸製剤など
- 初発糖尿病:1型糖尿病の発症時にDKAを合併することが多い
DKAの診断基準
DKAの診断には以下の基準が用いられます。
- 血糖値:250mg/dL以上(通常300mg/dL以上)
- 動脈血pH:7.30未満(アシドーシス)
- ケトン体:血中ケトン体3mmol/L以上、または尿ケトン体陽性(++以上)
- 重炭酸イオン(HCO3-):18mEq/L未満
DKAの治療
DKAは入院治療が必要です。治療の主な柱は以下の3つです。
1. 輸液療法
脱水を補正するため、生理食塩水などを点滴します。血糖が下がってきたら、糖液を含む輸液に切り替えます。
2. インスリン治療
持続的にインスリンを静脈投与し、血糖を徐々に下げます。血糖降下速度は1時間あたり50-100mg/dLが目安です。急激な血糖降下は脳浮腫のリスクがあるため、ゆっくりと下げます。
3. 電解質補正
カリウムやリン酸イオンなどの電解質異常を補正します。インスリン治療開始後はカリウムが細胞内に移動するため、積極的に補充します。
DKAの予防策
DKAは適切な管理で予防できます。以下の点に注意してください。
- インスリン治療の継続:絶対に自己判断で中止しない。経済的困難があれば医師に相談
- 血糖自己測定の徹底:特に体調不良時は頻回に測定
- ケトン体測定:血糖250mg/dL以上や体調不良時は尿ケトンまたは血ケトンを測定
- 感染症の早期治療:発熱や感染症状があれば早期受診
- シックデイ時の対応マニュアルの準備:発熱・嘔吐時のインスリン・水分摂取方法を事前に確認
- 糖尿病教育の受講:DKAのリスクと対応法を学ぶ
救急受診が必要な場合
以下の症状がある場合は、直ちに救急車を呼んでください(119番)。
- 意識がぼんやりする、または意識がない
- 呼吸が深く速くなる(クエスモール呼吸)
- 激しい腹痛や嘔吐が続く
- 血糖値が400mg/dL以上で、ケトン体が陽性
- 重度の脱水症状(皮膚の乾燥、目のくぼみ、立ちくらみ)
しもやま内科での対応
しもやま内科では、DKAの予防と早期発見に注力しています。
- DKAリスクの評価:1型糖尿病患者やインスリン治療患者さんのリスクを定期評価
- シックデイ時の指導:発熱・嘔吐時のインスリン・水分摂取方法を個別に指導
- ケトン体測定器の貸出:必要に応じて血ケトン測定器を貸出
- 24時間体制の電話相談:緊急時の対応方針を電話でご案内
- 救急連携:近隣の救急病院と連携し、迅速な受け入れ体制を構築
DKAは適切な予防と早期治療で、命を守ることができます。不安な点があれば、遠慮なくご相談ください。
しもやま内科
船橋市芝山 4-33-5
TEL: 047-467-5500
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