妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠の管理と紹介目安|産婦人科の先生方へ

妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠は、母体と胎児の予後を左右する重要なテーマです。このページでは、船橋市のしもやま内科が、近隣の産婦人科の先生方と連携して行う外来血糖管理とご紹介の目安を整理しました。

妊娠糖尿病(GDM)・糖尿病合併妊娠では、「短期間で目標血糖を達成すること」と「分娩後の長期リスクを見据えたフォロー」が重要になります。
しもやま内科では、医師による分食指導とフリースタイルリブレを用いた血糖変動評価を基本とし、必要に応じてインスリンを外来で導入しています。ここでは、産婦人科の先生方が「どのタイミングで内科に依頼すべきか」をイメージしやすいように、代表的な紹介ケースと当院での管理方針をまとめました。

📍 対象エリアと診療連携の考え方

当院は千葉県船橋市に位置する内分泌・糖尿病クリニックです。妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠に関する内科紹介については、以下のエリアからのご通院を主に想定しています。

  • 主な診療圏:船橋市・習志野市・八千代市・鎌ケ谷市 など
  • アクセス:東葉高速線(飯山満駅・北習志野駅)/新京成線(北習志野駅) 利用圏
  • 連携中:船橋市立医療センター・くらもちレディースクリニック など周産期医療機関

※ 上記以外の遠方の先生方におかれましても、内容そのものは診療のヒントとしてご自由にご活用ください。
※ ご紹介は、患者さんの通院負担を考慮し通院圏内の方を優先していただけますと幸いです。

📩 このようなケースでご紹介ください

妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠のうち、特に次のような場合は、早期に内科へご紹介いただくことで、短期間での血糖安定化が期待できます

  • 75gOGTTで妊娠糖尿病と診断され、食事療法のみでは空腹時血糖・食後血糖が目標を超えているケース
  • 既存の2型糖尿病・1型糖尿病があり、妊娠判明時のHbA1cが目標より高めで、短期間でのコントロール改善が必要なケース
  • 肥満(BMI ≥ 25)かつ高血圧・脂質異常症を合併し、将来的な生活習慣病リスクも踏まえた指導が必要とお感じの場合
  • 頻回な外来受診が難しく、フリースタイルリブレなどを用いた効率的な血糖評価が望ましいケース
  • インスリン導入の要否に迷う・投与量調整を内科の立場から相談したいケース

紹介状には、妊娠週数・既往歴・現在の血糖値(SMBGや検査値)・体重推移・合併症の有無などをご記載いただけますと、初回受診からスムーズに対応可能です。

📊 妊娠中の血糖目標と管理の基本方針

妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠では、一般的に以下のような血糖目標が推奨されています(施設やガイドラインにより若干異なります)。

指標 目標値の一例
空腹時血糖 95 mg/dL 未満
食後1時間血糖 140 mg/dL 未満
食後2時間血糖 120 mg/dL 未満

※ 目標は母体の状態・低血糖リスク・施設方針により調整します。詳細は各学会ガイドラインをご参照ください。

🍱 分食指導とエネルギー調整

  • 基本は3食+1〜3回の補食(分食)とし、食後高血糖と空腹時高血糖の両方を抑えることを目指します。
  • 妊娠週数・体格・体重増加目安を踏まえ、安全な範囲でエネルギー制限を行います(過度なカロリー制限は避ける)。
  • 当院では、医師が実際の血糖推移を見ながら、「どのタイミングで何を食べるか」を具体的に提案する形で分食指導を行っています。

📰 フリースタイルリブレによる血糖変動の可視化

SMBG(自己血糖測定)に加え、可能な症例ではフリースタイルリブレを併用し、1〜2週間単位で血糖パターンを評価します。

  • 空腹時と食後血糖の両方を確認し、「どの時間帯に高血糖が目立つか」を把握
  • 夜間低血糖・早朝高血糖など、SMBGだけでは拾いにくいパターンも可視化
  • 分食内容やインスリン投与量の調整を、エビデンスに基づいて行いやすくなる

フリースタイルリブレの詳細は、患者さん向けページ(フリースタイルリブレの解説ページ)も併せてご参照いただけます。

💉 インスリン導入の考え方(外来ベース)

食事療法のみで目標血糖に到達しない場合は、原則としてインスリン治療を外来で導入します。妊娠中は経口血糖降下薬の選択肢が限られるため、日本ではインスリンが基本となります。

  • 食後高血糖優位:速効型/超速効型インスリンを食前に少量から開始
  • 空腹時高血糖が持続:基礎インスリン(持効型)を就寝前などに少量導入
  • 低血糖リスク・自己注射の困難さを考慮しつつ、少量から頻回に調整

重症例・多胎妊娠・合併症(重度高血圧・腎機能障害など)を伴う場合は、連携病院(船橋市立医療センター等)での入院管理が望ましいケースもあります。その際は当院から改めてご相談いたします。

👶 分娩後のフォローアップと将来リスク

妊娠糖尿病の既往は、将来の2型糖尿病発症リスクを大きく高めることが知られています。分娩後も以下のようなフォローを行っています。

  • 産褥期(6〜12週)での75gOGTTによる耐糖能評価
  • その後も1〜3年ごとの糖尿病スクリーニング(空腹時血糖・HbA1cなど)
  • 生活習慣や体重管理についての長期的なフォロー

妊娠中は周産期医療が中心となりますが、分娩後は「将来の2型糖尿病予防」の観点から、内科かかりつけ医としてのフォローも重要と考えています。

📑 ご紹介の流れと紹介状テンプレート

ご紹介の際は、「産婦人科の先生方へ」ハブページでご案内している診療情報提供書テンプレート(PDF・3ページ)をご利用いただけます。

  • 患者さん背景・妊娠週数・妊娠経過
  • OGTT・SMBG・HbA1cなどの血糖関連データ
  • 体重推移・合併症・服薬状況
  • 「内科として特に相談したい点」や周産期の方針(例:分娩施設・予定)

初診後は、検査結果と治療方針を記載した返書を原則1週間以内にFAXいたします。

ご紹介・ご相談の連絡先
047-467-5500 | FAX 047-467-7500

※診療時間外はFAXにてご連絡ください。確認次第、折り返します。

船橋市の内分泌・糖尿病クリニック しもやま内科では、妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠の血糖管理について、

船橋市・習志野市・八千代市・鎌ケ谷市など近隣地域の産婦人科クリニックや、船橋市立医療センター・大学病院と連携し、母体と胎児の安全を第一に考えた周産期管理を目指しています。

🔗 関連ページ(患者さん向け)

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年病専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医

糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。妊娠糖尿病・糖尿病合併妊娠についても、産婦人科との連携のもと多数の症例を経験しています。

❓ よくあるご質問(妊娠糖尿病/産婦人科の先生方へ)

どの時点で妊娠糖尿病患者さんを内科へ紹介すべきですか?
食事療法のみで空腹時・食後血糖が目標を超える場合、もしくはHbA1cが高めで短期間の改善が必要な場合は、早めのご紹介をお願いしています。肥満や合併症を伴う症例も、内科での併診が望ましいと考えています。
インスリン導入は外来で可能ですか?入院が必要ですか?
多くの症例では外来でのインスリン導入が可能です。重症例や合併症の強い方、多胎妊娠などハイリスク症例では、連携病院での入院管理が適切と判断される場合もあります。
分食指導はどのように行っていますか?
妊娠週数や体格、血糖パターンを踏まえて、3食+補食のタイミングと内容を具体的に提案します。フリースタイルリブレや自己血糖測定の結果を見ながら、患者さんごとに調整しています。
分娩後のフォローはどこまでお願いできますか?
産褥期の75gOGTTによる評価から、その後の定期的な糖尿病スクリーニング・生活習慣のフォローまで、長期的な内科フォローをお受けしています。分娩施設との役割分担についても柔軟にご相談ください。
患者さん向けの妊娠糖尿病説明資料はありますか?
はい、当院ホームページ内に妊娠糖尿病Q&A(患者さん向け)のページがあります。必要に応じて患者さんにご案内いただければ幸いです。

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